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新藤ラボラトリー 7A

早瀬文雄

ステレオサウンド 90号(1989年3月発行)
「スーパーアナログコンポーネントの魅力をさぐる フォノイコライザーアンプ12機種の徹底試聴テスト」より

 2段PーK帰還NF型、管球式イコライザーアンプ。入力3系統で、各入力抵抗は50kΩ、100kΩ、150kΩに設定。出力レベルコントロール付き。使用真空管は12AX7×2、6350×2、整流管6CA4×1となっている。往年の銘機マランツ#7管球式プリアンプのフォノ部をベースにしているが、出力にトランスを用いている点が特色。デール、アーレンブラッドレーといった高精度パーツを使用、現代的なアンプにリファインしている。

新藤ラボラトリー 7A

早瀬文雄

ステレオサウンド 90号(1989年3月発行)
「スーパーアナログコンポーネントの魅力をさぐる フォノイコライザーアンプ12機種の徹底試聴テスト」より

 ゴールドパネルに深みのあるグリーンのケース、それは写真でみるよりずっと美しく、不思議な調和さえみせていた。
 音楽が鳴り始めるや、あるかなきかの記憶を彩るほんのりと甘酸っぱい響きがあたりを満たし、あわてた。
 羊水に浮遊するような非現実的な暖かさと柔らかさ、耳は測定器として作動することを記憶喪失のように忘れはて、ただ流れる音楽に身をゆだねることに誘い込む。現代を生きるものが忘れた何かを呼び戻してくれる響き──。
 ハイフィデリティを第一義とする冷静な視線をもった、先端をいくものたちが、内に隠しもつ空虚。ここには、その虚をつく大切なものがひそんでいた。過去に失われたものたちの残像、現実から離れた速度感をもった時間の流れのなかで、おだやかにみつめようとする作者の柔らかな視線がここにはあった。