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京セラ B-910

菅野沖彦

ステレオサウンド 79号(1986年6月発行)
特集・「CDプレーヤー・ダイレクト接続で聴く最新パワーアンプ48機種の実力テスト」より

 細かいディテールがよく再現され繊細な音なのだが、聴いていて、どこか落ち着きが感じられない。軽やかな鳴りっぷりは決して悪くはないし、むしろ、押しつけがましいオーディオ的サウンドよりはよほどましだとは思うのだが……。ヴォーカルも自然な声の質だが、一つ安定感に不足し、軽く甘い。オーケストラのトゥッティでは中域中心のバランスになり、レベルが下がるとレンジ感が拡がるといった傾向をもつ。金管のしなやかで輝きのある音色など大変魅力的な一面もあるのだが……。

音質:7.0
価格を考慮した魅力度:7.0

京セラ B-910

井上卓也

ステレオサウンド 79号(1986年6月発行)
特集・「CDプレーヤー・ダイレクト接続で聴く最新パワーアンプ48機種の実力テスト」より

 無理をしない帯域バランスと適度に密度感のあるまじめな音をもったアンプである。全体を、少し硬質な輪郭をつけて聴かせるアナログ的なまとまりが特徴であるが、バランス的には、中低域の量感が抑え気味で、音の響きを抑え、ややきつく聴かせる面がある。プログラムソースとの対応は個性型で、自分の音として聴かせる。幻想は整然と聴かせるが、表情が冷たく、硬さがあり、伸びやかさが不足する。このアンプも、従来の印象とはかなり変って聴こえた例だ。

音質:7.9
価格を考慮した魅力度:9.0