Category Archives: 海外ブランド - Page 29

QUAD 405

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 クォードが、新しい時代に対応して303の後継機種として出したのが、この405である。100W+100Wのパワーを、きわめてコンパクトなサイズにまとめ上げたあたりはクォードらしい。発想のちがうエンジニアリングといってよいであろう。メーターはもちろん、なんのアクセサリー機構もついてはないが、大変洒落た雰囲気さえ感じさせるパワーアンプで、武骨な製品の中では一際目立った粋な味わいがある。

音質の絶対評価:8.5

ハフラー DH-200

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 プリアンプではいかにも素気ないハフラーも、パワーアンプは趣きが異なって、なかなか美しいまとまりをみせる。相変らず何の飾り気もないし、特にパワーアンプは飾りようがないが、一見した印象でも、これは美しい。100W+100Wのステレオアンプで、左右にヒートシンクを配したシンメトリカル・コンストラクションがバランスのよい姿態を見せている。スピーカー切替、入力レベル調整、フィルター類の一切はない。

音質の絶対評価:6.5

ハフラー DH-101

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ハフラーのアンプは、考え方が根本的に違う。この考え方なら、しいてセパレートアンプを作らずに、プリメインアンプとして合理的に、すっきりまとめるべきだと思う。必要なことはこれだけだといわんばかりに、簡素につき離すように感じられ、使いたいという意欲が湧かないのである。見た目にも決して美しい製品ではないし、趣味性や情熱が感じられない。これでは、日本メーカーにつぶされても文句はいえまい。

音質の絶対評価:6

QUAD 303

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 もうクラシックといってもよいほど長い生命をもっているアンプだが、いかにもクォードのコンセプトが横溢している。45W+45Wというパワーはたしかに物足りないし、現実には、使いやすいとはいえないだろうが、最近の多くの乱雑な製品が見習うべき教訓をもっている製品だ。大勢を占めるオーディオアンプの行き方とは全く異なるものなで、現時点でのこのアンプの評価を、他社製品と並べて行なうことはできない。

音質の絶対評価:7

エソテリック・オーディオリサーチ E.A.R.509

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 イギリス生れの管球アンプで、モノーラル構成で100Wの出力をもつ。その名の通り、エソテリックなムードをもっているが、ややアマチュアライクな未熟さもある。これが、この種の製品の面白いところでもあり、味でもあるから、こうした製品もあってよい。同じ管球式でも、ラックスが作るとこうはならないだろう。もちろんアウトプットトランスで、インピーダンスは4、8Ω/16Ωのマッチングがとれる。

音質の絶対評価:7.5

QUAD 44

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 33と303のコンビの新しい上級機として用意されたのが、44と405の組合せである。コンセプトは一貫しており、決して、大げさなメカメカしさを感じさせない、洒落たセンスに溢れている。オプションとしてMCカートリッジ用入力モジュールなども用意されている。こういう行き方の製品は日本には絶対にないし、また、出来ても育たないだろう。B&O製品ともども、世界のオーディオ界の貴重な存在だ。

音質の絶対評価:7

QUAD 33

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 独特なオーディオコンセプトをもつクォードの個性的な製品だ。オーディオを主役とせず、音楽を楽しむための道具として目立たず、美しくという考え方がよく出ている。見方によっては、少々おもちゃっぽいところもなくはないし、メカマニアには全くアピールしないものかもしれないが、センスとしては高く買いたい。コントロール類の使い勝手も、クォードらしい気軽さとシステマティックな考え方で統一されている。

音質の絶対評価:5.5

アンプリトン TS5000

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 57W+57Wのセルフバイアス方式による管球式ステレオアンプで、生れはフランス。バルブ・セクションとトランス・セクションを二分し、バルブ・セクションのみブラック・メッシュのメタルフードをもつ。あとは、シャーシ、トランスカバーも、クロームメッキ仕上げだ。パワーはKT88のプッシュプルだ。いかにも管球アンプのファン好みの作りではあるが、緻密さに一つ欠けるのが惜しい。

音質の絶対評価:6.5

アンプリトン PR50

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 フランス製のアンプというと、かなり前衛的なデザインかと思いきや、これはまた何の変哲もないアマチュア製の機能本位の作りの域を出ない。管球式なら、それなりのクラシックな風格をもったものであれば、また別の魅力も感じられるものを……。ごくドライなラックマウント・サイズのパネルに電源スイッチとツマミが3個。表示も英語で、フランスらしきものは何もない。夢と憧れをさがしても見当らない素気なさであった。

音質の絶対評価:7.5 

アムクロン M600

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 600Wのパワーを捻り出すモノーラルアンプだ。4Ω負荷なら1kWを軽く出す強力さである。もし必要とあれば、これを2台使用して8Ω負荷で2kWを出すM2000というモデルに発展する。各種の保護回路をみても、入力のプラグイン・ボードの差換えによる多目的使用への対応性からしても、完全にプロ仕様の製品だ。まず、6畳や8畳の部屋に置くことはあるまいから、デザイン云々の埒外であろう。

音質の絶対評価:6

アムクロン PSA2

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 250W+250Wのパワーアンプで、モノーラル仕様では800W(8Ω)出るという。冷却ファンつきだし、プロ用として、種々のプロテクターを備え、タフネスとミス・ユースに対処している。発光ダイオードのピーク・インジケーターを中心にデザインされた、メカニカルなパネルフェイスをはじめ、頑丈そのもののコンストラクションで、目的に叶った開発姿勢のうかがえるアンプ。その意味で信頼性は高そうだ。

音質の絶対評価:6

アムクロン DC300A IOC

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 プロ用のアンプだけあって、ミス・ユースに対する対策は万全である。ステレオで155W+155W、モノーラルで310Wのパワーを引き出せる。スピーカー切替はなく、左右独立でレベルコントロール可能である。パルス性雑音リミッターというユニークなノイズ・リミッターを持つのも、いかにもプロ用らしい。いかにも機械らしい飾り気のないもので、仕上げや作りは決して繊細ではなく、むしろ、あらあらしい。

音質の絶対評価:7.5

プレシジョン・フィデリティ M-7

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 見るからに合理的に作られていて、このアンプメーカーの思想が手にとるようにわかる。まったくのブラックボックスで、目にとまるのは、パワースイッチのみ。中味も、きわめてすっきりした回路構成で、シンプル・イズ・ベストのコンセプトに基づいているハイブリッド・アンプである。出力段は6CA7のプッシュプルである。出力インピーダンスは4、8、16Ωに確実にマッチングがとれる。ユニークなアンプだ。

音質の絶対評価:7

アムクロン SL1

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 公称データはやたらによいプリアンプで、歪率は、ハーモニックス、IMともに通常の1桁2桁下だ。しかし、音はその通り桁違いによいとは感じられない。機能的には、業務用として設計されているので、一般には使いよい製品とはいえないし、デザインや作り、仕上げも決して魅力や味わいのあるものではない。これこそ、ラックマウントで使うべきもので、音楽鑑賞用としては少々冷たく、荒っぽいといわざるを得ない。

音質の絶対評価:7

プレシジョン・フィデリティ C-7a

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 実際に、この値段を出して買うモノとして、この程度の作り、仕上げでよいものなのだろうか? こう感じさせる製品が海外製には多すぎる。いくら特性が優れていても、音がよくても、これではそれらのよさも生きてこない。人間の感覚はトータルなものだからである。このアンプだけことではないし、もっとひどいものもある。輸入するにあたって考えるべき問題だと思う。技術者の自分用のアンプといった域に止る製品。

音質の絶対評価:7.5

マイケルソン&オースチン M-200

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 マイケルソン&オースチン・アンプ艦隊の旗艦である。200Wの大出力を誇るモノーラル管球パワーアンプ。シャーシはTVA1のものを利用しているが、これが片チャンネル分だけでぎっしりということからも、その重量ぶりが分る。回路はTVA10を発展させたものらしく、NFBをかけない独自の方式が採られている。これをステレオ用に2台並べてみると相当な迫力で、いかにも管球アンプ派をよろこばせそう。

音質の絶対評価:7.5

マイケルソン&オースチン TVA-1

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 同社の代表機種として、すでに多くの機会に紹介され好評のアンプだ。私もステレオサウンド誌上で何度も、そのよさについては書いてきた。70W+70Wのパワーは、このパワー管としてはマキシマム・パワーに近く、この点で耐久性が気にならないではないが、俗にいう管球アンプらしさを超えたパフォーマンスが魅力の製品。創りはしっかりしているが、仕上げは高いとはいい難いく、欲をいうと、もう一つ緻密な味わいがほしい。

音質の絶対評価:9

マイケルソン&オースチン TVA-10

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 イギリス生れの管球式アンプリファイアーで、出力は50W+50Wという値。これも、いまやマニア好みの管球式として貴重な存在だし、この上のTVA1と比較するとやや物足りないにしても、ファンには喜ばしい存在だろう。パワートランスとアウトプットトランスをシャーシ両端に配したマイケルソン&オースチン・アンプ共通のレイアウトをもち、ダストカバーは全体を覆う。よく選ばれたパーツによる、手造りのアンプらしい趣をもっている。

音質の絶対評価:7.5

AGI Model 511

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 いかにもアメリカのプリアンプらしい、マランツの伝統を踏襲したものだ。より簡略化し、フォノ1系統、ラインレベル入力4系統をプッシュボタンでまとめ、これとシンメトリックに配したダビング機能、モードセレクターのプッシュスイッチ類、大型のマランツ・ツマミの音量とバランスの2個を左右に配したデザインは秀逸。トーンコントロール類は一切ない。いいかえれば青臭いマニアライクな製品ともいえる。

音質の絶対評価:7

アドコム GFA-1

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 見るからに、アメリカのヤンガー・ジェネレーションを感じさせられる雰囲気をもっている。ビスは丸出しで、フレームに鉄板をただ当てつけたというスタイルだ。それに黒塗装、スクリーン・プロセスのモダンなロゴのプリントといった様子は、まるで、倉庫かガレージといった感じである。信頼性のほうはどうなのだろうという気にさせられる。200W+200Wの高効率アンプで、冷却ファンつきだ。

音質の絶対評価:8

マッキントッシュ MC2500

菅野沖彦

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
特集・「第3回《THE STATE OF THE ART 至上のコンポーネント》賞選定」より

 マッキントッシュのMC2500は、同社の最新・最高の製品として、昨年(一九八〇年)発売された、超弩級アンプである。このアンプのパワーは、片チャンネル500Wという公称値で、実測では600Wオーバーという強力さである。しかもそれが、単にパワーの大きさにとどまらず、ローレベルからのリニアリティや、音の緻密さ、繊細感が瑞々しい雰囲気の再現とともに第一級の品位をもっているのである。
 MC2500は、今から約13年前に、マッキントッシュのパワーアンプの最高峰として君臨した、MC3500のピュア・ディグリーである。管球式のモノーラルアンプで350Wのパワーを誇ったこのアンプは一九六八年の発売で、20Hz〜20kHzのバンドウィズス、0・15%の歪みをフルパワーまで保証された、まさに当時の王者各のアンプであった。もちろん、同社の伝家の宝刀であるアウトプット・トランスフォーマーの特別に巨大なものが使われ、1Ω〜64Ωまでものインピーダンス・マッチングが得られる代物に目を見はったものだ。これとほぼ同形のシャーシにトランジスター式ステレオアンプとして構成された製品が、MC2300であって、この製品の登場とともに、MC3500は、その位置をトランジスター式ハイパワーアンプに譲り渡すことになった。
 MC2300は、300W+300Wのパワーで、トランジスター式ながら、依然としてアウトプット・トランスをもち、信頼性と安定性に充分な配慮がなされている点は、他のマッキントッシュアンプ同様である。このアンプの登場によって、マッキントッシュの全製品が、トランジスター化されたわけだが、一九七三年というこの時期は、大変遅い転換であり、同社の信頼性を第一に考える慎重な姿勢が現われているといえるだろう。
 以来、7年目に登場したが、このMC2500であって、80年代の幕開けに、MC3500の孫に当るMC2500が、マッキントッシュ艦隊の旗艦となったわけだ。3代にわたって、共通のデザイン・イメージをもつ、こトップモデルは、内容もまた、脈々と流れるマッキントッシュのアンプ作りの一貫した技術個セプトとノウハウの上に実現したものであって、この姿一つとっても、マッキントッシュが、いかに信頼性の高い筋金入りのメーカーであるかが理解できるであろう。創立以来35年、同社は、現在アメリカで、真の意味での独立企業として、最も古い伝統と、新しいテクノロジーをもち、積極的に開発とマーケティングに取り組んでいるメーカーの数少ない一つである。多くのアメリカのオーディオメーカーが、経済的に独立できず、古いメーカーは、ただ伝統の上にあぐらをかき、まるで老人のような体質になってしまったり、あるいは経験不足の新しいメーカーが、やたらに新しいテクノロジーだけを振りかざし、信頼性のない素人づくりのような製品を馬鹿げた高い値段で売ってみたりする中で、マッキントッシュ社は、確かな手応えの高級機器を、プロの名に恥じない完成度をもってわれわれに提示してくれるメーカーとして、今や貴重な存在なのだ。
 MC2500は、そうした同社の代表製品にふさわしい充実したもので、500Wオーバーのパワー、モーラルでは1kWを超える大出力を、高効率で得、しかも20Hz〜20kHzにわたって0・02%の歪みを保証している。118万円という価格は決して安くはないが、因みに、他の同級アンプの内容、価格と比較してみるならば、これが破格といってよい安さであることもわかるだろう。ましてや、一度このアンプを目前にして、使ってみるならば、もうお金にかえられない喜びと、充実の気持に満たされるはずだ。MC3500、MC2300と、常にその時代の最高のパワーアンプの後継にふさわしく、あらゆる点で、現代最高のパワーアンプの風格に満ちている。

エレクトロボイス Sentry100

井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 このシステムは、エレクトロボイス社が放送局及びスタジオモニターシステムとして小型、高能率それに周波数特性が軸上で3dBダウンのポイントが低域で45Hz、高域で18kHzを目標に開発した新製品。
 ユニット構成は、20cm口径ウーファーとスーパードーム型と名付けられたトゥイーターの2ウェイ型で、クロスオーバー周波数は2kHzにとられている。ユニット関係では、放送局用コンソールのあまりハイパワーでないパワーアンプでも、例えばロックンロールのディスクジョッキーが要求するパワーを得るために高能率が要求され、300〜2000Hzで91dBが得られているが、この値は米国では高能率の部類に入るようすである。また、テープデッキの早送り、巻戻し時のキューイングでトゥイーターを破損しないように、ドーム型トゥイーターの許容入力は、通常のタイプの約5倍の25Wに耐える設計である。
 システムとしての許容入力は、長時間の使用では30W、10ミリセコンドの短時間なら300Wと発表されている。インピーダンスは6Ωとあるから、全般に能率を上げるためにインピーダンスをかなり下げる設計が広く採用されている昨今では、むしろ平均的な値といえよう。ちなみに、5万円以下の国内製品ブックシェルフ型では公称インピーダンスが8Ωで、実際の最低インピーダンスが4Ω以下というシステムも存在している。最低インピーダンスを知らぬユーザーが8Ωと信じて比較試聴をすれば、このようなシステムは見掛け上で高能率と思いやすいことに注意すべきである。
 このセントリー100で注目したいのは、場所的にモニタースピーカーを任意の位置にセットし難い放送局などのスタジオ使用状態に合わせるために、別売のSRB7ラックマウント兼ウォールマウントキットがある。これを使えば、19サイズのラックに前面から取付け可能だということだ。
 エンクロージュアも業務用を考慮して外装はマットブラックのビニール仕上げだ。
 セントリー100の豊かでやや制動の効いた低域をベースに、少し薄い中域、スムーズな高域という典型的2ウェイバランスの音だ。音色は低域が重く粘りがあり、高域は適度に明るい。モニターとしては穏やかな音で長時間の試聴でも疲れないタイプ。

タンノイ Autograph

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 デュアル・コンセントリックK3808ユニットは別名スーパーレッドモニターと呼ばれる38cm口径の同軸型2ウェイである。これを、複雑な折り曲げホーンの大型エンクロージュアに収めたもので、オリジナルは、タンノイの創設者、G・R・ファウンテン氏のサイン(オートグラフ)を刻印してモデル名とした名器。これを日本の優れた木工技術で復元したものが、現在のオートグラフ。高次元の楽器的魅力に溢れた風格あるサウンド。

マッキントッシュ XRT20

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 24個のトゥイーター・アレイをもつ、3ウェイ27ユニット構成というユニークなシステム。緻密な計算と周到な測定技術によって開発された抜群の指向特性によるステレオフォニックな音場再現、驚異的なリニアリティによるDレンジの大きなハイパワードライブ、広帯域の平坦な周波数特性など、物理特性でも最高水準のものだが、その音の品位の高さ、自然な楽器の質感や色彩感の再生は群を抜く、実に高貴な音だ。

マッキントッシュ C32

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 アメリカのマッキントッシュ社のプリアンプ中の最高機種である。多機能なコントロールマスターであり、5分割のイクォライザー、エキスパンダー、ヘッドフォン用パワーアンプなどをもつ。デザイン、仕上げの美しさ、高級感は最高峰で、オーディオファンの夢を実現したといえるだろう。そしてまた、音の素晴らしさ、操作類のプロ機器なみの配慮による円滑さなど、目に見えないところにこそ周到な作りがなされている。