マッキントッシュ C33 + MC2500

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 MC2255との組合せも高品位の音だったが、この組合せはいちだんと素晴らしかった。従来、質的なデリカシーでは、MC2255のほうに歩があるという印象であったが、今回の試聴では、質量ともにMC2500との組合せが勝っていた。マーラーの響きは、重厚で柔軟性に富み、絢爛としたオーケストラの細部も見事に浮彫りにしながら、圧倒的な安定感のあるトゥッティの迫力。ピアニッシモも、十分繊細でしなやかな弦の音。見事な音だ。

マッキントッシュ C33 + MC2255

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 元気潑剌とした鳴りっぷりでいて、決して荒くならない。ただ、いつも僕が聴くこの組合せでは、もっとキメの細かい透明な音だったが、ここでは勢いのよさのほうが前面に出た印象である。ピアノ伴奏ヴォーカルでは、この組合せでは、低域の盛り上りはなくなり、きわめて豊かだが締った低域で、ヴォーカルもかぶらない。ジャズのベースも弾力性に富み、決して混濁しないで、豊かで力強い。質感ともによいバランスだ。

マッキントッシュ C33 + デンオン POA-8000

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 やや肌ざわりの冷たい音だが、滑らかさはあるし、ワイドレンジにわたって締まった音。マーラーの響きとしては、もっと熱っぽい音がほしいと思ったが、これはこれで現代的な響きで決して悪くない。組合せとしては、少々異質であることが、ヴォーカルを聴くとよくわかり、どこといって欠点として指摘するほどのことではないのだが、声質にはやや不自然な感じが出る。中低域の力と量感に対して、高域が質的にうまくバランスしない感じだ。

マッキントッシュ C33 + サンスイ B-2301

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 どういうわけか、低音が出すぎる。もの凄い量感だ。前にもこの組合せで聴いたことがあるが、そのときはこんなではなかった。しかし、音の質感はしっかりした骨格と芯の周囲に、弾力性のある適度な肉づきと、滑らかな皮膚がほどよくバランスした自然なもので、マーラーの響きの重厚さと絢爛さは素晴らしい。ヴォーカルの質感も暖かく、リアリティのあるもの。ジャズでは前述のようにベースが重すぎ、やや鈍重にすぎたようだ。

クレル PAM-2 + マークレビンソン ML-3L

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 キメの細かさ、滑らかさ、充実したソリッドな質感などでは、クレルKSA100に匹敵する高品位な再生音だと感じた。しかし、どこかに、こちらのほうがひややかな感触があって、マーラーの響きにやや熱さの不足を感じる。僕の受けとっているこのレコードの個性とは、やや異質なものを感じた。ピアノの低音が少々ダンゴ気味になり、ジャズのベースも、音色的に鈍さがあって、重くなりすぎる嫌いがあった。

クレル PAM-2 + パイオニア Exclusive M5

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 明晰で、広い拡がりをもったステレオフォニックな響き、鮮かな音色の鳴らし分けは見事といってよい。このマーラーの音としては、やや厚味とこくに欠けるものとはいえ、大変魅力的なサウンドであった。フィッシャー=ディスカウの凛とした声の響きは立派。反面、彼独特の口蓋を生かしたふくらみのある響きは、やや不満がある。つまり、響きに硬さ一色に流れるような傾向があるようだ。ジャズではソリッドで明快な素晴らしさだ。

クレル PAM-2 + エスプリ TA-N900

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 KSA100のときのような特徴的な音ではなくなるが、大変よいバランスで、楽器の質感の響き分けもよい音。やや輝きの勝った音で、くすんだ陰影といったニュアンスには不足するが、明快な音が美しい。ただ、ごく細かいハーモニックスの再現には不十分なようで、楽音がどこかつるっとして、食い足りなさが残るのが気になった。ジャズのベースなど、中低域の質感に、ときにそうした感じが強く、力感は十分なのだがいま一つの不満。

AGI Model 511b + アキュフェーズ M-100

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 この組合せにおけるオーケストラの音は、豊かさや重厚さに欠ける。その代り、透明な中高音域の質感は、特筆に値する美しさであった。マーラーのシンフォニーの響きとしては必ずしも私の好みとはいえないが、これが古典派の曲なら捨て難い魅力だろうと思う。フィッシャー=ディスカウも、少々細身の声で、テノールがかる。ピアノの明瞭な響きは美しい。ジャズは、明瞭だが、低域の押し出すような重量感が物足らなくもう一つの感じだ。

クレル PAM-2 + KSA-100

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 KSA50のところでメモした〝クラルテ〟の魅力は、このパワーアンプも同じ。それにここでは同じクレルのプリとの組合せだけに、一段とその魅力は冴える。オーケストラのテクスチュアは、餅肌のような、しっとりと滑らかで、ふくよかだ。ちょっと聴きにはやや細身で、線の細さを感じるほどデリカシーをもった音ながら底力も十分。ヴォーカル、ピアノの音色の機微も鮮かに鳴らし分ける。ジャズも過不足なし。

カウンターポイント SA-1 + マークレビンソン ML-3L

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 不思議なもので、この組合せでは、パワーアンプの個性で鳴ってくれるようだ。つまり、KSA100のときより、これはML3の音だなと感じる音になる。聴感上のナローレンジ感もそれほど感じられず、むしろ現代的ですっきりした音になる。ヴォーカルを聴いても、特に魅力が生きるとはいえないが、中低域のこもりはML3をクレルのプリと組み合わせたときより少ない。しかし、ML3の能力が十分発揮されているとはいえない。

AGI Model 511b + スレッショルド S/300

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 レンジの広いオーケストラを聴くと、この組合せはやや狭い帯域レンジのように聴こえてくる。それだけに、音楽の重要なスペクトラムが朗々と鳴り、明るい中音が魅力的だ。ハイエンドとローエンドが目立たない、落ち着いて聴ける音といえるだろう。男声の低音成分がもり上らないので、いわゆる胴間声にならない。ジャズのベースも締まって、よく弾み明快である。各レコードのもつ音の質感を、控え目だが、品のよい響きで伝える。

カウンターポイント SA-1 + クレル KSA-100

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 この優れたパワーアンプとの組合せは、正直にいって、どちらの良さも十分発揮されないもので、KSA100の高域の美しさも出てこないし、かといって、SA1らしい暖かい自然音の魅力ともいえない音になる。したがって、マーラーでは、オーケストラの帯域レンジに不満があるし、かといって、ロマンティックな表現に合った質感も不十分。ヴォーカルも、どこか把みどころのないもので、ジャズにはレンジの狭さがそのまま出てくる。

AGI Model 511b + マランツ Sm700

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 パワーアンプの変化なのか、この組合せでのオーケストラは、より柔軟なテクスチュアが感じられ、艶もついてくる。総じて、瑞々しさが増して魅力的であった。フィッシャー=ディスカウの声の艶も、この組合せだと生きてくる。ピアノの立上り、粒立ちといった鋭さにやや不満が感じられ、低域の質的な響き分けも大まかになる傾向が感じられたのが惜しい。パワーアンプの持っている音がプラス側に大きく働いているようだ。

カウンターポイント SA-1 + オーディオリサーチ Model D-90B

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 TVA1と比較すると、少し油気の抜けた、さっぱりした傾向で、熱っぽさも、ここではややさめる。しかし、感覚的には自然な、有機的な質感で、音:が区を心情的にリラックスして楽しめるよさがある。フィッシャー=ディスカウの声も、すっきりとした響きのよいもので、柔軟な声の質感をよく伝える。ピアノも中低域がこもらず、重くならない。ジャズの質感はよく、力ではもう一つ炸裂するようなスリルはないが、シズル音は聴こえる。

AGI Model 511b + ハーマンカードン Citation XI

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 明解で、切れ込みの鋭い音という印象。特にオーケストラの多彩な各楽器の音色を、際立って聴かせる音色の響き分けに優れているようだ。中高音にめりはりのきいた、やや華麗な印象であるが、オーケストラのテクスチュアとしては、ややざらつき気味。フィッシャー=ディスカウの声のふくらみも、少々柔軟さに欠け、硬質だ。ジャズ系のソースでは効果的な音で、力強く迫ってくるが、中低域に独特のふくらみ、こもりがあった。

カウンターポイント SA-1 + マイケルソン&オースチン TVA-1

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 決してワイドレンジではないが、それだけに、充実したマーラーの響きが聴けたようだ。暖かく血の通った音である。しかし、ノイズは気になる。プリアンプのSN比が悪すぎる。スピーカーの能率が低いと、この残留雑音は気にならないかもしれないが、その代り、ゲインを上げるとまた悩まされることになるだろう。ヴォーカルなど、古いタイプの音だが、それだけに余計な音が出ない安心感がある。ジャズではシズルの音が充分再現されない。

ミュージック・リファレンス RM-5 + アクースタット TNT-200

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 マーラーでは響きが明るくなりすぎるし、高域がややうるさく、しなやかさが不足する。ヴァイオリン群は、もっとキメの細かい音が再現されるべきだと思う。ピアノの中低音が、この試聴スピーカー、試聴室では不明瞭になりがちだった。だが、この組合せでは、よく締り、よく抑えられて、非常にすっきり再生されてよかった。f特に無関係に、この辺りの変化が、アンプの違いによる面白いところである。ジャズのベースはやや重い。

ヤマハ HA-3

井上卓也

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
「PickUp 注目の新製品ピックアップ」より

 MC型カートリッジの出力電圧は平均して約0・1mVほどの低さであるため、これを音質劣化させずにアンプのフォノ入力に送り込むことは非常に難しいものだ。
 昇圧手段にヘッドアンプを選ぶ場合、ヘッドシェルにヘッドアンプを内蔵させてカートリッジからの信号をダイレクトに受けて増幅することができれば、ほぼ理想に近いはずである。この方式を世界初に実用化した製品が既発売のHA2であり、今回のHA3は、その第2弾製品である。
 基本構成は、HA2と同様で、ヘッドシェル内にHA3ではサテライトアンプと呼ばれるようになったFET構成アンプを組み込み、これとHA3本体内のアンプでヤマハ独自のピュア・カレント増幅方式を構成させるタイプだ。本体内にはRIAAイコライザーをも備えているため、本機の出力はAUX入力に接続して使う。
 このHA3の方式は、MCカートリッジ出力を至近距離でアンプに入力し、信号電圧を電流に変換してHA3本体に送るため、トーンアーム内部の接続部分、接点や内部配線、さらにアームコードなどでのノンリニアの影響が極小となり、高純度の音が得られる特徴がある。
 HA3独特の改良点は、出力系に固定出力と可変出力の2系統があり、可変出力を使ってパワーアンプをダイレクトに駆動できるようになったことと、HA2ではヘッドシェル組み込みのアンプが本体と一対一でバランスが保たれ調整されているため、カートリッジ交換のたびに取付け直しが必要だったが、今回はヘッドシェル組込みアンプが1個と任意のヘッドシェルに組込み可能のサテライトアンプが2個、合計3個のサテライトアンプが付属し複数個のMC使用時の使いやすさが向上していることだ。なお、各サテライトアンプは、本体アンプとのマッチングが完全にとられ、誤接続での安全性を確保する保護回路付。
 HA3は、MCダイレクト使用可能のアンプと比較すると、非常にクリアーで抜けのよい音が得られる。アンプとしてのキャラクターは明快で、クッキリと音に輪郭をつけて聴かせるタイプだが、それにもまして音の鮮度感が高く、反応の速いことが、このタイプの優位性を物語る。なお、パワーアンプのダイレクト駆動は、これをさらに一段と際立たせた独特の世界である。

ヤマハ MC-2000

井上卓也

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
「PickUp 注目の新製品ピックアップ」より

 最近のカートリッジの特徴は、新製品のすべてがMC型だ、ということである。
 とくに国内製品では、MC型の問題点のひとつでもあった低価格化が生産技術面で飛躍的に改善され、1万円を割るモデルさえ出現している。その内容も、価格は安くても悪くしようがないというMC型独特の構造上の利点もあって、正しくコントロールし追込めば、予想以上に素晴らしい結果が得られるまでにいたっている。
 一方、高級カートリッジの分野では、振動系の軽量化というオーソドックスなアプローチが一段と促進され、結果としての実用針圧は1gの壁を破り、コンマ・オーダーに突入している。
 MC2000は、振動系軽量化への技術限界に挑戦したヤマハの意欲作だ。MC型の音質の碁盤である発電方式は、ヤマハ独自の水平・垂直方向に発電系をもち、マトリックスでステレオ信号とする十字マトリックス方式で、当然のことながらコイル巻枠は空芯型だ。カンチレバーは、高純度ベリリウムを先端φ0・22mm、根元部でφ0・34mmとテーパー状にした肉厚20μパイプを使用。全長も従来のMC3などの5・5mmから3・7mmと短縮され、カンチレバー等価質量0・034mgを達成している。なお、コイルは芯線径12・7μの銅線使用である。
 支持系も大幅に発展した部分だ。ダンパーは、温度特性を改善した異種材料を組み合わせた新開発LTD型を独自の段付き型で使用。温度特性は従来の3〜4倍に改善されたということだ。これに、30μステンレス7本よりのサスペンションワイヤー、支持部0・06mm角ソリッドダイヤ特殊ダ円針が振動系のすべてである。なお、ボディは端子一体型・高剛性ポリカーボネート製、内部は質量集中構造で、自重5・3gとヤマハ製品中で最軽量である。
 針圧を標準の1gで聴く。帯域バランスは、軽量型らしく広帯域を意識させぬ滑らかでナチュラルなタイプ。音色はほぼニュートラル、音の粒子が細かく滑らかで、素直に音の細部を引き出す、このタイプ独特の魅力が感じられる。表情は基本的に抑え気味だが、針圧の0・05gの変化で、伸びやかにも穏やかにも鋭く反応を示す。優れた製品の性能を活かすためには、アームの選択と使いこなしが不可欠の要素だ。

ビクター Zero-100

井上卓也

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
「PickUp 注目の新製品ピックアップ」より

 Zeroシリーズの製品群は、リボン型トゥイーターとダイナミックレンジの広いユニットによるワイド&ダイナミック思想をテーマに発展してきた。昨年末Zero1000が登場したが、今回のZero100は、Zero1000の3ウェイ化モデルと思われやすい新製品だ。
 ユニット構成上の特徴は、高域に独自のファインセラミック振動板使用のハードドーム型を使用していることである。このあたりから将来のZeroシリーズの展開が、特徴的であったリボン型ユニットをドーム型に変えて質的向上を図る方向へ行くであろうことは、ほぼ同時発売のZero0・5の例を見ても、かなり明瞭であろう。
 システムの基本は、Zer1000での成果を導入し、リファインした製品である。スーパー楕円特殊レジン製バッフルボード使用のエンクロージュアは、裏板構造は異なるが、内部の定在波と振動板背面にかかる背圧の処理は重要項目として検討された。Zero1000以来約一年の成果は相当に大きい。毛足の長い純ウール系吸音材開発は、独自のエステルウール開発以に巻いて使う定在波の制御方法や適度にエンクロージュア振動を抑え音を活かす補強(響)棧などの処理方法も従来と異なる。
 ユニットは、すべてファインセラミック振動板採用。低域はZero1000用と類似するが、センターキャップに通気性をもたせ磁気回路内の背圧を前面に抜く方式の採用が特徴。中域はZero1000の75mm口径に対し、65mm口径の新開発ユニットで、振動板周囲にイコライザー類を持たぬ最新の設計法とユニットとしての構造的な発展で、質的向上は明らかだ。高域はZero1000の35mm口径に対して30mm口径とし、高域レスポンスを改善している。すべて新設計ユニットだ。
 聴感上のSN此が優れ、音の粒子が細かく滑らかに伸びた帯域バランスの製品だ。豪快に鳴らすには金属やコンクリート、硬質ブロックの置台を使うが、ナチュラルで色付けがなく本当の意味での反応の速さや音場感的な見通しの良さを聴くためには、良質な木製の置台が望ましい。この場合音色はニュートラルで聴感上のDレンジも広く、狭い部屋が広いホールに化するような見事な音場感とヴィヴィッドな表情が魅力。

ミュージック・リファレンス RM-5 + クレル KSA-50

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 クラルテと呼ぶにふさわしい高音は、このパワーアンプの持つ音といって間違いなかろう。50Wアンプとは思えぬ安定度と力強さをって、スピーカーをドライブする。このマーラーでは、やや重量感に欠ける異質な音も感じるが、かといって、決してオーケストラの固有の音色は変えられていない。フィッシャー=ディスカウは品位のある、きわめて繊細な発声技術が明らかに再現される。ジャズも骨格、肉づきとともによい充実さだ。

ミュージック・リファレンス RM-5 + サンスイ B-2301

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 TVA1との組合せで聴いた血の通ったソリッドな音に、さらにキメの細かい質感の緻密な響きが加わり透明度が増した。代りに、暖かさ、熱っぽさはやや失われ、よりすっきりとした現代的な音といえるものになる。ヴォーカルも雑物がとれ、よりすっきりするが、その反面、やや冷たいともいえる感触をもってくる。ジャズでは圧倒的に力強く、安定感が増し、女性の声の艶、弾みのあるヴィヴィッドなベースが素晴らしいものだった。

ミュージック・リファレンス RM-5 + マイケルソン&オースチン TVA-1

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 血の通った、柔軟で立体的なふくらみの感じられる熱い音だ。オーケストラのトゥッティは充実していて、深々としたマッシヴな響きで、僕の好きなマーラーの音だった。この演奏らしい、弾力性のある重厚な響きに魅力を感じた。フィッシャー=ディスカウの声も、より透り、よく含み、表現の多才な彼らしいテクニックが生きている。ジャズも、リズムの振動が生き生きと伝わり、めりはりのきいた直接音と豊かな響きが美しいバランス。

テクニクス SB-M2 (MONITOR 2)

井上卓也

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
「PickUp 注目の新製品ピックアップ」より

 テクニクスのスピーカーシステムは、従来からマルチウェイシステムのひとつの問題点であった各ユニットの音源中心を、前後方向に揃えるリニアフェイズ化を重視したシステムづくりが最大の特徴だった。
 この考え方は、海外でも米アルテックのA7システムや、欧州ではフランス系のキャバスやエリプソンのシステムが先行していたものだが、音源中心が振動板面で決まる平面振動板ユニットの全面採用で、明らかに世界のトップレベルに位置づけされるようになった。
 M2には、木目仕上げのM2(M)と、シルバー塗装仕上げのM2(S)の2モデルがあるが、今回はM2(S)仕様の試聴である。基本構想は、既発売の4ウェイシステム、M1を3ウェイ化し、いわゆるスタジオモニターサイズにまとめた製品である。
 使用ユニットはすべて、扇を全円周に展開したような独自の構造の軽金属ハニカムコアを採用したことが特徴である。
 低域は直径200mm、重量3・1kgの磁石と直径75mmの高耐入力構造ボイスコイル、独自のリニアダンパーを組み合わせた38cm口径ウーファー、中域は直径140mm、重量1・2kgの磁石と直径50mmボイスコイル採用の8cmスコーカー、それにスキン材に積層マイカ使用、スコーカーとの取付位置を近接化するために特殊な角型磁石を採用した28mmトゥイーターを組み合わせている。エンクロージュアは、筒型ダクト使用のバスレフ型で左右対称型だが、M1でのバッフル面両側にあった金属製の把手兼補響棒がないのは大きな改善だ。なお、ネットワークは低域と中高域分割型、フェライトコア入りコイル、高域用コンデンサーはメタライズド・フィルム型採用で、高域にはサーマルリレー使用の保護回路付である。
 テクニクスらしく基本特性が世界のトップランクの見事さだけに、M2は使い方が最大の決め手だ。簡単な鳴らし方で概要を掴むと、柔らかく豊かな低域と素直で透明感があり、ややおとなしい中域から高域をもっている。低域を程よく引き締め、低域と中域のつながりを密にする使用が望まれる。置台に硬質コンクリート台型のブロックを3個使い、最低域の重量感を確保しながら同軸構造のスピーカーコードを併用すると、現代的なモニターライクな高分解能な音が聴ける。

ヤマハ NS-2000

井上卓也

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
「BEST PRODUCTS 話題の新製品を徹底解剖する」より

 NS1000の高級モデルがヤマハで開発中で、型番はNS2000というウワサは、昨年来耳にしていた。3ウェイか4ウェイ構成かという問題。それに、低域または中低域用の振動板材料に独自のベリリウムスキンを使った既発表の平面型を採用するのか、コーン型ならどのようなマテリアルを新導入するかというところが注目のポイントであり、非常に興味深かった。
 実際に登場したNS2000の姿を見たのは、全日本オーディオフェア前であるが、オーソドックスに開発された3ウェイシステムというのが最初の印象である。
 基本構想は、中・高域に熟度の高い独自のベリリウムドーム型を使い、問題の低域には、純カーボン繊維積層型の高剛性、低内部損失の新コーンの組合せ。エンクロージュアは、全面25mm厚高密度パーチクル板採用で、指向特性に優れたラウンドバッフル部にはブナのムク材を大量に使った完全密閉型。ヤマハの誇る木工技術を活かし高級家具調の見事な仕上げが施されている。ラウンドバッフルのため、ユニット配置はヤマハ初の一直線レイアウトというものだ。
 注目の低域は、純カーボン繊維の縦方向の比弾性率、強度を活かし、横方向の弱さをカバーする目的で、コーンを扇形に八等分した形状のカーボン繊維一方向配列シートを相互に繊維方向を直交させた4層構造とし、コーン裏側の円周方向に補強リブを採用、きわめて剛性の高いコーンを実現している。磁気回路は直径18cm、厚み20mmの磁石採用。無酸素銅線ボイスコイル口径88mmは、国内製品中では異例の大径で、強力な駆動力を物語るものだ。また、有限要素法を用いて磁束分布を計算した、新設計の低歪磁気回路も見逃せない。中・高域ユニットは、従来より結晶構造を細かくした振動板を採用、特に高域の磁気回路強化が目立つ。なお、ネットワークのコンデンサーが、すべてMP型であることは異例だ。
 NS2000は、滑らかでシャープな音が特徴。モニター調の1000Mより、NS1000系の発展型とも考えられるキャラクターだ。注目の低域はスケールが大きく、ソリッドさが新たに加わった魅力だ。大パワー使用での迫力も注目されるが、特徴を活かした使い方は、良質な木製の置台に乗せて、実際的な家庭内の聴取レベルでバランスを整え、質的な高さを追求したい。