Category Archives: プリメインアンプ - Page 14

パイオニア SA-8800II

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 パイオニアのアンプとしては中級製品の下ぐらいで、かなり普及層を意識したものだろう。しかし、内容は立派に中堅アンプとして通用する。音の肌ざわりのよさは、同社のすべてのアンプに共通する美点だが、個のアンプにも強くそれを感じる。デザインも堂に入っていて、きれいな仕上りである。

テクニクス SU-8075 (75A)

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ハイレベル入力以後をDCアンプ化したプリメインアンプとして登場し、注目を集めたSU8080に続いて、今回、同一構想にもとづいて開発されたジュニアタイプのモデル、SU8075が発表された。
 パワーアンプのDCアンプ化は、最近のアンプの目立った動向であるが、テクニクスでは早くから、複雑な音楽波形を完全に増幅するためにはDCアンプが非常に優れていることに着目し、その開発に成功するとともに、さらに一歩進んで、トーンコントロール回路を使用しないときには、パワーアンプのゲインを増してチューナーやAUX入力をダイレクトにDCアンプ化したパワーアンプに導く方法により、ハイゲイン入力以後をDCアンプとしている。
 また、従来のアンプでの、ハイレベル入力からのSN比とフォノ入力からのSN比を同一にする目的で、SU8080では、88dBのSN比を得ることに成功しているが、今回もM47Lという超ローノイズトランジスターをこのモデル用に開発し、イコライザー初段に採用し、やはり88dBのSN比を得ている。このイコライザー段には、NFループを利用して超低域をカットするサブソニックフィルターがある。
 トーンコントロール回路は、ボリュウム内部にスイッチを機構をもち、機械的中点、つまりフラットの位置でコンデンサーと抵抗などのトーンコントロール素子を完全に切り離し、周波数特性をフラットにできる。
 パワーアンプ部は、スピーカー端子にDC電圧が発生するDCドリフトを抑えるため初段にワンパッケージのデュアルトランジスター差動増幅をもつDC構成で、62W×2の出力があり、万一ハイレベル入力に接続したチューナーなどから直流分が洩れた場合にスピーカーを保護する目的で、カットオフ2Hzの直流カットスイッチがフロントパネルにある。なお、電源部は左右チャンネル共通で、電界コンデンサーは10、000μF×2である。

ラックス SQ38FD/II

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 アンプに限らず「これでなくては聴けない音」があるということこそ、その製品の存在する必然性だと思うが、SQ38FD/IIの、とくにクラシックのプログラムソースで、弦やヴォーカルのいかにも息づくような暖かさ、血の通った滑らかさを聴けば、この音はちょっと他のアンプでは聴けない特長であることが理解できる。最新のTRアンプの透明な冷徹さと対極にあるこの音は貴重な存在。

サンスイ AU-707

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 弟分のAU607は、7万円以下という価格を頭に置いた上で、という条件つきで優秀なアンプといえるわけだが、707あたりになると、これより高価格帯の製品と聴きくらべても、そう遜色のない充実感のある音に仕上がっている。606と一見そっくりな外観だが、607で必要最少限に省略されていたトーンコントロールその他のファンクションも、707になると実用上十分になっている。

サンスイ AU-607

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 本誌42号のプリメイン・テストのとき、下から順に聴いてきてここまで来て、はじめて、ステレオのプレゼンスを本格的に再現するアンプに出会ったという印象が強く残っている。音がとてもみずみずしく魅力的。もうひと息緻密な充実感が出てくればと思うが、それはこの価格帯のアンプには無理な注文だろう。デザインも落着いて仕上げも美しい。ライバル機としては、これより後に出たトリオの7300Dぐらいしか思い浮かばない。

ヤマハ CA-2000

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ヤマハの一連のアンプの音質に、もうひとつ、色気の欠けていることが不満である私自身、ここまで磨き上げた端正で上品で、清潔な美しい音を聴かされるとその歪のない澄明な音色にはひとつの魅力のあることがよくわかる。また実際に使ってみて、コントロールファンクションの豊富でしかも実用的によく練り上げられ、感触も抜群であることに脱帽する。

ヤマハ CA-X11

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ヤマハのプリメインアンプは、完全に新モデルに変わり、価格帯の幅が従来より一段と広くなったが、新モデルのトップをきって発表されたCA−X1が、内容を新しくし、グレイドアップして、CA−X11に発展し発売されることになった。
 改良されたポイントは、特性的にはSN比で10dB、チャンネルセパレーションで5dB、パワーが12%といすれも向上し、機能的にはイコライザーアンプの出力を直接パワーアンプに送り込むメインダイレクトスイッチ、サブソニックフィルターをイコライザーに組み込んだためのハイフィルターの新設、ターンオーバー2段切替の高音、低音トーンコントロール、レンジ切替可能となったパワーメーターの大型化などがある。まて、上級機種と同様にボリュウムとバランスコントロールが同軸型となった点も見逃せない。結果からみれば同社でもいているようにこのCA−X11は、CA−R1化されたCA−X1なのである。
 回路面では座部ソニックフィルター内蔵の3石構成のイコライザーアンプ、初段が差動増幅の3石構成のCR−NF方式のヤマハ型トーンコントロールアンプ、初段にデュアルトランジスター差動増幅を使った純コンプリメンタリーOCL方式のパワーアンプが、そのラインアップである。
 本機の音は、X1にくらべ大幅にクォリティが上がった緻密さと滑らかさが感じられ、より伸びやかなレスポンスをもつ。

トリオ KA-7300D

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 トリオでは同社で確立したというダイナミック・クロストーク理論に基づいて、ステレオアンプの左右チャンネルの電源部を独立し、さらにDCアンプ化するなど現在のオーディオアンプの動向をリードしてきたが、今回はさらに音質を改善するために、スピーカーとパワーアンプ間の問題に焦点を絞ったダイナミック・ダンピングファクター理論に基づいて設計された、新しいプリメインアンプKA7300Dを発売することになった。
 ダイナミック・ダンピングファクター理論とは、スピーカーからの逆起電力がパワーアンプに及ぼす影響をテーマとしたもので、簡単に考えれば、超低域でのスピーカーに対する制動力で従来のACアンプにくらべDCアンプが優れていることの証明であるといったらよいであろう。
 回路面は、初段にカレントミラー負荷をもつFET差動アンプ、出力段にSEPPピュアコンプリメンタリー回路を使い入力コンデンサーを使わないイコライザー段、ICL化したフラットアンプと独立した低音、高音トーンコントロールアンプ、DC構成の75W+75Wの出力をもつ同じくICL化した差動増幅3段のピュアコンプリメンタリーSEPP・OCL方式のパワーアンプが組み合わされ、電源部は左右チャンネルが完全に独立した電源トランスと各チャンネル10000μF×2のコンデンサー、定電圧化したプリアンプ電源をもつ。

サンスイ AU-707

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 607の上級機として開発されたこの製品は、607のところで述べたように、音の質感では、やや異なる。より充実したソリッドな音の質感であり、さすがにパワーの大きさを感じる。しかし、透明な抜け、しなやかさ、空気感の再現では、607に一歩を譲るようだ。しかし、これはやはり優れたアンプで、まず、いかなるスピーカーをもってきても、大きな不満は生れまい。持つ喜びが感じられる力作だと思う。

サンスイ AU-607

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 サンスイの新しいシリーズで、ブラックパネルは同社の一貫したデザインだが、レイアウトが一段と洗練され、魅力的になった。607、707はシリーズで、パワーの差だけだといいたいが、やはり音質はちがう。このシリーズの特長である、音の透明度、空気感の再現ではむしろ607のほうが光る。キメの細かい再生音の純度は高く評価したい製品なのである。機能はさすがにやや簡略化されているものの、優れた製品。

ヤマハ CA-2000

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 プリメインアンプの高級品として、機能的にも内容的にも、きわめて充実した製品である。そして、デザインも、現代的な明るいトーンは好みの分れるところだが、仕上げの高さと共に評価できる。MCヘッドアンプを含めた豊富な入力回路、パワー段は、お家芸のA級、B級の切替つきで、それぞれ30W+30W、120W+120Wと強力である。

パイオニア SA-9900

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

エクスクルーシヴ・シリーズのアンプの優秀であることは定評があるが、それとくらべてさして遜色ない内容を持ったプリメイン型で、とくに目立った個性のないところが話題になりにくいが、十分に質の高い、聴きごたえのある音質は見事なもの。チューナーとペアで並べたときの風格もかなりのものだ。

ローテル RA-1412

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 輸出を主としているメーカーだけに、海外マーケットを意識したデザインの個性の強さが、国内では必ずしも良くない先入観を抱かせてしまうので損をしているが、音質は本誌42号でも書いたように一級の水準だし、機能その他も価格に見合う内容を十二分に持っている。もっと注目されてよいアンプだ。

オンキョー Integra A-722nII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 プリメイン型という枠の中では、個人的に最も音の好きなアンプである。なよやかとか、しなやか、と表現したいような繊細で品位の高く色っぽい鳴り方は、他に類のない貴重な存在だと思う。音とデザインにいっそうの磨きをかけてぜひとも永続きさせてもらいたいと思わせる力作だ。

デンオン PMA-235

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 国産のアンプには珍しくデザイン的にも大人のムードを漂わせて、よくこなれた作品だと思うし、チューナーと並べた印象もなかなか悪くないのだが、新型の501で、なぜ再び品の悪い下劣きわまるデザインに堕落してしまったのか。内容も音質も、現時点で別にまずいところはないし、短命で終らせたくない名作。

オンキョー Integra A-5

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 5万円から6万円までのプリメインをざっと眺めまわして、これほどやわらかくしなやかな表情を出すアンプはほかにちょっと見当らない。どちらかといえばウェット型で、音をあまり引締めるタイプではないが、この価格帯で、クラシックの弦や女性ヴォーカルをうまく聴かせるというのは貴重な特長。

ラックス 5L15

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 本誌42号で、この音はラックスらしくないという意味のことを書いたが、新しいラボラトリーシリーズの各機種が出揃うのを聴いてみると、これは決して偶然の所産でなく、周到に練り上げられたラックスの新しい一面であることに納得がゆく。ただ、音のバランスのコントロールが全くできないというのは個人的には賛成できない。あとから発売された5F70(トーンコントロールユニット)との併用をすすめたい。

ラックス L-309V

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 新製品ではないが、これも本誌42号の試聴テストで再発見しなおしたアンプのひとつ。ラックスというメーカーの体質の一面ともいえる、押しつけがましさのない上品な音が、十分に練り上げられた質の高さに裏づけられて、じっくりと聴き込むに耐える本ものの魅力に仕上がっている。デザインもよくこなれているし、ペアとなるべきチューナー(T300V)と並べた印象も、買った人に満足感を与えるだろう。

デンオン PMA-700Z

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 一時期、本誌でも標準アンプのひとつとしていたことにもあらわれているように、デンオンが本腰を入れて全力投球したプリメインの力作で、いまとなっては公称出力がやや少なめであるにしても、それ以外の機能や音質では、最新機種にまじってもひけをとらないだけの内容を持っている。こういう良心的な製品は、旧型というだけで中止したりしないで、ぜひとも小改良を加えながら生き長らえさせて欲しいものだ。

テクニクス SU-8080

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 回路構成や操作ファンクション、そしてデザインと、すべての面でテクニクスが新生面を切り開いた意欲作として評価したいアンプ。一聴していかにも歪の少ない、澄んだ美しい音。ひっそりとひかえめで、いくぶんとり澄ました印象を聴き手に与える。個人的にはもう少し色っぽい表情が欲しいところだが、データをまじめに追求した良さは好みを別として理解できる。操作ツマミ類、ことにボリュウムの感触は抜群。

トリオ KA-7100D

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 型番のうしろ三桁に300のつくシリーズが最もオーソドックスなのに対して、100番のつくのは若いポップス愛好家向きで、メーターつきはメカマニア向きとというような作り分けをしているのではないか、というのは私の勝手なかんぐりだが、ともかく7100Dは、調味料をかなり利かせたメリハリの強い、5万円台の製品の中で独特の個性を聴かせる。

マランツ Model 1250

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 設計がアメリカ・マランツで製造が日本。いわばハーフだが、そのせいか、純国産のアンプとはひと味違った、バイタリティに富んだ積極的な鳴り方をする。明るく輝きのある音が独特だが、質的によく練り上げられているために、上すべりしないで良い意味の華やかな音として聴き手に満足を与える。

トリオ KA-9300

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 音楽の実在感を生き生きと聴き手に伝えるという意味で、なかなかの出来栄えだと思う。いくらか硬目の音で、自己主張の強いところがあるから、そこが好き嫌いの分れ目になるが、音の鳴り終えたあとの余韻が空間に美しく響きながら消えてゆく感じの再現力からも、優れたプリメインであることがわかる。

トリオ KA-7700D

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 音楽の表情を生かすためにアンプが積極的に働きかける、といった感じがトリオの新しい一連のシリーズに共通した印象。その中でも、型番の下三桁に300のつくシリーズがクラシックまで含む広い適応性を持っているのに対して、それ以外のモデルは、ややハード型の方向で音をまとめているように思える。

パイオニア SA-8900II

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 パワーその他のスペック面でも音質の面でも、価格以上の水準で絶妙のバランスを保っているし、機能の意外に豊富でありながら、処理のたくみさでデザイン的にも不消化のところがない。あまりにも過不足なく仕上がっているために、かって目立ちにくくて損をしているような、妙なアンプだ。