Category Archives: アナログプレーヤー関係 - Page 20

フィデリティ・リサーチ FR-2

井上卓也

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 FR1系の発電機構を採用した小型・軽量の空芯型MCカートリッジの新製品だ。振動系は軽量化され、インピーダンスは6Ωと低められているが、サマリウムコバルト磁石採用により発電効率が改善され、従来通りの出力電圧を得ている。ボディは金属製で振動防止設計である。
 FR2は音色が明るく、活気ある生き生きとした音を聴かせる。とかく繊細で、スタティックな表現になりやすいMC型のなかでは、注目したい新製品である。

マイクロ RX-3000 + RY-3300

井上卓也

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 超重量級ターンテーブルユニットと駆動用のモーターユニットを組み合わせ使う糸/ベルトドライブ兼用アームレスプレーヤーシステム、RX5000/RY5500と同じ構想による新製品である。
 RX3000ターンテーブルユニットは、ユニークなデザインを採用したダイレクトドライブ方式のアームレスプレーヤーシステムDDX1000、DQX1000と同じく3本脚構造のデザインを受け継ぐ。ターンテーブルの回転による共振は、機械的強度、重量で吸収する設計である。設置時の安定性は高く、3本の脚部にそれぞれトーンアームが取付可能であり、場所的制約も予想以上に少ないという特徴がある。
 ターンテーブルは、銅85%、錫その他15%の合金である砲金製。比重や内部損失が大きく、直径31cm、重量10kgというヘビー級だ。フレームとターンテーブル裏側との間を凹凸型に加工し、このギャップ間の空気層でもターンテーブルの共鳴をダンプする構造を採用している点はこのモデルのみの特長である。直径16mmステンレス製シャフトは熱処理、研磨後、軸受と一対の組合せ鏡面仕上げされる。シャフトに接する軸受側は特殊ベアリング採用で、油膜に鉛の分子が均一に析出され、滑らかな回転を保てる特長がある。シャフトとベアリング間はオイルバス方式である。
 RY3300モーターユニットは、4極6スロット・アウターローター型サーボモーター使用で、ベルトと糸共用のプーリー付。糸はアラミド繊維製である。
 RX3000/RY3300に、オーディオクラフトのトーンアームを組み合わせて使ってみる。糸がけなどセッティングは手順を考えて行なえば比較的容易である。速度調整もストロボ板でチェックしたあとは、回転数の安定度は高い。RX5000/RY5500と比較すると、充実感は一歩譲るが、音色の明るさ、反応の速さではこちらの方が勝るようだ。重量級ターンテーブルの特長である緻密で内容の濃い、情報量の多い音は、並のDD型とは一線を画した独特の魅力で、カセットを聴いていてオープンリールを聴いた場合の印象と比較できる。置場所は剛性の高い台上がよく、ターンテーブルシート、スタビライザーなどは、ケース・バイ・ケースで試用するのが好ましい。

パイオニア PL-L5

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 世界初のリニアモータードライブのリニアトラッキングアーム採用のマニュアルプレーヤーシステムPL−L1の開発に代表されるように、パイオニアは、一般的なオフセット型アームに比べて基本性能が一段と高いリニアトラッキング型アームを採用したプレーヤーに意欲的であるが、今回発売されたPL−L5は、リニアモータードライブ、リニアトラッキングアーム採用の電子制御フルオートプレーヤーシステムである。
 ターンテーブルは、独自のクォーツPLL・DCホール素子切替型で、モーター軸受を重心に近づけたSHローター方式のモーターで駆動される。
 トーンアームは、リニアモーター駆動でSN比が高く、ショートアームのため等価質量が少なくトラッカビリティが高い特長がある。オート機構はIC制御型でリピートは盤面上で再リードインするクイックリピート型。モーターとアームはサブシャーシーに固定され、これをスプリングとダンパーゴムでダイキャストベースからフローティングしたコアキシャルサスペンション方式だ。

ヤマハ PX-2

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 リニアトラッキングアーム採用の超高級プレーヤーPX1に続く第2弾製品で、オート機構の整理、アームドライブ方式の変更で、リニアトラッキングプレーヤーとしての完成度は一段と高まった。プレーヤーベースは、PX1同様に5mm厚音響用アルミダイキャスト製で、重量17kgの防振設計。重量1・3kgの厚いアクリルダストカバー付である。
 トーンアームはPX1のギア駆動からベルト駆動に変更され、水平トラッキングエラーは±0・15度以内の高精度を誇る。高さ調整、パイプ部にスライドリング型針圧調整付。モーターはクォーツロックDCコアレスホール型。正逆両方向サーボ、電子ブレーキ付で大容量定電圧電源採用である。
 オート機構は、新開発ロジックIC制御のフルオート型で、マニュアル時のアーム送りはボタンの押し方の強弱で速度が変化する2スピード型で動作は軽快。
 PX2は引締まった低域ベースのシャープでクッキリとコントラストをつける明快な音が特長である。リニア型のメリットで輪郭がシャープだ。

サンスイ XR-Q9

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 好評のXR−Q5の上級機種として開発されたマイコン制御、サンスイ独自のダイナオプティマム・バランスド・トーンアームを採用したフルオート機である。
 フォノモーターは、負荷変動に対する応答速度を重視した磁気検出ヘッド採用のクォーツロックサーボDD型で、正逆両方向サーボ付である。
 トーンアームはストレート型で、カートリッジはサブシェルを利用して交換可能。針先が拾った振動がアーム軸受部に伝わらない独自のダイナオプティマム・バランス方式と、軸受部分に質量を集中した設計が特長。
 プレーヤーベースは、国内製品には珍しく3本の重量級亜鉛ダイキャスト脚部で支持するフローティングベースにモーターとアームを固定する構造を採用し、重心を低くした独自の吊り下げ方式としている。オート機構はコンピューター制御のフルオート型で、リピートは盤面上で再リードインするタイプである。
 聴感上のレスポンスは広く、活気のあるダイナミックな音が特長で軽質量カートリッジの魅力を十分に引出す。

マイクロ BL-71

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 専業メーカーらしく、ベルトドライブ型や糸ドライブ型の高級機を意欲的に開発しているマイクロのベルトドライブ・マニュアルプレーヤーである。
 ターンテーブルは、外周部の肉厚を十分にとり慣性質量を上げたオーソドックスな設計で重量3・2kg。シャフトは、BL91で採用した直径16mmのステンレス鋼製で、シャフトと軸受メタル間は0・02mmのラッピング鏡面仕上げでオイルバス方式の潤滑系採用である。駆動ベルトはカーボン材配合で経年変化を抑え、駆動モーターはFGサーボ型で、±3%の回転数可変型である。
 トーンアームは、軸受部分の剛性をとくに高めたスタティックバランス型、一体削り出し加工のヘッドシェル付だ。プレーヤーベースは、振動モードの異なる材質を配合した防振構造採用で、表面は黒檀突板仕上げである。
 BL71は音色が明るく伸びやかな音が特長だ。音の輪郭をクッキリと浮び上らせ、緻密さも適度にあるため実体感がある。こだわらぬ自然さが魅力。

デンオン DP-70M

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 二重構造ターンテーブル採用のマニュアルプレーヤーである。上下に二分割されたターンテーブルは、板バネとダンパーで結合され、上部は質量とバネでハイカットフィルターを構成し、レコードを外部振動から遮断して音質劣化を防止する。フィルター効果により数十Hz〜数百Hzの帯域で10〜30dBの振動低減効果があり、クロストークをも含めた音質改善がいちじるしいとのこと。駆動モーターはACアウトローター型で、磁気記録検出クォーツロック方式を採用、正逆両方向サーボと電子ブレーキ付。トーンアームは、独自のダイナミックダンプ機構付スタティックバランス型で、DA401軽量アームと交換可能である。前面に自照式ボタンを配したプレーヤーベースは、70mm厚ソリッドボード積層型で、表面は天然木ブビンガ仕上げの防振設計である。
 音はスッキリとしたワイドレンジ型で、整理して音を聴かせるタイプだが、表情も適度で軽快さが特長。音の粒子は細かく、ナチュラルなプレゼンスがある。高級カートリッジに適した製品だ。

ビクター QL-Y7

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ビクター初の電子制御トーンアームを採用したセミオートプレーヤーシステムである。トーンアームは、軸受部の右側面に垂直方向のセンサーとリニアモーター、水平軸受の延長部にセンサーとリニアモーターを備えた純電子制御型で、アームの上昇、下降、盤面上の左右送り、オートリターン、リジェクトの他、ゼロバランス調整後は針圧調整、インサイドフォースとダンピング量が独立した3個のツマミで針圧対応型で調整できるが、当然、任意の個別調整も可能だ。
 プレーヤーベースはローズウッド仕上げの無共振ソリッド材積層構造で、高さ調整可能なドーム型インシュレーター付。モーターは、コッギングがなく滑らかな回転が得られる高トルク・コアレス構造の偏平型DCモーターで、サーボ系全体の信頼性を従来の約30倍向上させたダブル・クォーツロック方式と、コアレスモーターのトルクの低いデメリットを改善するプッシュプルドライブ方式に特長がある。ターンテーブルは重量2kgのアルミダイキャスト製で、ターンテーブルのつり鐘振動と固有共振を抑える目的で亜鉛ダイキャストを複合した無共振構造を採用している。演奏中に単独コントロールできる針圧、ダンピング調整は、聴感上の最適値を求める場合に有効に動作をする。情報量が多く、表情も豊かで高品位な音である。

ソニー PS-X75

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 トーンアームにエレクトロニクスの技術を初めて導入し、バランス、針圧などの全てを電子的にコントロールする電子制御トーンアーム(バイオトレーサー)を搭載したプレーヤーシステム、PS−B80は、ソニーの技術水準の高さを世界に示す優れた製品であるが、この優れた再生能力を実用価格帯の製品に実現したものが、このPS−X75である。
 トーンアームは、垂直と水平方向に、独立した速度センサーとリニアモーターを備え、速度型フィードバックにより低域共振を従来より約3dB以上抑え、低域共振による混変調歪と低域のクロストークを改善している。また、バランス調整は手動であるが、光学式レコードサイズ選択、盤面上の部分送りを含むアーム操作を含めたオート機構、針圧調整、自動インサイドフォース調整などは完全に電子制御化され、フロントパネルで任意にコントロールできる。
 プレーヤーベースは、独自のSBMC複合成形材と特殊ゲル状粘弾性体インシュレーター使用。モーターはクォーツロック高トルク型リニアBSLモーターの、マグネディスク回転数検出型で、電磁ブレーキが付属する。トーンアーム軸受はロングスパン構造、高さ調整付。亜鉛ダイキャスト合金製の強固なアームベース付で、内線材はリッツ線使用。滑らかで自然なバランスが音の特長。

ケンウッド L-07D

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ディスクに刻まれた信号を100%確実に、正確に電気信号に高忠実変換することを開発の最重要事項として造られた高性能プレーヤーシステムである。
 プレーヤーベースは、高剛性防振を実現する目的で、新素材マホガニーコンプライトと剛性が高い素材を複合密着させた基礎部分に、硬質アルミフレーム、新ARCB材を重ねた異種材複合防振構造であり、ターンテーブルもアルミダイキャストにジュラルミンを圧入し、上面にステンレスプレートを加えた重量5・5kgの複合防線型である。
 モーターは、軸受オイルなどの温度変化や粘性変化による負荷変動に対し自動的に位相補償値を調整するダイナミックコンペンセーター内蔵のスロットレス・クォーツロックPLLサーボ型で、シャフト直径は12mm、軸受部はマグネフロート方式で荷重を軽減している。
 トーンアームは、航空機用硬質アルミラミネートパイプに炭素繊維とボロンファイバーを複合した6層構造、軸受部は超硬合金ピボット、ステンレス鋼軸、大型ベアリング採用で、アームベースは大型のコレットチャック式1回転0・1mmの高精度ヘリコイド高さ調整機構付。内線材は特殊純銅リッツ線使用、出力コードのコネクターはロックネジ付の新型で、従来の数倍の接触面横をもつ。Lシリーズ共通の緻密で整理された音だ。

オーレックス SR-M99

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 外観から受ける印象は比較的にコンパクトにまとまったマニュアルプレーヤーであるが、非常に高度に凝縮された徹底的な無共振構造に基づいたオーレックス初の高級プレーヤーシステムである。
 まず、最初に驚かされることは、小型でもあるために気軽に持上げようとしたときのことだ。指をプレーヤーベースに掛けたとたんに、強固な金属のみがもつ独特の感触があり、重いなと予想しながら持上げてもビクともしない、42kgの超重量級である。
 ベース部分は、アルミダイキャストの約3倍の比重をもつ銅合金製で、巨大なマスと小さな外形寸法のため耐ハウリング性が非常に高く、優れたシステムの土台となっている。駆動モーターは、ローター磁石を上下のステーターコイルでサンドイッチ構造とし、上下方向の振動を2個のステーターコイルの逆相振動でキャンセルする独自のダイレクト・ダブルドライブ型で、起動トルクが従来の約2倍あり、シャフト径は15mmと太い。ターンテーブルは重量7・5kg、裏面に2種のダンプ層をもつ3層構造。マットもブチルゴム・鋼板・ブチルゴムの3層構造だ。アームは強いS字型カーブのスタティックバランス型。軸受はジンバル方式、独自のダイナミックダンピング機構付ウェイト使用。土台の安定した高品位の音は高級機の世界。

ヤマハ HA-2 + C-2a, BX-1

菅野沖彦

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか(下)最新セパレートアンプ25機種のテストリポート」より

 非常に鮮度の高い音で、ヴァイオリンの細かい音やピアノの粒立ちを克明に聴くことができる。音全体の感触にエネルギッシュで肉厚な充実感がある。解像力がいいが、決して弱々しい繊細な音ではなく、高音にもしっかりした肉付きを感じる。ジャズも血が通っている。

ヤマハ MC-7

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 独特の発電構造を採用した純粋MC型カートリッジMC1X、MC1Sに続く第2弾のMC型新製品である。発電方式は、バルクハウゼン効果が少ないセンダストの十字型巻枠を縦と横方向に配置した垂直・水平型発電タイプで、コイル巻線を使うマトリックス回路で、一般的な45/45方式に交換するMC型としては最初の製品である。このタイプは、十字型巻枠の幅による縦・横方向コンプライアンスの調整、現実の45/45方式でカッティング角度の変化範囲が数度に達している実状に任意にフォローでき、コイル巻数による任意のクロストーク特性や音場感のコントロールが自在である。
 MC7は、スクラッチノイズが量的に少なくパーカッシブな音を正確に再生する特長がある。音色は明るく、低域には安定感があり、鮮明な表現力が特長。

ビクター MC-101E

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 針先位置に近接して超小型のプリンテッドコイルを取付けた独自のダイレクトカップル方式MC型MC1、MC2に続く、同じ発電方式で高出力型とした新製品である。高出力化のため、従来のマイクロコイルと同質量で3層構造とした多層化コイルは、一層ごとの巻数がMC1の2倍以上あり、パターンはLSIより細かい。多層化の副次的なメリットで適度な内部損失が持たせられるため、一層型では必要な制動用シリコングリスが不要である。リードワイヤーもマイクロコイル同様にフィルム面にリード線を形成し、軽量化と信頼性を向上している。磁気回路も改良が加えられ、コイルパターンの変更とともに、1・3mVの高出力を実現している。
 サラリとした淡白なキャラクターで音色は明るく軽く、細部をクリアーに引出す。帯域はナチュラルに伸びダイレクトにMCの魅力が聴けるのが特長。

オーディオテクニカ AT-150E/G

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 新しくモデルナンバーを3桁としたAT100シリーズは、カッターヘッドと相似的な発電方式を採用した独自のVM型で世界的に知られるオーディオテクニカの第2世代を意味する新シリーズだ。AT150E/Gは、4機種あるAT100シリーズのトップモデルである。
 新シリーズは、発電系に継ぎ目のない一体構造のラミネートコアに、横方向からボビンを挿入し、磁気ギャップをくぐらせてコイルを巻くパラトロイダル発電系を採用している。この方式は磁気損失が少なく、AT25のトロイダル発電系に近い発電効率が得られ、周波数特性上で数kHz付近の凹みがなく、インピーダンスも従来型より一段と低い。
 カンチレバーはベリリウムパイプ使用。アルミダイキャストボディとMS9マグネシウムヘッドシェル付である。
 従来より一段と低レベルが鮮明で音色は明るくトレース能力が向上した。

グランツ GMC-55

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ユニークなピボット型支持方式を採用したMF型カートリッジで知られるグランツ最初のMC型である。発電方式は、巻枠に磁性体を使うタイプに比べ等価質量が小さい純粋MC型で、フラットな周波数特性、優れたクロストーク特性が得られる。磁気回路は、サマリウムコバルト磁石と磁気飽和値が高いパーメンジュールのヨーク採用で、独自の磁束集中用ヨークを採用しているため、インピーダンス3Ωの純粋MC型で0・1mVの高出力を得ている点に注目したい。
 振動系のサスペンションは、磁束集中用ヨークに特殊ボールを固定し、ボールの球心が振動支点となる独自の方式。
 音色は、明るく穏やかなタイプで、柔らかく豊かな低域をベースとした、安定感のある滑らかで大人っぼい音が特長。しっとりとした表現が印象強い。

ダイナベクター DV/KARAT DIAMOND

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 最近のカートリッジ関係の最大の話題は、宝石カンチレバーの開発があげられる。カラットシリーズは、宝石カンチレバー採用の最初の製品として注目される。カラット・ダイアモンドは、ダイアモンドカンチレバー採用の空芯型MCカートリッジで、シリーズ製品カラットはルビーカンチレバー採用である。
 カンチレバーは全長2・5mmと従来の6〜7mmに比べ短かく、通常の構造の発電方式では考えられない寸法である。超高硬度のカンチレバーの採用により、針先の振動はカンチレバー中で周波数によって速度が変化する分散現象が格段に低減され、正確に電気信号に変換されるとのことで、高域共振は70kHzと高い。コイル巻粋は1mm角と小さく、通常のダンパーを使わずサスペンションワイヤーで支持され、ゴムの温度変化は皆無である。
 音色は明るく軽いタイプで反応も速く、鮮明に細部のニュアンスを引出す。

アキュフェーズ AC-1

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 高級アンプメーカーとしてユニークな存在であるアキュフェーズ初のMC型カートリッジである。
 発電方式は巻枠に磁性体を使う伝統的な方式で、カンチレバーは、西独製アルミ・マグネシウム合金パイプ全長の約60%にベリリウムの芯を入れた二重構造。ダンパーは、2種類のダンパーを同軸に使うダンプド・ダンパー方式。磁気回路はサマリウムコバルト磁石採用で、パーマロイ材に0・035mmの銅線を一層巻としたインピーダンス4Ωのコイルにより0・2mVの出力を得ている。カートリッジボディは、強度的に弱い例が多く見られるが、ここではアルミダイキャスト採用で内部損失と剛性の高さを併せもつ設計。別売にMCヘッドアンプが用意されている。
 MCヘッドアンプ使用で、全帯域にシャープに焦点のあった、細やかでクォリティが高く、彫りの深い音だ。

ソニー XL-55 pro, XL-55, XL-44, XL-45II, XL-45E, XL-40, XL-25, XL-15, ND-1500

ソニーのカートリッジXL55 pro、XL55、XL44、XL45II、XL45E、XL40、XL25、XL15、交換針ND1500の広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

XL55

オルトフォン MC20, MC30, SPU-A

オルトフォンのカートリッジMC20、MC30、SPU-Aの広告(輸入元:ハーマンインターナショナル)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

ortofon

エンパイア EDR.9, 4000D/III LAC, 2000E/V

エンパイアのカートリッジEDR.9、4000D/III LAC、2000E/Vの広告(輸入元:オーデックス)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

Empire

アツデン YM-130HS, YM-308II, DSR-12

アツデンのカートリッジYM130HS、YM308II、ヘッドフォンDSR12の広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

AZDEN

オーディオテクニカ AT150E/G

オーディオテクニカのカートリッジAT150E/Gの広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

AT150

シュアー V15 TypeIII-HE, VN35HE

シュアーのカートリッジV15 TypeIII-HE、交換針VN35HEの広告(輸入元:バルコム)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

Shure

マイクロ BL-71, CU-180

マイクロのアナログプレーヤーBL71、ターンテーブルシートCU180の広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

BL71