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サンスイ CD-5

岩崎千明

スイングジャーナル 9月号(1969年8月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より

「マルチ・アンプにしたいのだがまず手始めにどうしたらよいか」という質問が、やたらに多い。本誌の技術相談はもとより、時々顔を出しているメーカーや専門店のオーディオ相談などで、今までのマニア達に加えて、近頃は、これからステレオを買おうとする程度のごく若いオーディオ・ファンやジャズ・ファンなどの熱心な問合せが、マルチ・アンプに集まる。
 マルチ・アンプ方式では、プリアンプの出力を高音・中音・低音と分けるためのディバイダー・アンプが必要だが、この製品は意外と市販品に多くはない。古くからあるL社のFL15、これはクロスオーバー周波数の選び万に限度がある。現在市場にあるビクター200、ソニー4300、山水のCD3と今回発売されたCD5の4種である。あとはマイナーレーベルの局地的な製品しかない。T社は最近発売し予告されているが市場にはまだ出ていない。
 マルチ・アンプ時代としては意外に、ディバイダー・アンプの製品は少ないのである。そしてかなり初級とみられるオーディオ・マニアにも求めることができ、使いこなせることができるディバイダー・アンプは、今までは皆無であった。そして、その穴を埋めたのが今日の山水CD5である。、
 1万円台という今までの製品の1/2〜1/3の価格がまずうれしい。ディバイダー・アンプは本来、量産がむつかしいので、どうしてもコスト高になるが、山水のこの価格は、アマチュアがこれを自作する場合のパーツ代にプラスα程度の驚くべき価格なのである。おそらく、メーカー側としての狙いはマルチ・アンプ推進のためのサービス製品としてディバイダー・アンプが企画されたためではないかと思える。
 安いから普及型なのかと思うと決してそうではない。本格的なかなりのレベルを狙った製品だ。それはマルチ・アンプ方式自体が、非常に高いグレードを狙ったシステムであるだけに、文字通りそのかなめともなるべきディバイダー・アンプなのだから相当なクオリティーは絶対だ。
 まず、クロスオーバー周波数、3チャンネルのときは低音と中音の分割周波数が200、340、560、900ヘルツ、高音と中音の分割周波数が2・5K、3・6K、5K、7K各ヘルツとそれぞれ4ポイントを自由に選ぶことができる。そして2チャンネルのときは、不要側を2CHポジションにして必要周波数の1点を選んでおけば、低音がその周波数で分割される2チャンネルとなる。つまり上記のどの周波数でもひとつを自由に選び得るわけである。さらにシャーシー下部の切換スイッチで分割周波数の減衰特性をオクターブ6デシベルにも、12デシベルにも選ぶことができるというのもこまかい配慮である。使用スピーカーさえ十分広いfレンジを持っていれば、オクターブ6デジベルの方が「位相歪の点で有利」という説があり、ごく高級なマニアではそれを希望することもあるからだ。
 CD5の親切な行届いた設計はこの切換を不用意に違うポジションに切換えたりして、スピーカーを破損させたりすることのないようにロックがついていて、一度セットしたクロスオーバー周波数切換スイッチはロックを外さなければ切換えられない。音量レベルには一般の中高音にくらべて能率の低い低音スピーカー用を考慮して低音レベルは最大のままでついていないが、中音・高音が前面パネル左右別々についている。
 一般にマルチ・アンプのレベル調節はむつかしいがこのCD5には超ハイ・ファイ録音のジャズ的な、チェック・レコードが付属してアナウンスの声、ベース、ドラム、シンバルなど楽器の音を聞きながらレベル調節ができるのは嬉しい。
 SJ試聴室のアルテック・A7もCD5によるマルチ・アンプで重低音は一層迫力を増し、アーチー・シェップのファイア・ミュージックにおいて「マルコム」のデイビッド・アイゼンソンのベースに緊張感と迫真力が一段と加わるのを意識させられたのであった。

サンスイ AU-777D

サンスイのプリメインアンプAU777Dの広告
(スイングジャーナル 1969年9月号掲載)

Sansui

トリオ ST-5500

トリオのシステムコンポーネントST5500の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

trio_ST5500

マイクロ MR-411

マイクロのアナログプレーヤーMR411の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

MR411

トリオ KL-63, TW-31, MX-1000, AFX-31, PC-100

トリオのスピーカーシステムKL63、プリメインアンプTW31、MX1000、チューナーAFX31、アナログプレーヤーPC100の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

KL63

デンオン DL-103, DL-107

デンオンのカートリッジDL103、DL107の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

DL103

JBL SG520, SE400

瀬川冬樹

ステレオ 9月号(1969年8月発行)
「世界の名器」より

 カートリッジやテープヘッド、マイクロフォンやスピーカー等のトランスデューサー(transducer)に対して、アンプが取り扱うのは純粋に電流の増減だけで、従って、オーディオ・パーツの中でアンプは解析が最も容易な部分といわれる。たとえば、A、B二つのスピーカーを聴きくらべて音質が違うと判っても、現在の理論では、その違いが何によって生じるのかを十二分に解明することができないが、アンプの方は、たとえばAというアンプの電気特性を測定すれば、それとほとんど変らない音のアンプを再現することができる。再現はできるがしかし、アンプとはほんらいそれほど個性的な音色を持つ筈がなく、持つべきでもない。アンプの中を通って増幅されてくる音には、できるだけ色がつかないことがよい。……とおろかにもわれわれは承知してきた。たとえばマランツのアンプなどは、いかにもそういう理解が誤りではなさそうだと思わせる音質で鳴る。
 JBLとマッキントッシュのアンプの音が、そのことに疑いを抱かせた。たとえばマッキントッシュの底力のある肉づきの豊かな、JBLとくらべたらやや大味ながらグラマラスな量感を持った音質は、ほかの多くのアンプからは聴くことができない。
 そしてJBL──。小味でピリッと胡椒が利いて、いささか細身だがシャープによく切れこみ、まるで幕一枚取除いたように音量を絞ってもディテールの失われないその音質は、スコアのどんな片隅までも照し出すような、演奏会場とリスニング・ルームが直結したような錯覚をおぼえさせる。はじめてこの音に接したときの驚きといったらなかった。
     *
 アンプの特性は九分通り解析できる。JBLのその類のない音質も、電気特性でいえば、主として可聴周波数の上端をわずかに盛り上げた意識的な音作りの結果だと、エンジニアはしたり顔でいうが、マッキントッシュ以前に、JBL以前に、誰がこれほど魅惑的な音を作りえたか。アンプで音をこしらえてはいけないというが、それならアンプ以外のどのパートで、こういう音が作れるのか。
 作る、といっては誤解が生じるかもしれない。JBLのこの独特の切れこみは、しかし原音のイメージを損なうといったたちのものでは絶対になく、これ以上胡椒が利いたら鼻もちならないだろうといった、ギリギリのところで危うく踏み止まっている。これ以上は度が過ぎるという微妙な一線を嗅ぎ分け、その崖っ渕まで大胆に踏み出すことが、いわば「奥義」といわれる性質のものであることはいうまでもないが、そういう音質をアンプに於て、あえて作りあげたという点が、第一級のスピーカーを生み育ててきた彼等の知恵であったのだろう。JBLの中を吹き抜けてきた音には、だから不思議な清涼剤が微妙に利いて、爽やかな高原のオゾンを漂わせる。
     *
 もともとスピーカー・メーカーであったJBLが、アンプの市販に手を染めたのはそんなに古い話ではなく、一九六三年の秋に、いまのSE408Sの前身であるSE402が、エナージャイザー(Energizer)の名で発表されたのが最初のことだ。マランツやマッキントッシュが、まだトランジスターに踏み切りかねていた時に、JBLは最初の製品からTRアンプをひっさげて登場したわけだが、一九六五年、JBL・T回路と称する全直結のユニークな回路を採用したSE400Sの出現によって、JBLのアンプに対する評価は決定的なものとなった。さらに翌66年、プリメインのSA600が市販されて以来、JBLのすばらしい音質が広く知られるようになったわけである。
 SE400S、SE408Sは、80ワット×2の出力時にも歪(高調波歪、混変調歪とも)が0・15%という驚異的な特性が公表されているが、実測データではこれよりさらに歪が少ないと報告され、その少しの濁りもない澄んだ音質が裏づけられている。そして一般のパワーアンプと最も変っている点は、指定のイコライザー(特性の補整回路)をとりつけると、JBLの各スピーカーシステムに対して、周波数特性やダンピング・ファクターをそれぞれ最適値に調整して、スピーカーを理想的なトランスデューサーとしてドライブする。これがエナージャイザーの名称のゆえんである。
 SG520は、一九六四年に発売されたプリアンプで、ストレート・ライン型のボリュームや、イルミネーティング・プッシュボタンによって操作を視覚的に整理した、いわゆる「グラフィック・コントローラー」である。450ドルという、家庭用としては最も高価なプリアンプで、音量バランス調整用の1kHzのテスト・トーン発振器を内蔵していることはよく知られているが、SE400S(又は408S)と組み合わせ際に、リレー・コントロールF22を追加すると、aural nuL(オーラル ナル)バランシングとJBLが名付けるところの、スピーカーからの音が最少になるようセットすると音量バランスの最良点が調整できるという合理的な動作をするようになる。なお、各モデルの型番のうしろにEがつく(例=SE400SE)ものはエクスポート・モデルの意で、電源電圧が220Vと117Vに切換えられること以外、何ら変らない。
 SG520の卓抜したデザインに対して、一九六五年度のWESCON工業デザイン・コンペテーションから、最優秀賞が授与されていることも附記しておこう。

(註)トランスデューサー
エネルギー変換器のことで、たとえばオーディオでは、空気の振動(音響エネルギー)を電流(電気エネルギー)に変換(トランスデュース)するマイクロフォンとか、その逆のスピーカーなどのパーツを総称している。アンプは電流というひとつのエネルギーの増減を行うだけで、トランスデュースは行わない。

TDK SD

TDKのカセットテープSDの広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

TDK-SD

ヤマハ

ヤマハのシステムコンポーネントの広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

Yamaha

スタックス SR-3, SRD-5

スタックスのヘッドフォンSR3、アダプターSRD5の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

SR3

トリオ KL-91, KA-6000, M-6000, F-6000, KC-6000, KT-7000, PC-400, TT-50

トリオのスピーカーシステムKL91、プリメインアンプKA6000、パワーアンプM6000、チャンネルデヴァイダーF6000、オシロスコープKC6000、チューナーKT7000、アナログプレーヤーPC400、オープンリールデッキTT50の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

F6000

ナショナル RS-768U

ナショナルのオープンリールデッキRS768Uの広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

RS768

オンキョー MC1500

オンキョーのシステムコンポーネントMC1500の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

MC1500

ラックス SQ707, WL717

ラックスのプリメインアンプSQ707、チューナーWL717の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

SQ707

スウィング ROYAL DUSPER

スウィングのレコードクリーナーROYAL DUSPERの広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

Royal

フォスター F-25, F-30, F-33, FCS-200, FCS-250, FCS-300

フォスターのスピーカーシステムF25、F30、F33、FCS200、FCS250、FCS300の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

F30

グレース F-8C, F-21

グレースのカートリッジF8C、F21の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

F8C

コロムビア 10S40FD, CCS-4000

コロムビアのシステムコンポーネント10S40FD、CCS4000の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

Columbia_CCS4000

スペックス SD-801

スペックスのカートリッジSD801の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

Supex-SD801

CMラボラトリーズ CC-1, CC-2, Model 911, Model 35D

CMラボラトリーズのコントロールアンプCC-1、CC-2、パワーアンプModel 911、Model 35Dの広告(輸入元:シュリロ貿易)
(ステレオ 1969年9月号掲載)

CM-Labo

ダイヤトーン DS-22B, DA-33U, DA-44U

ダイヤトーンのスピーカーシステムDS22B、プリメインアンプDA33U、DA44Uの広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

DS22B

コーラル BX-800, BX-1000, BX-1200E, BX-1500

コーラルのスピーカーシステムBX800、BX1000、BX1200E、BX1500の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

BX1200

オーディオテクニカ AT-3M, AT-1501

オーディオテクニカのカートリッジAT3M、トーンアームAT1501の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

AT1500

コロムビア 7D20

コロムビアのオープンリールデッキ7D20の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

Columbia

ビクター MCA-104, MCT-104

ビクターのプリメインアンプMCA104、チューナーMCT104の広告
(ステレオ 1969年9月号掲載)

Victor