Category Archives: 国内ブランド - Page 29

マランツ Sm-9

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 Sm6の上級機種で、これはマホガニー・キャビネットに収められている。150W+150W(8Ω)のパワーをもち、Sm10とはわずかな価格差だが、コンセプトの異なるアンプ。マランツのシリーズは豊富で、それぞれの要求にキメ細かく対応しようというメーカーの意欲が感じられる。これも一段と高級感をもったマランツ伝統のイメージを踏襲し、現代的にリファインした美しいデザインと仕上げをもっている。

音質の絶対評価:8

マランツ Sm-10

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 120W+120WのパワーはAB級で8Ω負荷時、別に切替でA級30W+30W(8Ω)、350Wモノーラルアンプとしても使えるDCアンプ。モノーラルアンプを2台カップルして、ステレオユニット化した構造が外観からもわかるし、これがデザインの基調ともなっている。作りも仕上げも美しく、往年のマランツのイメージをよく生かした製品だ。Smシリーズの中でもユニークな存在で、個人的にも好きな製品である。

音質の絶対評価:8.5 

マランツ Sm-6

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 AB級120W+120W(8Ω)、A級動作で30W+30Wのパワーハンドリングは、上級機種Sm10と同規格であるが、こちらはデザインもコンストラクションも違う。パワーメーターつきパネルフェイスはSm7や9と共通イメージのマランツの現代の顔である。といっても、もう伝統的といってもよいイメージだ。木製キャビネットは別売り。美しい仕上げだし、メーターの色彩も華麗で使う楽しみをもっていてよい。

音質の絶対評価:7

オンキョー Integra M-509

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 オンキョー始まって以来の高級アンプとして登場しただけあって、実力豊かな力作である。200W(8Ω)のパワーは4Ωで280Wを保証される。歴代の同社のパワーアンプのデザインイメージを踏襲したブラック・フィニッシュ、大型パワーメーターのパネルフェイスだが、これは一廻りスケールが大きく立派な作りである。高級アンプにふさわしい風格が感じられて好ましい。本格派と呼べるパワーアンプである。

音質の絶対評価:9.5

オンキョー Integra M-506

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 120W+120Wの出力をもったパワーアンプで、4Ω負荷160Wも保証される。大型のパワーメーターを基調にデザインされたブラック・フィニッシュのパネルは仕上げがよいので、価格以上の高級感を感じさせる。スイッチ・オンで、メーター照明がオレンジ系から動作状態を色の変化で伝えるなどの洒落っけも持っている。売物Wスーパーサーボと称するサーボオペレーションを採用した効果が認められる。

音質の絶対評価:8.5

オンキョー Integra P-309

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 P306の上級機として登場したこのプリアンプは、内容的に明らかにリファインされているし、オンキョーとしては力の入った高級機らしい高級機だ。ブラック・フィニッシュはマチエールの美しい、高い仕上げで、細かいコントロール類はサブパネル内に収めた、すっきりしたデザイン。ウォームアップの状態を視覚的に確認できるインジケーターをつけるなど、なかなかマニアックだが、ちょっとやり過ぎの感じもある。

音質の絶対評価:8

マランツ Sc-9

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 Sc6の項で述べたことがそのままここでも当てはまる。相当ごちゃついたパネルレイアウトで、この点ではSc6のほうが好ましい。しかし、それだけに、この多機能性はマニアを楽しませるし、使いこなせば効果は大きい。
 伝統のマランツのパネルイメージは貴重な宝といってよい。これを0からデザインしたら、これだけの風格や魅力を生むことは、まず不可能だろう。亜流の多くが、そのことを示している。

音質の絶対評価:7

オンキョー Integra P-306

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 単体のプリアンプとしてはコストパフォーマンスのよさで高く評価されている。たしかに、この音で10万円という価格は安いといえるし、作りや仕上げも決して悪くない。ハイゲインEQ式のMC入力回路も、なかなか使えるクォリティをもっているし、ダイレクト・トーンコントロール、スーパーサーボなど、オンキョーのお家芸をもり込んだ充実した製品だ。ごく標準的なパネルレイアウトも好ましい。

音質の絶対評価:7

マランツ Sc-6

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 マランツのイメージを引継ぎながら、現代的にリファインしていくという難しい仕事に、真正面から取り組み健闘している現代マランツ製品で、そのスタッフの努力は多とするに足ると思う。このSc6も、誰が見てもマランツだと一目でわかるアイデンティティが好ましい。フルファンクションと、まずまずのクォリティをもっていて、この値段というのは、総合的に、かなり高く評価したいところである。

音質の絶対評価:7.5

ラックス M-4000A

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 オリジナルM4000が、4000Aとなったもので、かなり長い期間市場にある。180Wの出力をもつオーソドックスなアンプだが、デュオベータ回路が採用されてリファインされた。デザイン、作りも高級アンプにふさわしいもので、かなり力作だと思う。パネルは大型メーターを基調に美しくまとめられ、ピーク指示もVU指針と併読できる。後部に大きく突出したヒートシンクの間に埋れたスピーカー端子はなんとも不便。

音質の絶対評価:7

ラックス M-300

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 AB級、A級の動作切替が可能で、パワーはそれぞれ、170W+170W、40W+40W(8Ω)取り出せる。もちろんこれは、トランジスター式の現代アンプである。木枠に収められたパネルは、デザインもフィニッシュも美しく、いかにもラックス製品らしい精緻さを感じさせてくれるものだ。こういう美しい仕上げを見るにつけ、一部の、外国製アンプの汚らしさにはあきれるばかりである。デュオベータ、プラスX回路採用。

音質の絶対評価:7.5

ラックス MB3045

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 管球式のモノーラル・パワーアンプで、60Wの出力をもっている。このぐらいのパワーがあれば現代の広Dレンジのプログラムソースも、まずまずカバーすることができる。真空管自体をはじめとして、往年の常識を越えた高性能管球式アンプといえるもので、別売のキットとともに、オーディオ界に嬉しい存在だ。心情的にはシャーシの薄さのためか、プロポーションが悪く、もう少し重厚さと暖かみがほしいところ。

音質の絶対評価:8

ラックス MQ68C

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 管球式のパワーアンプを維持してくれているラックスは貴重な存在。アウトプット・トランス2個と電源トランスをシンメトリックに配したシャーシ構成は美しい。NFBを0dBと16dBに切替ができるなど、マニアライクなアンプとして好感が持てるもの。全体のセンスが、もう一つハイセンスだといいと想うのだが、どうもトランスの名版などの色が安っぽく興をそぐ。25Wという出力も仕方がないとはいえ少々小さい。

音質の絶対評価:8

ラックス C-5000A

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ラックスのプレスティジ・コントロールアンプらしく、さすがに、重厚な雰囲気を感じさせる仕上りだ。伝統的なラックスのパネルデザイン、デュオベータ回路採用の高品位なパーツによる高級機らしい風格を備えている。コントロールセンターとしての機能も完備しているし、各コントローラーの操作性、フィーリングも高い。MCカートリッジ入力端子は、昇圧トランス式というのもマニアライクなユニークさだ。

音質の絶対評価:7.5

ラックス C-300

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 オーソドックスながら、新鮮味も持っているコントロールアンプ。内容と外観が、ともにそうしたイメージで統一されている。デュオベータ、プラスX回路採用の現代的なプリアンプであるが、その発想そのものは、きわめてオーソドックスな歪みの低減思想である。ただ、このクラスのプリアンプとなると、もう一つ、個性的魅力が伴わないと、単体プリアンプとしての風格の点で物足りないということになる。

音質の絶対評価:6.5

ラックス CL34

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 管球式のコントロールアンプだが、外観からはそれと判明する雰囲気はない。デザインとしては特に木枠が野暮で、色も含めて、およそ美しさが感じられない。天板の部分を高くするなど、手間をかけて、かえって悪くしたという気もする。デュオベータ回路を管球式に使った新設計のアンプで、パネル操作類もよく整理されながら、コントロール機能を備え、感触も快い。フラットなプロポーションをもっと生かしてほしかった。

音質の絶対評価:6

Lo-D HMA-9500MKII

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 いかにもパワーアンプらしいメカニカルなコンストラクションをそのままカバーなしでまとめたもの。前面両端にがっしりとした取手がつけられている。左右シンメトリックなヒートシンクがデザインの決め手となる。剛性の悪いぺらぺらな天板などで興をそがれることがない、この行き方は個人的に好きなものだ。120Wの出力を持ち、余計なスイッチは一切ない。ついているといえばサブソニックフィルターだけ。重厚な雰囲気。

音質の絶対評価:7

Lo-D HMA-8500

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ステレオで100W+100Wの出力、モノーラル接続で200W出力のパワーアンプである。スピーカー切替スイッチ、BTL接続スイッチがついている。大きなメーターをデザインの基調としたもので、無難なまとまりを見せている。あまり高い剛性感は感じさせないし、価格相応の仕上げだと思うが、押し出しはなかなか立派であり、使う喜びは味わえよう。ノンカットオフ・サーキットを採用している。

音質の絶対評価:8

Lo-D HCA-8000

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 単体プリアンプとして、普及価格の製品だが、同社としてはプリメインアンプをラインアップしているのだから、あえて存在の必然性がうたがわしいと思う。外からみても、音を聴いても、これならプリメインアンプと違うのはスタイルだけという印象が強い。つまり、高級感や魅力は発見しにくいということで、総合評価としても苦しい。ユニークなデザインと使い勝手のオリジナリティでもあれば別だが……。

音質の絶対評価:5

ケンウッド L-08M

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 L06Mの上級機種で、同じくモノーラルアンプである。170Wの出力を持ち、別売の追加電源が用意されているというユニークなものである。これによって、アンプの心臓を強化して音の品位を改善しようというマニアックなコンセプトである。もちろんシグマドライブを方式を採用している。デザインはユニークなもので、ゴム足がなかったらどう置いてよいか迷うだろう。好き嫌いは別として大変面白いし現代的で美しくもある。

音質の絶対評価:8.5

ケンウッド L-06M

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 トリオが力を入れているシグマドライブ方式のモノーラルアンプで、120Wの出力をもつ。DCアンプ構成で、内外ともに最新アンプらしい斬新な雰囲気をもっている。少々冷たく感じられるが、パワーアンプとしての一つの方向ではある。ただの立方体という味気なさを逆手にとってすっきりとまとめている。コントロール機能をもたないパワーアンプだから、こうしたコンセプトも否定できないだろう。もちろんメーターもない。

音質の絶対評価:8

ケンウッド L-08C

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 すっきりと現代的なデザインにまとめられているし、設計思想も斬新で、いかにもデザイナーの仕事らしい仕事ではある。しかし、滲み出るような質感の高さや、緻密な仕上げの高級感といったものがなく、どこか、モダンな感覚が、その裏腹にもっている安っぽさや殺風景な面のほうが強く感じられ、私個人としては魅力を感じない。操作性も少々気取り過ぎていて、かえって扱いにくい面もあり、フィーリングに重厚さはない。

音質の絶対評価:5

エスプリ TA-N900

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ソニーの特別に高級なプレスティジ製品エスプリ・ブランドのパワーアンプだ。内容は別稿の通りかなりのもだが、見たところは、何の変哲もないぺたんこの金属箱で、夢や、使う喜びが感じられるものではない。2〜8Ω負荷に対して200W+200Wのパワーを保証したモノーラルアンプ。ノンスイッチングのA級パワーステージには、NFBも使っていない。電源はパルスロック型。内外ともにモダンで透徹なイメージのアンプ。

音質の絶対評価:9

パイオニア Exclusive M4a

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 M4をリファインしたモデルなので、マーケットにおけるキャリアの長い高級アンプ。A級で50Wのパワーだが、実力は相当なもの。緻密で美しい仕上げは、内外ともに高い次元の感じられる製品である。木枠に入った落着いたムードは、日本間においても違和感がなさそうなもので、いかにも日本の製品らしいキメ細かさをもっている。A級のため発熱が相当なもので、冷却ファンの音が気になるのが惜しい。

音質の絶対評価:8.5

パイオニア Exclusive C3a

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 今やクラシックといってもよい、オーソドックスな操作レイアウトをもったコントローラーで、その仕上げは緻密である。パーツ類も厳選され、細部まで丹念に作られた高級品らしい風格をもっている。ただ、製品として強い個性的魅力に乏しく、やや凡庸な印象が、このアンプの存在を内容に比して地味なものにしてきたようだ。オリジナル設計の古さは否定できないが、リファインされたa型は現役として立派に存在理由をもつ。

音質の絶対評価:8