Category Archives: パワーアンプ - Page 16

SAE X-25A

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 新しいSAEアンプ・シリーズの最高峰が、このX25Aで、パワーは250W+250W。ハイパーソニック・クラスAという、ノンスイッチング回路を採用する、未来派指向のアンプというが、この製品の主張である。デザインは秀逸で、現代感覚と重厚さを合わせ持ち、その仕上げの質も高い。こういうメーカー存在は大切だ。日本のメーカーの進出の犠牲にならないようにしたいものである。パワーインジケーター付。

音質の絶対評価:8.5

ラックス MB3045

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 管球式のモノーラル・パワーアンプで、60Wの出力をもっている。このぐらいのパワーがあれば現代の広Dレンジのプログラムソースも、まずまずカバーすることができる。真空管自体をはじめとして、往年の常識を越えた高性能管球式アンプといえるもので、別売のキットとともに、オーディオ界に嬉しい存在だ。心情的にはシャーシの薄さのためか、プロポーションが悪く、もう少し重厚さと暖かみがほしいところ。

音質の絶対評価:8

SAE Mark 2600

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 アメリカのSAE社は比較的新しいメーカーであるが、意欲的な高級アンプで健闘している。このモデルはXシリーズの前に同社のアンプ群の中での最高機種として評価の高いもの。400W+400Wのパワーをもち、ブラック・フィニッシュの精悍なパネルフェイスは魅力的だ。現代アンプらしい鮮烈なイメージをもち、Xシリーズ登場の現在も決して色あせることはない。パワーハンドリングではXシリーズと共存する意味をもつ。

音質の絶対評価:7.5

JBL SA640

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 JBLのお家芸T型サーキットを使用した新製品で、100W+100Wのステレオアンプ。ブリッジ接続で400Wモノーラルアンプとしても使える。この場合どういうわけか音質が改善されるというのがJBL、ユーザー共々の感想だ。何の変哲もないただのブラックボックスに近い仕上げで、作りもそれほど緻密ではない。JBL製品らしからぬ魅力のなさで、プロシリーズ・アンプの方が、まだ色気があるという不思議さ。

音質の絶対評価:9 

ラックス MQ68C

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 管球式のパワーアンプを維持してくれているラックスは貴重な存在。アウトプット・トランス2個と電源トランスをシンメトリックに配したシャーシ構成は美しい。NFBを0dBと16dBに切替ができるなど、マニアライクなアンプとして好感が持てるもの。全体のセンスが、もう一つハイセンスだといいと想うのだが、どうもトランスの名版などの色が安っぽく興をそぐ。25Wという出力も仕方がないとはいえ少々小さい。

音質の絶対評価:8

ハーマンカードン M770

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 65W+65Wのパワーで、いかにも量産メーカーらしい手なれた作りを見せる。スピーカー切替はA、B、A+Bの3通りで、パネルにはLEDによるパワーインジケーターをもつ。価格からいっても、独立型パワーアンプとしては普及タイプで、同社のプリアンプP725とペアで、本格派のムードを楽しもうという向きに好適な製品だろう。本来はプリメインアンプの範疇であるべきアンプである。

音質の絶対評価:6.5

ルボックス A740

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 スチューダーのA68の相当品的存在。ただしこちらの方が価格は高い。たしかに、メーターなどがついている分、お金はかかっているはずだ。それとも、輸入元による値づけのためか……。いかにもヨーロッパのプロ機のムードからきたアンプで、決して、ファミリーユースのデザインイメージではない。100W+100Wのステレオアンプである。その生れ血筋からすると、もう一つ欲をいいたいアンプだ。

音質の絶対評価:7.5

QUAD 405

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 クォードが、新しい時代に対応して303の後継機種として出したのが、この405である。100W+100Wのパワーを、きわめてコンパクトなサイズにまとめ上げたあたりはクォードらしい。発想のちがうエンジニアリングといってよいであろう。メーターはもちろん、なんのアクセサリー機構もついてはないが、大変洒落た雰囲気さえ感じさせるパワーアンプで、武骨な製品の中では一際目立った粋な味わいがある。

音質の絶対評価:8.5

ハフラー DH-200

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 プリアンプではいかにも素気ないハフラーも、パワーアンプは趣きが異なって、なかなか美しいまとまりをみせる。相変らず何の飾り気もないし、特にパワーアンプは飾りようがないが、一見した印象でも、これは美しい。100W+100Wのステレオアンプで、左右にヒートシンクを配したシンメトリカル・コンストラクションがバランスのよい姿態を見せている。スピーカー切替、入力レベル調整、フィルター類の一切はない。

音質の絶対評価:6.5

QUAD 303

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 もうクラシックといってもよいほど長い生命をもっているアンプだが、いかにもクォードのコンセプトが横溢している。45W+45Wというパワーはたしかに物足りないし、現実には、使いやすいとはいえないだろうが、最近の多くの乱雑な製品が見習うべき教訓をもっている製品だ。大勢を占めるオーディオアンプの行き方とは全く異なるものなで、現時点でのこのアンプの評価を、他社製品と並べて行なうことはできない。

音質の絶対評価:7

エソテリック・オーディオリサーチ E.A.R.509

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 イギリス生れの管球アンプで、モノーラル構成で100Wの出力をもつ。その名の通り、エソテリックなムードをもっているが、ややアマチュアライクな未熟さもある。これが、この種の製品の面白いところでもあり、味でもあるから、こうした製品もあってよい。同じ管球式でも、ラックスが作るとこうはならないだろう。もちろんアウトプットトランスで、インピーダンスは4、8Ω/16Ωのマッチングがとれる。

音質の絶対評価:7.5

Lo-D HMA-9500MKII

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 いかにもパワーアンプらしいメカニカルなコンストラクションをそのままカバーなしでまとめたもの。前面両端にがっしりとした取手がつけられている。左右シンメトリックなヒートシンクがデザインの決め手となる。剛性の悪いぺらぺらな天板などで興をそがれることがない、この行き方は個人的に好きなものだ。120Wの出力を持ち、余計なスイッチは一切ない。ついているといえばサブソニックフィルターだけ。重厚な雰囲気。

音質の絶対評価:7

Lo-D HMA-8500

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ステレオで100W+100Wの出力、モノーラル接続で200W出力のパワーアンプである。スピーカー切替スイッチ、BTL接続スイッチがついている。大きなメーターをデザインの基調としたもので、無難なまとまりを見せている。あまり高い剛性感は感じさせないし、価格相応の仕上げだと思うが、押し出しはなかなか立派であり、使う喜びは味わえよう。ノンカットオフ・サーキットを採用している。

音質の絶対評価:8

アンプリトン TS5000

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 57W+57Wのセルフバイアス方式による管球式ステレオアンプで、生れはフランス。バルブ・セクションとトランス・セクションを二分し、バルブ・セクションのみブラック・メッシュのメタルフードをもつ。あとは、シャーシ、トランスカバーも、クロームメッキ仕上げだ。パワーはKT88のプッシュプルだ。いかにも管球アンプのファン好みの作りではあるが、緻密さに一つ欠けるのが惜しい。

音質の絶対評価:6.5

アムクロン M600

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 600Wのパワーを捻り出すモノーラルアンプだ。4Ω負荷なら1kWを軽く出す強力さである。もし必要とあれば、これを2台使用して8Ω負荷で2kWを出すM2000というモデルに発展する。各種の保護回路をみても、入力のプラグイン・ボードの差換えによる多目的使用への対応性からしても、完全にプロ仕様の製品だ。まず、6畳や8畳の部屋に置くことはあるまいから、デザイン云々の埒外であろう。

音質の絶対評価:6

アムクロン PSA2

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 250W+250Wのパワーアンプで、モノーラル仕様では800W(8Ω)出るという。冷却ファンつきだし、プロ用として、種々のプロテクターを備え、タフネスとミス・ユースに対処している。発光ダイオードのピーク・インジケーターを中心にデザインされた、メカニカルなパネルフェイスをはじめ、頑丈そのもののコンストラクションで、目的に叶った開発姿勢のうかがえるアンプ。その意味で信頼性は高そうだ。

音質の絶対評価:6

ケンウッド L-08M

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 L06Mの上級機種で、同じくモノーラルアンプである。170Wの出力を持ち、別売の追加電源が用意されているというユニークなものである。これによって、アンプの心臓を強化して音の品位を改善しようというマニアックなコンセプトである。もちろんシグマドライブを方式を採用している。デザインはユニークなもので、ゴム足がなかったらどう置いてよいか迷うだろう。好き嫌いは別として大変面白いし現代的で美しくもある。

音質の絶対評価:8.5

アムクロン DC300A IOC

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 プロ用のアンプだけあって、ミス・ユースに対する対策は万全である。ステレオで155W+155W、モノーラルで310Wのパワーを引き出せる。スピーカー切替はなく、左右独立でレベルコントロール可能である。パルス性雑音リミッターというユニークなノイズ・リミッターを持つのも、いかにもプロ用らしい。いかにも機械らしい飾り気のないもので、仕上げや作りは決して繊細ではなく、むしろ、あらあらしい。

音質の絶対評価:7.5

ケンウッド L-06M

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 トリオが力を入れているシグマドライブ方式のモノーラルアンプで、120Wの出力をもつ。DCアンプ構成で、内外ともに最新アンプらしい斬新な雰囲気をもっている。少々冷たく感じられるが、パワーアンプとしての一つの方向ではある。ただの立方体という味気なさを逆手にとってすっきりとまとめている。コントロール機能をもたないパワーアンプだから、こうしたコンセプトも否定できないだろう。もちろんメーターもない。

音質の絶対評価:8

プレシジョン・フィデリティ M-7

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 見るからに合理的に作られていて、このアンプメーカーの思想が手にとるようにわかる。まったくのブラックボックスで、目にとまるのは、パワースイッチのみ。中味も、きわめてすっきりした回路構成で、シンプル・イズ・ベストのコンセプトに基づいているハイブリッド・アンプである。出力段は6CA7のプッシュプルである。出力インピーダンスは4、8、16Ωに確実にマッチングがとれる。ユニークなアンプだ。

音質の絶対評価:7

エスプリ TA-N900

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ソニーの特別に高級なプレスティジ製品エスプリ・ブランドのパワーアンプだ。内容は別稿の通りかなりのもだが、見たところは、何の変哲もないぺたんこの金属箱で、夢や、使う喜びが感じられるものではない。2〜8Ω負荷に対して200W+200Wのパワーを保証したモノーラルアンプ。ノンスイッチングのA級パワーステージには、NFBも使っていない。電源はパルスロック型。内外ともにモダンで透徹なイメージのアンプ。

音質の絶対評価:9

パイオニア Exclusive M4a

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 M4をリファインしたモデルなので、マーケットにおけるキャリアの長い高級アンプ。A級で50Wのパワーだが、実力は相当なもの。緻密で美しい仕上げは、内外ともに高い次元の感じられる製品である。木枠に入った落着いたムードは、日本間においても違和感がなさそうなもので、いかにも日本の製品らしいキメ細かさをもっている。A級のため発熱が相当なもので、冷却ファンの音が気になるのが惜しい。

音質の絶対評価:8.5

マイケルソン&オースチン M-200

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 マイケルソン&オースチン・アンプ艦隊の旗艦である。200Wの大出力を誇るモノーラル管球パワーアンプ。シャーシはTVA1のものを利用しているが、これが片チャンネル分だけでぎっしりということからも、その重量ぶりが分る。回路はTVA10を発展させたものらしく、NFBをかけない独自の方式が採られている。これをステレオ用に2台並べてみると相当な迫力で、いかにも管球アンプ派をよろこばせそう。

音質の絶対評価:7.5

マイケルソン&オースチン TVA-1

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 同社の代表機種として、すでに多くの機会に紹介され好評のアンプだ。私もステレオサウンド誌上で何度も、そのよさについては書いてきた。70W+70Wのパワーは、このパワー管としてはマキシマム・パワーに近く、この点で耐久性が気にならないではないが、俗にいう管球アンプらしさを超えたパフォーマンスが魅力の製品。創りはしっかりしているが、仕上げは高いとはいい難いく、欲をいうと、もう一つ緻密な味わいがほしい。

音質の絶対評価:9

マイケルソン&オースチン TVA-10

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 イギリス生れの管球式アンプリファイアーで、出力は50W+50Wという値。これも、いまやマニア好みの管球式として貴重な存在だし、この上のTVA1と比較するとやや物足りないにしても、ファンには喜ばしい存在だろう。パワートランスとアウトプットトランスをシャーシ両端に配したマイケルソン&オースチン・アンプ共通のレイアウトをもち、ダストカバーは全体を覆う。よく選ばれたパーツによる、手造りのアンプらしい趣をもっている。

音質の絶対評価:7.5