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タンノイ Arden MKII

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

使用ユニットがHPD385Aから新開発のフェライト磁石採用の3828に代わった、あまりにも定評が高いアーデンのMKIIだ。低域は従来より引締まり、中域以上もキャラクターが抑えられスムーズな音に発展した。

BOSE 901 SeriesIV

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

小口径全域用ユニットを9個、コンサートホールの直接音と間接音の比率と同等に前方1個、後方8個に分散配置した独特なボーズ博士の理論に基づいて設計された製品。小型ながらフロアー型に匹敵する迫力と音質が魅力。

Lo-D HS-90F

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

壁面という無限大バッフルを前提として昨年いちはやく、平面振動板採用の大型システムHS10000を完成したローディが大型ブックシェルフ型としてまとめた平面振動板3ウェイシステムである。

ヴィソニック Expuls 2

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

ダヴィッドシリーズの超小型システムで他の追従を許さぬ性能と音質を聴かせたヴィソニックがフロアー型に挑戦した第1弾製品だ。Expuls2は、3モデル中の中間機種で、十分にコントロールされたリッチな音が特長。

ハーベス Monitor HL

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

BBC研究所で話題のポリプロピレンコーンを開発したハーウッドが設立したハーベス社の第1弾製品。20cmのポリプロピレン低音とオーダックス製高音の2ウェイであるが、反応が早く、鮮鋭な音をもつ点では最高峰。手造り的な仕上げも見事。

JBL 4311B

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

JBLがフェライトマグネット使用に踏切る原因となった高性能SFG方式のウーファーを採用したプロモデルの第1弾製品。中高音ユニットもリファインされ、粒立ちが細かく力強い。

ビクター Zero-7

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

ユニークな卵型エンクロージュアと平面振動板ユニット採用の標準スピーカーを開発した技術をブックシェルフ型に導入した平面振動板ユニットとリボントゥイーターの4ウェイシステム。シャープで繊細な音が聴かれる。

テクニクス SB-10

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

リニアフェイズを提唱するテクニクススピーカーにとって、平面振動板ユニットは、好適な材料だ。特殊なハニカムコアの使用法により、振動板の固有音が抑えられ、フラットで力強い音が聴かれる。

パイオニア S-933

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

S955のトーンポリシーを受け継いだ標準的なサイズのブックシェルフ型3ウェイ。新開発ベリリウム振動板のドーム型中音とリボン型高音ユニットはつながりがよく、滑らかで美しい音が特長。

オンキョー MONITOR 100

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

大きな許容入力と微小入力からの直線性、広帯域かつ広いサービスエリアを目的として開発されたモニターの名称をつけた新製品。重量級の低音、チタン・カーボン複合中音とチタン高音ユニットだ。

JR JR-150

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

水平指向性が優れた円筒型エンクロージュア採用でユニークなジムロジャースのの第2弾製品。ウーファーは、並列駆動となり、ドーム型高音も強力型に変わった。

ビクター S-W300

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

キュービックなユニークなデザインにまとめられたスーパーウーファー。30cmユニット前面にはフィルター兼プロテクター板があり背面には38cmパッシブラジエーター付。想像以上の重低音の魅力だ。

デンオン SC-306

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

端正にまとまった音をもつSC106をベースにフレッシュアップした新製品。コーン型3ウェイの使用ユニットはデンマークのピアレス製で定評が高く、聴かせどころを捕えたシステムアップで表現力は新鮮で豊か。

KEF Model 303

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

新しいシリーズに置き換えられたKEFのスピーカーシステムのなかでは、もっとも小型な製品である。20cmウーファーとドーム型トゥイーターの2ウェイで、柔らかく伸びやかな低音と透明な高音だ。

サンスイ SP-511

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

オーソドックスに30cm低音ベースにコーンがたでまとめた3ウェイ。バッフルボードは低音の振動で中高音の汚れを防ぐ特殊構造設計。分散配置でJBL的手法を駆使したネットワークで音は新鮮。

トリオ LS-202

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

振動分割型バッフル構造、独立配置型ネットワーク、新ホモゲン材エンクロージュアで優れた音場再生能力をもつ製品。

ヤマハ NS-100M

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

ブックシェルフ型の原点に戻って開発された完全密閉型アコースティックサスペンション方式3ウェイシステム。活気がある低域と滑らかで透明なソフトドームの音が特長。

ダイヤトーン DS-32B

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

優れたバスレフ型の設計では定評がある伝統的な技術を活かし、コーン型3ウェイとしてまとめた製品。クリアーでフラットに伸びたレスポンスと明解な音像定位が特徴。

ソニー SS-R5

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

この価格帯では数少ない大口径30cmウーファーにアコースティックレンズ付きバランスドライブ型トゥイーターの組合せによる2ウェイシステム。スケール感が十分にあるパワフルで明るいサウンドだ。

マークレビンソン ML-6L

瀬川冬樹

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
特集・「第2回ステート・オブ・ジ・アート賞に輝くコンポーネント17機種の紹介」より

 マーク・レビンソンというアメリカ人の若いエンジニア──といっては正しくない。彼はまたミュージシャンでもあり、録音ミクサーとしても一流の腕を持っているのだから──の完璧主義ぶりについては、いろいろの機会にすでに紹介されている。そして、その彼の作ったコントロールアンプLNP2(L)と、それをいっそうシンプルにしたML1Lが、他に類のない透明な美しい音を聴かせることも、いまではよく知られている。
 LNP2は、1973年にはじめて発表された。彼はその発表に先立つ少なくとも2年以上まえにその原型をほとんど完成させていた。が、発売後も彼は持ちまえの完璧主義で、LNP2に随時改良の手を加えていた。マーク・レビンソンのしプが、発売後ほとんど同じモデルナンバーで売り続けられているために、レビンソンはモデルチェンジをしないメーカーだと一般には理解されているが、実際には彼のアンプは、もう全く別のアンプと言ってよいくらい、内部の回路も使用パーツも、とうぜんその音質も、変ってしまっている。最新型のLNP2Lと初期のLNP2を聴きくらべるとそのことがよくわかる。初期の製品を、最新型とくらべると、ずいぶん音が曇っているし硬い。反面、最新型にくらべて音の肌ざわりがどこか暖かいとかえって旧型を好む人もあるが。
 そういうアンプの作り方をするレビンソンの、現時点での最新作が、このML6で、シャーシから電源まで完全に独立したモノーラルのプリアンプだ。したがってステレオ用としては二台を重ねて使う。とうぜんのことながら、すべてのコントロールは、LR別だから、ボリュウムも二つを同時にまわす。といってもこれは実際には意外な難作業だ。というのは、このプリアンプでボリュウムを絞って聴きたいときのボリュウムコントロールの位置は、絞り切った点からほんのちょっと上げただけのあたりに最適位置があって、そういうポジションでステレオの二台の音量を正確に合わせるというのは、ひどく難しい。
 ただし、コントロールのツマミはこれ以外にはもう一ヵ所、入力切替スイッチしかついていないから、ボリュウム以外には操作のわずらわしさはない。とくに入力切替は、フォノとライン(AUX)の中間にOFFポジションがあるから、レコードのかけかえ等にいちいちボリュウムを絞る手間は省ける。とはいっても、レコード一枚ごとの音量を小まめにやりたい私のような人間には、このボリュウムの操作は気が狂いそうに難しい。
 だいたいこのML6というアンプは、音質を劣化させる要素をできるだけ取り除くという目的から、回路の簡素化を徹底させて、その結果、使いやすさをほとんど無視してまで、こんにちの技術水準の限界のところでの音質の追求をしている製品だけに、そういう事情を理解しない人にとっては、およそ使いにくい、全く偏屈きわまりないプリアンプだ。個人的なことを言えば、私はレコードを聴くとき、できればトーンコントロールが欲しいほうだから、本来、こんな何もないアンプなど、使う気になれないというのが本心だ。
 そうでありながら、このML6の鳴らす音を一度耳にした途端から、私はすっかり参ってしまった。なにしろおそろしく透明で、素直で、音の表情を素晴らしくナイーヴに、しなやかに、鳴らし分ける。どこか頼りないくらい柔らかな音のように初めのうちは感じられるが、聴いているうちに、じわっとその音のよさが理解されはじめ、ふわりと広がる音像の芯は本当にしっかりしていることがわかる。こういう音を鳴らすために、いまの時点でこういう使いにくさがあるとしても、こりゃもう仕方ないや、と、いまやもうあきらめの心境である。
 しかしレビンソンが菜食主義であるせいだろうか、彼の音には、こってりした、とか、たっぷりと豊かな、とか言う形容の音がない。そこが、レビンソンを嫌う人の少なくない点だろうか。

SUMO The Power

菅野沖彦

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか(下)最新セパレートアンプ25機種のテストリポート」より

「ザ・パワー」とはよくつけた名前である。設計製作者のジム・ボンジョルノは、かつて、アンプジラを、テァドラを世に出した男で、アンプ作りの天才ともいわれるが、そのネーミングのセンスの奇抜さからも想像できるように、きわめて個性的な発想の持主だ。エンジニアとして型破りのスケールの大きな人間味豊かな男である。音楽好きで、自ら、ピアノを弾き、アコーデオンを奏でる。その腕前はアマチュア域を越えている。そして大変な食い道楽であり、ワインには滅法うるさい。話し出したら文字通り口角泡を飛ばして、止まるところを知らない情熱家だ。
 その彼が、新たに設立したスモ・エレクトリック・カンパニーから発売した一号機が、この「ザ・パワー」である。400W/チャンネルの大出力アンプであるがその内容もユニークだ。フォア・クォドラント差動平衡型ブリッジ回路という、このアンプの構成は、スピーカーをつないで鳴らしてみれば納得せざるを得ない。今までにない強力なパワーアンプなのである。スピーカーというものの実体を正しく把握して、スピーカーを勝手に動作させない……つまり、あくまで、スピーカーに与えられる音声エネルギーに忠実にスピーカーが動くように、いわば強制的にドライヴするアンプといってよいだろう。そのインピーダンスの周波数による変化や、振動板の動きから生じる慣性に影響されることなく安定して動作するアンプが、ボンジョルノの開発のポイントであった。アンプ内の回路構成はバランス型で、入力から出力まですべてブリッジアンプ構成とし、その4隅から同時にフィードバックをかけることにより、スピーカーをプラス側だけからドライヴするのではなく、マイナス側からもドライヴするべく、スピーカー端子にプッシュプル・フィードバックをかけるという考え方である。新開発のパワートランジスターをはじめ、使用パーツは入念にセレクトされ、そのほとんどが、米国軍用規格適合品を使い、シャーシはユニークなモノコック構造で組み上げられている。4組の独立電源部と10組の安定化電源、電圧・電流値・位相・温度の変化を自動検出し、異常時には100ナノセカンドの高速で回路をシャットしてアンプを保護する保護回路などを装備した超弩級のアンプである。かなりの大型のボディだが、重量は比較的軽く36kgである。大胆な外観からすると内部の作りは緻密で美しい。設計者自身、理屈より音だという通り、この「ザ・パワー」の音が、何よりも雄弁に、その名前の正当性を証明してくれるであろう。
音質について
 このアンプの音は、ひかえめにいっても、今までに聴いたことのない力と豊かさに満ちている。しかも、決して荒さや、硬さを感じさせるものではない。音としては、妖艶といってもよい。脂の乗った艶と輝きをもち、深々とした低音の魅力は他に類例のないものだといってよい。試聴に使ったJBL4343は、まるでブックシェルフの小型スピーカーのように手玉にとられ、アンプの思うように自由に鳴らされる、といった感じである。この、かなり個性と主張の強いスピーカーが、名騎手に乗り馴らされた荒馬のように素直に整然と鳴らし込まれてしまうのである。他のチャンスにアルテックのA5を鳴らした時もそうだった。あのA5から信じ難いほどの太く豊かで、深い低音が朗々と鳴ったのである。今回の試聴でも、ベース奏者が、他のアンプで聴くよりずっと指の力が強く、楽器を自在にコントロールしているように聴えた。中域から高域にかけても、常に肉のついた豊かさと血の通いが失せない。ヴァイオリンの高域のデリカシーということになるとやや大把みだが、しなやかで暖かい。

JBL 4333A

菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より

 最もオーソドックスな3ウェイモニタースピーカーだ。音はあくまで精緻で正確無比、それでいて音楽の味わいを聴かせてくれるところが、やはりJBLの持っている良さである。

SAE Mark 2600

菅野沖彦

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか(下)最新セパレートアンプ25機種のテストリポート」より

 大掴みには立派な音で、明解な音像の鳴らし分け、ワイドレンジのスケールの大きなハイパワー再生と、豊かな能力をもった優れたアンプである。細かく聴くと、弦楽器に、どこか不自然な質感があること、ピアノの粒立ちがもっと細やかで冴えてほしいとこと。

パイオニア PL-L5

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 世界初のリニアモータードライブのリニアトラッキングアーム採用のマニュアルプレーヤーシステムPL−L1の開発に代表されるように、パイオニアは、一般的なオフセット型アームに比べて基本性能が一段と高いリニアトラッキング型アームを採用したプレーヤーに意欲的であるが、今回発売されたPL−L5は、リニアモータードライブ、リニアトラッキングアーム採用の電子制御フルオートプレーヤーシステムである。
 ターンテーブルは、独自のクォーツPLL・DCホール素子切替型で、モーター軸受を重心に近づけたSHローター方式のモーターで駆動される。
 トーンアームは、リニアモーター駆動でSN比が高く、ショートアームのため等価質量が少なくトラッカビリティが高い特長がある。オート機構はIC制御型でリピートは盤面上で再リードインするクイックリピート型。モーターとアームはサブシャーシーに固定され、これをスプリングとダンパーゴムでダイキャストベースからフローティングしたコアキシャルサスペンション方式だ。

マランツ Model Sm1000

菅野沖彦

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか(下)最新セパレートアンプ25機種のテストリポート」より

特徴
 マランツといえば、その名は泣く子もだまるオーディオ界の名門。ソウル・マランツの手を離れ、広くバラエティに富んだ製品が、このブランド名の下で作られるようになった現在だが、トップエンド製品では、その血統を受けついだ優れた製品が作り続けられていることは喜ばしい。パワーアンプも、♯500、♯510は長くリファレンスアンプとしての信頼を維持してきたことは御存知の通りである。そのマランツから今度新しく発売されたSm1000は、現時点での新しいテクノロジーにより、400W/チャンネルのステレオパワーアンプで、同社のプレスティッジ製品としての力の入れようが理解出来る力作といえる。マランツの名声を受け継ぐことは名誉であると同時に重荷でもあるはずだが、この製品、決してそうした期待を裏切るものではない。もともと、ソウル・マランツはインダストリアルデザインに手腕を発揮した人だけに、そのデザインイメージの継承も、現在のマランツ・メンにとって大きな負担であるだろう。ゴールドパネルを基調とした高いクォリティは、往年のオリジナルモデルと同種の品位は感じられないにしても、よく、マランツのイメージを活かしていると思う。
 このSm1000は、オーソドックスなパワーアンプといってよく、その構成は、かつて、二台のモノアンプをドッキングしてステレオ構成とした♯15などのオリジナルにならい、左右独立構成をとっている。800VA容量のカットコア・トランスと20000μFの大容量コンデンサー2本をそれぞれのチャンネルに使った信頼感溢れる電源部を基礎に、全段プッシュプル構成のパワーブロックは透明で暖かいサウンドクォリティを保ちながら400Wの大出力をひねり出す。NF量も比較的少なくして、これだけのクォリティを得たことにも、音質重視の設計思想が理解できるだろう。スピーカー端子もダイレクト・コネクトで、保護リレーは使っていない。スピーカー保護は、一側フューズを切断する方法である。よく選び抜かれた素子やパーツを使い高い安定性を確保したDCアンプといえよう。
音質について
 音質は、大変ウォームな肌ざわりを持ったのだ。ゴールドフィニッシュの外観からは、もっと華麗な音が想像されるが、鳴らしてみると、しっとりと落着いた柔軟な音に驚かされる。ピアノには、もう一つ、しっかりした芯のある粒立ちが欲しいという気がしたが、しなやかなヴァイオリンの魅力にはうっとりさせられた。甘美な個性ととれなくもないが、決して、その個性は癖というほど強いものではない。むしろ、これは、レコードの個性を素直に再現した結果と思われる。とかく、冷たい、ガラスを粉々にしたような鳴り方になりがちな大聴衆の拍手の音を聴いてみたが、このアンプでは決してうるさくならず、自然な拍手の量感が得られた。オーケストラもウィーン・フィル特有の繊細で艶のある、滑らかな弦の音がよく生きて楽しめた。
 ジャズでは400W/チャンネルの力感を期待したが、それは、やや肩すかしを食った感じであった。JBLの4343が、どちらかというと、きれいに鳴らし込まれる方向であった。ベースは明快によく弾むのだが、もう一つ豊かさが出てほしいし、チャック・マンジョーネのブラスには、もっと輝きのあるパンチの利いた音が欲しかった。400Wを量的に期待した話ではなくその音質面での力感が、少々物足りなかったのである。「ダイアローグ」のベースとドラムスのデュオにおける、バスドラムのステージの床に共鳴するサブハーモニックス的量感ももう一つ大らかにどっしりと、床の広さを感じさせるような響きが欲しかったと思う。