Category Archives: ラックス/ラックスキット - Page 5

ラックス C-12, M-12

井上卓也

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 新世代のラックスを意味する技術志向が前面に出たラボラトリー・リファレンスシリーズのセパレートアンプをベースとして、より入手しやすいコストのモデルとして開発されたのが、この一連のセパレートアンプである。趣味としてのオーディオを熟知したラックスの製品であるだけに、最近の動向である薄型アンプの形態を採用し、キュートで、洗練されたデザインにまとめられている魅力は、むしろ兄貴分のラボラトリー・リファレンスシリーズに勝るとも劣らないものがある。
 C12は、単純機能のクォリティ優先型のモデルであるが、独得のリニアイコライザー、ツインT型サブソニックフィルターを備え、2系統のテープ入出力端子をもつ。回路は、すべてDC構成である。
 M12は、ブラックボックス風のユニークなデザインである。とくに、メッシュを通して、管球アンプ的な灯りが仄かに見えるのが楽しい。構成は、完全左右独立型のDCパワーアンプである。
 C12、M12の組合せは、クォリティの高い、外観とマッチしたキュートなスッキリとした音だ。リニアイコライザーで低域を補正するとスケール感が豊かな予想以上の余裕ある音を響かせる。

ラックス PD444, PD441

井上卓也

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 五十年をこえる長いキャリアを持っているだけに、プレーヤーシステムの分野でもラックスの製品には、趣味性を活かしたディスクファン向きのユニークなモデルが従来からも存在していることは見逃すことができない。
 かつてのベルトドライブ全盛時代のターンテーブル軸受部分をフレキシブルマウントした製品や、最近での、アルミダイキャスト製のスケルトン構造フレームを採用し、アームの取替にカメラのバヨネット機構を導入したPD131/121は、とかく画一的な手法が見受けられるプレーヤーシステムのなかでは、性能、デザインはもとより、趣味性が活かされた優れた製品だ。
 今回発表された新モデルは、組み合わせるトーンアームの全長のさを、左右方向にスライドする剛性が高いアーム取付用ベースで調整する方法を採用した点に特長がある。ターンテーブルは、30cm直径、重量2・5kgのアルミダイキャスト製で、フライホイール効果をフルに活かし、サーボ系により制御不能な5〜10Hz以上の周波数帯域における外乱負荷変動を抑えている。この手法は、PD131でも採用されているが、今回はこれに加えて、軸受部分の荷重を軽減する目的で、モーターローターの下部に埋込んだ磁石と駆動固定コイルの上側に設けられたヨークとの吸引力を利用し、スピンドルに上向きの力を与え、実質的な軸受にかかる負荷を80%程度少なくし、モーターの駆動電流を大幅に減らし、SN比やワウ・フラッターなどの諸特性を改善している。また、電気的にはクォーツロックにより時間的、温度適度リフトを抑え、機械的なターンテーブルの慣性、フリー・ロード・スピンドル方式と組み合わせて、直流域から5〜10Hz以上の外乱負荷変動、ドリフトを抑えている。
 PD444は、ロングアーム取付可能な2本アーム用ターンテーブル、PD441はショートアーム専用の製品である。

ラックス 5T50

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 一連のラボラトリー・リファレンス・シリーズのコンポーネントは、プリメインアンプ、セパレート型アンプなどのアンプが中心だが、周辺機器としてトーンコントロールアンプ、グラフィックイコライザー、ピークインジケーターなどがあり、ここでは、デジタルシンセサイザーFM専用チューナー5T50を取り上げることにする。
 このモデルは、FM多局化に備えて開発され、多くの新しい機能がある。
 受信周波数は、デジタル表示されるほかに従来のダイアル的感覚を残すために、FM放送帯を1MHzごとに示すLEDがついたダイアルがあり、別に1MHzの間を100kHzだとに示す10個のLED表示部分を組み合わせアナログ的な表示が可能である。同調はオートとマニュアルを選択可能で、操作はUPとDOWNの2個のボタンでおこなう。オート動作では、目的方向のボタンを押せば、次の局の電波を受けるまで探し同調し止まる。マニュアルではボタンのワンタッチで100kHzでと上下に移動し止まり、押しつづければ連続して動き、放せば止まる。このチューニングスピードは、任意に調整可能である。
 また、このモデルにはスイッチによるプリセットチューニングが7局できる。プリセットは機械式ではなく、C−MOS ICを使い、デジタルコードで記憶させる電子式で、希望局の記憶、消去が簡単であり、電源を切っても記憶させた局が消去することはない。シグナルメーターはないが、放送局の受信状態の目安を0〜5までの数字で表示するシグナル・クォリティ・インジケーターが採用してあるのも面白い。
 実際の選局はオート、マニュアルとも違和感がなく快適にチューニングでき、プリセットチューニングの記憶、消去も容易で、とくに慣れを要求しないのが好ましい。
 このチューナーの音は、T110などを含めた従来同社のチューナーよりも、クリアでスッキリとし、粒立ちがよく、滑らかさも十分にある。

ラックス 5L15

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ラックスのプリメインアンプには、高級機としてSQ38FD/II、L−309V、そしてこの5L15のいわば新旧三世代のモデルが共存していることが大変に興味深く、オーディオの趣味性を強く捕える、いかにもラックスらしさがある。それにしても5L15は、ラックス育ちの現代っ子の音がするようだ。

ラックス MB3045

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 オーディオ用に新しく開発した出力管とドライバー管を採用しているのが、このMB3045の最大の魅力であろう。モノーラル構成のパワーアンプには、ダイナコMKVIがあるが、三極管でそれに匹敵するパワーを得ているのは、現在でも、過去でも、この製品の他に例はないはずである。いわゆる管球アンプらしい音よりは、パワフルであるだけに、マッシブであり、最新のディスクの利点を十分に聴かせるだけの性能がある。

ラックス CL32

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 薄型コントロールアンプとしては、もっともオーソドックスともいえる、最小限度の機能をもつクォリティ志向型の製品である。しかし、このモデルは、増幅素子に真空管を採用している点が大変にユニークな存在であり、別にキットフォームのモデルをもつのも、いかにもラックスらしさがある。現代アンプらしく物理的特性が優れ、音質的にも新しさがある点では、ラックス管球コントロールアンプ中では抜群の存在である。

ラックス MB3045

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 SQ38FD/IIのような耳当りのよい音ではなく、球としてはやや硬目の、ワイドレンジ型の音質といえる。したがって、管球ゆえの解像力の甘さという弱点はあまり感じさせずに、しかし弦やヴォーカルに球ならではの滑らかな暖かみを加えて鳴らす。CL30や32で鳴らすのが常識的かもしれないが、トランジスターのワイドレンジのプリアンプを組み合わせてみると、意外にフレッシュで充実した音が楽しめる。

ラックス 5M21

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 まったくのイメージチェンジをした、シンプルで機能的なデザインに装いを変えた、ラックスのラボラトリー・リファレンスシリーズのパワーアンプである。歪み感がない滑らかでナチュラルな音は、従来とは一線を画したダイナミックな表現を可能としているが、そこにラックスらしさが残っているのが好ましい。

ラックス 5C50

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ラックス新しいラボラトリー・リファレンスシリーズのコントロールアンプであり、シリーズの名称が示すように、最新の技術動向を反映して、アンプ系のDCアンプが全面的に採用されている点に特長がある。ペアとなるパワーアンプもDCアンプであるために、入力に直流分が混入しているとスピーカーを破壊しかねないため、完全な保護回路と表示ランプを備えているのは、実用上での大きな利点である。

ラックス SQ38FD/II

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 最新の技術を駆使した、いわば、電算機的なプリメインアンプが登場してくると、旧型アンプの存在価値が薄れるのが当然であるが、そこは、趣味としてのオーディオであるだけに、アナクロ的な典型ともいえる、古き良き時代の真空管プリメインアンプが、現在に生きているのも大変に楽しいことなのである。プロトタイプ以来10年に近い歳月を経過したこのモデルは、いわば、SL的な新しさであり、懐かしさがある音を聴かせる。

ラックス 5M21

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 いかにも新鮮で若々しい、しかも細部までよく磨き抜かれた質の高い、あたかも澄んだ青空を眺めるような爽やかな音質は、一種すがすがしい快感を聴き手に与える。現代ふうのクールでしかし音の重量感も十分に表現できるダイナミックな、弱音から強音まで歪感の少しもない美しい音を聴かせる素晴らしいアンプ。

ラックス L-80V

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 中級プリメインアンプというべきランクの製品ながら、かなり品位の高い音質と、風格ある仕上りをもったアンプである。アンプ作りに愛情をもつラックスらしい製品で、持つものに空虚なコマーシャリズムを感じさせない。最近の商品にはそうした物が多いだけに、この音とアピアランスは貴重なものだ。

ラックス L-309V

 菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ラックスらしい風格をもった品位の高い音の情趣が、その質感の高いパネルデザイン、ツマミ廻りのフィニッシュと共に、高級プリメインアンプとしての雰囲気に満ちている。新シリーズが発売された現在も、その独自性の故に、ライン・アップからはずされることなく、ロングライフを保つ製品となるだろう。管球式の38FDのデザインと共通のイメージのTRアンプとして内容外観フィニッシュの三拍子そろった製品だ。

ラックス 5C50

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 新しいラボラトリー・リファレンスシリーズの音自体、ややクールな傾向だが、ことに5C50の音にその傾向が強く、弦やヴォーカルにはやや冷徹な感じになりがちだが、あとから発売された5E70(トーンコントロールユニット)と組み合わせてバランス的に補正を加えると、音に適度の厚みも出てきて、本来の解像力の良さ、引締って質の高い音質が生きてくる。デザイン的にはレバースイッチの表現がやや大仰だと思うが。

ラックス T-110

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 大分長い間わが家でも聴いていたチューナーで、音質もいいし、見た目の美しさは、ラジオを聴く楽しさを助長させてくれるものだ。薄型のすっきりとしたデザインのFM専用チューナーである。このぐらいのデザインになると、必ずしもアンプと同じデザインでなくても、置いていて気にならないのが面白い。フロントエンド・5連バリコン、IF段・8素子のセラミックフィルター使用。同調もとりやすい。

ラックス M-6000

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 日本のメーカーの中でラックスは特異な存在だ。最古の歴史と伝統を持つこのメーカーは、今も専門メーカーとしての分と誇りを知り、保ち続けている。M6000は、桁はずれといえるようなステレオパワーアンプで、重さがその内容を表わすといってよいほど超弩級のアンプだ。作品といってよい充実した出来。

ラックス SQ38FD/II

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 アンプに限らず「これでなくては聴けない音」があるということこそ、その製品の存在する必然性だと思うが、SQ38FD/IIの、とくにクラシックのプログラムソースで、弦やヴォーカルのいかにも息づくような暖かさ、血の通った滑らかさを聴けば、この音はちょっと他のアンプでは聴けない特長であることが理解できる。最新のTRアンプの透明な冷徹さと対極にあるこの音は貴重な存在。

ラックス CL32

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ことさら管球とかTR(トランジスター)とかを意識させない、現代の最新アンプに共通の解像力のよい、レンジの広いフレッシュな音を聴かせる。が、弦やヴォーカルの音が冷たい金属質にならず、どこか暖かい滑らかさで響くところが、やはり球ならではという感じ。ただ、旧録音を含めて数多くのレコードを楽しみたいとき、ラックス得意のリニアイコライザーだけでは、音のバランスを補正しきれない。簡単なものでもトーンコントロールが欲しい。

ラックス CL32

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ラックスのフラットなコントロール機能のシンプル化された管球式プリアンプである。別に、キットでも発売されている。このアンプの魅力は、なんといっても音が積極的によく前に出ること、それでいて、決して品位がわるくなく、艶ののったなめらかな質感は、感覚的に快い。暖かい肌ざわりも魅力だ。そして、ワイド・レンジと、管球式として最高の物理特性まで練り上げられたプリアンプだと思う。

ラックス 5L15

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 本誌42号で、この音はラックスらしくないという意味のことを書いたが、新しいラボラトリーシリーズの各機種が出揃うのを聴いてみると、これは決して偶然の所産でなく、周到に練り上げられたラックスの新しい一面であることに納得がゆく。ただ、音のバランスのコントロールが全くできないというのは個人的には賛成できない。あとから発売された5F70(トーンコントロールユニット)との併用をすすめたい。

ラックス L-309V

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 新製品ではないが、これも本誌42号の試聴テストで再発見しなおしたアンプのひとつ。ラックスというメーカーの体質の一面ともいえる、押しつけがましさのない上品な音が、十分に練り上げられた質の高さに裏づけられて、じっくりと聴き込むに耐える本ものの魅力に仕上がっている。デザインもよくこなれているし、ペアとなるべきチューナー(T300V)と並べた印象も、買った人に満足感を与えるだろう。

ラックス PD131

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 見た目にも聴感上も、兄貴分のPD121とほとんど差がわからない。ただし、同じアームを即座につけかえて比較試聴すると、心もち音が軽くなるような気がするのは、ターンテーブルの重量やモーターのトルクの違いのせいか。しかし実用上は、価格の安い131の方が一般的といえる。何しろ魅力的な製品。

ラックス PD121

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 駆動モーター自体がテクニクスのSP10(II型でない方)と同等品であることは、ターンテーブルを外してみればすぐにわかるが、それだから逆に、あの同じモーターを、これだけ魅力的なプレーヤーに仕上げたところが、さすがラックス、と言いたくなる。手もとに置いて愛用する気になれる数少ない製品のひとつ。

ラックス M-4000

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 M60000の弟分という存在だが、6000のあの物凄いといいたい大がかりさにくらべると、大きさやスペックなどバランスがよく、ふつうにはこの方が扱いやすい。6000がややおっとりした音を聴かせるのに対し、こちらは細部のキメのこまかい、解像力のよい、そして目鼻立ちのはっきりした音質。

ラックス T-110

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 フラットで薄型のコントロールアンプが多くあるため、いずれペアとなる薄型のチューナーが登場すると予想されるが、FMチューナー単体として、フラットな製品を開発したのは、このモデルが最初であろう。チューナーをプレーヤーシステムと同じプログラムソースと考えれば、このモデルのもつ外形寸法は、プレーヤーの下側に重ねて置くのに好適であり、スペースファクターが優れていることは、実用上のメリットである。