Category Archives: ソニー/エスプリ - Page 4

ソニー XL-44L

ソニーのカートリッジXL44Lの広告
(オーディオアクセサリー 21号掲載)

XL44

ソニー TA-F55

瀬川冬樹

ステレオサウンド 57号(1980年12月発行)
特集・「いまいちばんいいアンプを選ぶ 最新34機種のプリメインアンプ・テスト」より

●総合的な音質 このアンプは例外的にコンパクトで超薄型に作られているが、こうした見た目の印象から想像するのとは正反対の、たいそう迫力のある音がする。たとえばポップミュージックを多少パワーを上げぎみで聴くと、まるで音の塊がこちらに飛んでくるような感じといったらよいだろうか、同クラスのアンプと比べ、やや異色といってもよい音だ。たとえば、左右の両スピーカーの間に十分にひろがり奥行きをもって聴こえるべきレコードをかけた場合でも、このアンプは音を空間に散りばめるというよりは、むしろ中央に塗り固めるという表現を使いたくなる、やや独特な音で鳴る。再生音に迫力を求める向きには歓迎されるだろうが、本質的にレコードに刻まれているはずの、二つのスピーカーの外側、あるいは奥行き方向にひろがるべき音が、十分に再現されない。
●カートリッジへの適応性 基本的な音質がかなり個性的であるために、各種カートリッジを付替えた場合にこのアンプの個性で聴かせてしまうという性質がある。しかし、各カートリッジの差は正確に鳴らし分けている。中ではVMS30/IIの場合がいちばん妥当な組合せのようにも思われた。エラック794Eのように高域のしゃくれ上ったカートリッジの場合は、その性質を比較的さらけ出す傾向があり、特にレコードが傷んでいる場合は、歪もそのまま出してしまうタイプだ。
 MCポジションは3Ωと40Ωのインヒーダンス切替えがついていて、オルトフォンのような低出力低インピーダンスMCの場合でも、SN比はかなり優れている。むろん40Ωのポジションでは、デンオンに対するSN比は実用上十分。アンプが基本的に持っている性質同様の音質だが、外附のトランスまたはヘッドアンプを使えば、その性質が柔らげられる。
●スピーカーへの適応性 アンプが基本的に持っている性質が、高域を際立たせるということがないためか、アルテックのような気難しいスピーカーをつないだ場合でも、高域がやかましいということはない。しかしこのスピーカー自体の持っている、中高域が固まりがちな性格はいくぶん強調される。スピーカーを選り好みするタイプといえる。
●ファンクションおよび操作性 このアンプの最大の特徴は、二つ並んだプッシュボタンにより、ボリュウムの上下を間接的に操作することだ。ボリュウムの上下は、ボタンの左に並んだダイヤル上の窓の中のLEDで表示される。ボタンを軽く押すとゆっくり、強く押せば倍速でボリュウムが上下し、キメ細かい作り方といえる。上下動とも動作速度は全く同じだが、人間工学的には上昇側をゆっくり、下降側を速くした方がいっそう好ましい。ボリュウムを上げた状態でMM/MCを切替えると、かなり耳につくクリックノイズが出るが、この点は改めてほしい。フォノ聴取時のチューナーからの音洩れはボリュウムを上げると、きわめて高い音域でかすかに(トゥイーターだけを鳴らしたような感じで)聴こえるが、実用上はほとんど問題ない。
●総合的に デザイン、構造、サイズ、音質ともきわめてユニークなアンプなので、この点で好き嫌いが分かれるだろう。

チェックリスト
1. MMポジションでのノイズ:小
2. MCポジションでのノイズ:中
3. MCポジションでのノイズでの音質(DL-303の場合):1
4. MCポジションでのノイズでの音質(MC30の場合):1
5. TUNERの音洩れ:かすかにあり
6. ヘッドフォン端子での音質:1-
7. スピーカーの特性を生かすか:1
8. ファンクションスイッチのフィーリング:2-
9. ACプラグの極性による音の差:小

ソニー XL-30

ソニーのカートリッジXL30の広告
(スイングジャーナル 1980年7月号掲載)

XL30

ソニー PS-X9

瀬川冬樹

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「ハイクォリティ・プレーヤーシステムの実力診断」より

●音質/附属のカートリッジ(XL55Pro)は参考にとどめ、他機と同じくMC30、EMT、DL303を主に試聴した。こんにちのように高級プレーヤーの音質の解析が深くおこなわれる以前の製品としては、相当に水準の高い音を聴かせる。切れこみがよく、鮮度の高い印象の音がする。ただ、パーカッションが一発パッと入ると、音のスペクトラムが中〜高域寄りに散る感じがあって、大型機の割に低音の土台の支えが弱く、表面的な派手さで聴かせる傾向がわずかにあって、本当の充実感ではなく、どことなく空威張り的な音といえる。内蔵のヘッドアンプのほうに切換えてみると、MC30に対しては少々ゲイン不足で残留ノイズがいくぶん耳につく。附属カートリッジとの相性はさすがによく、ゲインは充分。音が一杯に出て、いかにも情報量が多い、という印象を与えるが、私の耳にはどうしても本当の充実感にきこえにくい。ずっと以前、本誌48号でのブラインドテストのときとは印象が違うのは、あのときのテスト機は、あとから本調子が出ていなかったことがわかったそうで、フローティングの有無によっても音が変わるそうだ。
●デザイン・操作性/スイッチ類の配置は仲々キメ細かく、感触も仕上りも上出来である点はさすが。ただし、プレーヤー右手前の部分は、アームの操作のために右手が頻繁に往復するので、速度切替スイッチのボタンの軽いタッチが仇となって、不用意に触れてしまうおそれがあり、人間工学的にはここが問題点となる。アームは素晴らしい精度で組立てられていて、ゼロバランスをとってみると、感度の良さでは今回のテスト機中一〜二を争う出来栄えであることがわかる。スタジオ機的雰囲気は、EMTがイメージとしてあるように思えるが、いかにもソニーらしい手馴れた創りと仕上げに、魅力を感じる愛好家も多いことだろう。

ソニー TC-K88

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 独自のモーター駆動で前後方向にスライドするテープ走行部により、世界で最薄型のカセットデッキを実現した、見事なソニーらしい製品である。2ヘッド・3モーター方式の走行系には、自動選曲、キューイング機能を備え、精度の高いテープ残量計としてもメーター部は使える。ナチュラルな周波数帯域と緻密で充実した音は、さすがに高級機ならではのものだ。

ソニー TC-D5M

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 世界でもっとも小型・軽量なポータブルデッキでありながら、高級コンポーネントデッキに勝るとも劣らぬ、抜群の走光性と音質を誇るTC−D5のメタル対応機だ。本機とECM150とのコンビは、メタルテープの桁はずれの情報量を活かし、ドルビー使用では、へたなオープン顔負けの、これぞマイク録音ならではの凄いサウンドを収録できる。

ソニー SS-G9

菅野沖彦

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 ソニーSS−G9は、38cm口径のウーファーをベースにした4ウェイ・4ユニット構成の大型フロアーシステム。堂々とした体躯にふさわしい豊かな表現力をもち、スケールと情報量の大きさは特筆に値する。4ウェイのバランスもよくとれていて、質的な連りにも不自然さがない。

ソニー PS-X9

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 高性能な重量級プレーヤーシステムの先駆者的存在の製品だ。業務用機に準じたボディ構造を採用し、ターンテーブルには38・1cm、トーンアームは実効長264mmでXL55PRO標準装備。内部には、ヘッドアンプ、イコライザーアンプをもち、オートリターン機構付。

ソニー TC-K75

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 コンポーネント型としてはソニー初の3ヘッド構成である点が特長だ。バイアス固定、リミッター付を原則としたこれ以前のモデルを第1世代とすれば、発振器内蔵バイアス微調整付でキャリブレーション可能なこの製品は、テープが高度に発達し、多様化した現在に対応する、いわばソニーの第2世代の第1号機であり、その完成度は見事だ。

ソニー TC-K71

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 価格的には、従来のK65の上級機種の位置にあるが、その内容は性能の向上を重視して、K75と同様な3ヘッド構成を採用している点に注目したい。走行系は、音質を重視して、フライホイールなどの回転系にダンプ材を使い、雑音をシャットアウトするなど、メタル対応機の第2世代らしく、優れた基本性能と音質重視設計が魅力の優れた製品だ。

エスプリ APM-8

菅野沖彦

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 角型平面振動板というユニークなユニットを4つ使った4ウェイの大型フロアーシステムで、ウーファーの実効面積は円形コーンの38cm口径に匹敵する。理想的ピストンモーションを追求して生まれたこのシステムが、多くの技術的困難を克服して、ここまでの音質にまとめられたことは立派だ。きわめて純度の高い音質で、バランスや質感のコントロールもよく整えられた注目すべき製品である。

ソニー SS-R5

黒田恭一

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 音のきかせ方のタイプとしては、フィリップスAH484と同系列にあるものといえようが、あきらかにひとランク上だ。音の基本エネルギーをしっかり示そうとするところに、このスピーカーの一種の誠実さが感じられらる。ただ、くっきり輪郭を示すことに重点がおかれていて、こまやかな表情の提示ということでは多少ものたりなさを感じる。多分、そのことと無関係とはいえないと思うが、声が、総じて、太くきこえる。そして、木管楽器の音も、硬めだ。ただその反面、たとえば低音弦のひびきがあいまいにぼけるようなこともなく、金管楽器が加わっての迫力にとんだ音楽が腰くだけになることもなく、はなはだこのましい。つまり、そのことによって、音楽の骨組がしっかりと示されるからだ。あいまいさを拒否して、足腰を充分にきたえた音とでもいうべきか。使い手をえらばないスピーカーということもできよう。

総合採点:8

試聴レコードとの対応
❶HERB ALPERT/RISE
(好ましい)
❷「グルダ・ワークス」より「ゴロヴィンの森の物語」
(好ましい)
❸ヴェルディ/オペラ「ドン・カルロ」
 カラヤン指揮ベルリン・フィル、バルツァ、フレーニ他
(ほどほど)

エスプリ APM-8

黒田恭一

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 このスピーカーには、完全に脱帽する。びっくりした。化粧しない、素顔の美しさとでもいうべきか。どこにも無理がかかっていない。それに、このスピーカーの静けさは、いったいいかなる理由によるのか。純白のキャンバスに、必要充分な色がおかれていくといった感じで、音がきこえてくる。こういうスピーカーになると、どのレコードだとどうとか、こういうレコードだとどうとかいういい方ができなくなる。すべてのレコードがきこえるべきようにきこえてくる。スピーカーシステムのスピーカーシステムならではの個性といったようなことも、ここではもはやいいにくい。おそらくこういうところで、パーフェクトだというようなことは無用心にいったらいけないのだろうが、敢て、いつの日かここでそのように口走ったことを後悔するのがわかっていて、これをパーフェクトだといってしまいたい誘惑に抗しきれない。すばらしいスピーカーだ。

総合採点:10

ソニー SS-R5

瀬川冬樹

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 たいそう独特の、個性の強い音、といってよいだろう。一聴して朗々とよく鳴るため、聴感上の能率がズバ抜けて高いように聴こえ、同クラスのスピーカーの中に混ぜると、音量感もスケール感も飛び抜けて豊かだという感じを受ける。ただし、トゥイーターのレベル調整ツマミを指定のままのノーマルの位置では、トゥイーターがいささか鳴りすぎ、あるいは出しゃばりすぎのように思われたので、ツマミの位置で真上近くまで絞って聴いた。中音から低音にかけては、キャビネットの共鳴をうまく生かしてあるらしく、背面を壁から相当に離しても低音の響きは少なくならず、たとえば交響曲でも、またあるいはEW&Fのような曲でも、何となく洞穴の中で鳴るような響きがついてくるところがユニークだ。こういう価格帯の中では別格のように大型だし、おそらくそのために音の量感もあるのだろう。ただ、これもフィリップスとは別の意味で、厳格な鑑賞用スピーカーという作り方ではないように思えた。

総合採点:6

●9項目採点表
音域の広さ:6
バランス:5
質感:4
スケール感:8
ステレオエフェクト:5
耐入力・ダイナミックレンジ:6
音の魅力度:4
組合せ:普通
設置・調整:やや難し

エスプリ APM-8

瀬川冬樹

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 まさに見た目どおりの律義な、そしてかなり真面目な鳴り方。さすがにエンクロージュアの大きさが生かされて、悠揚せまらざる風格のある音だ。鳴り方がおっとりしているからでなくトーン自体がどちらかといえばいくぶん暗くなる傾向はあるにしても、相当に素性がいいし、音のバランスやつながりもみごとだ。レベルコントロールには0・1dBきざみの目盛が入っているが、実際、0・5dBの変化にもピタリと反応する。調整を追い込んでゆけば0・3dB以下まで合わせこめるのではないだろうか。これほど正確に反応するということは、相当に練り上げられた結果だといえる。音の色づけをおさえているが、無色か無味になる手前で止まっているのも見事だ。ただ、何となく冷たい才気を感じて、ここにほんのわずか、聴き手をハッピーにさせる活気、あるいはほんのりとした色気や艶が乗ってくれれば、これは第一級のスピーカーになりうる。100万円は安くないが、しかしすごいスピーカーだ。

総合採点:8

●9項目採点表
音域の広さ:10
バランス:9
質感:9
スケール感:10
ステレオエフェクト:9
耐入力・ダイナミックレンジ:10
音の魅力度:7
組合せ:普通
設置・調整:普通

ソニー SS-G5a

井上卓也

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ソニーを代表するスピーカーシステム、Gシリーズの中核をなすSS−G5は、細部に改良が加えられ、SS−G5aとして新発売された。
 独自のブラムライン方式ユニット配置、高域指向性の向上とバッフル板振動モードを制御するAGボードの採用、バスレフ方式のエンクロージュアなどは変らない。30cmウーファーは、ボイスコイル直径が50mmから70mmとなり、磁束密度が25%増加して、高剛性リブコルゲーション付ストレートコーンの特長が一段と発揮されるようになった。8cmバランスドライブの中音ユニットは、新開発コーンが採用され、音色が明るく分解能が向上している。ネットワークは伝送ロスを減らすため、パターン厚70μのプリント基板を採用。ウーファー用コイルは音響素材SBMCで固め、機械的な振動を抑えるなど、新技術と高精度部品を採用した音質重視設計である。
 試聴室では標準に使っている高さ60cmのアングルに乗せて使ったが、表情は抑えられ低域は重く、音離れが悪かった。床上20cm程度の強度ある台にセットすると、音色が明るく腰の強い低域をベースにした活気があるクリアーな中域と、華やかな印象の高域が効果的なバランスを保ち、質的にも高い音となる。サランネットを外した状態では、高域のレベル2時半の位置で

ソニー SS-R5

菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 この価格としてはかなりオーセンティックな力感の味わえるシステムで、迫力と豊かさの点ではかなり雄弁なスピーカーだといえるだろう。性格がそのまま感じられるような、ワイドレンジでハイパワードライブの可能なシステムである。ただ、その反面、音の繊細さ、しなやかさといった品位の点では多少期待はずれのシステムといわざるを得なかった。ピアノは、大方のスピーカーと全く異質の表現で、レガートなパッセージがもたもたした流れの悪い表現に聴こえたし、弦のニュアンス、デリカシーもよく再生されない。先述したように、力はあるからジャズやロックの力感は、かなりのハイパワードライブで再現可能ではあるが、肝心な楽器の音色が精緻に出てこないので、音楽の愉悦感が味わえない。音色が鈍く冴えないので、個々の楽器の持味が生かされにくく混濁してしまう。細かい音色を云々せずに、音楽を豊かにスポーティに楽しもうとという志向のスピーカーシステムということになるだろう。その意味では効果抜群だ。

総合採点:7

エスプリ APM-8

菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 オリジナリティと最新のテクノロジーを高く評価したいシステムだ。平面振動板による4ウェイ4ユニット構成で、すべてが矩形の振動板をもったユニットであるのがユニークだ。この製品の開発にはソニーが数年間の年月をかけたと思うが、正直いって、プロトタイプ、あるいは初期のモデルでさえも、今回の試聴で聴いたような素晴らしい音ではなかったし、また、ここまでよくなるとも期待していなかった。驚いた。今のところ、国産スピーカーではベストであることは間違いないし、これでもっと音像の立体感や粒立ちに丸みが出てくれば、私としてもほれ込みそうなほどいい。もう一つは、やや高域(特に目立つので高域というが、実際には全帯域)にパルスを強調するキャラクターが残っているし、振動板の鳴りらしきものも、もう一つ抑制されると、もう残るは100万円という値段への挑戦である。このままでは100万円は高いという感じだが、もう一つ洗練されると、お金を貯めようという気になりそうだ。

総合採点:8

ソニー RT-9

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

メタル対応フルロジック操作のデジタルタイマー付デッキにプリメインアンプを組込み、上部にシンセサイザーチューナーを乗せた異色の製品。新時代のコントロールセンターとしての魅力は絶大。

ソニー TA-F55

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

ダイナミッククォリティをメインテーマに、幅広い音楽ジャンルに対応できる性能、機能、操作性、デザインを含め、若い世代の音楽マニア向けのサウンドマシンとして開発された新しい製品。

エスプリ APM-8

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

ソニーの最高級シリーズであるエスプリの名称をもつトップランクスピーカーシステムで、アキュレート・ピストニック・モーションの略を型番としたように角型ハニカムコア使用の平面振動板採用で広帯域感は見事。

ソニー SS-R5

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

この価格帯では数少ない大口径30cmウーファーにアコースティックレンズ付きバランスドライブ型トゥイーターの組合せによる2ウェイシステム。スケール感が十分にあるパワフルで明るいサウンドだ。

ソニー PS-X75

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 トーンアームにエレクトロニクスの技術を初めて導入し、バランス、針圧などの全てを電子的にコントロールする電子制御トーンアーム(バイオトレーサー)を搭載したプレーヤーシステム、PS−B80は、ソニーの技術水準の高さを世界に示す優れた製品であるが、この優れた再生能力を実用価格帯の製品に実現したものが、このPS−X75である。
 トーンアームは、垂直と水平方向に、独立した速度センサーとリニアモーターを備え、速度型フィードバックにより低域共振を従来より約3dB以上抑え、低域共振による混変調歪と低域のクロストークを改善している。また、バランス調整は手動であるが、光学式レコードサイズ選択、盤面上の部分送りを含むアーム操作を含めたオート機構、針圧調整、自動インサイドフォース調整などは完全に電子制御化され、フロントパネルで任意にコントロールできる。
 プレーヤーベースは、独自のSBMC複合成形材と特殊ゲル状粘弾性体インシュレーター使用。モーターはクォーツロック高トルク型リニアBSLモーターの、マグネディスク回転数検出型で、電磁ブレーキが付属する。トーンアーム軸受はロングスパン構造、高さ調整付。亜鉛ダイキャスト合金製の強固なアームベース付で、内線材はリッツ線使用。滑らかで自然なバランスが音の特長。

ソニー TA-F55

瀬川冬樹

別冊FM fan 25号(1979年12月発行)
「20万円コンポのためのプリメインアンプ18機種徹底レポート」より

 このソニーのF55は、見た目にも大変独特のデザインで、内容的にもいろいろな工夫がしてある。ユニークなアンプだ。
 まず電源回路がパルス電源ということ。これは従来の電源より、非常にスペースが小さく、実効消費電力も少なく、しかも大きなエネルギー供給ができるということで、未来の電源といわれている。
 それからボリューム・コントロールが大変ユニークで、普通の回転ツマミでもレバーツマミでもなく、パネルのほぼ中央に位置した割に大きめのボタンに右向きと左向きの矢印が付いており、そのボタンを押すことによって音量の造言をする、と同士にパネルの左手の細長い窓に、そのボリューム・レンジが光で表示される。これは大変楽しい。しかもなかなか手がこんでいて、そのボリュームの上げ下げのボタンを軽く押すと、ゆっくりボリュームが上下し、強く押すとそのスピードが倍速になる。これは大変にエレクトロニクス的に凝っていて面白い。一種の遊びには違いないがなかなか便利なフィーチャーだ。その他、外からは見えないが、トランジスタの放熱にソニーが最初に開発したヒートパイプを使っている。これもスペースの節約になっている。このアンプは見た目には大変薄形で、しかもローコストにもかかわらず、このクラスでは抜群の70W+70Wというパワーを得ているというところが、このアンプの大きな特徴だ。
音質 音質はこのクラス全部をトータルして聴いた中では、やや異色の部分がある。一つ一つの音がどっしりと出てくる。そういう意味で線の弱いというような音が少しもなく、全部音がしっかりしている。例えば、『サンチェスの子供たち』のオーバーチュアにしても、あるいはクラシックの『春の祭典』のフォルティッシモの部分でも、非常に迫力のある音がする。
 そういう点で大変聴きごたえがするといえるが、ただしその迫力といのと裏腹に、何かひとつ透明感、あるいは透明感と結びつく音の美しさといったところで、個人的には物足りなさを感じる。それに、どちらかといえば音場が狭い、広がりにくいという印象もある。
 もっとスーッとどこまでも伸びる透明な美しさ、あるいはたとえばキングス・シンガーズのしっとりしたコーラスなどは、もっとなにかしみじみとハモってほしいと思うところがある。
 それに二つのスピーカーの間に音像がフワッと広がる、いわゆるステレオ・イフェクトも、もう少し広がりと明るさがほしいと思った。
MCヘッドアンプ MCヘッドアンプはなかなか性能がいい。3Ωと40Ωとの切り替えが付いていることをみても、きめ細かく設計されたものであることが、うかがえる。オルトフォンのMC20MKIIの3Ωの方で、ボリュームをいっぱいに上げてみても、このクラスとしては抜群のSNの良さだ。もちろんボリュームをいっぱいに上げれば、ノイズが聴こえるが、ノイズは割合に低い。
 ボリュームはかなりいっぱい近くまで使えるので、MC20MKIIでも音量としては十分に出せるということがいえる。
 DL103Dは40Ωの方で使えるが、ゲインとしては十分だ。
トーン&ラウドネス トーン・コントロールの効き方は、はっきりと効く。ラウドネスも同様で、これはやはり、ビギナー向きに、はっきりわからせるというような効き方をするように思う。ところでこのアンプの一番の特徴のボリューム・コントロールだが、人間の心理としてはダウンのスピードはもっと早い方がいいのではないかと思う。
ヘッドホン ヘッドホン端子での音の出方は、スピーカーをつないで聴いた時の音量感よりも、やや抑えめだが標準的な音の出方といえる。

ソニー XL-55 pro, XL-55, XL-44, XL-45II, XL-45E, XL-40, XL-25, XL-15, ND-1500

ソニーのカートリッジXL55 pro、XL55、XL44、XL45II、XL45E、XL40、XL25、XL15、交換針ND1500の広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

XL55