ビクターのシステムコンポーネントSEA801(MSL801)、SEA701(MSL701)の広告
(スイングジャーナル 1970年7月号掲載)
Category Archives: ビクター - Page 14
ビクター CCR-660
ビクター MCP-105, MCM-105, MTR-10M
ビクター BLA-405, GB-1B, MCA-105, MCP-105, MCM-105, MCT-105, SRP-B30b, MTR-10M, LCU-5
ビクター MTR-10M
ビクター CCR-660
ビクター MTR-10M
菅野沖彦
スイングジャーナル 6月号(1970年5月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
ビクターが4チャンネルの再生システムの商品化を発表したのは、去年1969年の6月であった。関係者を招いての公開であったが、その時の試作機が、このMTR10Mの原形であった。その月末に私はたまたまアメリカのAR社を訪ねて同社も4チャンネル・ソースを実験しているのを知り、〝日本では既に商品化しているぜ!〟と大見得をきってみせたものだ。
日本ビクターのその後の4チャンネルにかけた情熱は大したもので、ついに、一連の4チャンネル・ソースのプレイバック・システムの商品化が実現したことは大変喜ばしい。今回発売された一連のシステムは、中心となるテープデッキMTR10Mをはじめとし、従来よリMCSSという名称で商品化された一連のシステム・コンポーネントがそっくり活用される。試聴に使ったのはプリ・アンプMCP105が2台、パワー・アンプMCM105が2台、それをSJ試聴室に常設のアルテックA7とパイオニアのLE38を2台づつ使い前面4台のスピーカー・パターンで聴いた。4チャンネル・ソースの再生パターンは、このような前面4台に対し、前後2台づつ、前3後1などが考えられ、いずれの方式にもそれぞれよさがあっておもしろい。前面音源に馴れている私たちにもっとも新鮮な効果をもたらすのは2+2システムであるが、前面4台の再生音も従来の2チャンネル・ステレオとは格段に充実した再生音が得られる。その効果については他に譲るとして、このテープ・デッキMTR10Mは従来から同社のベスト・バイ製品として堅実なパーフォーマンスをもつTD694のメカニズムを土台に開発した4トラック2チャンネル、4チャンネルに兼用のもので、録音は1−3、2−4トラック使用の従来の4トラ2チャンネル・システム、再生が、1234トラック全部を片道で使う4チャンネルと13、24の2チャンネルが切換えられる。また、4チャンネル再生にはバス・トレプルのトーン・コントロールがついていて、このデッキのライン・アウトをそのままパワー・アンプに接続して再生する場合にもある程度までコントロールできるという配慮もあって、4チャンネル・ソースの普及までの過渡期的使用に対する考慮に好感がもてる。メカニズムはワン・モーター式のオーソドックスな製品。基本性能はよくおさえられていてワウ・フラなどのメカ特性は実用上まったく問題にならない。内蔵プリ・アンプは大変優秀で、歪の少い広いDレンジをもったS/Nのよいものだ。かなりシビアなソースも無難に通り、再生音は厚味のある充実したサウンドであった。同軸二連のレベル・コントロールとトーン・コントロールはやや扱い難いが、このスペースに4チャンネル再生の機能を盛り込んだ以上、仕方ないと思う。むしろ、このまとめの努力を評価すべきであろう。今回は製品が間に合わなかったが、4チャンネル再生のコントローラーMSC105という実に便利で楽しいコントロール・ユニットが商品化されることになっており、これを使うと4チャンネル再生のあらゆるパターンもスイッチ1つで切換可能、各チャンネルのレベル・コントロールも容易にできる。本当はここで是非紹介したかったところだ。4チャンネルには、2チャンネルとちがって各チャンネルのスピーカー・レベルを合せることが難しい。とりあえず、異種の能率のちがうスピーカーを混用する場合などは、テープの開始にある1kHzの信号並びにナレーションで各スピーカーからの音ラウドネスが同じになるように合せる作業をしなければならない。
いずれにしても、これからの4チャンネル・ソース・システムの普及につれて各社から意欲的な製品が発売されるであろうが、その皮切りに登場したMTR10Mの功績は大きい。しかも充分な基本性能をもった安定した姿で商品化されたことは高く評価されてしかるべきである。MTR10Mにより再生された前面4台のスピーカーからでたジャズ・サウンドの圧倒的迫力は、ジョージ大塚トリオ+村岡建、猪俣猛クヮルテットなどの面々と相対して聞くパンチとガッツに満ちたサウンドであった。余分なスピーカーやアンプをもっているマニアにとって、このデッキさえあれば今すぐにでも4チャンネル・ソースの魅力を味わうことができるわけで、現在のところこのシステムの唯一の商品であるだけに人気が集中しそうである。
ビクター BLA-405
ビクター MCP-105, MCM-105, CF-105
ビクター CCR-660
ビクター MCT-105
ビクター MCA-105, MCT-105
ビクター TR-224
ビクター MCP-105, MCM-105, CF-105
ビクター MCA-105
菅野沖彦
スイングジャーナル 4月号(1970年3月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
再生装置の機能は最近ますます充実してきた。特に、再生系のコントロールをあずかるプリ・アンプの操作機構と多目的機能の充実ぷりには目を見張るものがある。その中でも、今月の新製品、ビクターのMCA105プリ・メイン・アンプは万全の機能をもったマルチ・ユース・システムの中核をなす製品といえるだろう。このプリ・メイン・アンプには、きわめて豊富なユティリティが備わっているが、その性能もプリ・メイン・アンプというカテゴリーが持つべき充分な優秀性をもっていると思う。現在、市場にあるアンプをタイプ別に見れば、いわゆるステレオ・レシーバーと呼ばれるチューナー、プリ・メインの一体型、そしてプリ・メイン型、さらにセパレート型というプリとメインが独立したものの3種類に大別出来るが、これらの商品が、そのタイプの本質的かつ必然的性能をもっているものばかりとは限らない。つまり、ステレオ・レシーバーは、すべてが一つにまとまっているというのが最大の特長、プリ・メイン型は、オーディオ専門アンプというのが本質的な性格、独立型は、さらに専門化した特長をもつものだから、それぞれが用途に応じる特徴というだけではなく、性能的にも自ずと差があると思うのが当然である。しかし現状はさにあらず、プリ・メイン型といっても、ステレオ・レシーバーからチューナー部だけをのぞき、あとは全く同一クラスのものもあるし、独立型といえどもプリ・メイン型をただ二分して、それぞれに電源部をもった単品としたものも多い。これは市場性、ユーザーの要求に応える適応性などから生れたことで、別に問題とするにはあたらないが、初めてアンプを買う人がどのタイプを買ったらよいかと迷うことも事実である。したがって、私個人の意見としては、これらのタイプのちがいと性能のちがいを結びつけ、あまりに高級なプリ・メイン部をもつ高価なレシーバー、逆に、性能的に物足りないプリ・メイン型や独立型は人にすすめないことにしているのである。そこで、このMCA105に話をもどすが、このアンプのもっているプリ・メイン部の性能は、そうした私の考え方でのプリ・メイン型としても立派なものだと考えるのである。音質は大変マッシヴで迫力のあるもので、ダイナミックな聞きごたえがあるし、スムースに余裕のあるパワーが得られる。ミュージック・パワーは8Ω負荷で80W、実効出力は同負荷だと32W×X2という値だが!やや能率の低い小型ブックシェルフ・スピーカーを、内蔵のSEAでブースト・コントロールをして鳴らしても充分な力がある。SEAは今さら説明を要しないだろうが、帯域分割型のイコライザーでビクターでは音場補正という打ち出し方をしているように、細かな山谷を自在に調整して好みの音質を得ることのできる便利なもの。このアンプでは60、150、400、1K、2K、4K、6K、15Kという7分割で、±10dBのコントロールができるが、60Hzがスイッチで40Hzと切換えられるので実用上は8素子のSEAとしての効力をもっている。コントロール・レバーの動作やタッチはきわめてスムースで使いよい。入力回路は豊富だし、半固定レベル調整がつき、各種プログラム・ソースの同時比較試聴などには大変便利。そして、大きな特徴はピンク・ノイズ発生器が内蔵され、音色パターン認識による音質調整や、位相チェックなどに利用できるのは、マニア気質を把んだ心憎いセンスである。そもそも、このプリ・メイン・アンプは、♯105シリーズの一つとして発売されたものたが、統一デザインのシステム製品がチューナー、チャンネル・フィルター、パワー・アンププリ・アンプというようにずらりと並んで、多種類の構成ができるようになっている。従って当然、マルチ・アンプ・システムやマルチ・チャンネル・ソース・システムというバラエティに発展させられるわけで、70年のアンプにふさわしい製品だ。
最近のコメント