Lo-DのスピーカーシステムHS220T、HS320、HS350、HS420、HS500、HS1400W、プリメインアンプIA600、IA1000、レシーバーSR300、SR600、アナログプレーヤーPS11、PS33、PS77の広告
(スイングジャーナル 1972年1月号掲載)
Daily Archives: 1971年12月20日
Lo-D HS-220T, HS-320, HS-350, HS-420, HS-500, HS-1400W, IA-600, IA-1000, SR-300, SR-600, PS-11, PS-33, PS-77
ソニー SS-7200, SS-7300, TA-1140, ST-5140, STR-6550, PS-2300, PS-2400, TC-6360A, TC-6400, SU-3400
ヤマハ S-3Q
ソニー TC-9700, TC-2130A
ローテル RS-600, RX-150
サンスイ AU-888, TU-888
サンスイ SP-30, SP-70, SP-150
グレース F-8F
オーディオテクニカ AT-VM35, AT-1009
サンスイ QS-1, QS-100
オットー RD-4300
ダイナコ A-25XS
デンオン DP-5000, DP-5500
ラックスキット A-3300, A-33, A-3500
メモレックス MEMOREX
オンキョー E-53A, U-4500
ナガオカ 0.5mil DIAMONDSTYLUS
JBL L100 Century
岩崎千明
スイングジャーナル 1月号(1971年12月発行)
「SJ推選ベスト・バイ・ステレオ」より
ここで今さら、JBLセンチュリーのよさをうんぬんするまでもなく、すでにオーディオ誌やレコード雑誌において、多くの評論家諸氏の圧倒的な賛辞を一身にあつめたこのスピーカー・システムは、JBLの傑作である。
JBLのシステムを大別するとランサー・シリーズと呼ばれる系統の製品と、従来からのユニットを主力とした組合せシステムの2系統がある。
ランサー・シリーズは、いわゆるLEシリーズのユニットを中心として組み合わせたものをもってスタートしたが、ジム・ランシングという創始者の名をもじったランサーというこの名称からも分る通り、JBLの家庭用システムの主力を形成している。これに対して従来からの高能率型ユニットを組み合わせたシステムは業務用および高級マニア向けともいえよう。ランサー・シリーズによってJBLはメーカーの姿勢とその狙う需要層とを大きくかえたともいえる。
つまり業務用にも準じる超高級システムを少量生産するメーカーから、大きく基模を拡大して、家庭用音楽システムのメーカーと変革をとげたのであった。その尖兵として、いみじくも槍騎兵ランサーと名付けたシステムが登場したわけである。
このランサー・シリーズには、すでに傑作中の傑作といわれたランサー77を始め、ローコスト型44、さらに現在の米国の市場で驚異的な売行きをみせているランサー99があり、その最高ランクが例の101である。ランサー・シリーズの成功が、JBLをしてこの延長上の製品をつぎつぎと発売させるきっかけとなったのはいうまでもない。
このセンチュリーも、新時代のスピーカー・システムとして、指向性の一段の改善ということを加えた新型のランサー系のシステムである。センチュリーを含めランサー系のシステムのもっとも大きな特長は、このシリーズ独特ともいい得る、まるでそよ風を思わせる超低音の豊かな息づかいである。この超低音は、ブックシェルフ型といわれる寸法的な極端な制限を受ける現代の家庭用システムとしては、まったく信じられぬくらいの低域に達する低音限界レンジのためである。このfレンジは、さすがのARのオリジナル・システムさえもしのぐほどで、これがJBLランサー・シリーズの華麗なサウンドの大きな根底ともなっているわけだ。
もっともこの超低音とよくバランスする高音のすばらしい伸び、ずばぬけた指向特性は、豊かな低音エネルギーをよりひきたたせているし、さらにJBLの従来からの音楽に対する良識の現われともいうべき中音部の豊かさも失われることなく、ランサーの大きな魅力となっているのはいうまでもない。このように豊かな音響エネルギーに加えて広いfレンジとがJBLの現代的志向であるのは当然で、その成果のひとつの頂点として、ここにあげるセンチュリーの存在の意義とそれに対する賛辞の集中とがあるのである。
指向性の改善に登場したフォーム・ラバー・ネットは、このセンチュリーの外観的な最大の特長で、カラーがチョコレート、オレンジ、ライト・ブルーとあり、サウンドともどもその風格に現代性をガッチリと植えつけて、モダンなスタイルを作る。
最近、私はこのセンチュリーを愛用のエレクトロボイス社エアリーズと並べ、比較使用したがJBLセンチュリーの一段と解像力を上まわるのを知らされ豊かさにおいてひけをとらぬエアリーズより、現代的サウンドをJBLセンチュリーから感じとった。
このJBLシステムをより以上生かすのには、手元にあった8万円台の国産アンプが好適であった。それはラックス507Xでありトリオ7002で、これに準じた高出力のトランジスター・アンプが欲しい。ただ、案に相違して手元の管球アンプよりこれらの石のアンプが優れていたのが興味ぶかかった。
パイオニア PL-31E
パイオニア CS-E600, CS-E700
パイオニア CS-3000
菅野沖彦
スイングジャーナル 1月号(1971年12月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
CS3000というスピーカー。実にぜいたくな製品だ。そして、それは、ただぜいたくだけではない。随所に新しい試みが見られ、いかにもスピーカーの専門メーカーとしての遊びが余裕たっぷりに感じられる。遊びというのは表現が悪いかもしれないが、実はオーナィオ製品にもっとも大切な要素だと私は思っている。CS3000の遊びについて、目についたところを拾ってみよう。まず外側から。ローズウッド・フィニッシュのエンクロージュアーは実に見事な仕上げだ。たたいてみればわかるが、その強固なこと、木工技術のち密なこと、見るからに風格が滲みでている。前面グリルの生地がいい。安っぼいサランのイメージはまったくなくなり、感触のよいクロスのもつ重味が味わえる。これを取はずしてみると、そのフックがまた実にこった代物。マジック・テープなどでペッたんこというのとはわけがちがう。グリルをはずすと、3ウェイの全ユニットはバッフル前面に突出している。周囲がフレイムでけられディフレクションの影響を受けることはまったくない。いかにも優れた指向性をもっていそうなユニットを十分生かした箱作りだ。もちろんバッフル前面も美しいフィニッシュ。まず目につくのが、異様な星形のデュフィーザーをもったドーム・ツィーターと、かなり大型のドーム・スコーカーである。よくよく見ると、このミッド、ハイ・レンジ用のユニットはただものではない。特にそのスコーカーのつくりのこっていること。形状としては前面にイクォライザーをもったドームであるが、引きもののフレームがいかにもマニア好みの遊びに溢れていていい。ドーム・ラジエーターの周囲になにやら変った針金がでていて接着剤がべたべたついている。根元はビニールかゴム質の制動機らしきものがかぶせられていて、これがドームのサスペンションだ。円形ドームの接線上に、このワイアーが5ヶ所でサポートされているわけで、従来よく使われているダンパーの類とは全くちがう。つまり、ワイヤー・サポートというわけで、従来のダンパーのように面ではないから、ダンパー自体が音のエネルギーをラジエイ卜することがないし、ヒステリシスのないフリー・サスペンジョンというわけだ。当然、ダイアフラムは高いコンプライアンスで吊られているから、リニアリティがよくセンシティヴなレスポンスが得られそうだ。それにしても、このユニットは大量生産でどんどん作れるものではなさそうで、いかにも、高級品としての手造りを余議なくさせられそうだ。一個一個丹念に組まれ、かつ、調整されなくてはなるまい。ドームの直径は75ポール、材質は50μのジュラルミンだ。スコーカーとしては口径が大きいが、できるだけ低いところまでカバーしてウーハーの負担を軽くしようという狙いだろう。クロスオーバーは700Hzにとられている。マグネットは同社の30cmウーハーPW30と同じものだというから、この振動系には十分なドライヴが期待できるだろう。ウーハーは、30cmのハイ・コンプライアンス型で、エッジには発泡ウレタンを使用している。温度変化や経時変化に優れた特性をもった新しい材質だというが、この点はそこまで使ってみたわけではないから不明。コーン紙の中ほどにリング状にダンプ材が張りつけられているが、このあたりはいろいろカット・アンド・トライで苦労をした跡のように感じられる。そしてエンクロージュアー内部がまたこっていて補強と定在波防止板兼用という厚い穴あき板が内部を二分している。このメリット、ディメリットはどうなのか、少々疑問も感じないわけではないが、設計者としてはあえてこれだけのことをする理由を認めた上でのことにちがいない。
音質はすばらしく澄んだ明るい中高域が印象的で、その美しさは特筆してよい。歪感のない。まるで大輪のダリアのように華薦で魅力的なのである。指向性のよいことも無類でステレオフォニックなプレゼンスが実によく生きる。ただし、どうしてもウーハーとの音色的なバランスについての不満に触れないわけにはいかない。完全密閉のエアサスペンション・タイプ特有の重厚な低音の音質とそののびは優れているが、この中高域は、大型エンタロージュアーの、のびのびとした低音とつなげてみたい衝動にかられたのである。特に、入力をしぼった時のローレベルでのリニアリティが、中高域に比してウーハーが明らかにダルである。これは、このシステムに限ったことではなく、この形式のシステムに共通した特質というべきものだろう。しかし、スピーカーのパイオニアという面目を見せつけられた力作で、同社のオーディオ魂が感じられて久し振りに爽快な気分であった。
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