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パイオニア CS-T66

瀬川冬樹

ステレオサウンド 36号(1975年9月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(上)最新40機種のテスト」より

 音のバランス、という点ではこの価格帯の製品としては欠点が指摘しにくいほどよくまとまっている。芯の強い、中味の濃い音質ともいえる。むろんキャビネットの大きさやユニットの構成から考えても、スケール感など十分とはいいかねるが、あくまでも価格とのかねあいで点数の上がるうまい作り方だ。しかし、総体には表情がやや硬い。音の余韻あるいは響きをややおさえすぎたような感じがあって、良くいえば抑制が利いているが、しかしもう少し柔らかく楽しい表情が生きてきてもよさそうに思う。たとえば金管など太さも腰の強さも適度に漂う感じが出にくい。総じてクラシック系の場合、目の前に幕を一枚引いたようなもどかしさがあり、たとえばダイヤトーン28Bと比較すると、28Bは突然眼の前がひらけたように爽やかに感じられる。レベルコントロールをパイオニアの指定よりも、高音で一目盛上げ、中音で一~二目盛おさえる方が、クラシック系では好ましかった。

パイオニア CS-T66

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 豊かな低域をベースとした、まとまりのよい音をもっている。性格は、おだやかなタイプであるために、厳密で活気のあるアンプと組み合わせることがポイントになる。