レクソン AC1, AP1

レクソンのコントロールアンプAC1、パワーアンプAP1の広告
(オーディオアクセサリー 8号掲載)

Lecson

テクニクス EPC-205C-IIS, EPC-205C-IIL, EPC-205C-IIH, EPC-100C, EPC-300MC, SU-300MC

テクニクスのカートリッジEPC205C-IIS、EPC205C-IIL、EPC205C-IIH、EPC100C、EPC300MC、ヘッドアンプSU300MCの広告
(オーディオアクセサリー 8号掲載)

EPC205C

エレクトロルーブ PLUS2X, PLUS2AX

エレクトロルーブの接点復活剤PLUS2X、PLUA2AXの広告(輸入元:ゼネラル通商)
(オーディオアクセサリー 8号掲載)

Electrolube

NEC E-5, M-5

NECのコントロールアンプE5、パワーアンプM5の広告
(オーディオアクセサリー 8号掲載)

E5

ダイヤトーン DT-4700, DT-4500, DT-4550

ダイヤトーンのカセットデッキDT4700、DT4500、DT4550の広告
(オーディオアクセサリー 8号掲載)

DT4700

ソニー TA-E88, TA-N88

ソニーのコントロールアンプTA-E88、パワーアンプTA-N88の広告
(オーディオアクセサリー 8号掲載)

TA-E88

富士フィルム (Range)

富士フィルムのカセットテープ(Range)の広告
(オーディオアクセサリー 8号掲載)

range4

オーディオテクニカ AT34

オーディオテクニカのカートリッジAT34の広告
(オーディオアクセサリー 8号掲載)

AT34

ヤマハ A-1, T-1

ヤマハのプリメインアンプA1、チューナーT1の広告
(オーディオアクセサリー 8号掲載)

A1

コーラル 4L-60, H-30, H-40, HD-60

コーラルのスピーカーユニット4L60、H30、H40、HD60の広告
(オーディオアクセサリー 8号掲載)

4L60

ニッコー C-201, C-203, M-204, M-110, D-403

ニッコーのコントロールアンプC201、C203、パワーアンプM204、M110、エレクトリッククロスオーヴァーネットワークD403の広告
(オーディオアクセサリー 8号掲載)

C201

アルテック Model 19

黒田恭一

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より
スピーカー泣かせのレコード10枚のチェックポイント50の試聴メモ

カラヤン/ヴェルディ 序曲・前奏曲集
カラヤン/ベルリン・フィル
❶くっきりした、力のあるひびきで示されるピッチカート。
❷たっぷり余裕のある低音弦のスタッカートはなかなかいい。
❸くっきりと、あいまいにならずに特徴あるひびきを示す。
❹第1ヴァイオリンのひびきのたっぷりした提示は独特だ。
❺力をもったクライマックスのひびきは圧倒的だ。力にみちている。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番
ブレンデル/マリナー/アカデミー室内管弦楽団
❶ピアノのひびきのゆたかさを示すが、音像は大きめだ。
❷音色的な対比を示しはするが、もう少し小味でもいい。
❸音楽的な身振りが、やはりどうしても大きくなる。
❹一応特徴は示しはするが、さわやかとはいえない。
❺木管のひびきがたくましくなる傾向がある。

J・シュトラウス:こうもり
クライバー/バイエルン国立歌劇場管弦楽団
❶細かい表情をそれなりに示して、拡大しないよさがある。
❷接近感は明らかになるが、雰囲気ゆたかとはいいがたい。
❸声が硬くなる。クラリネットの音色はこのましい。
❹はった声は、さらに硬くなり、金属的になるきらいがある。
❺オーケストラのひろがりを感じさせ、声とのバランスもいい。

「珠玉のマドリガル集」
キングス・シンガーズ
❶低い方の声が前にでる傾向があり、すっきりさに欠ける。
❷声量の変化を極端に示す。言葉のたち方は充分でない。
❸残響をひきずりがちなため、ひびきに肉がつきすぎる。
❹各声部の音の動きが多少重く感じられる。敏捷さがほしい。
❺最後の「ラー」でののびは、自然で、このましい。

浪漫(ロマン)
タンジェリン・ドリーム
❶ピンという高い音とポンという低い音との対比は充分だ。
❷シンセサイザーのひびきはきわだって奥の方からきこえる。
❸浮遊感は充分とはいいがたい。もう少し軽くてもいい。
❹前後のへだたりは充分にとれて、ひろがりを感じさせる。
❺力をもってもりあがるピークは迫力がある。

アフター・ザ・レイン
テリエ・リビダル
❶透明ではあるが、暖かい、かなり上質のひびきだ。
❷対比は充分について、ギターはかなり積極的に前にでる。
❸びひきとしてのまとまりがよく実在感もある。
❹光りをもって、くっきりと提示され、有効だ。
❺他のひびきの中にうめこまれがちで、効果の点で充分とはいえない。

ホテル・カリフォルニア
イーグルス
❶12弦ギターのひびきはさらにさわやかでもいいだろう。
❷ひびきの厚みを力をもって示している。
❸必ずしもさわやかとはいいがたいが、音色的特徴は示す。
❹ドラムスの音は、少し重めだが、アタックの鋭さは示す。
❺楽器のひびきの方がきわだちがちである。

ダブル・ベース
ニールス・ペデルセン&サム・ジョーンズ
❶力は充分だが、音像的には大きくなりがちだ。
❷クローズアップの迫力をなまなましく示す。
❸消え方も明らかにし、スケールもゆたかだ。
❹充分シャープに反応できているのがいい。
❺他の点では問題ないが、音像対比では多少ひっかかる。

タワーリング・トッカータ
ラロ・シフリン
❶おしこんでくるような力のある音が特徴的だ。
❷ブラスは、腰の強いひびきで、直進してくる。
❸過度に横にひろがることなく、積極的に前にはりだす。
❹一応のへだたりもあり、見通しも充分だ。
❺力強くリズムが刻まれ、めりはりをつける。

座鬼太鼓座
❶一応の距離はとれているが、ホール・トーンのごときものが感じられる。
❷音色的には、もう少し繊細で枯れていてもいいが。
❸くっきりと、あいまいにならず示されている。
❹中味がぎっしりつまった、スケールゆたかなひびきだ。
❺❹ひびきとの対比の上で充分に成果があがっている。

タンノイ Arden

黒田恭一

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より
スピーカー泣かせのレコード10枚のチェックポイント50の試聴メモ

カラヤン/ヴェルディ 序曲・前奏曲集
カラヤン/ベルリン・フィル
❶薄いひびきのピッチカート。演奏者の数が少ないように感じられる。
❷ひびきのくまどりがもう少しくっきりついてもいいだろう。音に力が不足。
❸音色の特徴はよく示すが、ひびきは消極的だ。
❹低音弦のピッチカートが過度にふくらむ。
❺もりあげ方がひよわで、クライマックス本来の迫力がない。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番
ブレンデル/マリナー/アカデミー室内管弦楽団
❶ピアノのひびきに力が不足している。音像もふくらみぎみだ。
❷木管楽器のキメ駒かなひびきには、よく対応できている。
❸「室内オーケストラ」のひびきの軽やかさをよく示す。
❹第1ヴァイオリンによるさわやかなひびきを示す。
❺誇張感なく、さわやかに、しなやかに示す。

J・シュトラウス:こうもり
クライバー/バイエルン国立歌劇場管弦楽団
❶近づいてくるアデーレの声に余分なひびきがつきまとっている。
❷声のまろやかさに対応し、言葉のたちあがりもいい。
❸うたいはじめたヴァラディの声は硬調だ。クラリネットのひびきはいい。
❹はった声は、硬くなる。ニュアンスのとぼしい声になる。
❺特にオーケストラのひびきに対しての対応がいい。

「珠玉のマドリガル集」
キングス・シンガーズ
❶横一列にすっきり並んでいるとはいいがたい。
❷もともとの言葉のたちあがり方に多少の問題があるが、より不鮮明になる。
❸残響をひきずっているために、すっきりしない。
❹ソット・ヴォーチェでの各声部の明瞭さが充分でない。
❺さらに鋭敏にひびきに対して反応してほしい。

浪漫(ロマン)
タンジェリン・ドリーム
❶きわめて個性的に音色的な差を明らかにする。
❷かなり奥の方からシンセサイザーのひびきがきこえる。
❸軽みに欠けるところがあるので、浮遊感は充分でない。
❹前後のへだたりはとれているが、ひびきは湿りがちだ。
❺ひびきには力が不足しているので、ピークで迫力が充分でない。

アフター・ザ・レイン
テリエ・リビダル
❶ひびきは暖色系だ。横へのひろがりは充分にとれている。
❷ギターのせりだしは消極的だ。❶との対比はかならずしも充分ではない。
❸ひびきのくまどりは、もうひとつ鮮明であってもいい。
❹ここで求められるひびきの輝きがくぐもりがちだ。
❺うめこまれはしないが、きわだちもしない。

ホテル・カリフォルニア
イーグルス
❶低い音がきわだって、ひびきに新鮮さがとぼしい。
❷ひびきはむしろ横にひろがり、厚みを提示することにはならない。
❸ひびきが乾ききれていないので、さわやかさが稀薄だ。
❹ドラムスひびきが重くひきずりがちなので、切れは鈍い。
❺言葉は、さらにすっきり、思いきりよくたちあがってもいいだろう。

ダブル・ベース
ニールス・ペデルセン&サム・ジョーンズ
❶音像はかなり大きい。ひびきはより筋肉質でもいい。
❷オンでとったが故のひびきの性格は示すが、なまなましくはない。
❸消える音の尻尾をかなり拡大して示す。
❹細かい音の動きに対しては十全に反応しきれていない。
❺とりわけ音像的な対比で差がありすぎる。

タワーリング・トッカータ
ラロ・シフリン
❶アタックが甘い。よりシャープに切りこんでほしい。
❷ブラスの力強い切りこみに対しての反応が充分とはいえない。
❸フルートのひびきは、むしろ横にひろがりがちだ。
❹一応のへだたりはとれているものの、見通しはよくない。
❺リズムをきざむ楽器の音像が大きめなために、めりはりがつきにくい。

座鬼太鼓座
❶尺八の位置はかなり近くに感じられる。
❷尺八特有のひびきへの対応は、みごとだ。
❸ききとれないことはないが、輪郭はいくぶんあいまいだ。
❹大太鼓のスケールゆたかなひびきに充分対応できているとはいえない。
❺硬質なひびきの特徴をよく示している。

「テスト結果から私の推すスピーカー」

黒田恭一

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より

 二本で五万円のスピーカーと、一本が五十万円もするスピーカーとを一緒くたにして、どっちがいいとかわるいとかいっても、意味がない。高価なスピーカーでも、ハシにもボーにもかからないものがるとしても、一応は、一本で五十万円もするスピーカーの方が、二本で五万円のスピーカーより、ききやすいといえそうだ。しかし、一本五十万円のスピーカーを買わずに、二本五万円のスピーカーを買えば九十五万円残る。九十五万円あれば、一枚二五〇〇円のレコードが三八〇枚も買える。一本五十万円のスピーカーが二本五万円のスピーカーよりレコード三八〇枚分のたのしみを与えてくれるかというと、ことは、いとも微妙になる。三八〇枚のレコードといえば、毎日三枚ずつきいても、ほぼ一二六日かかる分量だ。おおよそ四ヵ月あまり、毎日、新しいレコードをききつづけるというのは、なんともたのしいことだ。
 もっともこれは、質的な問題を量的な問題におきかえての、これといった足場のない考えでしかないが、そんなことを、ふと考えたくなるような価格差が、今回とりあげたスピーカーにあった。スピーカーとて、安ければ安いにこしたことはないが、どうも、そうは問屋がおろさないようで、やはり、高価格なスピーカーにこれはと思って耳をそばだてるようなものが多かった。まあ、当然のなりゆきというべきだろう。
 試聴中に、これならと思い、メモ用紙のすみに○印をつけたスピーカーを、継ぎに、ずらっと列記することにする。あらためていうまでもなく、安いスピーカーから高いスピーカーの順番になっている。
 ヤマハ/NS10M、サンスイ/SP−L150、AR/AR17、デンオン/SC105、JR/JR149、ロジャース/LS3/5A、エクスクルーシヴ/Model3301、マランツ/Model920、スペンドール/BCII、ルボックス/BX350、ビクター/S3000、エクスクルーシヴ/Model2301、オーレックス/SS930S、アルテック/Model19、ヤマハ/FX1、JBL/4343。
 もっとも、これらが「ベスト」というわけではないし、「私が推薦するスピーカーシステム」などといえるものでもない。この値段でこれだけきければ、まあまあじゃないか──といった、妥協の気持もあっての選択だ。いずれにしろ、オールマイティなどということはありえないわけだし、有限の、しかもかなりきびしい制限のある財布の中の金をつかって、決して安価とはいいがたいものを買い求めなければならないわけだから、どこでどう妥協するが問題だ。
 しかし、その中でも、JBL/4343は、普段、自分でつかっているものなので幾分気はひけるからそれないでおくとして、マランツ/Model920とヤマハ/FX1には、特に心をひかれた。マランツの、もってまわらない、すっきりした反応は、大変このましかった。このスピーカーは、多分使いやすいスピーカーといえるのではないだろうか。ヤマハには、高い方の一部にちょっと癖がなくもないようだが、このスピーカーがきかせてくれた質的に高い音は、なかなか魅力的だった。もう少し安ければいいのにな──というのが、いつわらざる感想だ。それにもうひとつ、安い方では、JRのJR149を、あげておこう。このスピーカーの音でいいところは、ひびきがくぐもらないところだ。見ためはちょっと風変りだが、でてくる音は実にまっとうだ。

デンオン SC-105

瀬川冬樹

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より

 前号でもかなり上位の成績をおさめたSC104の兄貴分ということで期待を持って聴いた。ユニットの基本的な構成は、ウーファーが少し違う以外は104と同じのようだが、エンクロージュアがひとまわり大型になっただけあって、低域がふくらんでいる。そのためばかりでなく全体の音色は104とかなり変っていて、104よりも良く響く印象だ。ただしこの低域は、置き方や組合せでうまくコントロールしないと、いくらかこもったり音をひきずったりする傾向が多少あるので、台はやや高め(約50センチ)にして、背面は壁からいくらか(本誌試聴室では約20センチ)離す置き方がよかった。それでもキングズ・シンガーズのバスのブレスト音がいくらか遠く甘くなる傾向があるというように、これはこのスピーカーの低域の特徴のように思われる。これに対して中〜高域のバランスの良さは国産としては特筆もので、かなり音量を上げても、どこかの音域が出しゃばるというようなことがない。ただしシェフィールドのダイレクトカッティングなどでは、パワーを上げても耳当りが柔らかいために、CA2000のメーターを振り切ってもまだ物足りない。感じがある。そういう傾向の音だから、アンプはラックスやトリオの系統が、またカートリッジは455EやVMS20E/IIの系統の方が、スピーカーに合っていると思った。

デンオン TU-850

井上卓也

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 TU850は、デンオン独特の回転ドラム式ダイアル、2個のメーターをもつ個性的なデザインを踏襲した新製品である。
 中間増幅段の帯域切替、超高域FM検波器、NFBパイロットキャンセルのMPX、録音用発振器内蔵などが特長といえよう。

マランツ Model 920

黒田恭一

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より
スピーカー泣かせのレコード10枚のチェックポイント50の試聴メモ

カラヤン/ヴェルディ 序曲・前奏曲集
カラヤン/ベルリン・フィル
❶あかるい音色でピッチカートが示される。さわやかなひびきだ。
❷しっかりした輪郭で、しかしせりだしすぎることなく、示される。
❸特にきわだたせるというわけではないが、各ひびきによく順応する。
❹低音弦のまとまり方はいい。第1ヴァイオリンにもう少し艶がほしいが。
❺もりあがりの示し方には、無理がない。クライマックスで一応の力を示す。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番
ブレンデル/マリナー/アカデミー室内管弦楽団
❶音像的なまとまりがいい。しっかりしたひびきだ。
❷音色的対比をくっきりすっきり示す。ひびきに品位が感じられる。
❸「室内オーケストラ」の軽く、さわやかなひびきをよく示す。
❹わざとらしくならずに第1ヴァイオリンのひびきの特徴を示す。
❺特にフルートのひびきが魅力的で、このましい。

J・シュトラウス:こうもり
クライバー/バイエルン国立歌劇場管弦楽団
❶すっきりした誇張感のない、さわやかな声は魅力的だ。
❷接近感の提示は見事だ。定位のよさでもきわだつ。
❸声とクラリネットのバランスはとてもいい。
❹うたった声をキメこまかく示す。はった声も硬くならない。
❺声とオーケストラのバランスがよく、各ひびきの特徴を鮮明に示す。

「珠玉のマドリガル集」
キングス・シンガーズ
❶凹凸なく、ナチュラルなバランスというべきだろう。
❷フォルテとピアノの対比は、自然で、無理がない。
❸過度に残響をひきずっていないので、言葉のたちあがりがいい。
❹声にしなやかさがあり、しかもすっきりしている。
❺自然にひびいて、わざとらしさがない。

浪漫(ロマン)
タンジェリン・ドリーム
❶ピンとポンの音色的、音場的対比は充分だ。
❷後方からのひびきには、透明感がありすっきりしている。
❸音には充分な浮遊感があり、十全に飛びかう。
❹前後のへだたりの提示が万全なため、広々と感じられる。
❺ピークでは、力強さということで、もうひとつものたりない。

アフター・ザ・レイン
テリエ・リビダル
❶すっとぬけるような透明なひびきの、奥の方でのひろがりがいい。
❷ギターの音色のきりかえを、あざやかに示す。
❸下の方でひろがるひびきではないが、くっきり示す。
❹輝きをもってひびき、ギターの音色とよく対比する。
❺きわだちもすぎもせず、ひっこみすぎもせず、このましい。

ホテル・カリフォルニア
イーグルス
❶ベースのひきしまったひびきが有効だ。バランスがいい。
❷イーグルスの音楽的工夫を充分にひびきで感じとらせる。
❸乾いたひびきだが、あやふやさがなくこのましい。
❹ドラムスの、シャープな、力感にみちたつっこみがいい。
❺バック・コーラスのうたう言葉は、充分にたつ。

ダブル・ベース
ニールス・ペデルセン&サム・ジョーンズ
❶力にみちたひびきが、積極的に前にでてくる。
❷申し分なくなまなましいが、誇張感はない。
❸音の消え方の提示にわざとらしさがない。
❹力のあるひびきで、シャープに反応しえている。
❺特に音色的なそれぞれの特徴を鮮明に示す。

タワーリング・トッカータ
ラロ・シフリン
❶右と左とのリズムの応答はあざやかだ。
❷明るいひびきで、鋭く、ききての方にせまる。
❸過度に音像がひろがらないために、効果的だ。
❹前後のへだたりがとれているので、せまくるしさがない。
❺リズムの提示がシャープだ。めりはりがついている。

座鬼太鼓座
❶すっきりときこえてくるが、距離感は示せている。
❷いかにも尺八らしい枯れたひびきがいい。
❸過不足なくきこえ、ひびきの輪郭も示す。
❹ある程度のスケール感を示して、消える音も伝える。
❺わざとらしくはなっていないが、きこえて効果をあげる。

デンオン PMA-850

井上卓也

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 デンオンのプリメインアンプは、良き時代の高級感級アンプの面影を感じさせるPMA700Zが、DCアンプ化されマークIIIとして登場したばかりである。
 今回は、これにつづいて、1001、1003といったセパレート型アンプでの成果をベースとし、最新の技術動向の最先端をゆく回路構成を備えたPMA850が、新しく装いを変えて登場することになった。
 基本的な開発のポリシーは、格段のユニットアンプの特性を極限値まで追求し、いわゆるプッシュプルタイプの平衡型コンプリメンタリー構成を全段増幅に採用している。これにより、裸特性の良さを活かし、ダイナミックな音楽信号の歪補正を従来回路の製品より完全にしている。また、ダイナミックレンジを拡大する目的で、とくにSN比が重点的に追求され、同社の従来製品よりも約10dB向上しているとのことだ。
 機能的には、30mVの許容入力をもつMCヘッドアンプ、イコライザーとパワーアンプを直結するダイレクトカップルスイッチなどを備える。従来どおりのクロストーク特性の重視に加えて、左右別巻線のトロイダルトランス仕様の強力な電源部、DC構成の全段直結平衡型DCパワーアンプなどは、今回はじめて採用された。
 このモデルは、各構成アンプの素直で優れた性能がナチュラルに音に反映したかのような、明るい、伸びやかな現代のデンオンの音といえるものだ。従来機との違いは、ちょうど、カートリッジでいえばDL103と最新製品DL103Dの差と似ており、音の性質でも同様なことがいえる。新世代のデンオンを感じさせる磨き込んだ立派な音である。

インフィニティ Quantum 4

黒田恭一

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より
スピーカー泣かせのレコード10枚のチェックポイント50の試聴メモ

カラヤン/ヴェルディ 序曲・前奏曲集
カラヤン/ベルリン・フィル
❶細く、薄くひびくピッチカート。音に力が不足している。
❷くまどりはとれているが、ひびきに生気が不足ぎみだ。
❸ひびきの特徴を示しはするが、消極的な提示にとどまる。
❹低音弦のピッチカートがふくらみすぎる。
❺表情をたっぷりつけてもりあげていくところに特徴がある。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番
ブレンデル/マリナー/アカデミー室内管弦楽団
❶ピアノの音が浮きあがったように特徴的にひびく。
❷対比は示すもの、ひびきにくせがある。
❸重くひびかないのはこのましいが、ひびきにしまりがほしい。
❹ほどほどにこのひびきの特徴を感じとらせる。
❺ここでのファゴット、フルート等の木管への対応はいい。

J・シュトラウス:こうもり
クライバー/バイエルン国立歌劇場管弦楽団
❶アデーレを呼ぶロザリンデの声のひびき方が特徴的だ。
❷アイゼンシュタインの声が、幾分高く感じられる。
❸声のくっきりした提示に対して、クラリネットはあいまいだ。
❹はった声は、硬くはならないが、ニュアンスにとぼしくなる。
❺オーケストラと声のとけあいがもう少し自然であってほしい。

「珠玉のマドリガル集」
キングス・シンガーズ
❶どうしたわけか、テノールがひっこみがちだ。
❷声量をおとした分だけ言葉のたち方が不充分になる。
❸ある種の反応の敏捷さがあり、残響をひっぱっていないのもいい。
❹ソット・ヴォーチェでの軽やかさを示す。
❺一応ののびを感じさせて、あまり不自然さはない。

浪漫(ロマン)
タンジェリン・ドリーム
❶ピンの特徴はよく示すが、ポンはいくぶんかげりがちだ。
❷しのびこむというより、くっきりたってくる。
❸浮遊感はたりない。飛びかいも方も不充分だ。
❹前後のへだたりはとれるが、全体としてのまとまりに欠ける。
❺ピークでの力不足が感じられるが、音に汚れはない。

アフター・ザ・レイン
テリエ・リビダル
❶横へのひろがりは充分に示され、質的にもこのましい。
❷中央からきこえるが、音像的にふくらみすぎだ。
❸ひびきの中身が稀薄だ。もっとくっきりしてもいい。
❹きらりと光って、ひびきのアクセントたりえている。
❺うめこまれることなく、有効な働きをする。

ホテル・カリフォルニア
イーグルス
❶低い方の音がひびきすぎで、バランスがよくない。
❷ひびきは横にひろがりぎみで、厚みを示すことにはならない。
❸ひと味ちがう特徴あるひびきできわだってきこえる。
❹声の特徴はよく示されるが、ドラムスは重くひきずりがちだ。
❺バック・コーラスの声の重なり方はよくわかる。

ダブル・ベース
ニールス・ペデルセン&サム・ジョーンズ
❶音像はかなり大きい。いくぶんかの強調感がある。
❷オンで録音したが故に感じられるはずの迫力はとぼしい。
❸音が消えていく、その尻尾を十全には示さない。
❹細かい音の動きに対しては、さらに鋭く反応してほしい。
❺左右ふたりのベーシストの音像面での対比が不自然だ。

タワーリング・トッカータ
ラロ・シフリン
❶大きくはなやかにひろがる。アタックの強さが感じとりにくい。
❷ブラスのひびきが誇張されて、金属的になる。
❸横に大きくひろがりはするが、ひびきに力がない。
❹後方へのひきは必ずしも不充分とはいえないが、見通しはよくない。
❺リズムはいくぶんふやけぎみで、めりはりがつきにくい。

座鬼太鼓座
❶尺八はもう少しへだたったところからきこえてもいいだろう。
❷尺八の音色を感じとらせはするが、鮮明さに欠ける。
❸必要充分に感じとらせるが、ひびきの輪郭の提示は充分とはいいがたい。
❹スケール感ということではものたりなさがのこる。
❺このひびきの硬さがよりくっきり示されることが望まれる。

ルボックス BX350

瀬川冬樹

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より

 すばらしく音の質感のいいスピーカーだ。いわゆる歪っぽさや粗さが少しも感じられず、しっとりと潤いある美しい、とてもクリアーかつ滑らかな音がする。いわゆるリニアフェイズの考え方をとり入れているが、ブックシェルフ型よりももう少し小型なので、どういう置き方がよいのかといろいろ試みたが、結局、トゥイーターとウーファー(こウーファーは小口径のスピーカーを4本使った独特の構成だが)の中心あたりがほぼ耳の高さにくるように、高さ約50センチほど台に乗せるのが最もよかった。左右になるべくひらき、スピーカーの正面が耳の孔に向くように設置する。壁に近づけると低域の低いところで一ヵ所、少し音が重くなるところがあるので、背面は適度にあけて、むしろアンプの方で低域を補う方がいいように思った。まさにドイツ独特のクリアーサウンドだが、かつてのブラウンやヘコーのようなクセのある音ではなく、バランスはきわめていい。ただ、パワーを上げると中〜高域が硬くなるので、中程度迄の音量で楽しむスピーカーだ。オーケストラの中のチェロのユニゾンなど、時折ハッとするほどの美しさが出るし、ベーゼンドルファーの艶と丸みもかなり良い感じだ。カートリッジやアンプも乾いた音を避けたい。455Eや7300Dのような傾向が合う。意外に38FDIIもそれなりの良さで鳴った。

セレッション Ditton 33

瀬川冬樹

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より

 セレスティオン(と発音するそうだが)のスピーカーは、近ごろやたらに製品の種類を増やしていて分類にとまどうのだが、大きく分けるとこのDittonシのリーズと、もうひとつ別にULのシリーズとがある。がDittonの中でも、66や44のようないわゆる「ゾロ目」のシリーズが比較的新しい。ULの方が音をより正確に再生するシリーズであるのに対して、Dittonはホームユースとして楽しめる音をねらっているのだそうだ。この33はその中でも最も新しいスピーカーで、今回のテストでいえば、B&WのDM4/IIや、別項ミニスピーカーの分類に入っているJRの149や、スペンドールSA1それにロジャースのLS3/5Aなどと比較する方が、このスピーカーの性格を説明しやすい。まず大掴みにいえば(イギリスのスピーカーにしては)やや硬質の、つまり中〜高域の張った傾向で、スペンドールSA1よりもいっそう張っている。したがって、ピアノの打鍵音などにも独特の光沢を感じさせ、オーケストラ録音でも音のこまかな構造をあきらかにする。とうぜん、JRやロジャースが色濃く持っている音のひろがりや雰囲気描写はやや後退する。パワーにはわりあい強い。台は50〜60センチと高め、背面は壁に近づける方がよい。455Eや7300Dの傾向の組合せの方がよかった。

オットー SX-P1

黒田恭一

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より
スピーカー泣かせのレコード10枚のチェックポイント50の試聴メモ

カラヤン/ヴェルディ 序曲・前奏曲集
カラヤン/ベルリン・フィル
❶少人数で演奏されているようなピッチカートだ。
❷くまどりたしかだが、ひびきががけりがちで生気にとぼしい。
❸特徴あるひびきのからみあいをさらに鮮明に示してほしい。
❹低音弦のピッチカートが少しふくらみすぎ。
❺大きくひびきはふくらむが、腰のすわった音がほしい。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番
ブレンデル/マリナー/アカデミー室内管弦楽団
❶ピアノの音像は大きい。もう少しくっきりしてほしい。
❷音色的な対比は拡大ぎみに示す傾向がある。
❸「室内オーケストラ」のひびきとしては、重すぎないか。
❹いくぶんこれみよがしになっているといわざるをえない。
❺ソロをとる楽器のひびきの特徴が拡大される。

J・シュトラウス:こうもり
クライバー/バイエルン国立歌劇場管弦楽団
❶風呂場の中での声のようにきこえる。表情を拡大しがちだ。
❷接近感を誇張する。笑いそうな声もきわだたせたりもする。
❸声の方がきわだち、クラリネットはうめこまれがちだ。
❹はった声は、硬くなり、特徴的なひびきになる。
❺声と楽器のひびきはもう少しとけあってほしい。

「珠玉のマドリガル集」
キングス・シンガーズ
❶バリトンやバスがせりだし、横一列に並んでいると感じにくい。
❷声量をおとした分だけ、言葉の明瞭度がうすれる。
❸さらに残響をきりおとした方が、言葉がたつだろう。
❹吸う息をきわだたせる。ひびきに敏捷さがほしい。
❺「ラー」はのびているが、自然なしなやかさは不足だ。

浪漫(ロマン)
タンジェリン・ドリーム
❶音色的、音場的な対比を充分に示している。
❷クレッシェンドが多少ゴツゴツしがちである。
❸ひびきがもう少し浮いてほしい。ひろがりはある。
❹前後のへだたりはまずまずで、横へのひろがりもある。
❺ひびきにより一層の力があれば、さらにはりだすのだろうが。

アフター・ザ・レイン
テリエ・リビダル
❶ひびきのキメがいくぶん粗めなのがおしい。
❷音像的に横にひろがりすぎるので、❶との差がつきにくい。
❸下の方でひろがるようにひびくので、くっきりと浮びあがるとはいえない。
❹一応の効果はあげるものの、光り方がたりない。
❺他のひびきにうめこまれてはいないが、効果的とはいえない。

ホテル・カリフォルニア
イーグルス
❶ベースのひびきがせりだしすぎていないか。
❷厚みというより、横へのひろがりがきわだつ。
❸ハットシンバルの音は、乾いているが、薄く感じられる。
❹ドラムスのひびきが、切れが鈍く、重い。
❺バック・コーラスのうたう言葉は、もっと鮮明であってほしい。

ダブル・ベース
ニールス・ペデルセン&サム・ジョーンズ
❶音像はきわめて大きく感じられる。胴の中できいているかのようだ。
❷クローズアップした感じが強いが、なまなましさはもう一歩だ。
❸消える音の尻尾の提示は、必ずしも充分とはいえない。
❹細かい音の動きに対しての反応はあまり得意ではないようだ。
❺左右の両ベーシストとの音像的な差がある。

タワーリング・トッカータ
ラロ・シフリン
❶この部分の音楽的なアタックは、もう少し鋭く示してほしい。
❷ブラスの音は、そのひびきの特徴を示すものの、大きくふくらむ。
❸横には充分にひろがるが、前にははりだしてこない。
❹さらに後方へのひきがとれていてもよかった。
❺リズムの提示がシャープに示されれば、より効果的だったろう。

座鬼太鼓座
❶尺八のいる位置が比較的近いところに感じられる。
❷尺八のひびき特徴を示すが、低い方の音がふくらみがちだ。
❸きこえる。しかし、輪郭を示すわけではない。
❹大太鼓の大きさを感じさせるが、消え方が伝わりにくい。
❺さらに硬質なひびきでもたらされてもよかっただろう。

B&W DM4/II

瀬川冬樹

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より

 鳴りはじめた瞬間から、素性の良さは争われないものだと感じさせる。たまたま試聴の順序から、これの前に国産の5万円台の製品の3機種(しかもこの3機種はいずれも結果が悪かったので記事にはならない)が続いたせいも多少あるが、それにしてもやはりこのバランスの良さはみごとだ。以前別のところでテストしたときもこの良さには感心したが、細かいことをいえば今回のサンプルの方が、以前聴いた製品にくらべて、いわゆるモニター的というか、音をいっそう真面目に鳴らす方向に仕上っているように感じた。たとえば菅野録音の「SIDE BY SIDE 3」のレコードなど、ハイエンドをもう少し強調したいと思わせるほど音に誇張がない。中音域もイギリスのスピーカー一般の平均値からみるとあまり引っ込んだ感じがせず、たとえばシェフィールドのダイレクトカットのレコードでも、このあとに試聴したJRと比較でいえば、オーケストラ録音では各声部の細かな進行をJRよりよく浮き上らせ楽曲の構造をよくわからせる。反面、JRよりもい位相差成分が消えてしまうようなところがあって、音のひろがる感じはJRの方がおもしろく聴かせる。その意味で組合せも455E+KA7300Dの傾向の方が楽しめた。台は約40センチぐらい。背面を壁にやや近づける置き方がよかった。

ボリバー Model 18

瀬川冬樹

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より

 試聴に入る前にそのスピーカーを最も良く生かす設置条件を探すために、テストをくりかえしながらいろいろ動かしてみる。そのことはすべてのスピーカーに共通しているが、その調整のプロセスから、すでに、おや、これは相当に素性の良い製品だな、と思わせる。たいていの国産スピーカーは低音の鳴り方が粘ったり重くなったりして、そこをおさえるために置き方に苦労するが、ボリヴァーの場合はむしろ低域がとても軽く、そのためにやや低め(約20cm)の台にして背面をほとんど壁につけるくらいにしてみたが、こうするとファンダメンタルがとても充実してきて、しかも低音楽器の動きがよく聴き分けられる。全域に亘ってやや軽い傾向だが、誇張感のないバランスの良さで楽しめる。好みによってハイエンドをわずかに強調してもよく、そうしてもユニット自体の共振が目立つようなことがなかった。総体にべとついたところがなく、さらりと明るく鳴るが、反面、弦や女性ヴォーカルなどで、もうひとつしっとりした潤いがあってもいいかな、と思わせる。ただそれは悪い意味でのドライではなく、質感も緻密だしザラついたり粒の粗くなったりするようなこともない。組合せは、ポップス系には4000DIIIとCA2000の傾向で徹してしまうのもよいが、455E+7300Dの方が音に潤いが出てきて楽しめる。これはダークホースだ。

ソニー PS-X9

井上卓也

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 プレーヤーシステムは、ダイレクトドライブ型フォノモーターが実用化されて以来、FG型サーボの第2世代、さらに、クォーツロックの第3世代と性能が向上し、現在のトップランクの製品では、まったく完成期に入ったかのように感じられる。性能的に見ても、聴感上においても頂点に達し、もはやプレーヤーシステムが、コンポーネントシステムのネックになるとは考えられないというのが実情である。しかし、一部では、精密な機械加工による精度をもつ、まったくサーボシステムをもたない旧タイプのフォノモーターを使ったシステムのほうが、現在のクォーツロックのフォノモーターのものよりも聴感上で明らかにメリットがあるとの声も絶えないのは事実である。
 たとえば、業務用として定評のあるEMTのTSD15を、一般のプレーヤーシステムとEMT927stとで比較試聴したとしよう。当然のことながら同じTSD15なのに、結果としての音は、カセットデッキの音と2トラック・38センチの音ほどに隔絶した差、誰しも驚くほどの違いが出てくる。この意味では、アンプにたとえれば、現在のプレーヤーシステムは、プリメインアンプの範囲にとどまり、高級セパレート型アンプに匹敵する製品は皆無といえよう。
 今回ソニーから発表されたPS−X9は、まさしくセパレート型アンプのランクにある待望された大型製品である。
 直径38cm、重量2・8kgの大型ターンテーブルは、トルクムラによる振動がない起動トルク7kg/cmの大型リニアBSLモーターでダイレクトドライブされ、サーボ系は、マグネディスク検出方式に加えて、クリスタルロック機構付である。プレーヤーベースは、モーターとトーンアームを他の部分から隔離したアルミ鋳造フレームによるフローティング機構を備え、アルミダイキャスト製の固定フレームからゲル状の高粘性体のインシュレーターで懸架されている。また、モーター部は軸受部分が砲金製、モーターハウジングが鋳鉄製である。
 トーンアームは高感度で剛性が高い軸受ブロックとパイプには剛性アルミ合金と炭素繊維をラミネートした材料を採用し、内部のリード線には高域損失が少ないリッツ線を、シェル固定には前後2箇所で締めつけるネックシリンダー機構をもつ。
 カートリッジはマグネシュウムシェルと一体化したXL−55Pro、電源はパルスロック型で、MCヘッドアンプとフォノイコライザーが内蔵されている。なお、トーンアームはオートリフター機構付である。
 PS−X9に各種のカートリッジを使い、内蔵アンプを使用せず、ダイレクトにコントロールアンプに接続して試聴してみると、安定感があり重厚な低域をベースとして、テープの2トラック・38センチ的な雄大なスケールをもったダイナミックな音に変貌した。