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テクニクス FF-253 (Technics 100P)

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 アームが横にスライドするという驚くべき機構で、アームの理想的動作がこのプレイヤーで初めて成功された。このクリティカルなスライド・メカニズムが、この価格で製品としてあることは、マニアにとって嬉しい。この事実は松下のハイファイ界における大きな布石となることも確かだ。

ティアック TN-60

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 高級テレコの専門メーカーのプロ級ターンテーブル。強力なトルクの8極モーターを2個そなえた高級メーカーにふさわしい製品。モーターが強力なためか、モーターそれ自体の振動が、やや大きいのが目立つが、業務用の目的として十分の仕様は魅力で、マニアに愛用者が少なくない。

東京サウンド SV-1

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 サウンドのMC型の好評に乗って、ベルト・ドライブ・メカニズムのターンテーブルと、ヘッドアンプ、オルトフォン・タイプのアームとの組合せによる超高級プレイヤーが出た。カートリッジ・メーカーとして初の製品だが、その高性能ぶりは専門メーカーたるにふさわしい。もう少し豪華なデザインが欲しかった。

コーラル CP-701

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 総合ハイファイ・メーカーとしてののれんをかけた高級プレイヤー。市販プレイヤー中でも最高性能のアームとIM型カートリッジは、ベルト・ドライブの高級ムードのターンテーブルとともに、すぐれたデザインでまとめられている。キー・スイッチ式の切換入力も扱いやすく、豪華な高級品だ。

マグネフロート MFD-202

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 プロ級ベルト・ドライブ専門のマグネフロートの新型は、流行のモーターボードを備えた大型のフラット・スタイル。特に大きな変化はないが、2・6kgと更に重いターンテーブルでSNが一段と改善された。

パイオニア MU-41

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 この所、急速に評価を高めてきたのがこのパイオニアの41。この精巧は、試用されているモーター自体の驚くべき静かなことにある。市販製品中でもひときわ優れたSN比は、海外一流品とくらべてもひけはとらない。しかもフラット・スタイル、大型ボードにまとめられて魅力十分。価格も手頃で、どんなマニアに対しても推薦されるに足る国産品だ。

ソニー PUA-237, PUA-286

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 国産市販アーム中、最高価格のアームだが、その価格だけの諸特性と精巧でユニークなアクセサリーが魅力だ。超軽針圧用ながら、ガッチリした機構と、工作、そして十分吟味された材料と仕上げの良さがよく溶け合って、理想的ともいえる優れたアームを形づくっている。オートリフトや独特のインサイド・フォース打消し機構、レコード直径を選ぶクリックストッパーなどが楽しい。

スタックス UA-3

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 コンデンサーPUの専用アームを改造したユニバーサル型だが、元来、超軽針圧用だっただけに、その類のない軽やかな動作をそままに保ち、軽針圧用アームとして成功している。各部の精巧な仕上げと、独創的なワンポイント支持機構は、市販アーム中でも最も高く評価されてよい。独特のアーム差し換え機構は、差し入れ部でも長くしない限り、ガタによる狂いが生ずるという問題があるのではないか。

スペックス VA-55, VA-255

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 1グラム・オーダーの軽針圧用として、スペックスが開発したワンポイント支持のユニークなパイプ・アーム。細身のパイプと、シンプルなカウンター・ウェイト付近の機構は、スマートなデザインにまとめられて魅力を加えている。ラテラル・バランスが支持部を中心に回転して、支点を変えるのも新しい。メーカーとしては新しいが、永年PU製品を作ってきたキャリアの結集がどの製品にも輝いている。

スペックス 6120C, 6140C

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 ミニチュア・ベアリングを垂直・水平軸共に初めて使ったのが、このスペックスのアーム。外観的にオルトフォンそっくりのデザインだった初期の製品から、C型ではスマートさを加えて、特に6140はストレートなS字アームで、オリジナルな性格も加えた主力製品。スペックスの最大の長所は動作が安定なこと。あまりクリティカルな鋭敏さを追うより故障の絶無を目指し、製品化しての本当の価値を見失うことがないのは、本格的なメーカーといえよう。

東京サウンド ST-1200, ST-1400, ST-900

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 細身のパイプは、スマートなメイン・ウェイトとバランスよく、スタックスの軽量型を思わせるデザイン。しかもこの社の方針で、「良い物を安く」を強く打出して、驚くほどの低価格だ。従来のオルトフォン・タイプのアームから、自社のオリジナルにやっと達した所で成果を期待しよう。局用アームを一手に引受けていた貫禄をここらで発揮してもらいたい。

マイクロ MA-77

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 英国ハイファイ・ニュース誌において、国内価格の2−3倍以上、SMEアームと大差ない価格で広告されているのが眼をを引いている。優秀な性能も誌上で紹介され、国内PU業界の先陣として海外で認められた高性能ぶりは、高く評価してよい。細部にSMEと同じ傾向の機構を採り入れて、アームの垂直・水平のバランスのよいことも抜群だ。しかも他に比べて一段と丈夫で、取扱いに気苦労は少なく、しかも価格の点でも推められる。

グレース G-540S, G-540L, G-560S, G-560L

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 デビュー以来3年、しかしこの500シリーズは、外観は殆ど変らないがその実質細部の機構とも軽針圧時代の流れによってすっかり改められ、市販製品中、最高の垂直感度をもつ。一度製品化したものは常に改良し、性能の向上に努力を惜しまないこの社のあり方が、見事に結晶を造ったのがこの500シリーズといえよう。使いやすさ、性能、安静性ともに優れた傑作だ。

フィデリティ・リサーチ FR-34S

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 24型軽針圧アームを一般用として作り、使いやすくモデル・チェンジしたのがこの34型。特筆すべきは、アーム・ペースにSME型のスライド機構をとり入れ、シェル交換時のアーム実効長の変化に対応できるようにした点で、新しい魅力だ。

フィデリティ・リサーチ FR-24

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 軽針圧用として、針圧2gまで0・1gづつのクリック・ストッパーつきのユニークな加圧機構と、超仕上げによるずばぬけた高感度。アーム質量を減らした8ミリ径の細身のパイプ・アームで、デビュー以来、高級マニアにこぞって愛用推薦されるという、まさにベスト・ランクのアームのひとつだ。機構的にややデリケートな所もあるが、クリティカルな軽針圧用ということで、やむをえないともいえよう。

オーディオテクニカ AT-1501

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 放送局仕様によるパイプ・アーム。いわゆる軽針圧アームにみられるのと違い、ガッチリした重厚な出来は、堅牢というより豪華。業務用として過酷な取扱いにも耐え、安定な動作を第一に目標としており、オルトフォンの流れをひくシンプルな機構ながら、要所は手を抜かず、価格だけの価値は、使用感の手応えで判ろうと言うもの。業務用として推薦できるひとつだ。

オーディオテクニカ AT-1005

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 テクニカの初期の専用アーム1001に初めて接したとき、ユニークなデザインとシンプルなメカニカルな美しさに驚いたが、そのポリシーがこの新型にも脈打っている。英国デッカと同じ伝統のアームをスライドするリング・ウェートによる針圧加圧方式は、目盛が大きく使いやすい。新型ではオフセット角のついたシェルと同じだけずらせ、アームを支える理想的な軸受け方式で、これは国産ではFR24しかなく、この価格では画期的といえる。

トリオ V-45

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 プレイヤーを発売した時から、最高級カートリッジということで、MC型を採用しているのは、やはり清張殿著しいメーカーのセンスだ。一般の音楽ファンにも使いやすい針先交換の簡単な機構は、サテンとほほ同じものだが、便利で、愛用者の立場をよく知っているといえよう。性能もMC型独特の多くの利点は少しも損なわれていない。

ソニー VC-8E

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 ESシリーズのカートリッジとしてユニークな機構と使いやすさと保守の優れたMC型を採用している。大よその機構はサテンのMC型とよく似ており、音色も近い。針先交換の容易な点からも一般マニア向けだ。

ビクター MD-1009E

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 IM型とはっきりと打出している所に、ビクターの音響メーカーとしてただならぬ気鋭を感じられる。というのは、今日のカートリッジの方向が、理論的にこのIM型の方向に進んでいくであろうことは大方の予想される所で、これをはばかることなく強調する点に、老舗でありながらそのすさまじいほどのヴァイタリティを感じられ、そしてこれには称賛を贈りたい。製品は、はっきりいって原型とみられるADCのそれにいま一歩と思われるが、その完成もごく近い時期であろう。

スタックス CPS-40

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 米国ウェザースのコンデンサー型が、カタログからなくなった今日、海外にも類をみなくなったコンデンサー型カートリッジとしての存在は貴重で、しかも、これがまったくこの社のオリジナルであることは、日本のHi−Fi業界の誇りといえよう。その再生音の生々しさという点では、ちょっと比べる製品を知らないが、反面、或る種の例えばオーケストラなどのプログラムで迫力に欠けるのは何が理由か。この種の変換方式の根本的な欠陥かもしれない。とはいうものの歌、室内楽などにおけるプレゼンスは、本当に息をのむほどである。

ラスター L-1

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 こんど同社から初めて発表されたMM型カートリッジである。価格の点から考慮すると、たいへん良くまとまっている。経済的に装置をまとめたい向きには、同社のアームと組み合わせると最適だろう。

スペックス SD-700A

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 国産Hi−Fi製品は総じて、低域の貧困をしばしば指摘される。カートリッジには特にこの傾向が著しい。音楽の基本ともいうべき、低域から中低息の音、この社の製品は、この音域で圧倒的に強味を発揮する。豊かでダンピングの効いた迫力。それでいて、高音域のこまやかさもいささかも失っていない。根っからの音楽ファンにきわめて多くの愛好者がいることが、この社のカートリッジの優秀性を示そう。

東京サウンド SMC-4

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 モノーラルの初期に、C2というバリレラ型の金字塔ともいうべきカートリッジを堕していた技術的センスは、この社のMCにさん然と光っている。原形ともみられるオルトフォンをもしのぐ中音の分解能のよさは、特に賛えられよう。SMC4は、3型の高域特性にさらに繊細さを加味し、帯域の広さを感じる。あまりこの社の方針からか宣伝もせず、地味な存在だけに随分損をしている優秀製品だ。

サテン M6-45, M7-45, M6-8C, M7-8C, M8-45E

岩崎千明

ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より

 オリジナリティという点では、HiFi業界の中で、サテンがまずその最右翼であろう。そしてこの点からも、もっとも将来性あるメーカーといい得るのである。
 MC型ながら針交換の簡単なこと、そして、それにもまして出力電圧がMM型と殆ど変らず、使いやすい点も特筆できる。8Eシリーズになって、針先のきゃしゃだった点も改められ、音の分解能の一層飛躍したことも特筆できる。よく誤っていわれるように、この機構では音がMM型とMC型の中間……というのは、おそらくその機構からの先入観によるものであろう。オルトフォンをやや引締めたような低域と、きめのこまかい超高音は、海外、国産を問わず第一級だ。