マイクロのターンテーブルSX777、BL101、BL111の広告
(モダン・ジャズ読本 ’82掲載)
マイクロ SX-777, BL-101, BL-111
ラックス L-510, L-530, L-550
クリプシュ heresy HD
マッキントッシュ C29, MC2255
JBL 4345
シュアー V15 TypeIV, V15 TypeIII-HE, V15LT, M97HE-AH, M97LT, M95HE, M75HE Type2, MV30HE
コス KSP
ビクター QL-A75
オーレックス SB-Λ70C
デンオン DP-52F
オンキョー Scepter 300
オルソップ・スリー A-300, A-310, A-320
アキュフェーズ E-301
パイオニア PL-50LII
ソニー APM-77W
SAEC WE-407/23
サンスイ AU-D907F EXTRA
インフィニティ RS-b
ソニー XL-15, XL-30, XL-40, XL-44L, XL-44, XL-50, XL-55pro, XL-70, XL-88, XL-88D
オットー RD-D65
マイクロ SX-777
井上卓也
ステレオサウンド 61号(1981年12月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より
プレーヤーシステムは、主要構成部品が機械的なメカニズムで成り立っているために、エレクトロニクスの技術がモーター系に導入されたDD型といえどもターンテーブル、シャフト、軸受けといった基本メカニズムに予想をはるかに上廻るほどの精度や剛性をもたせないと、回転精度やワウ・フラッターなどの物理的な計測データがいかに高くとも、結果としての音質を優れたものにすることは不可能に近い。
このメカニズムが音質を決定するという事実が認識され、測定値が非常に優れたDD型プレーヤー全盛であるにもかかわらず、古典的なべルトドライブや糸ドライブのシステムがこれならではの充実した音の魅力により、特に高度なファンの心を捉えているのは見逃せないことである。
ベルトや糸ドライブプレーヤー復活の原動力となったマイクロから、新しくエアーベアリング方式、コモンモード・カップリング方式といった自社開発の特許方式を採用した糸ドライブ・アームレスプレーヤーSX777が発売された。
碁本構成は、既発売のBL111と同様にプレーヤーキャビネット内に主要構成郡品を収納したタイプで、家具的にも完成度が高く、メカニズム派のみならず音楽ファンにも好適なシステムである。ターンテーブルは重量10kgの砲金製で、16mm径シャフトと軸受け間はオイルバス方式。シャフトと軸受けは精密ラッピング加工の鏡面仕上げだ。軸受け構造はエアーベアリング方式、ターンテーブル内側に圧縮空気を送り込んで最大0・03mm浮上させ、超スムーズな回転を得る。同時に、シャフトアッセンブリーとアームマウントを一体化したコモンモード・カップリング構造を含め、空気による制動効果で共振をダンプするメリットをも持つ。なお、糸ドライブ用材料はアラミド系、12・1μmの繊維を13本撚りとするこで長期間にわたり初期特性を維持できる最適の材料選択だ。回転数チェックは内蔵ストロボをクォーツ回路で点灯させる方式採用。駆動モーターは直流FGサーボ型で、強力電源部採用だ。
SME3010Rと組み合わせたSX777は、各種カートリッジに対し瑞々しい質感の再現、緻密で躍動感のある表現力とアナログディスクならではの独自の魅力をサラッと聴かせる実力の高さを示した。
タンノイ Arundel, Balmoral
菅野沖彦
ステレオサウンド 61号(1981年12月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より
タンノイが’81年暮に発表した新製品は、トッモデルのG・R・ファウンテン・メモリーと、このアランデル、バルモラルの合計3機種である。そして、このアランデル、バルモラルは、そのイニシャルがAとBであるように、かつてのアーデン、バークレイにとって代るモデルとして開発されたものなのだ。アーデン、バークレイは、オリジナルからMKIIとなって長い間ファンに親しまれてきたシステムであったが、それに代って登場した2機種も、当然のことながらデュアルコンセントリックユニットを使うことに変りはない。アランデルが38cm口径の3839ユニット、バルモラルは30cm口径の3128ユニットを内蔵する。3839は連続入力120W、ピークで500W、3128はそれぞれ100W、350Wというヘビーデューティ、そしてクロスオーバー周波数は1kHz、1・2kHzの同軸型2ウェイ、つまり、コアキシャルユニットである。エンクロージュアは、アーデン、バークレイからはプロポーションに大きな変革がある。従来よりも高さと奥行きが増し、幅が狭められた。タンノイによれば、これはエンクロージュア内部の反射音による干渉を弱め、音の濁りをなくすのに有効であるとされている。エンクロージュア自体の剛性や作りは、G・R・F・メモリーを見た眼にはそれほど印象は強くないが、ビチューメンパネルと呼ばれるタンノイ独自の共振防止材をエンクロージュア内部5面に多数取り付けることによってアコースティックコントロールが行なわれ、中域の明瞭度や、全帯域での音の鮮明さを得ているという。タンノイ独特のロールオフとエナジーの2種類の調整ができるネットワークもそのままである。このネットワークコントロールは大変有効なものだ。つまり、ロールオフによって5kHz以上を4段階に増減、エナジーによって1kHz〜20kHzにわたってトゥイーターレベル全体を±6dBに増減が可能である。多少異なる点もあるが、JBLの最新2ウェイシステムに採用されていを方法と似ている。2ウェイユニット・3ウェイコントロールとでもいえるものである。これは、音楽を鑑賞する現実の条件に対応したタンノイらしいコントロール機能であり、このあたりに、真の音楽ファンのためのタンノイの、タンノイらしさが感じられるのである。
ソニー HA-T1
井上卓也
ステレオサウンド 61号(1981年12月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より
MC型カートリッジ本来の優れた音質を楽しむためには、ハイゲインイコライザーが標準的な装備となっているとはいえ、やはり、専用の昇圧トランスかヘッドアンプを使うのがオーソドックスな使用法だ。
この2種類の昇圧手段のいずれを選ぶかについては、従来からも諸説があり、簡単には割切れない。個人的な考えとしては、数Ω以下の低インピーダンスMC型は昇圧トランスを、それ以上の中・高インピーダンスMC型についてはヘッドアンプの使用が好ましいと思う。低インピーダンス型独特の、低電圧・大電流で発電効率の高いタイプは、トランスのもつ電圧・電流の比を変えられるメリットを活かし、高電圧・小電流に変換する。つまり、電圧を高くし、その分だけ電流を減らしてMM型同等の出力電圧に昇圧して使うべきと思うわけだ。
これに対して、インピーダンスの高いMC型は、出力電圧はやや高いが発電効率は低インピーダンス型より低く、小電流しか流れず、インピーダンスが上がるほど電流が減る。つまり、電圧型に移行するため、それならヘッドアンプで増幅したくもなる。
今回、ソニーから発売されたHA−T1は、昇圧トランスの性能を支配するコア材に、理想の材料といわれるアモルファス(非晶質体)磁性材を採用した注目すべき新製品である。この新材料は、従来のパーマロイ系磁性材と比べ、低域での歪が少なく、高域での磁気損失が少なく、広帯域にわたりフラットな特性が得られる特長がある。
今回採用された新材料は、ソニー・マグネプロダクツで開発、製造された35μmのハイファイ用アモルファス磁性材である。最近のディスクの大きなダイナミックレンジに対応するために大型のコアを使用し、入・出力特性のリニアリティを大きくとりダイナミックレンジを確保している。コイルは、コア材の優れた特性を十分に発揮させる目的で、無酸素銅線の多重分割巻き採用である。高・低インピーダンス切替スイッチは銀ムク密閉型。金メッキピンジャックなど信頼性の高い部品を採用している。
HA−T1は、粒立ちが滑らかで、誇張感なく伸びた帯域バランスをもつ。いわば、トランス独特な緻密な力強さと、ヘッドアンプ特有の分解能が高く広帯域である利点を併せもつといった印象である。一聴に値する、新しい魅力を備えた注目製品だ。
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