瀬川冬樹
ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より
前号でも価格のランク別に推薦スピーカーを列挙したが、それとは別に、無条件で推薦できる製品として、前回はセレッションのDITTON66をあげた。同じ意味で今回のテストからあげるなら、JBL♯4343とKEF♯105をためらわずに推す。この二つのどちらか、あるいは両方があれば、私自身はこんにち得られるレコードのどんな新しい録音でも、そこから音楽の内容を聴きとることに十分の満足をもってのぞむことができるし、これらのスピーカーがあれば、アンプやカートリッジの音質の判定にも相当の自信をもつことができる。言うまでもないことだがこのどちらも、いわゆるモニター仕様で設計されて、こんにちの時点でそれぞれ(少なくとも商品として)最高のレベルで完成している優れたスピーカーといえる。無条件で、と書きはしたが、しかし、いま「少なくとも商品として」と断ったように、大きさや形や価格の制約の中で作られる、言いかえれば個人が時間も規模も経済性も無視して作りあげるスピーカーとは違う現実の製品としては、やはり価格のランクの中で、という前提を忘れるわけにはいかない。
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そこで前回に準じて、価格帯別に推薦機種を列挙してみる。
■30万円台以上の中から
JBL L200B クラシックには少し苦しいが、ポップス、ジャズに関するかぎりやはり素晴らしい音で楽しませる。
オンキョー セプター500 国産の大型としてはたいへんに完成度が高い。
これ以外に、ヤマハFX1は試聴記にも書いたように、もう少し量産が進んでからの結果を見守りたい。
■20万円台の製品から
タンノイ ARDEN
■18万円付近の中から
インフィニティ QUANTUM4
ダイヤトーン DS90C
■10〜15万円まで
スペンドール BCII
ルボックス BX350
■8〜10万円
エクスクルーシヴ♯3301
次点としてマランツ ♯920
■5万円前後
B&W DM4/II
BSW(ボリバー) MODEL18
デンオン SC105
■4万円前後
サンスイ SP−L150
ダイヤトーン DS30B
■ミニスピーカーグループの中から
これはテストしたスピーカーすべてが、それぞれに良かった。
ロジャース LS3/5A
スペンドール SA1
JR JR149
ヤマハ NS10M
なおテストリポートには掲載されていないが、参考品として試聴した十数機種の中で、イギリス・ロジャースの新製品「コンパクトモニター」は、バランスの良い響きの美しさがとても印象深かった。同社のBBCモニターLS3/5Aのような緻密さには及ばないが、反面、大きさで無理をしていないせいか鳴り方にゆとりがあり、クラシックの弦を中心にとても楽しめるスピーカーだと思ったので、あえて追記させて頂く次第。
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