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オーディオテクニカ ATH-5

瀬川冬樹

Hi-Fiヘッドフォンのすべて(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「Hi-Fiヘッドフォンは何を選ぶか 47機種試聴リポート」より

 ATH3が中低域に厚みを持たせて高域をおさえた、いわば丸みのある豊かでソフトな音に仕上げていたのに対して、ATH5は、より高価であることを意識してか、高域のレインジをぐっと広げた作り方をして、聴きようによっては、同じメーカーの同じシリーズとは思えにくいほど違う音に仕上げてある。たとえば管弦楽の斉奏などでATH3が音をひとつの固まりのように、言いかえればややモノフォニック的に聴かせたのに対して、ATH5はディテールがよく浮き出して音を空間にひろげて聴かせる。が反面、ヴォーカルなどではATH3よりも肌ざわりが冷たいし、それよりも聴き馴れた歌手の声が少し変って聴こえることから、中〜高域にやや固有の音色のつきまとうことが感じとれる。ATH3は能率がかなり良かったが、こちらはその点では水準なみというところ。デザインやかけ心地についてはATH3のところで書いたことと