瀬川冬樹
ステレオサウンド 44号(1977年9月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(上)」より
このメーカーの製品は、置き方(台や壁面)にこまかな注意が必要で、へたな置き方をして評価すると、このメーカーからは編集部を通じてキツーイお叱りがくるので、それがコワいから、できるかぎり慎重に時間をかけてセッティングした……というのは冗談で、どのスピーカーも差別することなく、入念にセッティングを調整していることは、ほかのところをお読み下さればわかっていただけるはず。
さてHS530は、本誌で標準に使っている約50cmの台では、少々高すぎのようで背面を壁にぴったりつけても、もう少し低音の量感が欲しく思われたので、約20cmの低い台に代えて、背面はやはり壁につける形に設置した。もう少し台を低くして低音をいっそう補いたかったが、そうすると中~高音のバランスがくずれるので20cm台であとはアンプのトーンコントロールで、ほんの少し低音を増強ぎみにセッティングした。こういう形で低音を補強しても、低音がブーミングを生じたりせずに、パワーを上げても全音域でよくバランスを保って、にごりのないきれいな質の高い音を鳴らす。まじめな性格の音なので、アンプもCA2000のようなタイプの方が統一がとれる。
空間的な広がりや響きを表現しにくいが、しかし直接音成分自体は、相当にきちんと鳴らすタイプで、そういうせいかカートリッジもシュアーのV15/IIIをよく生かした。
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