Monthly Archives: 7月 1970 - Page 2

ナガオカ NR-1

ナガオカのカートリッジNR1の広告
(スイングジャーナル 1970年8月号掲載)

NR1

サンスイ ショールーム

サンスイのショールームの広告
(スイングジャーナル 1970年8月号掲載)

Sansui

東芝 KT-43D

東芝のカセットデッキKT43Dの広告
(スイングジャーナル 1970年8月号掲載)

KT43D

パイオニア PL-41A, PC-20, PP-301

パイオニアのアナログプレーヤーPL41A、カートリッジPC20、ヘッドシェルPP301の広告
(スイングジャーナル 1970年8月号掲載)

PL41

トリオ KL-5060, KR-77, MA-5100, KP-5021

トリオのスピーカーシステムKL5060、レシーバーKR77、パワーアンプMA5100、アナログプレーヤーKP5021の広告
(スイングジャーナル 1970年8月号掲載)

Trio1

アイワ TP-102S

岩崎千明

スイングジャーナル 8月号(1970年7月発行)
「SJ推薦ベスト・バイ・ステレオ」より

 ズバリいおう。このカー・ステレオなら、本当のカー・マニアでも自分の車に搭載するのにためらうことがないだろうし、もしカー・マニアにしてジャズマニアなら、それこそ本当にカー・ライフにジャズがふんだんに取り入れられるに違いない。大いなる可能性が溢れているのである。
 つまりカセットが実用的に使い得るし、自動逆転(オート・リバース)により今までの8トラックのカートリッジと同様に併用できるのだ。
 さて、このことがどんな意味もをっているのか、今までのカー・ステレオをよく知っている者や、すでに8トラック・カー・ステレオを搭載しているカー・オーナーならばよく判っていただけるに違いない。つまり8トラックはたしかにカー・ステレオ用とし、車載を条件としたテープ・メカニズムを基に開発されたステレオなのである。これはこの目的範囲ですでに完成されている。とはいうものの、それを使ってもっとも不便を感じるのはマガジンの大きいことである。軽自動すなわち360c.c.クラスの日本の大衆車にとっては、このマガジンを10本ものせると1人分のシートが分捕られてしまう点である。さらに経済的な理由、つまり音楽テープが1巻2、600円前後と高価なため、ふんだんにというほど新譜をいつも買入れるわけにはいかないのも8トラックの大きなマイナス面だ。
 テープ・メカニズムが今日のように大きく発展普及したのは、いつでも自分自身ですきなプログラムを録音でき得る点にあるのだが、8トラック・カー・ステレオだけはごく最近まで、録音するためのデッキが製品として市販されていなかったし、また現在市販されていても3万円以上で、かなり高価である。つまり8トラック・カー・ステレオは、プログラムとして必ずミュージック・テープをレコード1枚分よりぐんと高価であるにもかかわらず購入せざるを得なかったわけだ。
 カー・ステレオにカセットが採用される可能性を論ぜられてすでにまる2年かなりの期間が経った。しかし、この2年の間にもカセット併用のカー・ステレオが製品として出たには出たが、実用価値は低く、使いものにならないような価値の認められないといってもよいものだった。つまりカセットでは往復動作が必要であり、左→右が終れば裏がえして左→右をもう1度プレイしなければならない。片面が終ったときテープはストップしたままであり、内部メカニズムを破損に導き得る危険があった。これをカーステレオではカセットを飛び出させるか、終了標示ランプで示すまでしかなかった。
 アイワの新製品TP102Sは片面演奏終了と同時に自動逆転して、カセットを裏返すことなくプレイバックしてくれるのである。そして両面終了と同時にカセットが飛び出し、メカニズムは終了停止してくれる。
 むろん8トラック・マガジンについては従来通りに自動演奏するし、自動チャンネル切換えや手動切換えもできるので変るところはない。
 もう1つ注目してよいのは、8トラックのマガジンとカセットの挿入カ所がひとつであり、わかれていない点だ。当り前といえば当り前であるが、この当り前が今までなおざりにされていた点で、それを実現したアイワのテレコとカー・ステレオを作ってきたキャリアと技術を見ることができる。
 手持ちのカセット・レコーダーでFMから録音したカセット・テープが、そのままカー・ステレオで聞ける。これこそ新しいカー・ライフを開くと評してよかろう。
 製品の質的な優秀さもアイワの永いカー・ステレオのキャリアがあってこそ到達したものに違いない。力強い低音とシャキッとした歯切れよい高音、やや華やかであるが快適なサウンドもカー・マニアライクな明快さで快よい。

トリオ KL-5060

菅野沖彦

スイングジャーナル 8月号(1970年7月発行)
「SJ推薦ベスト・バイ・ステレオ」より

 トリオのスピーカー・システムKLシリーズが発表された時、その音の方向が従来の方向と全く変ったという感想が多かった。たしかに、KL5060に代表される明るく開放的な音、豊かで力強い低音から充実した中音域の魅力は、それまでのトリオのスピーカー・システムにはなかった音だ。変った変ったといわれることはトリオにしては迷惑なことかもしれないが事実だから致し方がない。そしてまた、音の傾向が変るということはそんなに恥じることでもない。大衆の好みも変化するし、音楽も時代とともに大きく変動する。スピーカーが忠実な音楽変換器としての動作に加えて、個性的ファクターの介在を無視するわけにはいかない製品である以上、むしろ当然といってもよいのである。
 KL5060は30cmウーハーをベースに16cmスコーカー、ホーン・トゥイーターの3ウェイ・システムだが、ウーハーとスコーカーのつながりは実にスムースで音色的な不連続感がまったくない。ただ、スコーカーからトゥイーターへの連りにやや音色的な不統一がちらちらと顔を出すのが気になってきた。これはパルシヴなパーカッションなどよりも、弦楽器の合奏などでより明瞭に現れるようで、欲をいえば、このトゥイーターにもう一つ検討を加えられることだ。しかし、これはかなりぜいたくな要求で、一般的にいえば、欠点というものではない。むしろ、市販システムの中では全帯域のつながりは優れているといってもよく、特に高域のパワーに余裕があることはジャズ・ファンには大きな魅力である。KL5060はジャズのプログラム・ソースで試聴がくりかえされたと聞くが、トゥイーターを2本使ったことには必然性があると思う。高音域のエネルギー密度の高いジャズにおいて、しかも、フル・パワーで鳴らすのが好きなジャズ・ファンの要求にこたえるためには高音域のパワー・ハンドリングには充分注意しないと、耐久性で問題がでるのである。私が自宅でテストするスピーカー・システムのいくつかが、1〜2か月テストしているうちにトゥイーターが破損するもの続出である。どんなによい音でも、すぐこわれてしまったのではなんにもならない。ジャズ向きのスビーカー・システムの第一条件は大入力に耐えることだといってもよいのである。スコーカー・ウーハーの受持つ帯域が入力過大で歪みはじめればすぐ気がついて音量を下げる人でも、トゥイーターの受持帯域の歪、特に打楽器のパルシヴな波形の歪にはやや鈍感で音量にマスクされて聴いてしまう傾向があり、こういう状態を長く続けるうちにトゥイーターがこわれてビリ始めるということになる場合が多い。この点、KL5060では、スコーカー、ウーハーとバランスした許容入力とエネルギー密度の再現力をもったデュアルトゥイーター方式を採用しているから安心で、この7か月、自宅のテスト製品もSJ試聴室のものも全くトラブルレスである。また、2つのトゥイーターを使うということは音色的にも変化が現れるもので、こっちは、必ずしも良くなる場合ばかりではないが、使い方によってはトゥイーター独特の刺戟音を柔らげることでも役立つことがある。
 KL5060はこのようにジャズ・ファンにとっては安心して使え、しかも音の表情が一点の曇りのない力強いものだけにハード派には打ってつけのシステムといってよい。ベストバイとするにふさわしい製品である。しかし、今後のトリオにもう一つ期待したいのはソフト派の高い感覚性にこたえる品位の高いスピーカー・システムの出現である。ただし、品のいい音は脆弱になる危険性もある。これはジャズには絶対不向きである。大入力に耐え、しかも、繊細なニュアンスと高いセンスをもつ音、つまり抜群のリニアリティをもつハイコンブライアンス・スピーカーが理想である。

パイオニア T-6000, SE-25, SE-45

パイオニアのオープンリールデッキT6000、ヘッドフォンSE25、SE45の広告
(スイングジャーナル 1970年8月号掲載)

T6000

テクニクス ST-3600

テクニクスのチューナーST3600の広告
(スイングジャーナル 1970年8月号掲載)

ST3600

テクニクス SB-500

テクニクスのスピーカーシステムSB500の広告
(スイングジャーナル 1970年8月号掲載)

SB500

パイオニア CS-770

パイオニアのスピーカーシステムCS770の広告
(スイングジャーナル 1970年8月号掲載)

CS770

マイクロ MR-211, MC-4100, VF-3100, M-2100, MA-77MK-II/SR, MB-400S

マイクロのアナログプレーヤーMR211、カートリッジMC4100、VF3100、M2100、トーンアームMA77MK-II/SR、ターンテーブルMB400Sの広告
(スイングジャーナル 1970年8月号掲載)

Micro

オットー DCX-1300

オットーのレシーバーDCX1300の広告
(スイングジャーナル 1970年8月号掲載)

DCX1300

アルテック Malaga

アルテックのスピーカーシステムMalagaの広告(輸入元:エレクトリ)
(スイングジャーナル 1970年8月号掲載)

ALTEC

パイオニア S-6

パイオニアのシステムコンポーネントS6の広告
(スイングジャーナル 1970年8月号掲載)

S6

パイオニア PL-12

菅野沖彦

スイングジャーナル 8月号(1970年7月発行)
「SJ選定新製品」より

 コンポーネント・システムがますます流行しそうだ。一つにはメーカー側の商策の成果だが、それが実を結ぷ土壌があったことも見逃せない。音楽を聴くということはきわめて個人的なもので、音楽に関する限り人は全く個性的になるべきだ。特にジャズはそうだ。こう聴くべきだ、こうあるべきだといった画一的なパターンは通用しない。そういう気質からいってもコンポーネント・システムを自分流に組み上げるというのは楽しいはずだ。とはいえ全く知識がなければ暗闇の手さぐりということになり、個性の表出もあったものではなかろう。また、べらぼうに高価格でも手が出ない。そこで、今月の選定新製品パイオニアのプレーヤー・システムPL12の場合を中心に、プレーヤーについての注意事項をも含めて書くことにしよう。
 プレーヤー・システムというのはレコードから音の信号をとり出す装置で、再生装置の入口として大変重要な部分である。ここに欠点があれば、あとはいくら高級なアンプや、スピーカーを使っても、その真価が発揮されないわけだ。従って、持論としては、全体の予算配分のバランスを少々くずしてもプレーヤーは良いものをという考えをもっている。もし15万円の予算なら常識的なバランスとしては市販パーツの現状での価格分布からいって、スピーカーに6万、アンプに5万、プレーヤーに4万という大ざっばな配分で考えればまとまる。この場合はレコードの再生装置ということだけを考えた場合だから、アンプはチューナーなしのプリ・メイン・タイプである。この方法をもってすれば、かなり性能のいいプレーヤーが買えることになるが、全体予算を10万にしぼった場合は、この配分でいくとプレーヤーには2万6千円、もし8万にしぼれば約2万円しかかけられないことになり、市販のコンポーネント・システムの中から独立型プレーヤーとして優秀なものをさがすのが難しくなってくる。そこで、10万以下の予算では、スピーカーやアンプを多少おさえてもプレーヤーに3万ぐらいかけるというのが好結果を生んだわけだ。しかし、その考え方を否定するのが、このPL12の登場である。
 PL12の正価は21、500円だから、市販プレーヤー・システムとして最低価格である。同じパイオニアのPL11というのが2万円をわずかに切っていたが性能はこのPL12でぐんとグレード・アップしたことが重要なポイントである。つまり予算8〜10万では、配分をくずしてプレーヤーに3万以上かけなければならないといった実情を過去のものにするほど、このシステムの性能は高いのである。全体予算を8万にしぼっても常識的な予算配分の2万円に入り、しかも性能的には3万円台のものに匹敵するわけである。
 使用モーターは4極シンクロナス、駆動方式はベルト・ドライヴ、ターンテーブルは30cmのダイカスト。シンプルな構造のスタティック・バランス式ユニバーサル・トーン・アームがつきこれは油圧式のリフタ一つき。上下方向共に適度なダンプがきき大変スムースに動作する。合理的なシンプルな構連と生産性によってコスト・タウンが計られているのだろうが附属のPC11カートリッジもとりあえずはかなり使えるし、後日もっと性能のよいものにつけ変えも自由で、そ場合にアームやモーターの性能も充分使える。
 ターンテーブルにメカニカルな振動が伝わらないこと、ワウ・フラッターという回転ムラのないこと、十分回転力が得られること、連続運転に安定していること、トーン・アームの動きが鋭敏でカートリッジのトレースを防げないこと、扱いが容易で故障の少いと、仕上げが美しいこと、などといったターンテーブルに要求される、いろいろな角度からみて、この製品の示すパーフォーマンスは低価格製品とは患えぬものだ。もちろん、外観上からも高価格製品のような貫禄はないし、附属カートリッジにもう少し品位の高いものといった欲は感じるが、実質的価値は価格と対象してみてきわめて高いことが認められたのである。
 このプレーヤーの登場で、限られた予算でのコンポーネントの組合せのバリエーションが、かなり大巾に拡大されたといってよかろう。手軽にちょっとしたプロ・イメージの再生装置が構成できるわけだ。