トリオのスピーカーシステムSC201、プリメインアンプTW61、チューナーAFX21Tの広告
(モダン・ジャズ読本 ’68 1967年10月増刊号掲載)
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トリオ SC-201, TW-61, AFX-21T
トリオ MT-15
モジュラー型再生装置
菅野沖彦
スイングジャーナル 12月号(1967年11月発行)
「SJオーディオ・コーナー 特集/ステレオ装置読本」より
モジュラー型再生装置
再生装置を生活の中にとけこませること、これは、家庭での音楽のあり方のひとつのパターンである。音楽は生活の中で趣味としてだけ存在するものではあるまい。時には照明やインテリア・デザインなどとともに生活環境を味つけし、豊かにし、私たちの情緒を明るく、また、楽しく、そして安定させるのに役立つ。BGMのあり方についてはいろいろ意見もあろう。あんなに音楽を安売りして、年がら年中ばらまかれては音楽に対する私たちの感情がいつのまにか麻痺してしまうという人もある。たしかに、音というのは、意志によって聴くまいとしても耳から入ってきてしまうために、それを望まない人にとっては大変迷惑な話である。しかし、家庭生活に音楽が豊かに溢れるということを私は好む。そして、ホテルやレストランでの押しつけがましい与えられ方とちがい、自分の家で自由に選択して、時と場合によって好みに合った音楽を流すのだから、何んら不都合はない。
こうした再生装置の使い方に最も適したものがモジュラー・タイプである。そして、これは特にデザイン、機能からモジュラー・タイプを眺めた時にいえることで、音質本位に見ると、姿、形に似合わないスケールの大きい本格的な再生音が得られるものもある。つまり、モジュラー・タイプと一口にいっても、さらに一つ一つの製品について詳しく調べてみるといろいろな考え方によって製造されているものがある。
モジュラー・タイプの大きな特長は、プレイヤーとアンプ部が一つのユニットに(モジュール化)まとめられているということで、しかも、かなりコンパクトに、フラットなコンポジションになっている。ちょうど従来のプレイヤーだけ独立したものと同じ程度の容積にアンプまで組込まれている。そして、左右スピーカー・システムはセパレートとして部屋の条件に応じて配置のバリエーションは大幅に処理できる。ただ、ここでお断りしておかなければならないことは、小型ならばすべてモジュラー・タイプと呼んでいるわけではないということ。用語上の問題をとやかくいうと面倒なことになるが、今、この業界でモジュラーと呼んでいるものは、小型高級器のことで、2〜3万円の普及器は指さない。大ざっばには5万円以上の製品で、使用パーツ(アーム、カートリッジ、モーターなど)が本格派としての条件をそなえているものを意味すると考えていいだろう。
モジュラーに限ったことではないが、メーカーの完成品を選ぶにあたって必要なことは、メーカー完成品というものは、入口のカートリッジから出口のスピーカーに至るオーバー・オールでバランスがとられているものだから、後日、どこか一部を交換してクォリティの向上を計ることは大変むずかしいということを知っておくことだ。したがって性来機械いじりが好きで、再生装置に興味をもち、あれこれ自分でいじり廻わしそうな気がする人は敬遠したほうがいい。反対に機械に弱く、音楽が大好き、部屋に美しく調和させた再生装置を欲しいといった方には、下手な組合わせ方でマニア気取りになるよりも、専門メーカーが十分検討してまとめあげた完成品がいい。
本格的なスケールの大きな音を望む方には、パイオニアのC−600、コロムビアCNS−100、トリオNT−55、オットー1カスタムなどがいい。特にC600、オットー1などはよくまとまった万能的な装置である。NT−55は高音の切れ味のよいシャーブな快音が得られジャズ・ファンにおすすめできる。やや予算も少なめで、生活の伴奏として大らかに楽しもうという向きには、トリオNT−35、ビクターMSL−8、コーラルVS−3300、ナショナル・メカニシア2、シャープ白馬などと豊富な機種がある。VS−3300はモジュラー・ホワイトと称しオール・ホワイト仕上げのユニークな製品で、これからの再生装置のデザインを家具的に一歩っっこんだ美しいもの。
トリオ MT-15
トリオ TW-61
岩崎千明
スイングジャーナル 11月号(1967年10月発行)
「SJオーディオ・コーナー ベスト・セラー診断」より
編集部から「トリオのTW61をどう思うか」というよな電話を頂いたのは、厳しい日中の残暑を忘れたような夜風に乗って、庭の虫の音がクーラーを止めた室内に流れる。
そんな9月の夜だった。
「トリオの傑作という呼声が高いし、近来のベスト・セラー製品でしょう」と答えた。そういえば私の友人のジャズ・ファン、それも音にうるさい上、本人がかなりの技術を持った奴が、TW61をぜひ欲しいと思うんだが、といってきて、トリオに頼んでみたら「ちょうど在庫が売切れてしまったので少し待ってくれ……」という返事があったのが3か月前だったっけ。
トリオの製品が、機械いじりの好きな技術者に愛されるのは、理由がないわけではない。トリオというメーカーが、エレクトロニクス技術に強いこと、そして、その開発した最新技術を、常に製品に反映して、ユニークな魅力的な製品を、他社にさきがけて発表する点も、技術者には大きな共感を呼ぼう。
トランジスタ・アンプという商品を、量産化とした形で、市場にまっ先に送り出したのも、トリオのこのファイティング・スピリットの現れだし、始めての本格的なトランジスタ・ハイファイ・ステレオ・アンプもトリオの栄光としてステレオ・アンプ史上に残ろう。
さて、TW61、そういうわけでしみじみと音に接したことがなかったので、編集部の依頼もあることだし、トリオの神田松住町角の東京試聴室へ、翌日を足をしのばした。
室の片側にずらりと並んだ最近の製品群、それをまずひとわたり聞いてみた。そして、TW61、うわこにたがわずベスト・セラーを誇るだけのことがあるなあと思ったのである。
トリオのアンプ群、大きく分けてその音色により2系統あるようだ。その一方は、一時期私も毎日スイッチを入れ、ベイシーのフルバンドを轟かしたTW80A、豊かで迫力に満ちた低音と、ややきらびやかな高音が、ライブな部屋で特に効果的な、華麗ともいえる再生をしてくれた。
その後この音色をややおとなしくし、きりりと引締めた80D、この線上にはチューナーつきアンプTW880も加えられよう。
もうひとつの音色、静かといえるほどかなりおとなしく、ちょっと聞くと音域の広さをあまり感じさせないが、一般に技術向上を思わせ、高級な音楽ファンをも納得させる音色であり、これを代表するのがTW61である。そしてこの線上にあるのがチューナーつきアンプTW510であり、やや小出力のマイナーモデルTW31である。
よく、本物の演奏はいくら聞いても疲れないといわれる。このTW61は、まさにそういう音に思われた。「ねえ、君、一日中聞いていて、どのアンプが一番欲しい?」試聴室の係のエクボがチャーミングなお嬢さんにそう聞いてみた。「そりゃあ、サプリーム1だわ、その次は、これね」TW510であった。つまりTW61にチューナーを組合せた総合アンプが510。やっぱりね。
TW61、まずなんといったって安い! この値段は、まず音を聞いたら想像できない。31、600円!
トランジスタ・アンプの永い経験と技術、それに量産体制とが、この価値を生みだし得たといえよう。
ソリッド・ステートらしくブラック・パネルにゴールドつまみをあしらって、カチッとまとめてある。この小さなかたまりに秘めた出力が50ワットという強馬力ぶりは若いマニアにはたまらないであろう。つまみに触れる。なるほど友人の技術者がしびれたはずだ。アクセサリー回路が完全だ。
2系統のスピーカーを切換えたりいっしょに鳴らすこともできるし、ピックアップを2つ切換えることもできる。むろんハイファイ・テーププレイヤーを最高に発揮するテープヘッド入力もついている。そして、テープ録音端子、録音しながら聞けるモニター端子とそのスイッチ。
ところでトランジスタ・アンプは故障しやすくないか、とよくいわれる。トリオのアンプは全部特許の自動復帰保護装置つきだ。故障を誘起する異常事態になると、アンプが自動的に動作を止め、それを直すと動作を始める。安心できる装置である。
トリオ TW-510, TW-880, TW-1300
トリオ Supreme 1
瀬川冬樹
ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より
プリアンプ、チャンネル・フィルターおよびメインアンプ3台で十六万六千円という価格は、ビクターの200シリーズで同じ揃えかたをした価格より2万円ほど安いことを考えると、決して高価とはいえない。となるとこれはビクターとの比較になるわけだが、今回はサプリーム1の低音用アンプ(この部分は全音域用としても設計されている)のみ使って、単なるプリメインアンプとして試聴してみたかぎりでは、音のキャラクターがビクターよりも少し強いように感じられた。トリオではこのアンプに、特にボザークの組合せを推奨しているようなので、あるいはそれを考えに入れた上での音を作っているのかもしれない。TR臭さはほとんど感じられなかった。
トリオ TW-80D
瀬川冬樹
ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より
こうして改めて聴いてみると、もはやこのアンプの時代は終ったという印象が大きく残った。これは私見だが、80DとなってNF型のトーンコントロールを採用してから、かえって高低域両端に、ドンシャリ的な強調感が現れてかえって音がヒステリックになってきたのではないか。ワイドレインジの良いスピーカーでは、これがたいへん耳ざわりだった。
トリオ TW-61
瀬川冬樹
ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より
ローレベルでは多少ザラついた感じのつきまとう歪がわずかにあるようだが、音が実にたっぷりしていること、音量を上げても刺激的な音のしないことなど、三万円台ではベストバイにあげてよいと思った。
トーン・フラットのポジションでも中低域に意識してふくらみを持たせた音質で、こういう作りかたは、コロムビアMA20と同じ意味でローコスト・アンプにはむしろ好ましい。
ただ、ノイズの性質はあまり良い方ではなく、トランジスターのボソボソいう雑音が、音量を上げたときには少し気になったがこれは製品ムラかもしれない。ヘッドフォン使用時に残留ノイズが割合耳ざわりだった。
トリオ TW-880
瀬川冬樹
ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より
TW510の音からみると多少強調感があって、クラシックよりはポピュラーものに向くという印象であった。弱音で音が汚れる感じも高級アンプらしくない。パワーアンプというメリット以外にはTW510の方をおすすめしたい。
トリオ TW-510
瀬川冬樹
ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より
SAX600に非常に似た音なのにおどろいた。こちらはトランジスター、向うは三極管である。良くできたアンプには、球と石の差はもうほとんど無い。パワーも割合に大きい方だから、ARタイプのようなスピーカーには有利だろう。しかしコーン型スピーカーの場合に、いくらか抑えられた音になり、のびのびした感じが損なわれるのは、他のTRアンプにも共通の特性だった。周波数特性がフラットによくのびている。
トリオ PC-3030
岩崎千明
ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より
針先交換可能の高出力MC型カートリッジという大きな特長が、まずマニアには嬉しい。14インチの本格アームは、オルトフォン・タイプ。ターンテーブルは30センチでヒステリシス・シンクロナス型モーターでリム・ドライブ。まともな正攻法だ。
トリオ V-45
岩崎千明
ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より
プレイヤーを発売した時から、最高級カートリッジということで、MC型を採用しているのは、やはり清張殿著しいメーカーのセンスだ。一般の音楽ファンにも使いやすい針先交換の簡単な機構は、サテンとほほ同じものだが、便利で、愛用者の立場をよく知っているといえよう。性能もMC型独特の多くの利点は少しも損なわれていない。
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