井上卓也
ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
従来のSD909と比べ自重を半分以下の4・7gという超軽量とした意欲的な新製品で、音質面でも一段と完成度が高まり、情報量が多く余裕が充分にある豊かで力強い音となった点に注目したい
井上卓也
ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
従来のSD909と比べ自重を半分以下の4・7gという超軽量とした意欲的な新製品で、音質面でも一段と完成度が高まり、情報量が多く余裕が充分にある豊かで力強い音となった点に注目したい
井上卓也
ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
ステレオ初期にユニークなノイマン型の発電方式を抹用したF45発売以来、久し振りに登場したf10シリーズのなかのf10Lをシェル一体型とした製品がこのSF100である。ボロン複合カンチレバー、オルトフォン型としては20Ωのインピーダンスで0・75mVの出力電圧をもつ点など規格はf10Lと同様である。
井上卓也
ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
DV30シリーズは赤い透明な合成樹脂とシルバーに輝く軽金属のコントラストが特長となっているシェル一体型のMCカートリッジである。標準状態ではヘッドコネクターから針先位置の寸法は50mmに設定して出荷されているが六角レンチで調整は可能だ。30シリーズは、30A、30Bが高出力型で直接フォノ入力に接続できるのに対し、30Cは低出力型で、カンチレバー材は炭素繊維を芯材としたボロン、巻枠部分はアルミで補強され、針先は西独製特殊ラインコンタクト型、磁気回路のマグネットは英国製の強力なHERAを採用している。コイルは特殊巻線機によりポリアセタールの角型巻枠に井桁状に巻いてある。昇庄トランスはDV6A指定だ。
井上卓也
ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
EPC300MCと同じコアレス・ツインコイル方式を採用した純粋MC型の新製品である。カンチレバーには独特の手法により開発した純ボロンパイプを採用し0・1mm角微小ダイヤチップをレーザー加工の角穴にマウントし高域共振周波数40kHzの広帯域特性を得ている。カンチレバーは一点支持型で、ダンパーには温度変化のないTTDD、磁気回路は電磁純鉄とサマリュウムコバルト使用である。性能対価格で注目に値する現代型MCと思われる。
井上卓也
ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
今春ころより話題となっていたヤマハ最初の自社開発の鉄芯を使わない純粋MC型カートリッジが完成し発売されることになった。ベリリュウム・テ−パードパイプカンチレバーと平行な面をもつ左右独立型の2個の薄膜積層ICコイルは振動支点上に十字型支持板で保持され、左右独立型希土類磁石使用の差動磁気回路内に位置決めしてある。磁気ギャップは0・6mm、磁束密度は11、000ガウス以上と強力で30Ωのインピーダンスで0・2mVの出力電圧を得ている。MC1Xはアルミダイキャストシェル一体成形のモデル、MC1Sは通常のモデルで共に規格は同一である。
MC1Xは、1・8gの指定針圧で激しい音溝の変化にも優れたトレーシングを示す。聴感上のfレンジはかなりワイドレンジ型で、古典型のMCにくらべると中域の薄い傾向はあるが、音の粒子は細かく、適度な反応の早さを聴かせる点はいかにも現代型MCらしいところだ。昇圧には現在ヘッドアンプしかないが、できれば専用トランスを開発してほしいと思う。
黒田恭一
ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か プレーヤーシステムによって同じカートリッジの音がどのように変わったか」より
●シュアーV15/IVの基本的性格
これまでのシュアーの音を頭においてきくと、シュアーもずいぶんかわったなとつぶやくことになるだろう。ひとことでいえば、きめがこまかくなった。それでいて、シュアー本来の──といっていいのうかどうか、つまり決してじめつかないで、生気にとんだところはのこされている。傾向としては、ひびきをくっきり示すタイプといえよう。ただ、特に低域の本当に腰のすわったエネルギー感とでもいうべきもの提示は、かならずしも得意ではないようだ。その点でことさらの不足を感じるということではないが、幾分表面的になる傾向がなくもない。すっきりさを志向したカートリッジと考えていいだろう。
黒田恭一
ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か プレーヤーシステムによって同じカートリッジの音がどのように変わったか」より
●デンオンDL103Sの基本的性格
味もそっけもない──という否定的ないい方も、多分、不可能ではないだろう。ことさらひびきの表情をきわだてるタイプのカートリッジではないからだ。ただ、このカートリッジのきかせる音は、いつでも、大変に折目正しい。いつまでたっても、足をくずさずに、正座しつづける男のようだ。しかし、語尾を笑いであいまいにしてしまう男のはなしより、しっかりした声でいうべきことを、しかも感情をおさえぎみにはなす男の方が信用できると思うこともなくはない。しっかりしていて、あいまいさを残さない。どちらかといえば寒色系の音で、ひびきの角をしっかり示す。見事なカートリッジだ。
黒田恭一
ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か プレーヤーシステムによって同じカートリッジの音がどのように変わったか」より
●オルトフォンMC20の基本的性格
非常にいいところをもっているカートリッジだが、そのよさをいかすのには、なかなかむずかしいところがありそうだ。プレーヤーシステムによっては、音像が肥大することがある。それはおそらく、このカートリッジの持味のひとつであるひびきのなめらかさと無関係ではない。したがってこのカートリッジにおけるなめらかさは、諸刃の剣というべきかもしれない。暖色系の音で、なめらかで、まろやかで、だから、そのよさがそのまま示されたときにはいいが、音像を肥大させる方向に働くと、ひびきは、メリハリがたたなくなり、あつくるしくなる。よさをひきだすには、充分に慎重に使うべきだろう。
井上卓也
ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
最近注目を集めているMC型カートリッジのなかでも、発現のメカニズムが大変ユニークな製品として高い評価を得ているMC1に続く、ビクター第2弾のMC型カートリッジの新モデルである。
発電方式は、タテ型の磁気回路を採用し、カンチレバー先端のスタイラスに近接した位置に取付けられたマイクロコイルを使って発電するビクター独自のダイレクトカップル方式で、MC1で開発されたものだ。
マイクロコイルは、IC製造技術を応用し、ウエハー(基板)上に蒸着された導体をフォトエッチングしコイル状としたもので、重量も200μgと巻線型コイルにくらべ数十分の一以下と超軽量であり、かつ空芯コイルであるため磁気歪とは関係がなくなる利点をもつ。この超軽量コイルの開発で、カンチレバー先端部にコイルを置くダイレクトカップル方式の採用が可能となったわけだ。この方式は、針先とコイルが近接しているため一体で振動し、特性がフラットで位相遅れが少なく、コイルが針先に近いため、カンチレバー、ダンパーの温度変化の影響が少なく安定した性能が得られる特長がある。
磁気回路には、サマリュウムコバルト磁石と鉄・コバルト合金のパーメンジュールを使用し、高磁束密度を得ている。
MC2Eは、周波数帯域を10〜25、000Hzに設定してあるため、針先は特殊ダ円針となっている。出力は0・2mV、針圧は1・5g。
井上卓也
ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
同社のトップランクカートリッジ100Cをベースに業務用の使用に耐える高安定型としたタイプが、この101Cである。業務用の過酷な使用条件に対応すべく、ダンパー材には温度変化に極めて強い新材料TTDDを採用。カンチレバーはチタニュウムナイトライドのテーパード型だ。100Cと相互の針先交換が可能であり、本体構造は同等と考えられる。
菅野沖彦
最新ステレオ・プラン ’78(スイングジャーナル増刊・1978年7月発行)
「タイプ別本誌特選スピーカー42機種紹介・MMカートリッジ特選3機種4万8千円以上」より
フィデリティ・リサーチが、MCカートリッジを作ってデビューしたメーカーであることを知らない人はいない。FR1という製品がそれで、その当時、これを聴いた時の感動をいまだに思い出す。その繊細緻密な高音の再生能力と、ふくよかに息づくような豊潤な中低域に、聴き馴れたレコードが一際生彩を加え、愛聴盤のほとんどを聴きなおしたほどだった。その後、このFR1は、幾度かのリファインを重ねて、現在まで、ほぼ10年に近い年月を同社の代表製品として支えてきた。併売されていたMM型には、もう一つ説得力に欠け、作る側自身の情熱の欠如を感じとったのは私だけではあるまい。FRは、やはりMCカートリッジに、ディスク変換器としての理想を求める技術集団だったのではあるまいか……。この事は、今度発売された、このFR7を見て、聴いて、よりー層はっきりした形で、同社の、こうした体質への推理を認識させられたように感じられる。おそらく、このFR7は、FR1の開発とリファインのプロセスの中で育て上げられたMCカートリッジに関するテクノロジーとノウハウの蓄積を成果として現われたもので、その意味では、きわめて長い開発期間を経て来たものであろう。
FR社の特質は、メカニズムやマシンに対するマニアックな感覚がいつも、その製品に息づいているが、いわゆる通好みの材質感や加工精度のもたらす美が生きている。最近の製品ては、トーンアームのFR64Sがそうで、ステンレス加工の、このアームの魅力は、FRならではのものだ。こうした、機械系の信頼性と、多分、業界随一の長く豊かなカートリッジ作りの経験をもつ同社の社長の情熱が結びついて出来てくる製品には、当然、並のものとは一味も二味も異る風格が滲み出る。
ところで、このFR7は、昔、FR1を聴いた時のような、ショックを再び味わうことになったもので、その鋭く深い彫像の確かさは、まさにベールをはいだという表現がぴったりのクリアーな再生音である。レコードに刻み込まれた音は、いかなる微細なものも、ことごとく拾い上げる。濁りがなく、僅かな位相差も忠実に再現してくれるので、録音時のマイクの置き方が明確に判別出来るのには驚ろいた。定位のよさと、空間感(フェイズの忠実な変換能力による)の再現は全く素晴しいの一語に尽きる。また、全体に、音の基本的な質感が、きわめてエネルギッシュでたくましい。底力のある低音の迫力は、多くのカートリッジと歴然とした違いを感じるのである。
それだけにレコードのムードを生かしてくれるという性格を期待するわけにはいかない。録音再生全体のプロセスの相関関係に頼ってムードをかもし出してきたレコード音楽の長年の歴史は、この辺でピリオドを打たれてしまうのであろうか……。見るからに充実感に溢れたこのFR7を前に圧倒されながら、昔によき時代を感じる郷愁の念も否定できずにいるこの頃である。
菅野沖彦
最新ステレオ・プラン ’78(スイングジャーナル増刊・1978年7月発行)
「タイプ別本誌特選スピーカー42機種紹介・MCカートリッジ特選4機種2万〜3万5千円」より
同社の最も得意とするムービング・コイル型の最新モデルである。いわゆるSPUシリーズを現代のカートリッジの、ムービング・マスやコンプライアンスを含めて、技術水準でもう一度洗い直し、新設計でつくり上げたものだ。根本的に確かにSPUのもっていたような重厚でエネルギッシュな音とはややかけ離れてはいるが、しかし、さすがに同じメーカーがつくっているだけあって、音のバランスや音の彫琢という点で、やはりオルトフォンのカートリッジだなと思わせるものをもっている。非常に重厚な低音にすばらしい中高域がバランスし、そして、高域の伸びはなんといっても、SPUを超えている。そしてまた、トレーシング能力のよさもSPUの比ではない。それだけに、SPUのもっている骨太のエネルギッシュな質からすると、少々現代カートリッジ的な少々やせぎすな、あるいは、ややつめたいという質感を伴ってくるのは、やむを得ないことかもしれない。だからといってMCくさい音というわけではない。MCとしてよくバランスがとれていると思う。
SPUから見ると、高域が非常に伸びているため、ハイがサッとさわやかに出てきたという感じがするが、しかし、再生バランスとして決して高域が妙に上がってヒステリックになるというカートリッジではない。ある意味でハイ・コンプライアンスMCカートリッジとしてのブームをつくつたカートリッジではないかと、私は思う。SPUを未だつくり続けている中でオルトフォンとしては現代のカートリッジの製造技術をそこに新たに取入れ、新しいMC型をつくりたかったんだろうと思う。だから、この新シリーズができたのもだいぶあとになってのことだ。今までの
新シリーズはほんとどVMSタイプに代表され、そのラインアップが完成したあとにこのMC20が出てきたのだ。それまてのMCとしてはSPUシリーズのみをずっとつくり続けてきたわけで、その辺にも同社のメーカーの体質が現われていると思う。
このカートリッジはその意味からも、オルトフォンとしてはかなり検討に検討を重ねて、出してきたMCカートリッジといえる。
実際に使って、MC20は明らかにMC独特の豊かなプレゼンスを感じることができる。トレーシンク能力やハイコンプライアンスという点では、現代のすぐれたMM型から見ると、多少問題もなくはない。しかし、このカートリッジのもっているムービンク・コイル独特の一種の音のねばり、こういうものはやはりかけがえのないものだと感じる。その意味で、このMC20の存在の必然性ははっきりしていると思うし、現代の高級カートリッジの代表格と言ってもいい製品ではないかと思う。
菅野沖彦
最新ステレオ・プラン ’78(スイングジャーナル増刊・1978年7月発行)
「タイプ別本誌特選スピーカー42機種紹介・MMカートリッジ特選3機種2万5千〜3万円」より
西ドイツのキールにある同社は、カートリッジのメーカーとして非常に古い歴史をもっている。隣の国デンマークのオルトフォンと非常に似た性格をもっていると言ってもいいかもしれない。この会社はMM型のカートリッジの特許をシュアーと二分してヨーロッパでもっているというメーカーで、カートリッジ・メーカーとしてはサラブレッドであるということになろう。このSTS455Eを含むこのシリーズには555、655というッパー・モデル、そしてその下に355、255、155というロアー・モデルがあるが、455はそのアッパー・ミドルという所に位置するカートリッジだ。
この会社のカートリッジに共通して言えることは、オルトフォンの音にも共通することだが、さらに豊かな、美しいつやとまろやかな味をもっているところが、このカートリッジのよさだと思う。音の質感をわれわれ人間の感覚に快い触感で再現してくれる。決してハーシュな、耳に鋭くキンキンくるような音は再生しない。そういうところにエレクトロ・アクーステイックのカートリッジのよさがある。455は中でも帯域バランスが非常に穏かである。この上の555になると、さらにハイが伸びている。そのため、針圧も、455が1・5グラムに対して、555の場合コンプライアンスが高いために、1グラムというトラッキング・フォースになっている。そういった点からして、555も確かにすぐれたカートリッジではあるが、一般性という意味からすると455が最も使いやすく、しかもハイパフォーマンスの得られるカートリッジだと、自分では位置づけているわけだ。
私自身が録音したレコードを聴いても、意図した音の質感が忠実に再現されているように思う。自分で録音したレコードがそう鳴るということは、もとの音を知るべくもないほかのレコードについても、おそらくそのレコードのもっている特質をよく再生してくれるであろうという信頼感、そうした物理的な信頼感と同時に、このカートリッジのもっている再生音の肌ざわりが、私の感覚には非常に好ましい状能で、楽器の生き生きした生命感をよく伝えてくれる。さらにプレゼンスというか、ステレオフォニックな立体録音の空気感とでもいうか、こういったものを非常によく再現してくれるし、トラッキングが非常に安定し、音楽表現に生きた血が通うなど、その魅力は沢山見出すことがてきる。
ということを、引っくり返せば、ある程度鈍感だとも言えなくもないが、しかし、むしろ高度な実用性という点が、ある特定の条件の中でしか好ましい再生音を聴かせないようなものよりはいいと思う。こうした点から、エラック(エレクトロ・アクーステイック)のSTS455Eは現在のMM型カートリッジの中で、私が非常に好ましいと思うものの一つに入る。もう少しレコードその他の扱いで神経質になれるマニアの方なら、555をお使いになるのもたいへんにすばらしいと思うが、しかし、現実にはレコードをはれものにさわるように、ほこりが一つもつかないよ
うにという管理は、実験室内ですらなかなかできることではない。そういう点ではこの455の方が安定していると思うし、同シリーズ中のベスト・カートリッジと考えている。
菅野沖彦
最新ステレオ・プラン ’78(スイングジャーナル増刊・1978年7月発行)
「タイプ別本誌特選スピーカー42機種紹介・MMカートリッジ特選4機種2万円未満」より
オルトフォンは確かにカートリッジの専門メーカーであることに間違いないが、実際にはレコードをつくるカッティング・マシン、メッキ・システムなど、すべてレコードのマニファクチァリングのファシリティーをつくっているメーカーである。従って、レコードのことについては非常によく知っているわけである。
そういうメーカーであるから、そのメーカーが開発するカートリッジが非常にすばらしいということは充分納得のいくことでもある。また、オルトフォンのカートリッジはあらゆるカートリッジ・メーカーの一つのお手本になっていると言ってもいい。
そのオルトフォンが、ステレオLPレコード時代に入り、MC型のSPUシリーズでたいへんな好評を得、そして、さらにワイドレンジに製品のバリエーションをつくった。従来のMC型は生産効率も悪く価格も高いということから、大きく言えばMM型の一部に含まれる、つまり、コイルを動かす方式ではなく、オルトフォン独自のVMS(バリアブル・マグネティック・シャント方式)という、インデュースト・マグネットに近い方式の製品も手がけるようになった。その中でFF15EMKII、もちろんMKIIになる前はただのFF15Eだったが、普及クラスの価格の中できわめて品質の安定したカートリッジとして登場したものだ。
このシリーズの中には、F15、FF15、さらにその高級版にはVMS20Eといったバリエーションがあるが、これらは基本的にはほとんど違わず要するに、非常に効率よく生産的につくっているということで、F15、FF15の実力は、実際のところ高級品VMS20Eなどとそう大きくは違わない。ただ、つくりやすくしているために、多少ムービンク・マスなどが大きい。そのために高域の特性がVMS20Eに比べ、それほど高いところまで伸びていないが、しかし、実際に使って音を聴いてみると、そのバランスのよさと使いやすさという点では、全く何の不足もないと言っていい。
実際、1万円を切る値段の輸入力ートリッジで、これだけの信頼性とすばらしい音を聴かせてくれるカートリッジは、そうざらにはないだろう。
そういう点で、オルトフォンという一つのすばらしいカートリッジの専門メーカーのブランド・イメージが、使う間にプレステージとして働きかける満足感のみならず、その満足感と相まって、実用的なパフォーマンスも非常に高いということが言えると思う。
オルトフォンのサウンドは従来から一貫したバランスをもっており、私たちはそれをよくピラミッド型の音のバランスと言っているが、非常にしかっかりした重厚な低音にささえられ、その上に三角形のバランスのとれた帯域バランスをもっている。このFF15Eもそうしたバランスをいささかも損ねていない。具体的に言うと、非常に鮮明な音のするカートリッジで、その点でウォームな音のするカートリッジのグループとはやや趣きを異にするというのが、このカートリッジの持ち味であり、MM系に属するカートリッジ・グループの中では、やはり非常にすばらしいカートリッジだと言わざるを得ない。
不思議なことに、メーカーそのものは意識をしていなくても、デンマークのオルトフォンという会社の体質が明らかに残っているということは、やはりこのカートリッジの存在の必然性をわれわれに感じさせる。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
高価だが素晴らしく滑らかで品位の高い艶のある音が聴き手を捉える。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
この渋い独特の厚みある音質はMC型の里程機として歴史に残る名作。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
明らかにSPUの傾向を受け継ぐウォームな音質。使いやすい出力。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
シャープでヴァイタリティに富んだみずみずしい解像力の良さが魅力。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
4500Qの瑞々しさと400D/IIIのウェルバランスを兼ね備える。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
単なる優等生の枠から脱して音質に十分の魅力も兼ね備えた注目作。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
おそろしく精密で手の込んだ使い方でMMの水準を大幅に引上げた。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
MM型の枠を一歩踏み越えて音楽の核心に迫る生命力に満ちた音質。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
MM、MI系カートリッジの標準尺として使える完成度の高い音質。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
こんにちのMC型のひとつのスタンダードとなりうるバランスの良さ。
井上卓也
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
専門メーカーらしい実力とノウハウを結集したトップランクモデルだ。
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