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デイトンライト SPS MK3

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 滑らかで伸びやかな音をもつコントロールアンプである。
 聴感上の周波数レンジは、ローエンドとハイエンドを少し抑えたナチュラルなバランスをもち、低域は豊かで柔らかいが、かなりソリッドな面をもち、中域は硬質なタイプだがやや密度が薄く、前に張り出してくるだけのエネルギー感がないようだ。トータルバランスは、低域から中低域にエネルギー感が集まるため、充分に安定感があるタイプだ。
 音の表情はおだやかだが、適度の伸びやかさがあり、潜在的な力感がある。反応は標準的で、基本的なクォリティはかなり高い。音場感はナチュラルに広がり、音像はスピーカー間の少し奥に定位をする。

BGW Model 203

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 ウォームトーン系の柔らかく豊かな音をもった、かなりオーソドックスな音をもつコントロールアンプである。
 聴感上での周波数レンジは、ローエンドとハイエンドを少し抑えた印象はあるが、ナローレンジと感じるほどのものではない。
 リファレンスパワーアンプ♯510Mとの組合せでは、全体に音が一段と引締り、音の鮮度が高くなる。低域は適度のエネルギー感があり、中域は粒子が少し粗いが、滑らかに磨かれており、中高域から高域は、410との組合せから予想するよりも、かなりスッキリしている。音場感は標準的に広がるが、空間の広がりがスッキリとは抜け切れず、やや濁る面がある。

オーディオ・オブ・オレゴン BT2

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 独特の厚みがあり、緻密で濃縮された味わいの濃い音をもつ、ユニークなコントロールアンプである。
 聴感上での周波数レンジは、ローエンドとハイエンドを少し抑えた安定バランスであり、バランス的には中域にタップリとした量感をもち、音色はウォームトーン系の、豊かで密度が濃いタイプである。
 表情はおおらかで伸びやかさがあり、細やかさもかなりあるが、細部にこだわらず、余裕タップリに音を出す性格は、かなり大陸的な印象である。ステレオフォニックな音場感はよく広がるが、モワーッと広がる感じで、ホールトーンは充分にあるが、爽やかな空間の広がりとはいえない。

アムクロン IC-150A

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 おおらかでスケール感の大きな音をもつコントロールアンプである。
 聴感上での周波数レンジはややナローレンジ型で、ローエンドとハイエンドはかなり抑えているようだ。
 リファレンスパワーアンプ♯510Mとの組合せでは、全体に音が一段と引き締り、反応の早さが感じられるようになるのは、♯510Mのキャラクターが出ていると思う。低域は柔らかく豊かであり、中域以上でも音の粒子は粗粒子型だが、滑らかに磨かれており、予想よりも高質さは感じられない。高域は少しラフな傾向があり、弦楽器がメタリックになるが、トータルとしては低域とバランスを保ち、ある水準を維持する。

AGI Model 511

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 初期のソリッドでタイトな音にくらべると、かなり音の粒子が細やかで、表情がナチュラルで、洗練された滑らかな音を持つようになった。聴感上での周波数レンジは、かなりワイドレンジ型で、バランス的には中域がやや薄く、音色は明るく滑らかなタイプである。
 ステレオフォニックな音場感は、左右方向・前後方向のパースペクティブともに充分に広がり、スッキリとした広い空間の再現性がある。音像はかなり小さくまとまり、輪郭は細くシャープである。音像はスピーカー間のやや奥に定位をする。表情はナチュラルで活き活きとし、オーケストラのトゥッティでの音の分離は素晴らしい。

パイオニア Exclusive M4

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 ナチュラルで、明るく安定感のある、伸びやかな音のパワーアンプである。
 聴感上での周波数レンジは充分に伸びており、バランス的にはローエンドとハイエンドが少し抑えてあるような印象である。定格パワーは50W+50Wと、現在の水準からはローパワーであるが、4343をかなり鳴らせるだけの実パワーがあり、音の粒子が細かく、表情がみずみずしく、かなり反応が早い音を聴かせる。とかくこのタイプの音は、スケール感が小さくなるが、M4は充分なスケール感がある。ステレオフォニックな音場感は、大変にスッキリと広がり、パースペクティブを充分に、音像をクリアーにナチュラルに立たせる。

パイオニア M-25

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 コントロールアンプC21とくらべると、格段に音のクォリティが高いパワーアンプである。聴感上での周波数レンジはかなりワイドレンジ型で、バランス的には、低域が豊かで柔らかく、,中高域から高域にかけて、滑らかで粒立ちがよく、スッキリと明るい音をもち、いかにも現代のアンプらしい伸びやかさがある。中域は、この種のパワーアンプ共通の、やや薄く密度不足の面があるが、音の反応が早いために、とくに問題とするほどのことはない。ステレオフォニックな音場感は、左右方向・前後方向ともによく広がり、音像定位もかなりクリアーに立つタイプである。リファレンスのLNP2Lとは少しミスマッチの印象である。

パイオニア M-75

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 ガッチリと力強さを感じさせる、男性的なキャラクターをもつパワーアンプである。
 聴感上での周波数レンジは、ローエンドとハイエンドをシャープにカットしたかのような印象であり、バランス的には中域は量的に充分なものがあるが、低域は柔らかく軟調傾向が強く、中域以上ではやや粗粒子型で、ソリッドな音をもっている。
 トータルなバランスからみれば、リファレンスコントロールアンプLNP2Lとは、キャラクター的にかなりミスマッチのようで、より細やかでおとなしく、ソフトなコントロールアンプが応わしいようだ。パワーは充分に余裕があり、パイオニアのスピーカーではCS955がマッチしよう。

オンキョー Integra M-505

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 かなりオーソドックスなバランスの音をもつパワーアンプで、トータルの音のクォリティは、コントロールアンプのP303よりも、パワーアンプのほうが一段と高いようだ。
 スッキリと細やかな音で、エネルギー感、スケール感はさほど望めないが、トータルの音まとまりの良さが特長である。周波数レンジも広いタイプで、聴き込めば、中域の密度がもう少し欲しいことや、基本的に低域が甘く、中域以上がスッキリ型という音色の統一感でも問題も持ってはいるが、スッキリとまとまりよく音や音楽を聴かせる個性は、このパワーアンプの最大の魅力である。音場感は、かなりナチュラルに広がり、プレゼンスをよく聴かせるタイプだ。

ラックス MB3045

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 CL32との組合せでの音からくらべると、かなり活気があるクリアーな音である。聴感上での周波数レンジは、現在のパワーアンプの水準からすればやはり狭いが、中域の粒立ちがかなり明快であり、適度なエネルギー感があり、よい意味でのバンドパスフィルターとしてのアウトプットトランスのメリットが、音にあらわれている。
 全帯域にわたり音色は統一感があり、明るく伸びやかなタイプにコントロールされ、いわゆる管球アンプというイメージの生暖かい豊かな響きの音とはならず、スッキリと明快に、適度の反応の早さが感じられる音を聴かせる魅力があり、表情も活気があって、リッチなクォリティの高い音である。

ラックス 5M21

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 キャラクターが少なくソフト型だが、かなりオーソドックスな音をもつパワーアンプで、コントロールアンプ5C50よりも、トータルバランス、表現力、クォリティなどは、こちらのほうが一段と高いようだ。
 聴感上での周波数レンジはよく伸びていて、中域の量感がさして不足しないために、安定感がある、柔らかく豊かな音の魅力かある。ステレオフォニックな音場感は、このパワーアンプが間接音をたっぷりとつけた音を聴かせるタイプのため、全体の音源に距離感があり、スピーカー間の奥にゆったりと広がり、ホールトーンを豊かに雰囲気のある音に聴かせる。高域は少し粗粒子な面があるが、トータルクォリティは高い。

ラックス M-12

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 小粒な印象であるが、音の反応がかなり早く、いきいきとした音のパワーアンプだ。
 聴感上での周波数レンジは、スッキリと充分に伸びきった印象があり、低域はバランス的にというよりはエネルギー的に不足をするが、音の粒立ちがクリアーで、滑らかさも充分にあるため、軽快で、かなり小気味のよい音を聴かせる。4343は、小出力のパワーアンプではかなりドライブし難いスピーカーシステムだが、定格出力から予想したよりもパワー感があり、家庭用としてならあまり不足はないであろう。新しいタイプのアンプらしい、フレッシュで素直に音を出すところが、このM12の特長であり、よりマッチしたスピーカーで使いたくなる。

Lo-D HMA-9500

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 LNP2Lとの組合せでは、HCA7500との場合とは一変した、クォリティの高い、爽やかにスッキリと抜けた、キメ細やかな音である。聴感上の周波数レンジは充分に伸びており、バランス的にはよくコントロールされている。やや中域のエネルギー感が不足気味ではあるが、全帯域にわたり、音の粒子が細かく磨き込まれており、柔らかく滑らかで、スッキリとした音をもつ点では、出色のパワーアンプである。
 低域は柔らかく豊かなタイプで安定感があり、音の鮮度もかなり高く、表情もナチュラルでしなやかさがある。音場感は柔らかくスッキリと広がり、音像の定位・輪郭でも水準以上のプレゼンスがある。

Lo-D HMA-7300

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 HMA7500とくらべると、全体に音が引き締ったシャープさがあり、音に適度の厚みがある。聴感上で感じる周波数レンジは、かなりワイドで伸びており、バランス的には、低域が抑え気味で、ややハイバランス型に聴こえる。中域はエネルギー感もあり、粒立ちがクリアーで音色が明るく、良い意味でのソリッドさがある。中高域から高域は、音の粒子も細かいタイプで、クリアーである。低域は、最近のアンプは全般的に柔らかく豊かな音をもっているが、このアンプは、音の芯がクッキリと引き締った、腰の強い音をもつのが特長である。ある程度以上に音量を上げて聴くと、かなり反応が早く、シャープな音の魅力が出てくるアンプである。

Lo-D HMA-7500

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 かなりオーソドックスにつくられたパワーアンプである。
 聴感上で感じられる周波数レンジは、現在のセパレート型アンプの平均よりも、むしろナローレンジタイプにまとめてある。そのため、とかく中域で薄くなりがちな傾向がなく、硬質さを抑えたニュートラルな感じである。そのため、音にある種の活気があり、柔らかさもあって、プログラムソースやコントロールアンプのデメリットを抑え、おだやかな音として聴かせる。
 このパワーアンプの安定したキャラクターは、セパレート型アンプに個性を求めるとなると、やや不満があるが、良い意味でのプリメインアンプの持つ信頼性の高さが特長だ。

ダイヤトーン DA-A15DC

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 このパワーアンプは、いわゆるDCアンプらしい聴感上のレスポンスがワイドレンジ型とならず中域のエネルギー感が充分にあることが特長である。この中域のエネルギー感があることと、このクラスのパワーアンプとしては充分にパワフルであるため、音像定位はかなりクッキリとし、左右のスピーカー間の少し前にまで出てくる。ステレオフォニックな音場感は、かなりナチュラルである。バランス的にはローエンドが量的に充分あり、音色が少し暗く、その上の低域がやや薄いようだ。中域は厚みがあり、かなり表情もある。これに対して、中高域から高域は、基本的には明るい音色をもつが、音の粒子は少し粗粒子型である。

ダイヤトーン DA-A10DC

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 シリーズ製品のパワーアンプA15DCと比較すると、このA10DCのほうが、聴感上での周波数レンジが、かなりワイドレンジ型で伸びており、音のクリアーさ、特に、中高域から高域にかけての細やかさ、滑らかさで優れ、トータルのクォリティも高いように感じる。
 バランス的には、低域が、やや豊かで柔らかく、中域は量的に抑えられているが、音色は柔らかく、明るいタイプである。
 音場感は、左右のスピーカーの少し奥に引っ込んで広がり、音像はA15DCよりも大きく、輪郭はソフトになる。スケールは小さいが、素直で、柔らかく滑らかに磨かれた音が、このパワーアンプの個性である。

デンオン POA-1001

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 聴感上の周波数レンジは、特にワイドレンジタイプではなく、ハイエンドとローエンドは少し抑えたバランスである。音色的にも、とくに欠陥を感じやすい低域が、中域・高域と統一がとれているのは、このパワーアンプの特長である。
 LNP2Lとの組合せでは、おだやかな性格ながら色付けが少なく、コントロールアンプのキャラクターを素直に聴かせるが、中域の音の緻密さがもう少し欲しい気がする。また、音場感は、左右のスピーカー間の少し奥に引っ込んで広がり、音像の定位感は少し甘めで、輪郭のシャープさがいま一歩である。これで、音の表情に一段と活気が加われば、優れたパワーアンプになるだろう。

デンオン POA-1003

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 上級機種のPOA1001よりも、スケール感はひとまわり小さくなるが、音の反応が早く、機敏な音を聴かせる点では、このパワーアンプのほうが一段上である。
 聴感上の周波数レンジは、かなりワイドレンジタイプで、パワーが充分にあるともいえないため、音量を上げて聴く場合には中域の緻密さが不足気味となり、低域の質感が柔らかくなり、間接音成分が多く、スッキリとしない音となる。しかし、平均的なリスニングルームの音量程度では、スケール感は小さいとはいえ反応が早く、軽快さが感じられ、音場感がナチュラルに広がる特長が、セパレート型アンプらしい個性として、このPOA1003の魅力となる。

オーレックス SC-77

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 マーク・レビンソンLNP2Lとの組合せでは、音の厚みが加わり、低域の伸びや中域の薄さがかなり改善された、バランスの整った音になるが、まだ音楽に対する働きかけがパッシブな面が残っており、実体感の薄い音である。しかし、このSC77は、特定のキャラクターが少なく、素直でよくコントロールされたアンプであることは、充分にわかる音だ。
 音像定位はかなり安定し、音像は一段と小さくなって、標準的な大きさである。音像の輪郭もかなりシャープである。また、ステレオフォニックな音場感でも、SY88との組合せよりも、前後方向のパースペクティブが感じられるようになる。

アキュフェーズ M-60

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 マーク・レビンソンLNP2Lとの組合せでは、かなり硬質でタイトな音となり、300Wのパワーのゆとりを活かしたスケールの大きさがあまり感じられない。M60のペアとしては、LNP2Lはマッチせず、音の傾向から推測すれば、今回の試聴した製品のなかでは、マッキントッシュC32あたりが応わしいコントロールアンプとなるだろう。C220では、EMTの入力は結果としてM69に直接入るために、これをベースとすると、M60は、引き締ったかなりタイトな音をもつアンプだということがわかる。いわゆるハイパワーアンプにありがちな散漫さがなく、整然と音を整理しソリッドに聴かせるところが特長である。

アキュフェーズ P-300S

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 150W+150Wクラスのパワーアンプとしては、トータルバランスがとれたスタンダードな性質をもつアンプである。
 マーク・レビンソンLNP2Lとの組合せでは、C200Sとの場合よりも、音の鮮度が一段と高くなったクリアーな音を聴かせる。低域がバランス的に少し抑え気味のようで、かなり引き締っているが、豊かさはもう少し欲しいようだ。この面からは、大型スピーカーを使い、かなり音量を大きく再生したときに、適度のバランスがとれるタイプのアンプのようである。音の粒子は、最新のアンプのような微粒子型でなく、聴感上で中域が薄く感じられないところが、このアンプの特長である。

ヤマハ C-2

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 ソリッドで引締った硬質の魅力をもつコントロールアンプである。
 聴感上の周波数レンジは、ナチュラルに伸びており、バランス的には中低域が少し薄めであり、音色では、低域がやや甘く、柔らかく、中域から高域は粒立ちがカッチリと引締った硬質な魅力がある。音の表情はややマジメ型で、音を整理して聴かせる傾向がありながら、音の表現力はかなりのものがある。
 付属のMC型用ヘッドアンプは、MC20では柔らかい低域をベースとした、細やかな表情を感じさせる音であり、103Sでは、ナチュラルにレスポンスが伸びた、滑らかで細かいおとなしい響きのキレイな音である。

ビクター EQ-7070

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 反応が早い、シャープで細やかな音をもつアンプである。聴感上での周波数レンジは、かなりワイドレンジ型で伸び切っており、バランス的には、低域が柔らかく少し重いタイプで、中域は少し密度が薄く、中高域には硬質な面が潜在的にあるようだ。表情は、豊かで活気があり、音場感はやや奥に引っ込んでナチュラルに広がり、パースペクティブをもかなり聴かせる。音像はかなりよくまとまり、定位はクリアーである。
 付属のMC型用ヘッドアンプは、MC20では低域から中低域が豊かで余裕があり、中高域から高域もナチュラルで細やかである。103Sでは、キャラクターが少ない、伸びやかで細部を充分に引き出す音が気持よい。

ビクター P-3030

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 活気がある,華やいだ雰囲気の音をもつコントロールアンプである。聴感上での周波数レンジは、あまりワイドレンジ型でないが、かなりナチュラルに伸びており、バランス的には、低域は豊かで柔らかく、少し軟調であり、重さが感じられる。中域は硬質な面があり、低域とバランスしてこのアンプのキャラクターとなっている。
 リファレンスパワーアンプ♯510Mとの組合せは、やや相乗効果的なミスマッチが感じられ、予想よりも中域が粒立たず、低域が尾を引いたように、鈍く大味で散漫な印象となってしまう。むしろM3030とのペアのほうが、音が決まり、一種の個性的な音となるようである。