オーディオテクニカのカートリッジAT150E/Gの広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)
Category Archives: アナログプレーヤー関係 - Page 20
オーディオテクニカ AT150E/G
シュアー V15 TypeIII-HE, VN35HE
マイクロ BL-71, CU-180
パイオニア Exclusive Model 2301, Exclusive Model 3401W, Exclusive C3a, Exclusive C10, Exclusive M4a, Exclusive M10, Exclusive F3, Exclusive P3, Exclusive P10
アントレー ET-200
ピカリング XSV/4000
ジュエルトーン DC-203J, No105J, QR-202J, CT-405J, CW-402J
オーディオテクニカ AT1100
井上卓也
ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
既発売のダイナミックトレーシングシステム方式を採用した同社のトップランクトーンアームAT1010と基本構想を同じくした、フロントパイプ交換式のユニバーサルアームである。軸受構造はAT1010と同等で、この前部にVブロック応用の平面圧着コネクターがありパイプ部分を交換できる。特長があるのは、オイルバス型ともいえる水平回転方向に働くf0ダンプ機構を備えており、ダンピング効果は5dB程度もあるとのこと。加工精度、仕上げも高級アームらしい立派な製品だ。
テクニクス EPA-500
井上卓也
ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
カートリッジの多様化、高性能化が現在のようにエスカレートしてくると、それらと組み合わせて使用するトーンアーム側は、ヘッドシェル交換が容易な現在のユニバーサル型という構造自体が、それぞれのカートリッジの性能をフルに発揮させるための障害とさえ考えることができる。ユニバーサル型の使い易さと専用のインテグレートアームの性能の高さを併せもった製品として開発されたモデルが、このEPA500である。
システムトーンアームの名称をもつように、EPA500は、使用するカートリッジの特性に応じて専用アームユニットを交換できるようにしたシステムトーンアームの基本モデルで、アームベース EPA−B500とアームユニット EPA−A501H及び針圧計SH50P1の3種類で構成される。
EPA−B500は、ジンバル支持の軸受とヘリコイド方式の高さ調整機構をもつアームベースで、軸受部分に横方向にスライドしてアームユニットを交換することができる。針圧計SH50P1は、半導体ストレイゲージと大型メーター使用のエレクトロニクス針圧計で、精度が高く、針圧直読型で、電池を内蔵している。
アームユニットは、他に、EPA−A501M、EPA−A501Lが用意されている。使用カートリッジの自重は3種類ともに5〜7gだが、コンプライアンスの違いにより、Hは10〜14、Mが7〜10、Lが5〜7×10の-6乗cm/dyneと区別され、自重とコンプライアンスが異なる、E、Gなどが続いて発売される予定だ。
アームユニットは、実効質量とパイプ素材が異なり、ウエイト部分は、独自のダイナミックダンピング方式で低域共振鋭度の制動効果は6dB以上と高い。なお、パイプ部は、テーパー型でチタニウムナイトライドパイプ使用だ。
ゴールドバグ Medusa
井上卓也
ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
ユニークなMC型カートリッジメーカー、ゴールドバグから、最初の製品クレメントにつづき、第2弾製品としてメデューサが発売された。テーパー型アルミ合金パイプと鉄芯にコイルを巻く振動系をもち重量が5・6gと軽量な特長はクレメントと同じだが、インピーダンスが10Ω強と約60%低くなり、出力電圧が0・2mVと2倍になっていることがメデューサの特長だ。
粒子が細やかで、滑らかな音をもつクレメントにくらべると、メデューサは、音に活気があり、フレッシュさが特長だろう。聴感上の帯域はストレートに伸び、ローレベルでの切込みがクリアーであるためにMC型ならではの繊細さと、独特なデリケートさのあるグラデーションの豊かさがこの製品の魅力であろう。
オーディオテクニカ AT24
井上卓也
ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
AT25/23に代表されるオーディオテクニカのVM型のトップモデルは、シェル一体型の構造を採用している点に特長があるが、今回、発売されたAT24は、AT25を単体化した新製品だ。
カートリッジボディは、シンプルにデザインされた剛性が高い金属製で、小型な外見ではあるが8・2gの重量がある。振動系は、直径0・3mmのペリリウムパイプと2本のマグネットを使うVM型で、パーマロイ薄板をラミネートしたリングコアに直接無酸素銅線を巻き、左右チャンネルのセパレーションを向上するセンターシールドプレートをもつ、トロイダル発電系ともども、AT25とまったく同様である。交換針は、ネジで確実にボディにクランプする方式で、これも、AT25と共通のATN25を使用する。
テクニクス EPC-207C
井上卓也
ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
比較的に入手しやすい価格帯を対象として開発されたMM型の新製品である。振動系は実効質量が小さく、コンプライアンスが大きい設計で、カンチレバーには高強度アルミ合金パイプを使用し、マグネットは棒型で、ダンパーはリング状のスタビライザーを採用した新しい支持構造が使われている。針先はダエン針で、針圧は1・75gとやや大きく、フルオートプレーヤーを含めた広範囲の使用を目的とした製品である。
テクニクス EPC-205CMK3
井上卓也
ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
テクニクスカートリッジの中心モデルともいえる205CIIシリーズは、従来からも広い周波数帯城と低歪なカートリッジとして高い評価を得ているが、今回、新素材と新技術が導入されて、一段と高性能化されたMK3となって発売された。
EPC205MK3は、シェル一体構造のモデルであり、EPC−U205CMK3はカートリッジ単体のモデルである。
発電方式はMM型であるが、構造的には、205CIIシリーズとはまったく異なった新方式が採用されている。カンチレバー材質は純ボロンパイプを採用し、微小化、軽量化がおこなわれ、振動子実効質量は0・149mgで、80kHzにおよぶ超広帯域を得ている。磁気回路は、HPFコア使用の新しいブリッジ・ヨーク構造で、振動系にヨーク部をもつ特長がある。なお、ダンパーには温度変化による特性変化を抑えたTTDD、振動子磁石にはサマリウムコバルトの円板型磁石、ワンポイント支持方式などは従来型を受継いでいる。
テクニクス SL-Q3, SL-Q2
井上卓也
ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
テクニクスのプレーヤーシステムは、幅広い価格帯にわたり、ベーシックモデルを中心として、これに各種のオート機能を加えた数多くのバリエーションモデルがあり、ほぼ、すべての需要に対応できる。いわば、フルチョイスの製品群をもつことに特長がある。
今回、発売されたクォーツQシリーズの2機種は、4万円台のもっとも多くの需要者層をもつ価格帯におかれた新製品だ。
基本的な構成は2機種とも共通であるが、機能面で、SL−Q3がメモリーリピート付フルオート型、SL−Q2がオートリターン型の違いがある。
デザイン面では、このところプレーヤーシステムの主流となっている前面操作型がこのシリーズにも採用され、テクニクスのプレーヤーシステムの特長ともいえる長方形のジンバル支持型軸受をもつトーンアームにテクニクス製品らしい雰囲気がある。
ターンテーブルは直径31・2cmのアルミダイキャスト製で、ローターが組み込まれた独特の構造をもつブラシレスDCモーターで、ダイレクトに駆動される。このモーターの制御方式は、2個の専用ICを使った水晶発振器を基準とするフェイズロック方式で、モーターには全周検出FGが組み込まれており、回転偏差は、±0・002%以内におきまり、起動トルク1kg・cm、起動時間は33回転時に0・9秒という値を得ている。
トーンアームはS字型パイプをもったスタティックバランス型で、アーム実効長230mm、付属シェル使用時のカートリッジ自重範囲は、6〜9・5g、針圧調整範囲は0〜2・5g針圧直読型である。アームの軸受は、水平回転軸と垂直回転軸の軸心が一点で交差するジンバル型サスペンション構造が採用され、回転部分はピボットとボールベアリングにより4点で支持され、水平と垂直方向の感度が高く、摩擦抵抗が少ないため水平、垂直ともに初動感度は7mgという値を得ている。
付属のカートリッジは、テクニクスを代表するMM型カートリッジ、205CIIシリーズと同様な発電ユニットを採用した新開発の207Cで、トレース能力が高く、コンプライアンスの大きい設計で、新しいダンパー支持構造、ダエンダイヤ針採用などに特長がある。
プレーヤーベースはアルミダイキャスト製で、底板部分は防振効果が高いTNRC(テクニクス・ノン・レゾナンス・コンパウンド)を採用し、この材料はアルミダイキャスト上面部にも使われ2重構造となっている。インシュレーターは、バネと粘弾性体を組み合わせたタイプで、アルミダイキャストのベースに直接取付けてある。
操作系は、電子コントロールのソフトタッチスイッチによる前面コントロール方式で、メカニズムの作動音は十分に抑えられている。なお、ストロボスコープは水晶発振器と同期したLED照明である。
サンスイ FR-Q5, FR-D4K
井上卓也
ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
サンスイのプレーヤーシステムは、伝統的に機械的な構造がリジッドであり、つねに、オート機構をもつモデルも用意されていることに特長がある。
今回、新しく発売された2機種のプレーヤーシステムは、ともにフルオート機能を備えたモデルで、FR−Q5は、駆動用のモーターが水晶発振器を基準とするPLLサーボ・ブラシレスDC型、FR−D4Kが、ブラシレスDC型を使用するという違いがある。
ターンテーブルは、直径30cmのアルミダイキャスト製で、バイアス方式過飽和磁芯型位置検出機構を内蔵した20極・30スロットのブラシレスDCモーターで駆動される。FR−Q5では、これにターンテーブル外周部の内側に磁性体を吹付けて着磁した高密度磁気信号を検出用磁気ヘッドから得て周波数(FG)信号として使う磁気記録検出方式とクォーツロックPLL方式が組み合わされ、FR−D4Kでは、ステーターに組み込まれた速度検出コイルにより速度比例電圧をとりだし、基準電圧と比較するサーボ方式が採用されている。とくに、FR−Q5に採用された磁気記録検出方式は、定速回転時の過渡応答性、負荷変動に対しての回転偏差、回転偏差が生じた場合の再安定に要する時間の短縮などですでに定評が高く、中級機以上の製品には数多く採用されているが、従来のSR838に採用されていたような光学式に替わりサンスイ製品では、最初の採用であろう。
トーンアームは、1978年11月の第61回AESで発表されたダイナオプティマムバランス方式を採用したS字型パイプをもつスタティックバランス型である。この方式は、カートリッジの針先が受けたレコードからの信号や振動が、アーム全体あるいは軸受部分を振動させ、この歪んだ振動が再び針先に影響を与え、カートリッジの出力に振動信号が混入することを防止するためのもので、針先に対してアームの動的な最適支持点を求めることで解決している。
また、このアームは、アームベース下部にオート動作用の駆動DCモーター、クラッチが組み込まれ、マイクロコンピューターを採用した電子ブロックからの信号によりトーンアームを上下、左右に駆動する。電子ブロックは、基本動作を記憶し、スムーズで確実に動作させるプログラムと数々の異常動作のプログラムをも記憶して各センサーからの情報を整理し、判断をする。
オート機構は、ストップを最優先としたプログラムで動作をし、演奏中を含め全ての動作中にストップボタンを押したり、動作中にアームに触れたり、スタートボタンを押してもアームはレストに戻り動作はストップするなど、多重動作の電子的安全機構を備えている。
付属カートリッジは、米エンパイア社製MI型。2機種ともにオート動作は電子制御らしい確実さと応答速度をもち、活気のある伸びやかなサウンドが特長だ。
ダイヤトーン LT-5V
井上卓也
ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
ダイヤトーンのプレーヤーシステムは、昭和51年に電子制御のECフルオートプレーヤーを開発して以来その性能、機能、操作性の優れたメリットが認識され、国内はもとより、海外でも高い評価をえて、オートプレーヤーのひとつの方向を示しているが、今回は、このECプレーヤーの技術をベースとして、いわば、プレーヤーのコペルニクス的転換ともいえる、レコードを垂直に保持して使うユニークな方式を開発し、世界に先駆けて発売することになった。LT5Vはカートリッジレスで、LT5VCはカートリッジ付である。
垂直型を採用したメリットは、設置場所の制約が少なくなったことをはじめ、トーンアームにリニアトラッキング方式を必要とすることによって得られるアームの慣性質量の低減、水平トラッキングエラーによる歪率の改善などの他に、床からの振動に対してカートリッジの感度がなく耐ハウリング性が非常に強い。また、カートリッジの自重による針圧変化が少なく、気軽にカートリッジ交換が可能など数多くの、このタイプならではの特長をもつ。
フォノモーターは、現在のDD型が横位置では軸受が焼付くため使用不能で、PLL・DCサーボモーターによるベルトドライブ方式が採用されている。モーターからの動力は、キャビネット内部に軸受をはさんでターンテーブルと相対的に位置し、バランスをとった大型フライホイールにベルトで導かれる。このダブルフライホイール構造により、総重量は2kgを超す。レコードの保持は、特殊カーブに凹んだゴムマットと腕木状に移動するステーの中央に取付けてあるホルダー兼スタビライザー内部のスプリングで安定に支持することが可能。
トーンアームは、ステンレスパイプ使用の垂直、前後、左右方向のバランスをとったユニバーサル型のスタティックバランス方式で、アームベースは、2組の光センサーによるサーボシステムにより、専用モーターで精密仕上げのステンレス棒上を、0・05mm×49本のステンレスワイヤーで駆動される。トラッキングエラーは0・1度以内に収まり、一般のタンジュンシャル型の約2・5度と比較すれば格段にトラッキングエラーによる歪は少ない。
オート機能は、専用LSIを使う光学式無接触型のレコードサイズ検出、オートスタート、オートストップ、回転数の自動選択などの数多くの特長をもつECフルオート方式で、動作は節度があり、しかも、確実に、敏速に動作をする特長がある。操作は、ソフトタッチのスイッチで振動の発生が抑えられ、トラッキング誤差表示、回転数、リピートなどはオプティカルディスプレイに表示される。脚部を外して本体奥行15cmと薄く壁掛け可能なLT5Vは、各種カートリッジの音色を素直に引出し、リニア型特有の広い音場感とシャープな音像定位が聴かれ、その基本性能は同価格帯の在来型以上に高い。
マランツ Tt1000, Tt-7
井上卓也
ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
このところ、プレーヤーシステムの分野では高価格帯の重量級プレーヤーシステムが各社で開発され、次々に発売されることが目立った傾向となっている。
今回、マランツから発売されたTt1000は、昨年秋の全日本オーディオフェアに出品された、プレーヤーベースやターンテーブルマットに高密度ガラスを採用した高性能マニュアルモデルであり、Tt7は、Tt1000に採用されたトーンアームと共通なストレート型アームを備えたクォーツロックPLLサーボ方式のダイレクトドライブ型フルオートモデルである。
Tt1000は、マランツのプレスティッジシリーズの製品に新しくつけられた、ESOTECの名称をもつ最初の超高級マニュアルプレーヤーシステムである。
まず、最大の特長は、プレーヤーベースの構造材に硬質ガラスが極めて高密度であることに着目をし、質量が異なる物質をサンドイッチ構造とし、振動エネルギーを熱エネルギーに変換し、振動の伝達を速断するという理論のもとに、ガラス(15mm)+アルミ(8mm)+ガラス(15mm)を3重構造サンドイッチに積層したソリッドベースを採用している点にある。
ターンテーブルは、重量2・7kgのゴールドに着色されたアルミダイキャスト製で、ターンテーブルマットには、厚さ5mm、重量500gの硬質ガラス板を採用している。これは、従来のターンテーブルマットが内部損失が大きいゴムに代表される材料を使い、振動を吸収する目的であったことに対して、マットは振動を吸収するものではなく、振動そのものを受けつけない構造にするという構想によるものとされている。この考え方は、むしろ、振動を伝達しやすくし、まずマットとターンテーブルのマスで熱エネルギーとし、次に軸受を経てモーターを含めた重量が大きいプレーヤーベースで吸収するといったらよいだろう。
モーターは、起動トルク1・66kg・cmクォーツロックPLLブラシレスDC型で、0・5秒で定速に達し、電磁ブレーキ内蔵である。なお、電源部は、電磁誘導を防止するために外部に独立したパワーサプライユニットをもつタイプである。
トーンアームは、専用の挿入式面接触型のシェルを採用したストレートパイプのダイナミックバランス型で、カートリッジのコンプライアンスに応じてアーム実効質量をコントロールする付加ウェイトがストレートパイプ部分に取付可能である。アームベースは重量級のアルミ削り出しで、偏芯したアーム取付穴をもつため、これを回転すれば実効長230mmまでの他のアームを取付けできる。この場合にはプレーヤーベース左奥の45回転アダプター設置場所の加工済みの穴に付属アームを取付け、2本のアームが使用可能となる。スタート、ストップ、回転数切替はベース前面のフェザータッチスイッチで操作をする。なお、電源スイッチは電源部にある。
ジュエルトーン MP-50J, No103J
ゴールドバグ Clement
井上卓也
ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
このところ、カートリッジの分野では、各メーカーから続々とMC型の製品が登場してくることが目立った傾向となっている。ゴールドバグは小規模なメーカーらしいが、クレメントの完成にはアンプ設計者として著名なJ・ボンジョルノ氏が関与していることに特長がある。発電方式は巻枠に鉄芯を使うタイプで、コイルは15ミクロンの銅線で16Ωの抵抗値をもつ。カンチレバーはテーパー型アルミ合金パイプ製で高域共振周波数は40kHz。自重が5・6gと軽いことが特長である。
ソニー XL-44(B), XL-40, HA-50
井上卓也
ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
ソニーのカートリッジは新発足のソニーサウンドテック株式会社に移管されたが、その第一弾製品として7種類の新製品が発売された。今回は、そのうちMC型とMM型のカートリッジとMC型用ヘッドアンプを試聴することができた。
MC型カートリッジXL44は、ブラック仕上げのXL44Bも用意されるというユニークなモデルである。発電方式は独自の8の字型空芯コイルを2個組み合わせたプッシュプル動作によるもので、巻枠となるアーマチュアは、どの方向にも動きがスムーズな円形であり電気的、機械的にバランスの優れた振動子としている。発電部は箱型構造の共振が少ないアルミダイキャスト製のヘッドシェルにダンプして組込んだシェル一体型を採用し、レコード盤面側のモールドが鮮やかなバイオレットに採色されているのがユニークである。
XL44は、腰が強くソリッドな低域をベースとした安定感のある音が特長である。レスポンスは滑らかにコントロールされ、中域のエネルギー感も十分にある。
MM型カートリッジXL40は、既発のXL45IIに最新の技術とノウハウを盛込み、大幅にコストダウンを計った新製品である。振動系は独自のカップ型ダンパーとテンションワイヤーの採用で振動支点を明確化し、ヘッドシェルは、XL44同様の箱型構造のアルミダイキャストシェルに組込む一体化防振構造であり、スタイラスホルダーは本体にネジ止め構造、本体のコイルには無酸素銅線採用。また、シェル内部配線はウレタン被覆リッツ線を使用するなど超高域まで伝送特性を伸した設計となっている。
XL40の音は、音色が暖かく明るいタイプで、厚みがあり安定した豊かさが特長である。
MC型カートリッジ用ヘッドアンプHA50は、既発売のHA55を受継いだ新製品である。入力はコンデンサーのない直結方式で、低域の位相回転がない。ゲインは26dB、周波数特性は6Hz〜1MHzと広帯域型であり、最大許容入力は100mVと高い。信号系は一切配線がなく、すべてプリント基板上で処理され、電源は定電圧型。スイッチ切替時のポップノイズ防止用のグランドショートタイプのミューティング回路を内蔵している。
アントレー EC-15
井上卓也
ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
MC型専業メーカーとしてユニークな存在のアントレーから第3弾製品としてEC15が発売された。2重パイプ使用のステップドテーパーカンチレバー、高精度な粉末冶金法によるEU材の成型ヨーク、カーボンファイバー強化のボディなど新技術が応用され、高性能でローコスト化を実現している。昇圧トランスET100と組み合わせたEC15は、音の輪郭がシャープで活気があり、クリアーで、透明感があるハイクォリティな音を聴かせる。
オーディオテクニカ AT-30E/G
井上卓也
ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
カッターヘッドと相似形の動作をする独特なVM型カートリッジで定評があるオーディオテクニカには、デュアルムービングコイル型と名付けられたMC型カートリッジのシリーズがあるが、今回、新しくAT30E/Gが加えられた。
新モデルは、従来のタイプとはV字型のコイル配置が逆になり、VM型と同様にレコード盤面と反対方向に取付けてあるのが特長で、これによりスタイラスノブをVM型同様に抜き挿しして針交換を可能としている。コイルは低損失銀銅線、磁気回路はサマリウムコバルト磁石使用で出力電圧は0・4mVと高い。また、オーバーハング微調整可能なアルミブロックQダンプシェルに取付けてあるのも特長。AT30E/Gは、MC型としてはダイナミックで力強い音をもちフレッシュな音が魅力である。
サテン M-117G, M-18G
井上卓也
ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
空芯スパイラルコイルとゴムダンパーを使用しない独創的な発電方式と超精密工作で定評が高い、ユニークなMC型カートリッジをつくるサテンから新しくGシリーズの新製品が発売された。
Gシリーズは、サテンで開発された 『音をこわさないステレオ』創りの技術に基づいて完成された製品で、サテンのトーンアームAR1、プリアンプPA1、メインアンプMA1、スピーカーシステムSP1など一連の製品と組合せて本来の性能を100%発揮するように作られているとのことだ。新シリーズは現在、M117G、M18G、M18GBなど5モデルがあり、外見上ではM117やM18と同様に見えるが、サテンのトーンアームからスピーカーシステムまでの一連の製品の完成によって、一段と音をこわす箇所を厳密に取除くことが、可能になったようで、この原因は一般におこなわれている動的歪やスルーレイト等を含め、非常にレベルが低く測定不能の領域のものと発表されている。
今回は、M117GとM18Gを従来どおりのステレオサウンド試聴室のシステムを使って聴いたが、ともにローレベルの再生が明瞭であり、直線的に伸びる音の立上がりがシャープな見事な音をもっている。とくに、M18Gは一段とリアリティが豊かで格調が高く、昇圧トランスなどを必要としない高出力型MCカートリッジならではのダイレクトな音である。
グラド Laboratory Tone-Arm
瀬川冬樹
ステレオサウンド 50号(1979年3月発行)
特集・「栄光のコンポーネントに贈るステート・オブ・ジ・アート賞」より
古いカタログを探し出してみると GRADO LABORATORIES, INC. 4614 Seventh Ave. Brooklyn 20, N.Y. 価格は$39.50. とある。
LP以後のアメリカのオーディオ機器のいわば第一期黄金時代というべき一九五〇年代。そのピークを飾ったマランツのアンプの全盛の頃、グラドは、ピックアップの分野でいわばマランツ級の超一流の評価を得ていた。それば単に性能の優れていたばかりでなく、デザインや仕上げが、複雑で洗練されていて、製作者の教養を感じさせる品位の高さがある。
グラドは、モノ時代から主材に銃床(ガンストック)用のきわめて堅固なよく枯れたウォルナットを削り出した、流麗なスタイルのアームを作って、我々をびっくりさせた。無理のない美しい曲線が、極上のウォルナットの質感をよく生かして、見ただけで欲しくなるアームだった。ステレオ時代に入って、ラボラトリー・トーンアームと名づけて軽質量化したのが写真のアームで、モノ用よりもスリムになって、いっそう洗練の度を加えた。ウォルナットの地肌に、地色のままのアルミニウムの艶をおさえた白。メインウェイトの支持部とラテラルウェイトは支持部とラテラルウェイトは真鍮にブラッククロームメッキ。アーム根元のベースは、硬質ゴムを機械加工しているが、わざと平面でなく厚みをかえていて、取付後に回転させながらアームの水平を調整するという素晴らしい着想。アームレストにはマグネットキャッチが仕込んである。
構造はダイナミックバランス型で、針圧は付属の針圧計による点は、当時の他の大半のアームと同様だ。カートリッジはテフロン製のスライドにとりつけて、先端部のネジでしめつける交換式。
ステレオ初期の設計なので、針圧2グラム以下ではやや感度が鈍るが、たとえばオルトフォンSPUなど、3グラム以上かけてよいカートリッジなら、こんにちでも、上質のウッドアームのよく制動の利いた緻密な音質を楽しむことができる。
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