Category Archives: アナログプレーヤー関係 - Page 20

ビクター QL-Y7

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ビクター初の電子制御トーンアームを採用したセミオートプレーヤーシステムである。トーンアームは、軸受部の右側面に垂直方向のセンサーとリニアモーター、水平軸受の延長部にセンサーとリニアモーターを備えた純電子制御型で、アームの上昇、下降、盤面上の左右送り、オートリターン、リジェクトの他、ゼロバランス調整後は針圧調整、インサイドフォースとダンピング量が独立した3個のツマミで針圧対応型で調整できるが、当然、任意の個別調整も可能だ。
 プレーヤーベースはローズウッド仕上げの無共振ソリッド材積層構造で、高さ調整可能なドーム型インシュレーター付。モーターは、コッギングがなく滑らかな回転が得られる高トルク・コアレス構造の偏平型DCモーターで、サーボ系全体の信頼性を従来の約30倍向上させたダブル・クォーツロック方式と、コアレスモーターのトルクの低いデメリットを改善するプッシュプルドライブ方式に特長がある。ターンテーブルは重量2kgのアルミダイキャスト製で、ターンテーブルのつり鐘振動と固有共振を抑える目的で亜鉛ダイキャストを複合した無共振構造を採用している。演奏中に単独コントロールできる針圧、ダンピング調整は、聴感上の最適値を求める場合に有効に動作をする。情報量が多く、表情も豊かで高品位な音である。

ソニー PS-X75

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 トーンアームにエレクトロニクスの技術を初めて導入し、バランス、針圧などの全てを電子的にコントロールする電子制御トーンアーム(バイオトレーサー)を搭載したプレーヤーシステム、PS−B80は、ソニーの技術水準の高さを世界に示す優れた製品であるが、この優れた再生能力を実用価格帯の製品に実現したものが、このPS−X75である。
 トーンアームは、垂直と水平方向に、独立した速度センサーとリニアモーターを備え、速度型フィードバックにより低域共振を従来より約3dB以上抑え、低域共振による混変調歪と低域のクロストークを改善している。また、バランス調整は手動であるが、光学式レコードサイズ選択、盤面上の部分送りを含むアーム操作を含めたオート機構、針圧調整、自動インサイドフォース調整などは完全に電子制御化され、フロントパネルで任意にコントロールできる。
 プレーヤーベースは、独自のSBMC複合成形材と特殊ゲル状粘弾性体インシュレーター使用。モーターはクォーツロック高トルク型リニアBSLモーターの、マグネディスク回転数検出型で、電磁ブレーキが付属する。トーンアーム軸受はロングスパン構造、高さ調整付。亜鉛ダイキャスト合金製の強固なアームベース付で、内線材はリッツ線使用。滑らかで自然なバランスが音の特長。

ケンウッド L-07D

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ディスクに刻まれた信号を100%確実に、正確に電気信号に高忠実変換することを開発の最重要事項として造られた高性能プレーヤーシステムである。
 プレーヤーベースは、高剛性防振を実現する目的で、新素材マホガニーコンプライトと剛性が高い素材を複合密着させた基礎部分に、硬質アルミフレーム、新ARCB材を重ねた異種材複合防振構造であり、ターンテーブルもアルミダイキャストにジュラルミンを圧入し、上面にステンレスプレートを加えた重量5・5kgの複合防線型である。
 モーターは、軸受オイルなどの温度変化や粘性変化による負荷変動に対し自動的に位相補償値を調整するダイナミックコンペンセーター内蔵のスロットレス・クォーツロックPLLサーボ型で、シャフト直径は12mm、軸受部はマグネフロート方式で荷重を軽減している。
 トーンアームは、航空機用硬質アルミラミネートパイプに炭素繊維とボロンファイバーを複合した6層構造、軸受部は超硬合金ピボット、ステンレス鋼軸、大型ベアリング採用で、アームベースは大型のコレットチャック式1回転0・1mmの高精度ヘリコイド高さ調整機構付。内線材は特殊純銅リッツ線使用、出力コードのコネクターはロックネジ付の新型で、従来の数倍の接触面横をもつ。Lシリーズ共通の緻密で整理された音だ。

オーレックス SR-M99

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 外観から受ける印象は比較的にコンパクトにまとまったマニュアルプレーヤーであるが、非常に高度に凝縮された徹底的な無共振構造に基づいたオーレックス初の高級プレーヤーシステムである。
 まず、最初に驚かされることは、小型でもあるために気軽に持上げようとしたときのことだ。指をプレーヤーベースに掛けたとたんに、強固な金属のみがもつ独特の感触があり、重いなと予想しながら持上げてもビクともしない、42kgの超重量級である。
 ベース部分は、アルミダイキャストの約3倍の比重をもつ銅合金製で、巨大なマスと小さな外形寸法のため耐ハウリング性が非常に高く、優れたシステムの土台となっている。駆動モーターは、ローター磁石を上下のステーターコイルでサンドイッチ構造とし、上下方向の振動を2個のステーターコイルの逆相振動でキャンセルする独自のダイレクト・ダブルドライブ型で、起動トルクが従来の約2倍あり、シャフト径は15mmと太い。ターンテーブルは重量7・5kg、裏面に2種のダンプ層をもつ3層構造。マットもブチルゴム・鋼板・ブチルゴムの3層構造だ。アームは強いS字型カーブのスタティックバランス型。軸受はジンバル方式、独自のダイナミックダンピング機構付ウェイト使用。土台の安定した高品位の音は高級機の世界。

ヤマハ HA-2 + C-2a, BX-1

菅野沖彦

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか(下)最新セパレートアンプ25機種のテストリポート」より

 非常に鮮度の高い音で、ヴァイオリンの細かい音やピアノの粒立ちを克明に聴くことができる。音全体の感触にエネルギッシュで肉厚な充実感がある。解像力がいいが、決して弱々しい繊細な音ではなく、高音にもしっかりした肉付きを感じる。ジャズも血が通っている。

ヤマハ MC-7

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 独特の発電構造を採用した純粋MC型カートリッジMC1X、MC1Sに続く第2弾のMC型新製品である。発電方式は、バルクハウゼン効果が少ないセンダストの十字型巻枠を縦と横方向に配置した垂直・水平型発電タイプで、コイル巻線を使うマトリックス回路で、一般的な45/45方式に交換するMC型としては最初の製品である。このタイプは、十字型巻枠の幅による縦・横方向コンプライアンスの調整、現実の45/45方式でカッティング角度の変化範囲が数度に達している実状に任意にフォローでき、コイル巻数による任意のクロストーク特性や音場感のコントロールが自在である。
 MC7は、スクラッチノイズが量的に少なくパーカッシブな音を正確に再生する特長がある。音色は明るく、低域には安定感があり、鮮明な表現力が特長。

ビクター MC-101E

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 針先位置に近接して超小型のプリンテッドコイルを取付けた独自のダイレクトカップル方式MC型MC1、MC2に続く、同じ発電方式で高出力型とした新製品である。高出力化のため、従来のマイクロコイルと同質量で3層構造とした多層化コイルは、一層ごとの巻数がMC1の2倍以上あり、パターンはLSIより細かい。多層化の副次的なメリットで適度な内部損失が持たせられるため、一層型では必要な制動用シリコングリスが不要である。リードワイヤーもマイクロコイル同様にフィルム面にリード線を形成し、軽量化と信頼性を向上している。磁気回路も改良が加えられ、コイルパターンの変更とともに、1・3mVの高出力を実現している。
 サラリとした淡白なキャラクターで音色は明るく軽く、細部をクリアーに引出す。帯域はナチュラルに伸びダイレクトにMCの魅力が聴けるのが特長。

オーディオテクニカ AT-150E/G

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 新しくモデルナンバーを3桁としたAT100シリーズは、カッターヘッドと相似的な発電方式を採用した独自のVM型で世界的に知られるオーディオテクニカの第2世代を意味する新シリーズだ。AT150E/Gは、4機種あるAT100シリーズのトップモデルである。
 新シリーズは、発電系に継ぎ目のない一体構造のラミネートコアに、横方向からボビンを挿入し、磁気ギャップをくぐらせてコイルを巻くパラトロイダル発電系を採用している。この方式は磁気損失が少なく、AT25のトロイダル発電系に近い発電効率が得られ、周波数特性上で数kHz付近の凹みがなく、インピーダンスも従来型より一段と低い。
 カンチレバーはベリリウムパイプ使用。アルミダイキャストボディとMS9マグネシウムヘッドシェル付である。
 従来より一段と低レベルが鮮明で音色は明るくトレース能力が向上した。

グランツ GMC-55

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ユニークなピボット型支持方式を採用したMF型カートリッジで知られるグランツ最初のMC型である。発電方式は、巻枠に磁性体を使うタイプに比べ等価質量が小さい純粋MC型で、フラットな周波数特性、優れたクロストーク特性が得られる。磁気回路は、サマリウムコバルト磁石と磁気飽和値が高いパーメンジュールのヨーク採用で、独自の磁束集中用ヨークを採用しているため、インピーダンス3Ωの純粋MC型で0・1mVの高出力を得ている点に注目したい。
 振動系のサスペンションは、磁束集中用ヨークに特殊ボールを固定し、ボールの球心が振動支点となる独自の方式。
 音色は、明るく穏やかなタイプで、柔らかく豊かな低域をベースとした、安定感のある滑らかで大人っぼい音が特長。しっとりとした表現が印象強い。

ダイナベクター DV/KARAT DIAMOND

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 最近のカートリッジ関係の最大の話題は、宝石カンチレバーの開発があげられる。カラットシリーズは、宝石カンチレバー採用の最初の製品として注目される。カラット・ダイアモンドは、ダイアモンドカンチレバー採用の空芯型MCカートリッジで、シリーズ製品カラットはルビーカンチレバー採用である。
 カンチレバーは全長2・5mmと従来の6〜7mmに比べ短かく、通常の構造の発電方式では考えられない寸法である。超高硬度のカンチレバーの採用により、針先の振動はカンチレバー中で周波数によって速度が変化する分散現象が格段に低減され、正確に電気信号に変換されるとのことで、高域共振は70kHzと高い。コイル巻粋は1mm角と小さく、通常のダンパーを使わずサスペンションワイヤーで支持され、ゴムの温度変化は皆無である。
 音色は明るく軽いタイプで反応も速く、鮮明に細部のニュアンスを引出す。

アキュフェーズ AC-1

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 高級アンプメーカーとしてユニークな存在であるアキュフェーズ初のMC型カートリッジである。
 発電方式は巻枠に磁性体を使う伝統的な方式で、カンチレバーは、西独製アルミ・マグネシウム合金パイプ全長の約60%にベリリウムの芯を入れた二重構造。ダンパーは、2種類のダンパーを同軸に使うダンプド・ダンパー方式。磁気回路はサマリウムコバルト磁石採用で、パーマロイ材に0・035mmの銅線を一層巻としたインピーダンス4Ωのコイルにより0・2mVの出力を得ている。カートリッジボディは、強度的に弱い例が多く見られるが、ここではアルミダイキャスト採用で内部損失と剛性の高さを併せもつ設計。別売にMCヘッドアンプが用意されている。
 MCヘッドアンプ使用で、全帯域にシャープに焦点のあった、細やかでクォリティが高く、彫りの深い音だ。

ソニー XL-55 pro, XL-55, XL-44, XL-45II, XL-45E, XL-40, XL-25, XL-15, ND-1500

ソニーのカートリッジXL55 pro、XL55、XL44、XL45II、XL45E、XL40、XL25、XL15、交換針ND1500の広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

XL55

オルトフォン MC20, MC30, SPU-A

オルトフォンのカートリッジMC20、MC30、SPU-Aの広告(輸入元:ハーマンインターナショナル)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

ortofon

エンパイア EDR.9, 4000D/III LAC, 2000E/V

エンパイアのカートリッジEDR.9、4000D/III LAC、2000E/Vの広告(輸入元:オーデックス)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

Empire

アツデン YM-130HS, YM-308II, DSR-12

アツデンのカートリッジYM130HS、YM308II、ヘッドフォンDSR12の広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

AZDEN

オーディオテクニカ AT150E/G

オーディオテクニカのカートリッジAT150E/Gの広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

AT150

シュアー V15 TypeIII-HE, VN35HE

シュアーのカートリッジV15 TypeIII-HE、交換針VN35HEの広告(輸入元:バルコム)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

Shure

マイクロ BL-71, CU-180

マイクロのアナログプレーヤーBL71、ターンテーブルシートCU180の広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

BL71

パイオニア Exclusive Model 2301, Exclusive Model 3401W, Exclusive C3a, Exclusive C10, Exclusive M4a, Exclusive M10, Exclusive F3, Exclusive P3, Exclusive P10

パイオニアのスピーカーシステムExclusive Model 2301、Exclusive Model 3401W、コントロールアンプExclusive C3a、Exclusive C10、パワーアンプExclusive M4a、Exclusive M10、チューナーExclusive F3、アナログプレーヤーExclusive P3、Exclusive P10の広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

Exclusive

アントレー ET-200

アントレーの昇圧トランスET200の広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

entre

ピカリング XSV/4000

ピカリングのカートリッジXSV/4000の広告(輸入元:東志)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

XSV4000

B&O Beomaster 2400, Beogram 4004

B&OのレシーバーBeomaster 2400、アナログプレーヤーBeogram 4004の広告(輸入元:イーストアジアチックカンパニー)
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

B&O

ジュエルトーン DC-203J, No105J, QR-202J, CT-405J, CW-402J

ジュエルトーンのレコードクリーナーDC203J、No105J、QR202J、カセットデッキアクセサリーCT405J、CW402Jの広告
(スイングジャーナル 1979年12月号掲載)

No105J

オーディオテクニカ AT1100

井上卓也

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 既発売のダイナミックトレーシングシステム方式を採用した同社のトップランクトーンアームAT1010と基本構想を同じくした、フロントパイプ交換式のユニバーサルアームである。軸受構造はAT1010と同等で、この前部にVブロック応用の平面圧着コネクターがありパイプ部分を交換できる。特長があるのは、オイルバス型ともいえる水平回転方向に働くf0ダンプ機構を備えており、ダンピング効果は5dB程度もあるとのこと。加工精度、仕上げも高級アームらしい立派な製品だ。

テクニクス EPA-500

井上卓也

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 カートリッジの多様化、高性能化が現在のようにエスカレートしてくると、それらと組み合わせて使用するトーンアーム側は、ヘッドシェル交換が容易な現在のユニバーサル型という構造自体が、それぞれのカートリッジの性能をフルに発揮させるための障害とさえ考えることができる。ユニバーサル型の使い易さと専用のインテグレートアームの性能の高さを併せもった製品として開発されたモデルが、このEPA500である。
 システムトーンアームの名称をもつように、EPA500は、使用するカートリッジの特性に応じて専用アームユニットを交換できるようにしたシステムトーンアームの基本モデルで、アームベース EPA−B500とアームユニット EPA−A501H及び針圧計SH50P1の3種類で構成される。
 EPA−B500は、ジンバル支持の軸受とヘリコイド方式の高さ調整機構をもつアームベースで、軸受部分に横方向にスライドしてアームユニットを交換することができる。針圧計SH50P1は、半導体ストレイゲージと大型メーター使用のエレクトロニクス針圧計で、精度が高く、針圧直読型で、電池を内蔵している。
 アームユニットは、他に、EPA−A501M、EPA−A501Lが用意されている。使用カートリッジの自重は3種類ともに5〜7gだが、コンプライアンスの違いにより、Hは10〜14、Mが7〜10、Lが5〜7×10の-6乗cm/dyneと区別され、自重とコンプライアンスが異なる、E、Gなどが続いて発売される予定だ。
 アームユニットは、実効質量とパイプ素材が異なり、ウエイト部分は、独自のダイナミックダンピング方式で低域共振鋭度の制動効果は6dB以上と高い。なお、パイプ部は、テーパー型でチタニウムナイトライドパイプ使用だ。