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デンオン DH-710

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 デンオンが業務用のテープデッキの技術をよく生かして民生用の2トラ38cmに置きかえたデッキ。デュアル・キャプスタン、サーボ・コントロールのトランスポートは大変スムースで安定。キメの細かい滑らかな音質は、よい意味での日本的繊細さを感じさせる。可搬型はトランスポートとエレクトロニクスが分かれてキャリング・ケースに収まるが、ケースに少々寸法の狂いがあったりして私の信頼感を傷つけた。木製のキャビネット入り。

ヤマハ CR-1000

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 これは同社のプリメインアンプCA1000をオーディオアンプとしたステレオ・レシーバーである。私としてはステレオ・マスターと呼びたいオール・イン・ワンの総合アンプで、これ一台で、高度なFM受信、レコード再生を可能にしてくれる。デザインは他の一連のヤマハは製品に共通のモダニズムの溢れた美しいものだが、中でも、これは傑作と呼びたい。スイッチ類の独特なタッチは他に類のないもので、超高級レシーバーだ。

アキュフェーズ P-300

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 このアンプの実力は世界の一流品だ。魅力ある製品として取り上げた事を前提としてケチをつければ、デザインがモダンでもクラシックでも、オーソドックスでも前衛的でもないし、趣味としても高い品位には至っていないのが玉にキズといったところ。片チャンネルで150ワットのハイパワーながら、ローレベルでのリニアリティのよさが、きわめて高級品の音質を実現していて、使って大満足のアンプの一つである。

パイオニア Exclusive M3

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 パイオニアの高級アンプとして、C3、M3というプリとパワーのペアーで発売されたもの。私はパワーアンプM3をより高く評価したい。150W×2のハイパワーが、全出力レベルにおいて、タッチの細やかな暖い音質が確保される。デザインはパイオニアのイメージを感じさせるオリジナリティの域に達した品のよい洗練されたもので、すっきりと虚飾がない。仕上げの美しさは外観にも中味にも最高の品位を感じさせるものだ。

アキュフェーズ P-300

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 わが家において常用的に使い出した最初のハイパワー(一応100W以上)アンプがアキュフェーズだ。力強く明晰で曇りかげりのないサウンドが、あるいはあまりにもすべてをさらけ出しにしえぐり出してしまうといえるが、それを許せるのは生々しい暖かみさえある中声域の充実感だ。A級を全段に採用したプリの良さもあろうが、マランツ16と替え、2505と替えて、もっとも歪みの少なさを感じさせるのは最新技術の裏づけか。

パイオニア PT-150

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 ベリリューム・トゥイーターという形が商品としてどこまで成功するかは疑問だが、前人未到の技術に挑んだメーカーの心意気と、到達しあるいはしつつある質的な成果は讃えてよい。DDモーター、FETアンプに続く世界的最高級品がこのトゥイーターを土台として生まれることを期待しよう。これを単独な形で購入した場合を想定すると、ESSにおけるハイルドライバー同様、ウーファーの選択はむつかしいに違いない。

デンオン DH-710S

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 業務用テープデッキでは定評の高いデンオンの38cm2トラックは永らく発表が待たれた製品である。DH710Sはメカニズム部分とアンプ部分を分割したトランクに入れたポータブルタイプにできているのが魅力である。重量が30kg程度と重いので簡単に持運ぶことはできないが、内部を見れば重量がある理由はうなずけるはずである。実際に常用してみると安定感があり、信頼がおけるのはデンオンならではである。

マイクロ SOLID-5

岩崎千明

スイングジャーナル 6月号(1974年5月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より

「ソリッド・ファイブ」こう聞いただけでは、その名前からは到底レコード・プレイヤーの製品名とは思えまい。マイクロ精機のニュー・モデルがこの斬新な名前を冠してデビューしたのである。
 常日頃、堅実で手堅くオーソドックスな姿勢を崩すことないこのメーカーは製品のすべてが控え目なデザインと、着実な高品質ぶりに、ロング・セラーを重ね、プレイヤー部門ではトップの座を永く守り続けてきた。ありきたりながら、オーソドックスな機構は、見落されそうな内部メカニズムの細かい所にまで、良く行き届いて品質の安定した精密度の高いメカニズムが、この10年にも近い永い首位の座を支えてきたのは当然過ぎるといえよう。
 ところでこの数年のDDモーターの出現とそれに続く著しい進出普及ぶりは、プレイヤー界に新たな波となって革命といえるほどにすべてが変った。首位の座を崩されなかったマイクロ精機はプレイヤー専門メーカーとしての誇りからDDプレイヤーの製品化に当然積極的であったし、最も古くからプロフェ、シショナル・デザインの711を市場に送って時代の波に対応した。国内では充分に理解されることの少なかったこの1年間、ヨーロッパの各国で異常な程の人気を呼んで他のDDのはしりと目されている。
 さて「DDモーターは高性能」ということが常識化されると、DDモーターはあらゆる購売層にむけてあらゆる価格レベルのものが出回り、いつも繰り返されるように、今や氾濫気味でさえある。単にDDモーター付きというだけの品質を究めたとは言えない製品までもが大手を振って罷り通る。早くからDDプレイヤーを手がけてきたマイクロ精機の良心はこうした安物DDプレイヤーを商品とすることが出来なかったのだろう。そうした情況下でのマイクロ精機の回答が、この「ソリッド・ファイブ」に他ならない。名の示す通り、これは今までのこのメーカーの志向を大きく前進させて、強い意欲と決断とから培れた企画であり、それだけにオーソドックスなベルト・ドライブながら多くの点でまったく斬新なプレイヤーと言えよう。「ソリッド・ファイブ」という現代的な響きの名前。この名のいわれは、従来の観念からいうプレイヤーとそのケースとはまったく違った構造形態にあるのに違いあるまい。本来プレイヤーというものは、モーターにより駆動されるターン・テーブル、アーム、ケースの3点によって構成される。ところがこの「ソリッド・ファイブ」では、ターン・テーブルとケースはまったく一体化されていて、分離しては成りえない。もっと分り易く言うと、普通はターン・テーブルとそれを駆動するためのモーターが取り付けられている「モーター・ボード」といわれる部分は「ソリッド・ファイブ」には全く無くて、一見スマートで軽やかに見えるが中味の完全に詰まった厚さ40ミリの積層合板のケースそれ自体がモーター・ボードとなっている構造だ。この新たな構造はプレイヤー・メーカーだからこそ作り得られるメカで、完全に原点に立ち帰ってプレイヤーというものを考え直し、本来そうあるべき形態として生まれたものだ。基本的には直接サーボ・モーターによるベルト・ドライブというメカニズムで、これはマイクロのいつもながらの堅実で高い信頼性重視が採用させたものだ。同じメカながら今日のDDモーター時代に世に出る製品に相応しく、性能の上でDDモーターのそれに劣らぬデーターを示し、SN比、ワウフラッタ特性、安物DDモーターのウィーク・ポイントとされている実用時の高性能化、更に信頼性を大きく加えている。アームは優雅なほど素晴しく高級仕上げされ、高感度ながら、がっちりとして使い易いのも、いつものマイクロと同じだ。静止時のアーム・レストの高さ調整まで出来るといった細かいプラスαはここでは触れるまでもなかろう。
 名前通り現代的なフィーリングが構造にもデザインに.も、使用時にもはっきりと出ているのがこのプレイヤーの完成度の高さを示している。いつも「高品質だが商品としては80点、もう一歩完成度が欲しい」と言われ続けてきたマイクロが、初めて完成度100%のラインを一気に飛び越えた製品。それがこの現代的な高級プレイヤー、「ソリッド・ファイブ」といえるのではないだろうか。『DDを突き抜けたときの本物プレイヤー』ソリッド・ファイブ。

ハイパワー・アンプの魅力

岩崎千明

スイングジャーナル 5月号(1974年4月発行)
「AUDIO IN ACTION」より

●アンプはパワーが大きいほど立上り特性がよくなるのだ! だからジャズには……
 アンプの出力は大きいほど良いか? はたまた、必要性のないただただぜいたくなのか?
 そうした論争や、論説はいいたいやつにいわせておけ。オレは今日も午前中いっぱい200ワット出力のアンプをレベル計がピクンピクンといっぱいに振り切れるほどの、ドラムの響きに身をまかせ切っていた。
 一度でもいい。キミも、大出力論争をやっているひまに、ほんのひとときを100ワット級のアンプで鳴らす空間にその身をさらされてみろ。一度でもハイ・パワー・アンプの洗礼を受けたが最後、ジャズを愛し、断ち切れないほどのファンなら、だれだって必ずやその虜になるぞ。必要ない、なんてうそぶいていたのは、実は、望んでも達せられないための、やっかみ半分のやつ当りだっていのうを、ひそかに思い当るに違いない。
 ハイ・パワー・アンプから繰り出されるこの上なく衝撃的なパルスは、現代に息吹く若者にとってあるいは麻薬の世界にも例えられるのかも知れない。一度覚えたそのアタックの切れ込みのすざまじさは、絶対に忘れられっこない経験として耳を通してキミの大脳にガキッと刻み込まれてしまうのだ。もうそれを消そうと思ったって薄れることすらできやしない。それどころか、口でけなし、あんなのはだめな音と、どんなに思い込ませようと努力したところで、逆にますます強く求めたくなってくるあこがれにも近い感情を内側でたぎらせてしまうだけだろう。
 恋の対象を初めて見かけたとき、それは少しも変りやしない。だから、ジャズ喫茶でスピーカーの前には、すべての環境から遮断されたマニアックなファンが少なからず、首をうなだれてサウンドにひたり切っているのだ。
 スピーカーは、例え小さくても良い、そのすぐ前で座ろう。プレイヤーは今までのでもいい、カートリッジの質さえある水準以上なら。
 ステレオの心臓はアンプだ。電気信号に変えてエネルギー増幅する、それがアンプの真髄。だから、アンプはきのうのより大きくしてみよう。2倍じゃなまぬるい。4倍も6倍も、いや10倍の出力のアンプなら一層結構、大きければ大きいほどいいのだ。それがたとえ借り物であっても、仮の姿でも、いつかはキミの所有になるはずだ。
 大出力のよさを身をもって知ったならば、もう逃れられっこないのだから。良さが判ればキミのステレオの次の標的として、大出力アンプは、大きくキミの前にほかの目標を圧して立ちふさがるだろう。キミはそれに向かって猛進するだけだ。100ワット/100ワットのジャンボ・アンプに向かって。

ソニー TEA-8250
 後から鳴らしたFETアンプのおかげでソニーのハイパワー・アンプはスッカリ形が薄れてしまった。けれど、1120のデビューのときの音そのものの感激がこのハイパワー・アンプ8250でもう一度思い出された。「あくまで透明」なサウンド。それは非情といわれるほどで、アタックの鋭さは正宗の一光にも似る。以前より低域の豊かさが一段と加わっているのは、単なもハイパワーのなせる所だけではないかも。

ソニー TA-8650
 20種にあまもハイパワー・アンプを並べたこの夜のSJ試聴室。編集F氏Sくんを含め、むろんこのオレも一番期待したのがソニーのこのFETアンプだ。球の良さをそのまま石で実現したといういい方は、気に喰わないというより本当にして良いのかという半信半疑からだ。
 その不安も、まったくふっとんでしまつたのだ。なるほど確かにハイパワー管球アンプの音だ。このFETアンプ8650に最も近いのは、なんと米国オーディオリサーチ社管球アンプだったから。
 低域の迫力の力強い響き、プリアンプのような超低域までフラットだが力強さがもうちょっと、なんていうのがFETアンプではうそみたいに直ってしまう。中声域から高域の力に満ちた立ち上りの良さプラス華麗さも、石のアンプのソッ気なさとは全然違う。
 こうしてまたしてもソニーは、アンプにおいて1120以来の伝統よろしくオーディオ界のトップに出た、といい切ってよかろう。製品が出たら、まっさきにオレ買おう。

オンキョー Integra A-711
 711はなんと20万を越す名実ともに一番高価なインテグレイテッド・アンプだ。しかし、音を聴けばそれが当然だと納得もいこう。ローレベルでの繊細さと、ハイパワー・アンプ独特の限りない迫力とを見事に融合させて合わせ持っている数少ないアンプだ。音の特長は、……ないといってよい。ない、つまり無色、これこそアンプメーカーの最終目標だろう。オンキョーのアンプがずっと追いつづけた目標は、このアンプではっきりと捉えられていよう。

オーディオリサーチ SP-3 + Dual75
 かつてマランツ社で真空管アンプを設計してたっていう技術スタッフが集まって興したのがこのメーカー。だからトランジスタ・アンプ万能の今日、その栄光と誇りはますます燃えさかり、このどでかいアンプを作らなければならなくなったのだろうか。なにしろ75/75ワットという実効出力にも拘らず、200ワットクラスの石のアンプとくらべても一歩もひけをとらず、それどころかサウンドの密度の濃さは、どうやら石のアンプでは比すべくもない、と溜息をつかせる。

SAE Mark 1M + IV C
 ロス周辺の新興エレクトロニクス・メーカーと初め軽く受けとっていたが、どうしてどうしてこの4年の中に、オーディオ界ではもっとも成功を収めたアンプ・メーカーだ。それだけに製品の完成度の高さと漉さは、抜群だ。プリIMと接続した状態で端正で品のよいサウンド。数あるトランジスタ製品中ベストの音色をはっきりと知らせたあたり、実力のほどをもう一度思い知らされろ。個性的でスッキリしたデザインはサウンドにも感じられる。

Lo-D HMA-2000
 やっぱり日本産業界切っての大物「日立」、やることが違う。というのがこのアンプのすべてだ。果しなくパワーを上げていくと、遂に突如、ひどくなまってくるのに慣らされた耳に、このアンプは不思議なくらい底知れずのパワー感がある。つまり音が冴えなくなる、という限界がないのだ。それはテクニクスに似てもっと耳あたりのよいサウンドの質そのもののせいといえる。日立のオーディオ界における新らたる実力だ。

フェイズリニア 700B
 そっけないくらいの実用的ハイパワー・アンプ。350/350ワットで700ドル台、日本でも40万円台と類のないハイCPのスーパー・アンプだ。今度バネルレイアウトを一新して、マランツ500そっくりのレベルメーターを配し、左右の把手のゴージャスな巨大さは、700ワットという巨人ぶりを外観にのぞかせたグッドデザイン。音はそっけないはどさっぱり、すっきりしているが、底ぬけのハイパワーぶりは低音の迫力にいやおうなしに感じられる。

マランツ Model 500
 今日マランツ社には創始者のMr.ソウル・マランツはいない。しかし、マランツのソウルは今もなおマランツの全製品に息吹いている。それをはっきりしたサウンドだけで聴くものに説得してくれるのが、モデル500だ。250/250ワットのアンプながら、それはもっと底知れぬ力を感じさせるし、モデル15直系の、音楽的な中声域の充実された華麗なサウンドはちょっと例がない。しかも現代のアンプにふさわしい豪華さを具え、この上なく超広帯域だ。

ダイナコ Stereo400
 なにしろ安い。アチラで600ドル、日本でも30万円で200/200ワットのジャンボぶり。すでに普及価格の高級アンプで定評あるダイナコの製品だけに前評判も高く、それらの期待に充分応じてくれる性能とサウンド。高音域のおとなしい感じもいわゆるウォーム・トーン(暖かい音質)というダイナコ伝統のマニア好み。うるさいヒトほど惚れ込んでしまう、うまい音だ。ボリュームを上げて行くと、分厚い低音の確かさにも一度惚れ直す。

ダイヤトーン DA-P100 + DA-A100
 ダイヤトーンのプリアンプの端正なたたずまいは、なにかマランツをうんと品よくしたといいたくなるような優雅さをただよわす。管球アンプを思わすパワー・アンプのゴツイ形態は、いかにもパワー・アンプだ。それはひとつの目的、エネルギー増幅の実体をそのまま形に表わした、とでもいえようか。このコンビネーションのサウンドはまた実に品のよいサウンドで、いかなるスピーカーをもこの上なく朗々と鳴らす。まさに、アンプはスピーカーを鳴らすためにある、ということをもう一度教えてくれるアンプといえそうだ。
 100/100ワットと今や、やや小ぶりながらひとまわり上のパワーのアンプとくらべても聴き劣りしないのは充実した中声域にあるのか、あるいはその構成の無理なく単純化された回路にあるのか。あまりワイド・レンジを意識させないのに、深々と豊かな低域、すき透るように冴えた高域、なぜか手放せなくなるサウンドだ。

パイオニア Exclusive C3 + Exclusive M3
 ズラリ並んだ国産アンプ中、スッキリとした仕上げ、にじみ出てくる豪華な高級感、加えて優雅な品の良さ。やはりパイオニアの看板製品にふさわしく、もっとも優れたデザインといえる。
 このデザインは、サウンドにもはっきりと出て、品の良さと底知れぬ迫力とを同時に味わせてくれろ。やや繊細な音のひとつぷひとつぶながら全体にはゆったりとしたサウンドはこうした超高級アンプならではで、さらに加えて「パイオニア」らしいともいえようか。このM3にさらにAクラス動作50W+50WのアンプM4が加えられるという。A級アンプというところに期待と限りない魅力を感じさせる。待ち遠しい。

アムクロン DC-300A
 ギラギラした独特のヘアライン仕上げのパネルは、いかにも米国製高級趣味といえようか。でもこのアンプの実力は、その製品名の示す通り、ラボラトリ・ユースにあり、直流から数100万ヘルツという超広帯域ぶり。ガッチリと引き締って、この上なく冷徹なサウンドが、なまじっかの妥協を許さない性能を示していも。米国でのハイパワー化のトリガーともなったこのDC300、今日でもずばぬけた実力で、マニアならマニアほど欲しくなりそう。

マッキントッシュ MC2300
 ここでとやかくいうまい。SJ試聴室のスタンダード・アンプというより今やあらゆるアンプがハイパワー・アンプとしての最終目標とするのがこの2300なのだから。サウンドの管球的なのもつきつめれば、出力トランスにあり、このアンプのあらゆる特長となっているサウンドに対する賛否もここに集約されるが、誰もが説得させられてしまう性能とサウンドに正面切ってケチをつけるやつはいまい。

サンスイ AU-9500
 黒くてデッカクて、やけに重いアンプ。山水の9500は75・75ワットっていうけれど、どうしてどうして、100/100ワットのアンプと互角以上にその力強い馬力をいや応なしに確かめさせてくれる。,
 ECMのすざましいばかりのドラムは、このアンプの13万なんぼというのが信じられないはどに力いっぱい響いてくれる。SJオーディオ編集者のすべてが認めるこのジャズ向き実力はハイパワ一時代、まだまだ当分ゆるぎそうもない。

テクニクス SU-10000 + SE-10000
 以前、SJ試聴室での試聴では保護回路の敏感すぎから、実力を知るに到らなかった10000番シリーズ、今宵はガッチリとたんのうさせてもらった。さすが……である。
 なんとも高品質な迫力と、分解能の良さに改めて10000番の良さを確めた。一式95万と高価なのだからあたりまえといえなくもないが、金にあかして揃えられるマニアなら、やはり手元にぜひおきたくなるだろう。物足りないくらいの自然さは最終的なレベルといえるだろう。

スタックス
 A級150/150ワットというそのメリットよりもスタックスの製品というところにこのアンプの意義も意味も、また魅力も、すべてがある。世界でもっとも早くからスタテック・イクイプメントコンデンサー・カートリッジ、コンデンサー・・スピーカーをファンに提供し続けてきたスタックス。数々の幻の名器を生んできたメーカーの志向がアンプの特長の根底にずっしりとある。サウンドは、それこそまさにコンデンサースピーカーのそれだ。加えてローエンドの底なしの力強さに惹き込まれて時間の経つのも忘れさせるワンダフルな機器だ。(発売時期末定)

ラックス CL350 + M-150
 309のパワーアンプを独立させたのがM150。75/75ワットというパワーもそれを物語る。アンプの高級ファンをガッチリと把握している企画と音作りのうまさはM150でもっとも端的にはっきりと現われている。しぶいが落ちついた品のよいその外観と音。加えてソフトながらいかにも広帯域をと力強さにも感じさせるサウンド。物足りないといわれるかも知れないが、しかし飽きのこない親しさもまた大きな魅力なのだ。

ESS/BOSE
 日本にはこれから入ってくるだろうと予想される話題のスーパー・アンプ2種。ハイル・ドライバーで一躍注目されてるESSのモデル500。みるからどでかくゴツい力強さを外にまでみなぎらせて、早く聴きたいアンプだ。
 もうひとつはペンダゴン型ボックスのスピーカーで有名なボーズのアンプだ。これは品のよいスマートな個性で粧おいをされた豪華大型。インテグラル・システム100/100ワットで200ドルと安いのが早くも出てきおったぞ。

アキュフェーズ C-200 + P-300
 国内製品では実力ナンバーワンを目されているのが、ケンソニックのP300だ。このところ目白押しの国内ハイパワー・アンプ。なんてったって世界市場を意識して企画され、価格を設定されたというところにこのケンソニックのすべての製品の特長と意義がある。つまりケンソニックのアンプは実力を世界に問うた姿勢で作られているわけで、逆にいえば世界のマニアに誇れる高性能を内に秘めてもってことになる。
 事実、このアンプをマッキンと較べ、マランツと比べても、一長一短、ブラインドで聴かせれば、どちらに軍配が上がるか率は半々。透明度の高さ、中域の緻密さにおいて特にすぐれ、高域の明るさと、低域の豊かさにおいて聴く者を魅了してしまう。
 プリアンプC200のこの上なくナチュラルな音に、P300の良さはますます高められて国産ハイパワー・アンプの大いなる誇りを持つものにじっくりと味わしてくれる。
 かくいうこのオレも、P300、C200のスイッチを入れない日はなく、メイン・システム、ハークネスはP300のスピーカー端子にガッチリと固定され、ひんばんに変っていたアンプが変わる気配もない。

オンキョー Integra A-711

菅野沖彦

スイングジャーナル 5月号(1974年4月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より

 アンプはスピーカーを鳴らすものか。あるいは、カートリッジやテープ・ヘッドで変換された電気エネルギーを忠実に伝送増幅してスピーカーに送りこむものなのか。つまり、アンプは、入口から眺めるべきか出口から眺めるべきか。本来は入口から眺めるべきものだとは思うが、それだけでは片手落ちというのが現実である。スピーカーという動特性をもつもの、それも、いろいろな動作特性のちがうスピーカーをつながれるという立場上、出口であるスピーカーからアンプを検討するという考え方も必要なのである。両側から見て、充分検討され尽されなければ、……アンプは生れない。このインテグラA711というアンプは、実に慎重に検討されたアンプだと思う。最新科学の粋ともいえるエレクトロニクスも、こと、音を出すアンプとなると複雑怪奇、微妙な問題が山積していて、トランジスタやコンデンサーやレジスターなど素子のちがいで音が変るというのが実情である。定数や回路そのものが変れば当然の事、部品のバラツキやバラツキに入らない物性の違いでも音が変るという恐ろしい世界なのである。同じ容量なのにペーパー・コンデンサーとマイカー・コンデンサーでは音が変るという人もいるのである。アンプの設計は、単なるエレクトロニクス技術で計算通りいくものではないとなると、私のよくいう、スピーカーは本当のオーディオ・エンジニアの手からでないと生まれか、という考えが、この世界にもあてはまるようである。電気技師や機械技師が、さらにオーディオ・エンジニアになるための素養と経験が必要となってくるのである。最近の国産アンプが、性能はもとより、音の点でも、各段の進歩を遂げてきたのは、そうしたオーディオ・エンジニアと名実共に呼び得る人が増えてきた事を物語っていると思うのは早計であろうか。
 とにかく、このA711というアンプは音がいい。オンキョーのアンプ・エンジニアが現段階で全力を尽した製品だということは充分理解がいくのである。パワーは75W×2で、決して大きいとはいえないけれど、むしろ、このアンプの特徴は、その透明な品位の高い質にある。そして、この75W×2というパワーは、その質を、実用上スピーカーから発揮させるためにはまずまず不足のないものと見るほうが正しい。つまり、このアンプをボス・チャンネルで150Wのハイ・パワー・アンプだという見方は、その本質を把えた見方ではないということである。刺激的な荒れや、薄っぺらな頼りなさや、濁りから解放された美しい音の世界、音の純度を求めるファンならば、その価値を高く評価出来るだろう。私事になるが、私はこのアンプのパワー部を、現在、自分のマルチ・アンプ・システムの中域に使ってJBLの375ドライバーを鳴らしている。それまでの音とは明確に次元のちがう、柔かさと豊かさが加って、抜けるような透明な音になって喜んでいる最中なのだ。
 このアンプのよくない点は従来のオンキョー・アンプより、より高級なイメージをあらわすことには成功しているがオリジナリティがないこと、さらに奥行が深く、普通の棚やラックには、まず収まり切れないだろうことである。どうしても、この大きさになるのなら、これはプリ、メインを分けてセパレート・アンプとして出すべきだった。セパレートのためのセパレートではなく、必然性をもったセパレート・アンプとして生きただろうと思うのである。無理に、スタイル上からだけのコマーシャリズムでセパレート・アンプを作ったり、実用上、非常識な大きさになるのもいとわず、一体にまとめたり、どうもメーカーのやる事は時々不可解な事か多い。ツマミの配置にしても、めったにいじらないスピーカー切り換えスイッチがアンプ・パネルの一番重要な左はしにデンと構えていたりする不合理はこのアンプに限ったことではないが、あまり好ましいことではない。重箱の隅をほじくるような悪口が出てしまったが、つまらない苦言の一つも呈したくなるほど、このアンプの実力に魅せられた。この音のクオリティーが、チャンネルあたり150Wぐらいまで保てれば、世界の第一級のアンプといえる存在になるだろうが、その時には、製品としてのデザインのオリジナリティと風格に関してよりシビア一に見つめられることになるだろう。

アキュフェーズ C-200 + P-300

岩崎千明

スイングジャーナル 4月号(1974年3月発行)
「ベスト・バイ・コンポーネントとステレオ・システム紹介」より

 ケンソニックP-300が我家で鳴り出してから、すでに数週間になるが、音といい、外観といい、その風格たるやそこに居並ぶ数多いアンプと隔然たる違いをみせて、いままでにないサウンド・スペースを創り出している。
 まず、従来の国産品のイメージを打破って、国際級のオーディオ製品を作り出したケンソニックに、なにはともあれ拍手を送ろう。この数年、国産オーディオ製品の質的向上が著しく進んで、誰しもが世界市場における日本製品の品質の高さは認めるこの頃である。しかし(ここに又しても「しかし」が入る)日本製品の高品質は、その価格にくらべてという前置きが必らず入るのである。「この価格ランクの製品においては」最高なのである。このクラスという前置なしの、最高級では決してなかった。高いレベルのオーディオ・マニアを十分満足するようなそういう真の意味での高級オーディオ製品は高品質の高級品の多い日本製にも残念ながらない。いや、いままではなかった。
 口惜しくも、また残念であったこの日本製オーディオ製品の現状を過去形にしてしまったのが、とりもなおさず今回のケンソニックの新製品なのである。
 ケンソニックの新製品、パワー・アンプP-300およびプリ・アンプC-200は、それ自体きわめて優れた製品であることは間違いないがその示す優秀さというよりも、この製品が市場に送り出されたことの真の意味、その価値は、日本製品の立場を世界のトップ・ランクに引き上げというただこのひとつの点にあるといえる。価格23万円なりのパワー・アンプP-300、C-200は16万5千円と、ともに従来の国産品の水準から見るとかなり高い。かなり高いこの価格以上のものが、かつてないわけではなく、テクニクスのプリ・アンプ、パワー・アンプの超高級製品10000番シリーズの45万円、50万円合せて95万円という製品がケンソニックに先立つこと1年余りで存在しているが、あまり私も含めマニアでも身近に接する機会が少くないような気もする。しかし、ケンソニックの場合は、企画段階から海外市場をも強く意識したプラニングがされ、諸仕様が作られた上、海外への前宣伝までもすでに手を打たれたと聞く。いまこうして実際に製品を手にしても、前宣伝のごとく商品として、価値の高さを、確かさをケンソニック新製品にみるのである。
 ケンソニックの優秀性は、まずなによりも単なる日本市場ということではなしに、こうした世界市場を意識した上での、つまり世界の超高級製品を相手とした上での高級アンプとして企画した製品という点にあるといえよう。これはとりもなおさず、世界の一流品と肩を並べることを意識した製品であり、こういう姿勢から作られたオーディオ製品は少なくとも日本ではケンソニック以前にはない。
 その自負とプライドとがまず製品のデザインにはっきりとうかがえる。なんのてらいもハッタリもないきわめてオーソドックなパネルながら、そのパネル表面とツマミの仕上の中に豪華さというにいわれる格調高さとが浸みでている。ハッタリがないだけに、それはとり立てる特長もないが、かたわらにおいて接すると、その良さ、持つことの満足感がしみじみと感じられる、という類いの風格だ。
 ハイ・パワーの高級アンプに求めるもの、それに対して期待するものはいかなるものにも増してこうした「満足感」であろう。今までの国産品では一流の海外高級品と肩を並べるだけのこの種の満足感、それをそばに置くだけで、それを自分のものにするだけでかもし出されるこうした満足感を備えている製品はかつてなかったのである。もう1つオーディオにおいて最も技術進歩が著しい分野がアンプであろう。トランジスタの開発、それに伴う回路技術が追いかけっこで日進月歩。新しい素子の開発によってきのうの新製品が数ヶ月を経ずして魅力が薄らぎ始める。それがアンプの持つ1つの宿命である。高級品においては、それだけ挑戦に耐える絶対的なものが備わっていなければならない。
「満足感」という言葉はケンソニックの大きな特長としてはじめから標榜している言葉だが、それはサウンドにおいてもっとも感じられるであろう。ゆったりと落ちついて力をみせずに、しかし、ここぞというとき底知れぬパワーを発揮する、という感じの響き方だ。なんの不安もなく、まったく信頼しきってスイッチを入れボリュームを上げられるアンプ、これがケンソニックのP-300でありC-200である。
 P-300の音は、ひと口でいうと静かなときは静かだが、いったん音が出はじめると、これはもう底知れずに力強いという感じだ。底知れぬといういい方のアンプはサンスイのAU-9500で味わって以来のものだが、ケンソニックの場合は、もっと素直なおとなしさを感じさせ、力のこもった芯の強さを知らされる。ちょっと聴くと明るい輝きと受けとれるが、実は、これは立上りのすばらしく良いことに起因するハイ・パワー独特のサウンドで、音色はどちらかというとマッキントッシュのトランジスタ・アンプと共通の、ずっしりと落ちついたサウンドだ。
 このパワー・アンプに配するプリ・アンプC-200は、これまたソフトなくらいに暖かみを感じさせるサウンドが最近のトランジスタ・アンプになれた耳には真空管プリ・アンプと共通の良さと知らされる。つまりそれはケンソニックのセパレート・アンプと同傾向の迫力と輝きとを兼ねそなえているので、これを生かすことが上手な使い方といえよう。となると、真にハイクオリティーの高級オーディオ製品ならなんでもよいといえよう。
 そこでまず第1に考えられるのは、過去の管球アンプ用として作られた最高のスピーカー・システムとカートリッジであろう。現実に我家でP-300を接いだことによってこの数年来のメイン・システムJBLハークネスは輝きと迫力とを格段と増したことを報告しよう。つまりP-300が我家の目下主力アンプとなって存在するわけだ。しかしまた優れたアンプが常にそうであるように、バスレフ構造のベロナに組入れたD130+075もいままでにない信じられないほどに朗々と鳴響いたし、なんと12年前に作られたAR2もいままでにないくらいに素直な張りをもった鳴り方でいまさらながらびっくりした。こうしたことを身をもって試したあとでスピーカーとして数多いなかから、ただ1つを選び出そうというのは所詮無理とは思いつつ厳しく選んだのが次のシステムだ。
 JBLはプロ・シリーズのバックロード・ホーンの4530、ユニットはいわずと知れたD130(又は130Aウーファーでもよいが)ネットワークはプロ用3115といわず一般用のルX5を用いてホーンは375ユニット・プラス509/500のホーン・プラス・デュフユーザー。つまり2ウェイのシステムだ。もしバックロード・ホーンがなければ自作でもよい。いや、平面バッフルだって、それなりのバックロード・ホーンにない低域から中域にかけて立上りの良さが抜群だ。
 もし、高域ののびにせっかくの市費-200+P-300の特長がうすれるというのなら1μFのコンデンサーを通してのみで075をつないだ3ウェイもよかろう。カートリッジにはオルトフォンSPU-GT。もしMM型がよいのならM15Eスーパーこそ絶対だ。

フィデリティ・リサーチ FR-6E

岩崎千明

スイングジャーナル 2月号(1974年1月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より

 今年の国内オーディオ市場の大きな特長として、海外パーツの著しい進出と、定着とが挙げられるが、とりわけブックシェルフ型システムシステムを中心としたスピーカーの積極的な売り込みとその成功が大きく目立つ。
 そうした目につきやすいスピーカーのかげにかくれて、しかし、スピーカー以上に確かな地位をきずき固めつつあるのは海外カートリッジだ。
 従来も、高級品に関しては、国産品に対して十分な満足を満たされぬことが理由で、海外製品の中から選ばれせるというのがマニアの常識ですらあった。いわく、シュアーV15、いわくオルトフォンM15スーパー、いわくエンパイア、いわくADC等々であり、それをそなえているかどうか、そのいずれをそなえるか、さらにいくつそなえるかが、オーディオ・マニアのレベルの高さ、あるいはその志向する目標の高さ、さらにはそのマニア自体の質から誇りの崇高さないしは権威の水準までを示すものとして本人にも、まわりからもひとつの必需品とまでなっている。
 もし、当事者のうちにそんなばかなことが、といって拒否する筋金があったとしても、まわりはそうはさせず、海外製カートリッジの、それも高級品のいくつかが揃っていることで、そのマニアの質やレベルを判断してしまうのは、いつわりない状況だろう。かくいう私自身にしても、出入りする周囲のそうしたまなざしを迷惑ながらも、かなり気にせざるを得なくなって心ならず気に入らぬ海外製カートリッジの5〜6個を常用オルトフォンM15スーパーの他に揃えてはいる。苦々しく、いまわしいことだがそれが実情だ。
 所で、73年の海外カートリッジの進出は、こうした高級品群から、やや下まわった製品、価格水準にして、国内メーカーの作る高級品のランクの製品が数多く出まわっている点に注目しなければならぬ点がある。シュアー91シリーズに続き、ADCのQシリーズと名づけられた新シリーズ、さらにオルトフォンのMFシリーズのあとFFシリーズ、ピカリングとその同系のスタントン。ごく最近ではかつてのベスト・クォリティーの栄光の巻き返しをはかるグラドの普及価格品。
 そうした多くの海外製品は、たしかにトレースの安定差とサウンドの確かさ、豊かさとでもいえるうるおいにおいて、特性上はるかに優れているはずの国産品を脚もとにも寄せつけず、国産高級カートリッジの細身の音を、感覚的に上まわると誰にも思わせてしまう。
 この傾向は今年後半に入って登場した海外製品が市場に出るごとに確かめられた形となった。72年までは、国産カートリッジの優秀性が海外高級品のそれに肉迫し、あるいは追いつき追い越さんとしたところ、まったをかけられこの海外製新型の登場が73年に爆発的ともいえる形で始まったのである。
 シュアーV15タイプIIIにおけるMM型の電気特性の格段の飛躍は、そのほんの一例にすぎず、海外カートリッジ攻勢の氷山の一角にすぎない。その製品群の層は厚く、強固で堅い。国内メーカーはこの大きく立ちはだかる壁を乗り越えるべく努力を始めた。それは、乗り越えなければならないオーディオ業界の国際化の、大きな波なのだから。
 そうした時期に国内メーカーの中堅、FRが新型を発表したのである。
 FRはグレースとともに国内の高品質カートリッジの専門メーカーとして高い誇りと、キャリアと実績を持つ地味ながら確かな企業だ。小さいとはいえその技術力と開発力は、カートリッジ業界にあって特に注目すべき能力を内在し、メーカー発足以来いつの時代にあっても最高級カートリッジの製品を市場に送り、多くの高級マニアの支持を受けてきた。
 今回発表したFR6は、このメーカー独特の技術であるトロイダルコアーによるMM型の高品質カートリッジである。従来同種製品に新型を加えることのなかったこのメーカーには珍らしく、FR5から発展したMM型の高級製品で飛躍的なワイド・レンジと、高域セパレーションを獲得した高性能ぶりが注目できる。
 サウンドの面においても、国産カートリッジに共通な中域の繊細さに力強い芯を豊かさで包んだともいえる再生ぶりは、従来の国産品らしからぬ良さが国産品にもそなわってきたという点に注目すると共に拍手を惜しまぬものがある。
 高級カートリッジは決して海外製品の独壇場ではないことを知った貴重なワンステップであり、その基礎たる製品がFR6であろう。

アキュフェーズ E-202発売

ビクター SX-7

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 たいそう滑らかで美しい、肉乗りの良いよく弾む音質でまず聴き惚れさせる。聴いていて楽しくなってくるという音質が、海外の優秀製品に一脈通じるよさである。ヤマハ690の清潔で抑制を利かせた、どちらかといえば冷たい肌ざわりの音に対してSX7の音には温かさ、厚みが感じられ充実した気分が味わえる。どんな曲に対しても適度のバランスを示し、余分な夾雑音がよく整理されているので鳴り方にさわがしさが無く、しっとりと静かな雰囲気をかもし出す。こせこせしない大らかさは、鳴り方にゆとりがあるせいかもしれないがともかく長く聴いていられる音質だ。レインジも十分広く、低音も重くなくよく弾み、しかも豊かだ。こう書いてくればベタほめになるが、こういう音が皆無であった国産のこのランクに優秀な製品が出てきてくれた嬉しさから、いくらか表現がオーバーになっているので、細かなことをいえば高音域の質感にもう一息の緻密さを望みたいなど注文はむろんある。また試聴したのはデンオン370と同じく量産試作の段階の製品だったので、市販されるものがこの音をそっくり出せれば、総合評価であと1点を追加したい。

周波数レンジ:☆☆☆☆
質感:☆☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆☆
解像力:☆☆☆☆
余韻:☆☆☆☆
プレゼンス:☆☆☆☆
魅力:☆☆☆☆

総合評価:☆☆☆★

デンオン VS-370

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 以前に一度試作品を聴いたときはあまり良くなかったが、追加試聴に加えられた製品は相当によくなっていた。そして本誌の合同試聴のあとさらに改良された試作品を聴いたところ、ここに載っている製品からまた音質が変っていっそう改善されていた、というように、まだ量産の決定以前の段階での試聴なので、音質について細かなことを書いても市販品と違ってしまうおそれがあるので、ごく大まかな言い方をしたいが、いくつかの段階で試聴した音に共通しているのは音の彫りが深いという点で、ここに載っているものではそれが少しオーヴァーに出て聴いていてリラックスするよりもむしろ緊張させられているような固苦しさがあったが、その後の改良品ではそこにもっと弾みと柔らかさが出てきて、少なくとも音のバランスとか周波数レインジなどの点では十分なものを持っているから、この方向に改良が続けられ市販されれば、ヤマハ690、ビクターSX7と好対照をなす製品に仕上がるだろうことは断言できる。右のような理由から、今回の採点は少し辛くなっているが、ビクターSX7と同じようにもっと点数の上がる可能性を十分に持っている。

周波数レンジ:☆☆☆☆
質感:☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆
解像力:☆☆☆☆
余韻:☆☆☆
プレゼンス:☆☆☆☆
魅力:☆☆☆

総合評価:☆☆☆★

オーレックス SS-510

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

〝オーレックス〟というニューブランドでデザインも含めて大幅なイメージ・チェンジを打ち出したとはいえ、以前の東芝のスピーカーを頭に置けば、これは全然別のメーカーの音、といいたいくらい、全体の音の感じが違っている。以前の東芝のどことなく薄味で、あるいは力強さ、迫力、または言い方を変えればおしつけがましいほど自己主張の強い、アクの強い音を聴かせる。バランス的には中音域を張り出させ充実させたいわゆるカマボコ型のように(聴感上はそのように)聴こえ、相対的に高音域をなだらかに抑えこんだように、あるいはレインジがあまり広くないように聴こえるので、爽やかさとか涼しいという感じの音が出にくく、相当に暑くるしい音に受けとれる。しかしこれが若者向きの、少々粗っぽいほど元気の良い聴き方の層を
ねらったのだとするとわからなくもない。あまり練れているとは言えないがアジの濃さで聴かせてしまおうという音質だ。しかし後発製品として、他のメーカーのイメージを追うような意匠は感心しにくいし、少なくとも世界に名を知られた大手メーカーのやり方ではないだろう。もっとオリジナルな意匠を打ち出して欲しい。

周波数レンジ:☆☆☆
質感:☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆
解像力:☆☆☆
余韻:☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆

総合評価:☆☆

ソニックス AS-371

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 耳あたりのよさをねらってまとめたというような姿勢が感じられ、中音から高音にかけて、耳を圧迫したり刺激したりしやすいやかましい音域をうまく抑えてあるので聴きやすいが、反面、音の肌ざわりがあまり上等の質感とは言いにくい。それは三万円そこそこの製品にはぜいたくな注文といえるかもしれないが、これにもう少し緻密な艶が乗ると相当な音質になると思う。AS271のところでも音の肌ざわりや品位のこと、また、ひとつひとつの音を掘り起こすという鳴り方でなくやや表面をなでる感じである点を書いたが(28号)、たしかに音のスケール感やつながりなど部分的にグレードアップしている点もありながら、綜合的には必ずしもこの方がいいとは言いにくい。総体的にはヨーロッパ系のスピーカーの柔らかい鳴り方を参考にしているように思われ、それがやかましさのない鳴り方に長所として現われている反面、音に厚みや力強さを要求する音楽になるとやや薄手な鳴り方、各声部に出っぱりやひっこみが目立ってくるところなどが、検討を望みたい点といえる。AS271より一万円高いことを前提にして、以上のような注文をつけたい。

周波数レンジ:☆☆☆
質感:☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆
解像力:☆☆☆
余韻:☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆

総合評価:☆☆★

ダイヤトーン DS-251MKII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 改良型のデザインはシャープで垢抜けしている。国産スピーカーの中でも良いデザインの方だが、外観もさることながら、従来は背面についていたレベルコントロールがバッフル面についたことの方が、ユーザーにとってはありがたい。というのは、この製品についているスーパー・トゥイーターが、レベルセットのスイッチを「インクリーズ」のポジションにした場合だけ動作して、音にピリッとスパイスを利かせ、「ノーマル」や「ディクリーズ」では切離されるという独特な設計であるだけに、その日の気分や聴く曲によって、ふつうのスピーカーの場合よりもいじる機会が多いからだ。ところでかんじんの音質だが、おおすじでは変っていない。28号の251のところで書いた中域の張りは最近のダイヤトーンの音のポリシィとしてむしろ強まっているし、中低域で箱の共鳴ふうの、(原因は違うかもしれないが)音をふくらませる性質も、目立って変ったようには聴きとれなかった。細かくみると良くなった点もある反面価格もペアで7千円上ってしまったので、価格ぬきで評価すれば28号とほぼ同点だが、綜合評価では0・5マイナスということになった。

周波数レンジ:☆☆☆
質感:☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆☆
解像力:☆☆☆
余韻:☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆☆

総合評価:☆☆☆

テクニクス SB-1000

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 最初メーカー指定のレベルセット(ノーマル・ポジション)で鳴らしてみると、中音も高音も張り出しすぎて音が硬くやかましく音のつながりもよくないように思えたので、レベルコントロールをいじってみた。中音、高音とも2~3dB絞ったところが一応のバランス点だったが、それでも音のつながりがあまりよくない。それはレベルセットの問題よりも低音・中音・高音の各ユニットの音色の違いから来るもののようで、中でも中域の上の方かそれとも高域のどこかで、レコードのスクラッチやテープ・ヒスなどの入力が入るとそれとは別のヒス性の固有共振が鳴って、それは微量とはいうもののこのクラスのスピーカーとしては、あるいはこのスピーカーの主張や方針からすれば、中音と高音のユニットに硬質の固有のクセが強すぎるのではないかと思われる。念のためつけ加えれば、試作当初にモニターした音は、これほど楽器の音を変えはしなかったしもっと滑らかであった。この製品に限らずスピーカーは、量産に移して音質を揃えることの最も難しいパーツには違いないが、今回聴いたものは鳴り始めたとき一瞬どこか故障ではないかと錯覚したほど、異色の音質だった。

周波数レンジ:☆☆☆☆
質感:☆
ダイナミックレンジ:☆☆
解像力:☆☆☆
余韻:☆
プレゼンス:☆
魅力:☆

総合評価:☆

パイオニア CS-3000A

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 以前のモデルCS3000を岡、菅野両氏と試聴した際(本誌23号)には、中音と高音の良さに対して低音がよくないという点で3人の意見が一致していた。そういう感想を持ったのは私たちばかりでないらしく、あれから間もなくウーファーのユニットの設計を変えたCS3000Aになった。中音や高音のユニットは以前のままらしく、23号でも指摘した、良い意味で金属質の光沢を持った特有の音色は相変らずで、私はそれを、ガット弦さえも金属弦に変えたような響き方だが、それは必ずしも不快な音でないばかりか一種の爽快感さえあると表現した。ところで低音だが、改善されて欲しいと期待を抱いたにもかかわらず残念ながら今回の低音も前回の音と本質的には変っていない。全体に重く、中音にかぶってピアノのタッチやバリトンの低音領域を鈍く太い音像で表現する。軽く、明るく弾みのある生き生きした表情で鳴ってくれれば、中~高音域の魅力をもっと生かすことができるだろうにどうにも惜しい。レベルセットは前回と同じくスイッチ切替の中音をc、高音をeのポジションにセットしたときがまあまあのバランスだった。

周波数レンジ:☆☆☆☆
質感:☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆☆
解像力:☆☆☆
余韻:☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆

総合評価:☆☆

マランツ Marantz 7

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 マランツ・セブンと聴くと一斉を風靡した名プリアンプの方を思い起こしてしまうが、スピーカーにこのナンバーをつけたのは、このモデルを決定版にしたいという意味なのだろうか。3ウェイという構成の割には周波数レインジが(少なくとも聴感上は)それほど広くないように感じる。高域のレインジが狭い或いは落ちているという感じは、アメリカのスピーカーには割合に多いタイプにちがいないが、たとえばテープ・ヒスのような高域のノイズ成分、あるいは実況録音の拍手の音などのノイズ性のスペクトラムが全体に低い方に引きずられるように聴こえ、トゥイーターの質があまり上等でないことが感じられる。バランス・コントロールは中、高音ともスイッチによる3点切替だが、高音を一段上げても音のスペクトラムの傾向そのものは変らず、むしろトゥイーターの鳴り方をよけいオーヴァーになる。パワーを送りこむにつれて明るくよく唱うような鳴り方はひとつの特徴だが、音の掴み方がやや大ざっぱで滑らかさ、緻密さをやや欠いた音質といえ、じっくり聴きこもうという目的には向きにくい。

周波数レンジ:☆☆☆
質感:☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆☆
解像力:☆☆☆
余韻:☆☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆☆

総合評価:☆☆★

Lo-D HS-500

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 音質に関しては本誌23号245ページの発言に尽きるが、要点をくり返せば、高域の滑らかさ、涼風の吹き抜けてゆくような耳障りなところのない爽やかな音質は素晴らしい。ただ、それを支える中域以下の土台が骨細で量感に乏しく、例えばヴァイオリンやチェロの胴に共鳴するふくらみが出にくく、ファンダメンタルの豊かな響きが出てこないという意味のことを発言した。これに対する日立製作所の回答が24号354ページに掲載されたが、それも要約すれば、テストグループの試聴の方法に難点があって、HS500自体には問題はないと受けとれる要旨だった。今回も別記のように各種の置き方を試みたが、やはり前記の指摘を修整する必要を認めなかった。私はエッチS500の何よりの長所を認めた上で、発売後六年を経た現時点では必ずしもこれが十全でないことを言っているので、一時期を画した立派な製品であることは世間が評価している。なお23号で、発売当初にくらべて最近の製品の音質が変わってきていることを何ら変わっていないと回答されたが(前記24号参照)材料その他に二~三の変更があったとすれば、それで音が変わらないというのは納得のゆかない答えだった。

周波数レンジ:☆☆☆
質感:☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆
解像力:☆☆☆☆
余韻:☆☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆☆

総合評価:☆☆★

ダイヤトーン DS-301

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 発売以来三年あまりというのは国産では寿命の長い方だが、内外の新型のあいだに混じると少々古い感じの音に聴こえる。前回(本誌23号)聴いたものと印象が少し違って、ことに女性歌手が老けて聴こえ、はつらつとした生気を欠き情感や色気が出にくい。中低音から中音にかけての音域に重点を置いて、音楽の土台はしっかり支えている反面、中音域では音の薄いところがあり、またDS251などとくらべるとスーパートゥイーターがさほど効ているように思えず高音域のレインジがせまく感じられるためか、ソロ・ヴァイオリンの高域の張りつめた響きが冷たく切れこんでゆく感じ、弦合奏のハーモニクスがふわっと浮く感じ、シンバルやスネアの乾いてスキンのよく張った感じ、などが出にくく、ことに音量を絞った場合に総体に粘ったような重い鳴り方をする。パワーを思い切り送り込むと様相は一変して音離れの良い、よく張って切れこむ音質になるがそういう長所を発揮できるのは、かなりのハイパワーアンプで音量を思い切り上げた場合に限られる。狭い部屋ではこの良さを生かすのは少し難しい。

周波数レンジ:☆☆☆☆
質感:☆☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆☆
解像力:☆☆☆☆
余韻:☆☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆☆

総合評価:☆☆☆

ヤマハ NS-690

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 総体に冷たい肌ざわりの音だがバランスが実に良い。ことに、国産スピーカーの大半の弱点である中低音域、言いかえれば音楽の最も大切な支えとなる音域の濁りがなく、抑えた鳴り方ながらシンフォニーの内声部もきちんと出てくるしチェロの唸りなどなかなか快く、ピアノのタッチ、ことに左手の強靭な響きもよく再現され、広い音域全体に品位の高い引き締った音質であらゆる音楽をクリアーに美しく聴かせる。能率の比較にしばしば参考としたスキャンダイナA25MkIIが、音質の点でもかなり高額の国産品より優れて聴こえていたのに、NS690と並ぶとさすがに、レインジの広さやスケール感や、緻密さ・芯の強さなどの点では劣って聴こえはじめる。ただ、ロー・エンドとハイ・エンドとにやや抑えの効かない部分があって、それが引き締めすぎとも感じられる生真面目な鳴り方に適度の味つけをしているとも言えるが、反面、低音楽器やややふくらませすぎたり高域のハーモニクスにトゲが立ったように聴こえる部分もあって、無条件で特選に推すにはもう一息の練り上げを望みたい。しかし2号にわたるテストを通じて綜合評価に4点を入れたのは国産ではこれ一機種である。パワーにも強い。

周波数レンジ:☆☆☆☆☆
質感:☆☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆☆
解像力:☆☆☆☆
余韻:☆☆☆☆
プレゼンス:☆☆☆☆
魅力:☆☆☆☆

総合評価:☆☆☆☆

オンキョー E-83A MKIII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 MKII、MKIIIと着実に改良を続けてきた製品だけあって、オンキョーのスピーカーシステムの中でもよく磨かれたクリアーな音色を持っている。ホーン型のスコーカーの能率がかなり高いためか、メーカー指定のノーマル位置では中域が張りすぎてバランスをこわすので、ディクリーズまで絞ってみたがまだ絞りきれない。置き場所を含めていろいろ研究してみると、どうやらこの製品は床に近い高さに設置して音ぎめしているらしく、床から10cmないし15cmほどの(例えばブロック一個ぐらいの)、ブックシェルフとしてはかなり低い台の上でいちおう聴けるバランスになった。トゥイーターレベルはノーマルの方がよい。しかし本質的に硬質なタイプの音色で、硬い、引き緊った、という表現の音である。国産スピーカーのなかでは箱の共鳴音的な余分なノイズを相当よく抑えこんである方で、騒々しい音は出さないが、欲をいえば音楽の表情の柔らかさや弾みまでを少々抑えこみすぎたように感じられる。たとえばソロ・ヴォーカルでも直立不動の姿勢で唱うような固さがあるが、逆にいえば硬質な音の魅力とも言える程度の、クリアーな音の良さもある。53A以下の製品とは大違いだ。

周波数レンジ:☆☆☆☆
質感:☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆
解像力:☆☆☆☆
余韻:☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆

総合評価:☆☆★