Category Archives: コントロールアンプ - Page 26

デンオン PRA-1000B, POA-1000B

岩崎千明

サウンド No.7(1976年発行)
「岩崎千明のグレート・ハンティング これだけは持ちたいコンポ・ベスト8(アンプ編)」より

 デンオンはこの数年来、高級プリメインアンプでもっとも成功しているブランドだ。昨今話題となっているステレオ右、左のクロストーク特性においても、製品の新型に2電源トランスを用いてアピールしている他のメーカーのような処置は何んらとっていないのだが、実際にはデンオン・ブランドのプリメインアンプのクロストーク特性ほど優れて、2電源の他社製をはるかにしのぐ。ステレオ初期から「ステレオ」用としての基本特性である左右セパレーションを重視しているから当り前であって、何をいまさらというのが、デンオンを作る日本コロムビアのメーカー側の言い分だ。当然である。
 コロムビアの昔の製品に「ステレオ・ブレンド・コントロール」というつまみが付いていたが、左右を混ぜてステレオからモノーラルの間を可変にし、2つのスピーカーの間の拡がりを変えているわけだが、こうしたステレオコントロールを付けるには、始めからステレオのクロストークを十分良くしておかなければならず、それがデンオンアンプのステレオ用としての優秀性を築いてきたのだろう。
 このように基本特性の優秀性はデータの上にはすぐ出てこないけれど、本当のアンプの良さを示すものといえよう。話題になって初めて、ある部分がクローズアップされる。本当に良い製品は、こうした部分的な面が解析されると、すでに手を打ってあって、いつの時代でも優秀性がくずれない。デンオンの新しい管球アンプ1000シリーズは、管球という昔ながらのディバイスを再認識して現代の技術で作り上げた高級品といわれる。つまり、トランジスタ技術を活用した新しい時代の管球アンプなのである。
 だから6GB8という超高性能高能率パワー管を採用し、100ワットという驚くべき出力をとり出し、しかも最新トランジスタアンプ並みの高い電気的特性を保っているだろう。その音は、無機的といるほど透明感があふれ、常識的な管球アンプの生あたたかい音では決してない。プリアンプを含め、いかにもフラット特性の無歪の道のサウンドスペースを創っているといえそうだ。

ヤマハ C-2, B-2

岩崎千明

スイングジャーナル 4月号(1976年3月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より

 市場の数ある高級セパレート・アンプの中で高い評価を得たひとつにヤマハCIとBIのペアを上げるのは妥当であろう。V−FETという現代的なデバイスを基にした技術がアピールされたパワー・アンプBI。至れりつくせりのフル機能の内側をそのままのパネル、デザインの豪華にして、ぜいたくなプリ・アンプCI。ともに「豪華型」において、ひとつのはっきりした特長をズバリと明確にし、ユーザーにポイントをはっきりと把握させることができた点がひときわぬき出た成功の源動力となったといえよう。それというのもこれだけ大きく取り上げて謳い上げ得る特長を持ち、それを外観的デザインに完成させた。
 ところで、こうしたBI、CIの初期段階での華麗なる成功があっただけに次なる豪華型アンプはひどくむつかしくならざるを得ない。大スターのあとに続くスターは、前者を乗り越えなければ成功につながらない、という宿命を内蔵し、それが思い通りに事の運ばぬ大きな理由ともなるものだ。
 ヤマハのC2、B2は、こうした点でCI、BIよりもはるかに試練を受けるべき立場にある。CI、BIの成功が大きければ大きいほど、こうした宿命ともいうべきものを背負ってしまうということになるのである。
 C2、B2はこうした背景のもとに早くから多くの関係者から強く期待され、その期待は時とともに高まった。
 そのヤマハのC2、B2がやっと姿をあらわした。
 ごく一部に片鱗が伝えられていた通りに、C2はCIとはすべての点で、まったく違っている。フル機能ともいい得るほど、考えられるすべての使用用途に応じられるスイッチ類や、コントロール類を盛り込んだCIに対して、C2はすべての点で簡略化されている。外観的にも、C2は高さ8センチにも満たない超薄型の形態にまとめられて、デザイン以上に構造上からもユニークだ。
 プレイヤーがそのまま乗りそうな大きな上面パネルは、側面と一体で全体の強度の中心となっていて、分厚いダイキャストの引きぬきだ。
 全体は上品な艶消しの黒で仕上げられでいるが、ともすると重い感じに陥りがちなこのイマージュを、ケースの縁との断ち落されたようなシャープなラインが外側を囲むように包んでいて、この鮮かなカットが現代的な感覚を強めているため、全体としてスッキリとした格調の高いイメージを強く訴えている。
 裏ぶたを取ると単純化された回路ブロックごとに整然とした配列が、大きなプリント基板の上に見られ、その細かなパーツは整然と並んで僅かの乱れもみせない。回路の部品点数こそ多くないが、そのひとつひとつが大変高い精度であることは、パーツの外観からも確かめられる。数少ないスイッチやコントロール・ボリュームも密閉式であったり、スイッチの接点の金属の輝きにも厳選された高級品としての格調がはっきりと認められるのも、ヤマハの超高級アンプらしい。
 こうした細かいひとつひとつの積重ね、集積がその全体のサウンドの上にも如実に表われているのは響きの澄んだ冴え方から判断できる。
 単純化イコール純粋というパターンの典型が、このC2のすべてでもある。アンプの電子回路的な見地からもパーツからの視点でも、さらにその創り出すサウンドの世界からもこのパターンをはっきりと聴くものに知らされるのだ。CIとの比較試聴がこの特長をひときわきわだたせる。つまり、CIが至れり尽せりの回路の完全性で、非のうちどころのないサウンドとして我々を驚かせるのに対して、C2は自然感そのもの、ナチュラルな響きと素っ気ないまでの素直なことこのうえないスッキリした再生ぶりだ。すっかり賛肉を取去ったこのC2こそ、まさに現代ハイファイが求める音の方向なのだ。
 C2に多くを語ったためB2へのスペースが少なくなってしまったが、そのV−FET出力回路の技術はBIからの直系のもので、特に中出力(といっても100W十100W)の実用的高出力でゆとりをもって鳴らすさまは、BIと置きかえても羞を感じさせないほどの再生クォリティーといってよかろう。
 願わくは、この日本の誇る豪華型アンプがより多くの方の耳にいっときも早く達することを。

ラックス C-1010

井上卓也

ステレオサウンド 38号(1976年3月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ラックスの新しいソリッドステート・コントロールアンプは、そのモデルナンバーと外観からも判るように、既発売のC−1000コントロールアンプに続く機種で、いわゆる性能を落したジュニアタイプではなく、発表された規格を見てもまったく同等で、いわば実戦型のニューモデルだ。
 フロントパネルで、C−1000と変った点は、ボリュウムコントロールのツマミについていたタッチミュートが除かれた点で、これに伴って、タッチミュートのインジケーターランプがなくなっている。
 回路構成は、高域のリニアリティの改善と安定性とSN比の向上を狙った設計で、イコライザーが、ディファレンシャル・ダイレクトカップル方式と呼ぶ差動1段で、出力段がA級インバーテッド・ダーリントン接続のプッシュプル構成でテープデッキを負荷しても性能が落ちない特長があり、歪率が0・006%と低い。中間アンプも、イコライザーと同様な考え方のカスコーデッド・ダイレクトカップル方式であり、トーンコントロールは、LUX方式NF型だ。フィルターアンプは2石構成の定電流駆動のエミッターフォロワーで、不要な場合は信号系からカットされる。

マランツ Model 3600, Model 250M

マランツのコントロールアンプModel 3600、パワーアンプModel 250Mの広告
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

マランツ

マークレビンソン LNP-2

瀬川冬樹

月刊PLAYBOY 7月号(1975年6月発行)
「私は音の《美食家(グルマン)》だ」より

アメリカには、超弩級のマニアがいる。マーク・レヴィンソンもそのひとり。まだまだ納得がいかないといいながら、世界最高のプリアンプをつくった。
黒ヒョウを思わせるパネル前面に並ぶ無数のツマミは、ただひたすら、カートリッジがひろった音を、忠実無比にスピーカーに送りこむ。このプリアンプあってこそ、カートリッジもスピーカーも、その真価を発揮するといえる。ビューティフルなメカが、ハッピーなサウンドを生む好例だ。アメリカ、マーク・レヴィンソンLNP2(プリアンプ)108万円。

マークレビンソン LNP-2

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 きめ細かなゲイン調整と、トーンコントロール、それにピーク指示のできる精密音量レベル計など、JC2より音質はやや甘いが機能的にずっと充実している。しかし高価だ。

パイオニア Exclusive C3

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 海外の高級品と比べてもひどく高価で、単純に価格、性能比を考えれば割高には違いないが、長期に亘ってモニターした結果、音質、操作性とも相当に優秀だと思った。

パイオニア SC-3000

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 いまとなっては回路構成やその他に少々古めかしさが感じられるが、内容や仕上げのよさを考えると、いまやこの価格では単体の高級プリアンプとしては格安の印象を受ける。

マークレビンソン JC-2

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 ひとつひとつの音が実にかっきりと鮮明で、入ってきたあらゆる信号を細大漏らさず忠実に増幅しているという印象。SNも優秀。ばかげて高価だがほかにこういう音質はない。

ラックス CL30

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 先にキットで発売されたので、単に同じものと誤解する人が多いらしいが、パーツの一部をはじめとしていろいろ改良されて別のものになっている。CL35/IIIよりも質的に優秀。

QUAD 33

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 性能もデザインも実にユニークで洒落ていてこういう製品が存在することがうれしくなる。とうぜん、パワーアンプの♯303、チューナーのFM3と組み合わせるべきである。

プリアンプ/パワーアンプのベストバイを選ぶにあたって

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 セパレートタイプはどうしても割高につくのだから、デザインや操作性や大きさを含めた置きやすさや、機能の豊富さあるいは独自性、そして最も重要な音質の良さ、などのどれかの項目で、プリメイン一体型ではできない何か、がなくては困る。ところがプリメイン型の性能がエスカレートしてきたために、一体型で達成できない項目が減ってしまい、セパレートであることの意味あいが薄れはじめている。この辺でそろそろ、メーカーにはセパレートの意義を洗い直して発想の転換を試みるよう望みたいところだ。

ソニー TAE-8450

菅野沖彦

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 ピークメーターをはじめ、コントロールアンプとしての機能の充実をユニークなデザインでまとめあげた製品。透明で歪感のない音は純度が高く優れたプリアンプだ。

トリオ Supreme 700C

菅野沖彦

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 明るく中域の充実した音が最大の特長で、ピアノや、ジャズに朗々とした屈託のない響きで応えてくれる。高級プリアンプとしての機能は万全。オーソドックスなデザイン。

オーディオリサーチ SP3

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 ブラックとゴールドに染めわけたパネルフェイスも個性的なら、ソリッドステート全盛の現在、米国で使われた管球タイプであるのも面白い。日本的管球アンプでない音が特長。

ラックス CL35III

菅野沖彦

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 数少ない管球式プリアンプとして貴重な存在。練られた機能と使い勝手、明解で豊かな音をきかせてくれる魅力的な製品だ。音の出方に軽やかさと立体感がある。

SAE Mark IB

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 整然とレイアウトされたコントロール類の機能美は印象的である。芯のしっかりした鋭角的な音は、適度の陰影を伴って端正さを感じさせ、こだわりのないのが好ましい。

マークレビンソン JC-2

菅野沖彦

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 とてつもない値段で、こういう趣味的製品が出てくるところが面白い。買う買わぬは別として、このような製品の存在が是非あってほしいという意味でとりあげた。

マランツ Model 3600

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 内容、外観ともに従来のマランツの枠を破ったような印象の新製品である。いわゆるマランツファンには不満もあろうが、時代性を備えた製品化は見事といってよいだろう。

マークレビンソン JC-2

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 近代プリアンプの動向を見、近代的プリアンプの動向を見事に結実させた機種である。ローレベルが美しく、音の色彩感が、これほど豊かに表現されるアンプはないだろう。良い意味での手づくりの味だ。

マッキントッシュ C28

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 確立したマッキントッシュサウンドと、安定したパフォーマンスをもった定評のあるプリアンプである。ややもすれば標準機種と考えやすいが、伝統的な個性派の音である。

ラックス CL30

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 やや、従来のラックス製品からみれば、型やぶりのデザインをもっている。しかし、わずかに傾斜したフロントパネル、デリケートさを感じさせるコントロール類などは美しい。

QUAD 33

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 大型の傾向が著しい国内製品群からみると、実にコンパクトで、楽しい機種である。メカメカしいオーディオではなく、音楽を、くつろいで聴くためには素敵なアンプである。

マッキントッシュ C28

菅野沖彦

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 肉付の豊かな暖かい音でありながら、分解能も優れた音楽表現をよく伝えるプリアンプ。美しいイルミネーションのパネルも、一層この製品の魅力を高めている。

QUAD 33

菅野沖彦

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 このプリアンプを選んだ最大の理由はデザインの魅力だ。むろん、性能が著しく悪くては困るが、まずまず中級の中味。持つ喜び、使う楽しみの味わえる愛すべきプリだ。