ヤマハ NS-L325

井上卓也

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 プリメインアンプを完全に一新したニューラインに発展させたヤマハから、スピーカーシステムの新顔が一機種発売された。
 モデルナンバーに、同社で初めてアルファベット文字を付けた、NS−L325は開発に着手してから3年以上の年月が、かけられたとのことで、プロトタイプ段階から数えても18ヶ月という機関が費やされたという。ローコストに新しい需要層を開拓した、NS451が発売された当時から予測として、1ランク上の価格帯に、仮称NS651が発表されるのではないかという声もあったが、おそらく、NS1000、NS690IIという正統派のシステムと新しいサウンドを求めた、NS451、NS500の接点として、予定したシステムが、発展して、この新システムとなったのではないだろうか。
 構成は、3ウェイ・3スピーカーシステムであるが、各ユニットには、現在までのヤマハのシステムに原点を見出すことができるタイプが採用されている。ウーファーは、25cm型で、NS500系と思われるユニットであり、スコーカーは、12cmコーン型でバックキャビティ付きの新ユニットである。また、トゥイーターは、NS690/690II系の23mm口径で、タンジェンシャルエッジまでを一体成型したソフトドーム型である。なお、ウーファーの磁気回路には、アルニコ系磁石とセンターポールに低歪化、インピーダンスの平坦化のため、銅キャップ処理がおこなわれている。
 エンクロージュアは、バスレフ型で、材料に高密度パーティクルボードを使い、バッフル版で18mm、他の部分は、15mmの板厚があり、仕上げは、シャイニーオークだ。
 このシステムは、タップリと量感のあるやや柔らかい低域をベースとし、活発で、輝きがある中高域が巧みにバランスした音である。中域は、3ウェイらしくエネルギーがあり、明快であるが、緻密さが、もう少しあってもよいように思う。全体の音色は明るいタイプで若々しい印象がある。

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