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KEF Model 105.4, Model 103.2

KEFのスピーカーシステムModel 105.4、Model 103.2の広告(輸入元:BSRジャパン)
(オーディオアクセサリー 21号掲載)

KEF105

KEF Model 105.4

井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 KEFが、1976年夏のシカゴのCESでプロトタイプとして発表した105は、フロアー型スピーカーシステムに要求される技術的な要素を独創性のあふれたデザインにまとめあげた特異な存在の製品であった。今回、発表されたMODEL105・4は、105の子供に相当する位置づけにあり、より安い価格帯の製品でありながら、出力音圧レベルを向上。当然のことながらMODEL105の特長をすべて受け継いだ注目の新製品である。
 フロアー型のエンクロージュアは、内容積40ℓの密閉型。低音用と、上部に乗った独自のピークレベルインジケーター兼最適聴取位置を指示するリスニングウインドウ付の中音と高音用の独立した8・5ℓの密閉型エンクロージュアの2重構造を採用。上部の中・高音用は上下方向に首を振り、聴取位置の調整が可能の設計である。
 ユニット構成は、口径20cmのベクストレンコーン採用のB200ユニットを2個直列接続で使用するパラレル駆動ウーファーをベースに、口径11cmベクストレンコーンとPVCロールエッジ、直径25mmボイスコイル採用のB110スコーカーと、口径2・5cmドーム型T33トゥイーターの3ウェイ方式である。
 ネットワークは、この製品で最も興味深い点だ。その第一は、スピーカー入力端子直後に480μFの超低域カット用コンデンサーが使用してあることであり、その第二は、中音用の能率を向上する目的でローカット用Lを利用したオート・トランス方式である。その他、中音のハイカット以外はすべて18dB/oct型であることも国内製品と比較して変っている点といえるだろう。
 付属機構の主なものは、聴取位置に座り、視覚的にスピーカーの音の主軸をチェックするリスニングウインドウと200W入力時に点灯するピーク表示を兼ねたLEDインジケーターと過大入力保護用S−STOPプロテクターがある。なお、取扱説明書は詳細をきわめ、部屋の設置例やスピーカーコードの長さと太さの相関関係など親切なハウ・トゥが記されている。
 柔らかく伸びやかな低域をベースに少し抑え気味の滑らかな中域と繊細な高域がバランスしプレゼンス豊かな音が105・4の特長である。使用アンプは音場感の優れた現代型アンプが105・4のマストである。

KEF Model 105 SeriesII

菅野沖彦

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 KEF105IIは、ユニークな形状のリニアフェイズ・スピーカーで、ステレオフォニックな定位感や拡がり、奥行きといった、レコード録音の特質を忠実に再現する。高域にやや小骨っぽさがあるのが時として気になるが、バランス、質感ともに現代第一級のシステムといえる。

KEF Model 105 SeriesII

黒田恭一

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 鮮明な音をきかせる。ひびきはきめこまかくもある。それはそれで大変にすばらしいことだ。ただ、たとえば、❷のレコードなどをきくと、ピアノをひきながらうたっているグルダの、声の方が前にでて、ピアノの音が後にひっこむということがおこる。そういうきこえ方が、とりもなおさず、このスピーカーの特徴をあきらかにしているようだ。つまり、つぶやくようにうたわれた声の提示は、このスピーカーの得意とするところだが、力強い音の提示は、かならずしも得意とはいいがたいということだ。声でも、❸のレコードでの、はった強い声は、いくぶん硬めになる。しなやかな、きめこまかい音を求めるむきには、このスピーカーの音は歓迎されるにちがいないが、音楽を支える強い力がどうしても必要だと主張する人は、ものたりなさを感じるのではないか。筋金入りの音をここできくのはむずかしい。

総合採点:7

試聴レコードとの対応
❶HERB ALPERT/RISE
(好ましい)
❷「グルダ・ワークス」より「ゴロヴィンの森の物語」
(ほどほど)
❸ヴェルディ/オペラ「ドン・カルロ」
 カラヤン指揮ベルリン・フィル、バルツァ、フレーニ他
(物足りない)

KEF Model 105 SeriesII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 数ヵ月前から自宅でリファレンス用として使っているので今回の試聴でも物差しがわりに使った。とくに、音のバランスが実によく練り上げられている。しかしこのスピーカーの特徴を聴くには、指定どおり、いやむしろ指定以上に、中〜高音域ユニットと聴き手の関係を、できるかぎり正確に細かく調整する必要がある。左右のスピーカーの正しい中央に坐り、焦点が合うと、スピーカーの内中央に歌い手が確実にそしてシャープに定位し、たとえば歌手の声(口)の位置と伴奏との、音源の位置──左右、奥行、そして(信じ難いことだが)高さの相違まで、怖いようなシャープさで鳴らし分ける。ただこのスピーカーの音色は、やや抑制の利いた謹厳実直型、あるいは音の分析者型、で、もう少し色っぽさやくつろぎが欲しくなることがある。また、ポップスではJBL的なスカッと晴れ渡った音とくらべると、ちょっと上品にまとまりすぎて物足りない思いをする。それにしても、価格やサイズとのかねあいで
考えれば、たいした製品だ。

総合採点:10

●9項目採点表
音域の広さ:9
バランス:10
質感:9
スケール感:8 
ステレオエフェクト:10
耐入力・ダイナミックレンジ:8
音の魅力度:9
組合せ:やや選ぶ
設置・調整:やや難し

KEF Model 105 SeriesII

菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 建築制限を受けて建てられたマンションのような形をした独特なシステムで、30cmウーファー、11cmスコーカー、5・2cmトゥイーターの3ウェイ3スピーカーシステム。各ユニットの位相を合わせるためのスタイルだが、あまり美的とはいえない。リスニング・ウィンドー・インジケーターがついていて、聴取位置にユニットの方向を正しく合わせるようになっているなど、いかにもマニアックな考慮がふんだんに払われた製品だ。音は立派なものである。エネルギーバランスは全帯域が落ち着いたバランスにまとまり、オーケストラの響きは堂々たるもの。各楽器や音楽の性格も大変よく再現し、雰囲気の豊かな生き生きとしたプレゼンスが得られる。気になる点は、ヴァイオリンの音がややきつく耳を刺す傾向のあることだ。ごく高い倍音領域の再生に精緻なきめの細かさが不足する。弦の高音が刺激性をもっていながら、細かい音色の味わいがなく、大味なのである。高音域の質感がより自然になれば、個人的にも好きになれるだろう。

総合採点:8

Speaker System (accurate sound)

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「第3項・アキュレイトサウンドはさらに二つの方向に分類される」より

 正確な音の再現を目ざして作られたスピーカーは、「モニタスピーカー(26項参照)」と名づけられた製品に多い。こんにちそれらの中でも世界的によく知られ、評価の高い製品として、たとえばJBLの♯4343や、KEFの♯105、あるいはヤマハNS1000MやテクニクスのSB7000などが例にあげられる。
 ところで、スピーカーに加えられた入力信号にできるかぎり忠実な再現、といっても、現実には、それがさらに二つの方向に分かれる。それは、音楽がすぐ眼の前で演奏されている感じが欲しいのか、それとも、良いホールのほどよい席で──演奏者から距離を置いて──聴く感じが欲しいのか、という問題だ。
 たとえばいま例にあげたスピーカーの中でも、JBLやヤマハは、どちらかといえば眼の前で演奏されている感じになるし、KEFやテクニクスは、ほどよい距離で聴く感じのほうに近づく。
 いうまでもなくこうした違いは、スピーカーの音よりもむしろレコードの録音の段階ですでに論じなければならない問題だが、しかし同じ一枚のレコード再生しても、スピーカーによって右のような違いを微妙に感じとることができる。ということは、原音、というイメージのとらえかたにも、大別してそのような二通りの態度がある、ということになるだろう。
 音を作る側、それを再生するパーツを作る側に、そうした態度の違いがあるのなら、とうぜんのことに、聴き手の側にも、そのいずれを好むかという好みの問題、ないしは音の受けとめかたの問題が出てくる。
 くりかえしになるが、眼の前で演奏している感じ、演奏者がそこにいる感じ、楽器がそこにある感じ、言いかえれば、自分の部屋に演奏者を呼んできた感じ、を求めるか。それとも、響きの良いホールないしは広いサロンなどで、ほどよい距離を置いて、部屋いっぱいにひろがる響きの美しさをも含めて聴く感じ、言いかえれば、自分がそういう場所に出かけて行って聴く感じが欲しいのか──。
 こうした違いを自分の中ではっきり整理しておかなくては、自分の望む音のスピーカーを的確に選びだすことが難しい。
 あまり高価でも大型でもないが、スペンドール(イギリス)のBCIIというスピーカーは、右の分類の後者──適度の距離を置いて美しい響きをともなって聴く感じ──の性格を色濃く持っている。だからもしこのスピーカーに、眼の前で演奏するような音の生々しさを求めたら、おそらく失望してしまう。ある人は「ピアノの音がひどくてがっかりしました」という。それは、ピアノをすぐそばで聴く感じを求めたからだ。逆に、演奏会場でのピアノを聴き馴れた人は、このスピーカーに大層満足する。
 部屋の条件という面からこのグループ──アキュレイトサウンド──のスピーカーに共通して言えることは、棚にはめ込んだりしないで周囲を適度にあけて、スピーカーがその性能を十二分に発揮できるように、設置の方法をいろいろくふうする必要のあることだ。つまりインテリア優先の場合には、避けたい──とまでは言いすぎにしても、このグループはあまり適当でない。あくまでも、シリアスな鑑賞のためのスピーカーだ。

KEF Model 105(組合せ)

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「第16項・KEF105を生かす組合せ例」より

 JBL4343のところであげた8、9、10項の組合せ例が、このKEF105にもほとんどそっくりあてはまることをまず言っておいて、ここではそれ以外の組合せ例をもう少し追加してみる。それには二つの方向が考えられる。
 第一は、音の謹厳な分析者、という感じの、言いかえれば聴き手にさえ真面目な鑑賞者としての態度をとらせてしまうような厳格な鳴り方を、いくぶん和らげながら、できるかぎり音楽の表情を楽しく聴きとれるような方向に調整してゆくような組合せ。
 第二は、KEF105のどちらかといえばクールな、すっきりした音の味わいをそのまま生かしてゆく方向。
 第一の方向としては、できるだけ音のニュアンスの豊かな、そして105の持っている音を露わにしない上品さを損ねないような、アンプやカートリッジを選びたい。そこでアンプはオンキョーのP307とM507。カートリッジにはデンオンのDL303を組合わせる。チューナーが必要なら(オンキョーにはこのシリーズとデザインの合う製品がないので、色やサイズのよく似た)テクニクスの38Tを持ってくる。この38のシリーズは、38R、38Pと組合わせてロータリーアンテナを自動制御したり、留守録音の可能なテープデッキと組合わせれば一週間分の番組をプログラムできたりという、マイコン内蔵ならではの機能を発揮させることもできる。
 このまま、カートリッジにもっと味の濃いEMT(XSD15)や、オルトフォンSPU−GT/E(このカートリッジの使えるようにアームを調整することが必要──第三章74項参照)や、エラック(エレクトロアクースティック)STS455E、555Eを追加すると、いっそう幅広く楽しめる。
          ※
 第二の方向としては、ラックスが、〝ラボラトリーシリーズ〟の名で発売している一連のアンプを主体にしてみる。このアンプの開発の意図やその音質が、ある意味でKEF105の目ざす方向と一脈通じているからだ。プリアンプの5C50、トーンコントロールアンプの5F50、パワーアンプの5M21、それにFMチューナーの5T10。5F70は好みに応じて省略してもよいし、パワーアンプにモノーラル構成のB12を2台使うのもよい。チューナーはもっと複雑なシンセサイザー方式の5T50もある。そしてこれらのすべてが、同じ寸法のモジュールに作られていて、積み重ねたり、ラックマウントもできる。
           ※
 JBLの4343では、おもにアンプの部分でのローコスト化をはかる組合せ例をあげたが、それは4343が、非常に幅の広い能力を持っていて、スピーカーに比較して多少性能の見劣りするアンプでも、その能力をスピーカーのほうがカバーしてくれたからだ。しかしKEF105の場合には、原則として、アンプに上のような高級機を組合わせないと、その性能が十分に生かされない。アンプのグレイドの差を、このスピーカーはそのままさらけ出してしまうからだ。

スピーカーシステム:KEF Model 105 ¥185,000×2
コントロールアンプ:オンキョー P-307 ¥220,000
パワーアンプ:オンキョー M-507 ¥270,000
チューナー:テクニクス 38T ¥65,000
マイコムプログラムユニット:テクニクス 38P ¥80,000
プレーヤーシステム:デンオン DP-50F ¥98.000
カートリッジ:デンオン DL-303 ¥45,000
計¥1,148,000

スピーカーシステム:KEF Model 105 ¥185,000×2
コントロールアンプ:ラックス 5C50 ¥160,000
トーンコントロールアンプ:ラックス 5F70 ¥86,000
パワーアンプ:ラックス 5M21 ¥2400,000
チューナー:ラックス 5T10 ¥108,000
ターンテーブル:ラックス PD121 ¥135.000
トーンアーム:オーディオクラフト AC-3000MC ¥65,000
カートリッジ:オルトフォン MC30 ¥99,000
ヘッドアンプ:オルトフォン MCA76 ¥58,000
計¥1,321,000

KEF Model 105

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「第15項・KEF105 イギリスを代表するアキュレイトサウンド」より

 前項、前々項で例にあげたスペンドールのBCIIよりは、もっと厳格にアキュレイトサウンドを目指したイギリスのスピーカーとして、KEFの105をあげることができる。KEFのこのシリーズは、ほかにもっと小型、ローコストの103、ブックシェルフ型の標準的サイズの104aBの二機種があり、105とあわせて〝リファレンスシリーズ〟と名付けられている。リファレンス(引き合いに出すというような意味、つまりこんにちの水準の中でのひとつの尺度として使えるほどの性能、ということをあらわしている)と名づけるほどの自信作で、実際、このシリーズは、こんにち最尖端の精度の高い測定技術によって、スピーカーとしては最も高い水準の特性データを示す。そういう客観的な手段で分析しても、このスピーカーは最もアキュレイトな(正確な)再生をすると、KEFは自慢する。事実、KEF105をベストコンディションで鳴らしたとき、レコードの録音のとりかたのディテールまで明らかに聴きとれるし、したがって、ソロ・ヴォーカルの録音の良いレコードをかけると、前後左右にひろげて置いたスピーカーのちょうど中央──つまり何もない壁のところ──に、独唱者がこちらを向いて立っているかのような現実感をさえ、このスピーカーは聴き手に感じさせる。
 だがそれでいて、たとえば前述のJBL4343がときとして聴かせるショッキングなまでの生々しい、ときには鋭くさえ思える音、あるいは後述のウーレイ(UREI)の朗々をとどこまでも伸びていく輝かしい響き、などのアメリカの音にくらべると、どんなに生々しくリアルな音を鳴らしてみてもやはりどこかイギリス流の、音をむき出しにしない、そしてどこかほんのわずかな翳りを感じさせるような、いわゆる渋い肌ざわりの音で鳴る。同じように音の正確(アキュレイト)な再現を目ざしてさえ、聴けば聴くほど、アメリカとイギリスの違いが、どんなスピーカーの音にもあらわれていることが少しずつわかってくると、その点がまたとてもおもしろくなってくる。そして、自分の求める音の方向とそういうニュアンスが、完全に合わなくては結局満足がゆかないことに気づいてくる。もっともそういう私自身、自分の好みをいまだにどちらともきめかねて、つねに身近に、アメリカ型とイギリス型の、二つのタイプの音を置いて楽しんでいるのだけれど……。
 ともかくKEF105はそういうスピーカーだ。そしてもうひとつ、たとえばBCIIと比較すると、こちらのほうが、音の厳格な分析者(アナリスト)という印象になる。BCIIの音が全体にたっぷりした響きをともなうのに対して、KEF105は、むしろそうした余分の音をスピーカー自体でつけ加えるようなことがなく、あくまで客観的に、冷静に、レコードに録音された音は、ほら、こうなんだよ、と言っている感じで鳴る。
 このスピーカーは、ネットをはずすと、中〜高音のユニットが、聴き手に対して最適の方向に角度を調整できるようになっている。スイッチを切り替えて、赤いインジケーターをみながら調整する。言いかえればこのスピーカーは、ステレオ音像が焦点を結ぶ一点に、聴き手が正しく坐って聴くことを要求する。その意味でも、とても厳格な音の分析者だろう。

KEF Model 105

菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より

 音像・音場再現という点で優れたリプロダクションが得られるスピーカーだ。さすがに専門メーカーのキャリアがうかがえる実力派のシステムといえよう。

EMT 927Dst, TSD15, XSD15, KEF Model 105, Model 104aB, UREI Model 813, K+H OL10, スチューダー A68, B67

EMTのアナログプレーヤー927Dst、カートリッジTSD15、XSD15、KEFのスピーカーシステムModel 105、Model 104aB、UREIのスピーカーシステムModel 813、K+HのスピーカーシステムOL10、スチューダーのパワーアンプA68、オープンリールデッキB67の広告(輸入元:河村電気研究所)
(ステレオ 1979年2月号掲載)

Kawamura

KEF Model 105

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

敬愛してやまないレイモンド・クックのスピーカー設計理論の集大成。

KEF Model 105

黒田恭一

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より
スピーカー泣かせのレコード10枚のチェックポイント50の試聴メモ

カラヤン/ヴェルディ 序曲・前奏曲集
カラヤン/ベルリン・フィル
❶細く、薄いひびきのピッチカート。もう少し音に力があってもいいだろう。
❷低音弦のスタッカートならではの力が感じとりにくい。ひびきが遠い。
❸特徴あるひびきの提示は鮮明だが、力のある音がほしい。
❹第1ヴァイオリンの艶のあるひびきはなかなか魅力的だ。
❺クレッシェンドへの対応のしかたは充分だが、もうひとつ力に不足する。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番
ブレンデル/マリナー/アカデミー室内管弦楽団
❶ピアノの音像はふくらまず、くっきり定位してこのましい。
❷あざやかに対比させてこのましい。ひびきに深みがほしい。
❸「室内オーケストラ」ならではのひびきの軽やかさへの反応がいい。
❹ひびきは、細く、薄くなりがちだが、しなやかさを失わないのがいい。
❺木管楽器のひびきへの対応は大変にいい。

J・シュトラウス:こうもり
クライバー/バイエルン国立歌劇場管弦楽団
❶声のなまなましさを、キメこまかに示す。定位もいい。
❷言葉のたちあがり方がいい。人物の動きも鮮明だ。
❸声とオーケストラのひびきのとけあい方は自然だ。
❹はった声が、硬くはならないが、薄くなる。ニュアンスに欠ける。
❺オーケストラと声のバランスに無理がない。

「珠玉のマドリガル集」
キングス・シンガーズ
❶上下のバランスがよく、すっきりときこえる。定位もいい。
❷声量をおとしても言葉が不鮮明にならないのはいい。
❸残響が充分に切りおとされているので、すっきりと細部が示される。
❹ソット・ヴォーチェでの各声部のからみは明瞭だ。
❺自然にのびて声のしなやかさを明らかにする。

浪漫(ロマン)
タンジェリン・ドリーム
❶対比は必ずしも十全とはいいがたいが、まずまずだ。
❷奥の方でのひびきの広がりはきわめていい。
❸軽く、色にすれば青い色がこきみよく浮きあがる。
❹前後のへだたりは充分で、広々としている。
❺ピークでの力不足は明らかで、迫力に欠ける。

アフター・ザ・レイン
テリエ・リビダル
❶ひそやかなひびきの奥の方でのひろがりは美しい。
❷❶との音の質的・性格的対比が充分とはいいがたい。
❸このひびきの特徴を充分に示しているとはいいがたい。
❹このましく光って、ここでのアクセントたりえている。
❺うめこまれてはいないが、エフェクティヴとはいいがたい。

ホテル・カリフォルニア
イーグルス
❶12弦ギターのひびきの特徴は示すが、全体的なサウンドは薄味だ。
❷個々のひびきが分離してきこえ、厚みを感じさせにくい。
❸ひびきの切れはいいが、力強さに不足している。
❹ドラムスの音色的な特徴はいいが、力感という点でたりない。
❺バック・コーラスでの声の重なり方をよく示す。

ダブル・ベース
ニールス・ペデルセン&サム・ジョーンズ
❶音像としてのまとまりはいいが、迫力がたりない。
❷オンのなまなましさを十全に伝えきれていない。
❸音の尻尾に対しての反応のしかたは、甘い。
❹シャープに対応できているが、力強さに欠ける。
❺音像的な対比の面ではまずまずというべきだろう。

タワーリング・トッカータ
ラロ・シフリン
❶アタックに充分な強さがないので、切れこみが弱くなる。
❷浅いひびきで、力が不足するために、つっこみがたりない。
❸横にはひろがるが、前に進む力がたりない。
❹奥へのひきはとれているが、トランペットのひびきは刺激的になる。
❺ひびきが総じて腰高なために、めりはりがつきにくい。

座鬼太鼓座
❶充分な距離感を示しえている。ある種のなまなましさがある。
❷尺八の音色的な特徴に対しての反応は、このましい。
❸一応ききとれはするものの、ひびきの輪郭はぼける。
❹どう考えてもスケールゆたかとはいいがたい。
❺硬質なひびきの特徴をよく示して、有効だ。

KEF Model 105

瀬川冬樹

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より

 一年以上まえから試作品を耳にしてきたが、さすがに長い時間をかけて練り上げられた製品だけのことはある。どんなプログラムソースに対しても、実に破綻のない、ほとんど完璧といいたいみごとなバランスを保っていて、全音域に亘って出しゃばったり引っこんだりというような気になる部分はほとんど皆無といっていい。いわゆるリニアフェイズ型なので、設置および聴取位置についてはかなり慎重に調整する必要がある。まずできるかぎり左右に大きくひろげる方がいい。少なくとも3メートル以上。スピーカーエンクロージュアは正面を向けたままでも、中音と高音のユニットをリスナーの耳の方に向けることができるユニークな作り方だが、やはりウーファーごとリスナーの方に向ける方がいいと思う。中〜高域ユニットの垂直方向の角度も慎重に調整したい。調整がうまくゆけば、本当のリスニングポジションはは、ピンポイントの一点に決まる。するとたとえば、バルバラのレコードで、バルバラがまさにスピーカーの中央に、そこに手を伸ばせば触れることができるのではないかと錯覚させるほど確かに定位する。かなり真面目な作り方なので、組合せの方で例えばEMTとかマークレビンソン等のように艶や味つけをしてやらないと、おもしろみに欠ける傾向がある。ラフな使い方では真価の聴きとりにくいスピーカーだ。

KEF Model 105(組合せ)

瀬川冬樹

世界のステレオ No.3(朝日新聞社・1977年冬発行)
「 ’78のために10人のキャラクターが創る私が選んだベスト・コンポーネント10」より

 聴き手(リスナー)の前方、左右2ヶ所に設置された1対のスピーカーから、もしも理想的にステレオの音の再生されるのを聴けば、ただの2点から音が出ているとはとうてい信じ難いほど、あたかも歌手はそこに立って唱っているようだし、ピアノトリオはおのおのの楽器が実際に、右、左、中央と並んでいるかのよう。オーケストラを鳴らせば、広いホールに管弦楽団が奥行きさえともなって並び、前方の空間いっぱいにひろがり、満ちあふれ、まるでスピーカーの背面の壁がくずれ落ちて、その向う側にほんとうに演奏会場が現出したかと錯覚するくらいにリアルなプレゼンス(臨場感=あたかも聴き手が実演の場に臨んでいるかのような感じ)が得られる。
 ただし、そういう感じを体験するには、かなり理想的に作られたスピーカーを用意し、そのスピーカーをよく生かすアンプリファイアーやレコードプレーヤーを慎重に組合せ調整し、そして前後左右に少なくとも2.5メートル以上ひろげたスピーカーから、同じ間隔ほど離れて中央(左右のスピーカーから等距離)のところに座って聴く、という条件を守ることが最少限必要になる。むろんレコードも、音楽的に優れていると共にステレオの音場再現に気を配って録音されたものを選ぶ必要もある。
 KEF105は、上記の聴き手(リスナー)との関係位置の配慮されたスピーカーで、グリルクロスを取ると、中〜高音用のハウジング中央に、聴き手との関係位置調整用のインジケーターランプが点灯するようになっていて、スピーカーを正しく耳の方向に調整できるようになっている。このスピーカーの指定する聴き方を守るかぎり、従来聴き馴れたレコードのすべてを、もういちど全部聴き直してみなくてはならないと思うほど、レコード音楽の新しい世界を聴かせてくれる。「’78のために」というテーマに推すゆえんである。

スピーカーシステム:KEF Model 105 ¥195,000×2
コントロールアンプ:ラックス 5C50 ¥160,000
パワーアンプ:ラックス 5M20 ¥210,000
トーンコントロールアンプ:ラックス 5F70 ¥86,000
ターンテーブル:ラックス PD-121 ¥135.000
トーンアーム:SME 3009/S3 ¥65,000
カートリッジ:エレクトロ・アクースティック STS455E ¥29,800
計¥1,075,900

マランツ Model 1030, Model 105

マランツのプリメインアンプModel 1030、チューナーModel 105の広告
(ステレオ 1972年12月号掲載)

marantz