Category Archives: 井上卓也 - Page 83

ラックス SQ38FD

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 ソリッドステートアンプがパワーFETの開発で新時代を迎えようとする昨今、管球式アンプに意欲を燃やすLUXの存在は貴重である。SQ38FDはプリメインアンプとして異例な管球式であり、プアンプとパワーアンプを独立して使うと、さほどとは思わないがプリメインアンプとして使えば独特の魅力があるインテグレートアンプの特徴をもつのは好ましい。管球式アンプの音は豊かで柔らかいという誤れる伝説の作者でもある。

ヤマハ CA-1000

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 シンプルで、かつ精巧な印象を受けるヤマハのアンプデザインは強いポリシーの表現であり個性的である。CA1000は連続可変型ラウドネスコントロール、話題を集めたA級B級切替などの特別機能を備え、音質面ではスッキリとした格調の高さが感じられる。独特なデリケートさを70Wというパワーが巧みにカバーするが、魅力をひきだすためにはカートリッジ、スピーカーを選ぶ必要がある。ナイーブな感受性が魅力である。

デンオン PMA-700

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 シリーズ製品ながらPMA700は、PMA500とは性質が異なっている。ちょっと聴くと誰しもPMA500のサウンドに魅力を感じるだろうが、内面的な表現力の大きさでは比較にならぬ格差があることが、聴き込むにしたがって判るはずである。いわば体質的に異なった大陸的な稽古をもつためにオーディオ道楽をかなりしないと魅力はつかみ切れない音である。これがボザークと共通なPMA700の魅力だ。

デンオン PMA-500

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 プリメインアンプが現在ほどの完成度をもたなかった二年半ほど以前、初めて聴いたPMA500の音は鮮烈な印象そのものであった。アンプとしての基本的性能を抑えたうえで、音楽をいきいきと躍動感に富んで聴かせるパフォーマンスは見事である。スッキリとした音ながら色あいは濃いタイプで、ステレオフォニックなプレゼンスの再現に優れる。いまだに、このクラスの新製品でこのアンプを上回る機種がないのは何故か。

フェログラフ S1

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 いわゆる英国の音がもつ伝統を守りながら新しい英国系モニタースピーカーは大幅なグレイドアップをなしとげたようだ。比較的小型で奥行きが深いプロポーションをもち、拾い周波数レンジと能率が極めて低いことが共通な特長といえよう。S1システムは、バランス上、やや高域と低域の周波数レスポンスが少々する傾向をもつが、ステレオフォニックな拡がりと、定位の鮮明さに優れる。格調が高く緻密な音は素晴らしい。

JBL 4320

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 JBLプロフェッショナルシリーズのモニタースピーカーは現在4機種あるが近日中に、さらに充実したシステムがシリーズに加わると予測されている。4320は旧D50SMモニターをベースとしてモディファイしたプロフェッショナルモニターの中心機種である。とかくモニターといえばドライ一方の音になりやすいが、表現力が豊かであり強烈なサウンドも、細やかなニュアンスも自由に再現できるのは近代モニターの魅力だ。

JBL L26 Decade

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 JBLの新世代を象徴する新しい魅力をもったシステムである。米国では約130ドルで現在ではJBLのもっともローコストなシステムであるが、このディケードの音は、まさしくJBLの、それもニュージェネレーションを感じさせる、バイタリティのあるフレッシュで、かつ知的なサウンドである。米国内でも爆発的な人気らしく、JBLのラインのほとんどがこのシステムでしめられていたのを見ても裏付けられるようだ。

アメリカ・タンノイ Mallorcan

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 マローカンは、英タンノイのユニットでは比較的なじみの薄いモニター12ゴールドを米タンノイがブックシェルフ型エンクロージュアに収納したシステムである。英国の音のティピカルな存在である。タンノイの音から想像すると驚かされるほど、このマローカンの音はボザーク、KLHと共通性をもった米東岸の音をもっている。まさにニューイングランドの音といってよいだろう。小型ながら適度のスケール感と高品位な音が魅力。

ジョーダン・ワッツ Module Unit

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 いまはなき、ローサーと並ぶフルレンジユニット、グッドマンAXIOM80の設計者であるEJジョーダンが自らの名を冠したユニークなフルレンジユニットである。10cm口径の一体成型軽合金コーンにベリリュウムカッパー線を3本使ったダンパーなど構造上でも異色の存在である。明るく滑らかで反応の早い音は小口径フルレンジユニットのファンの琴線に触れる魅力であろう。現在数少ない個性豊かなユニットの典型である。

アルテック 605B

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 伝統的なモニタースピーカー用としての定評があるだけに604Eは素晴らしいパフォーマンスをもったユニットである。605Bは、同タイプながら、いわゆるモニター傾向が薄らいだユニットで、あまりエンクロージュアを選ばず、使いやすいメリットをもつ。近代モニターに比較すれば周波数レンジでは不満があるかもしれぬ。古くなったとは思いながら使ってみると内容の濃い豊かな音は捨てがたい魅力があるから不思議だ。

ボザーク B310, B410

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 ニューイングランドサウンドを代表する貴重な存在といえる大型システムである。ユニットは、すべてコーン型で会社創設以来、基本設計を変えないR・T・ボザークの作品である。システムは、すべて手づくりで丹念につくられた、いわば工芸品であって、工業製品でないところが魅力である。この音は深く緻密であり重厚である。音の隈どりの陰影が色濃くグラデーション豊かに再現されるのはボザークならではの絶妙さである。

魅力とは機器を通して製作者の個性がわれわれに語りかけるものだ

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 オーディオの魅力とは何か、これは大変に難しいテーマである。何故かといえば、オーディオにかぎらず、とかく趣味であるカメラ、時計、車など、そのいずれをとってみても、魅力と感じるのは、きわめて個人的な主観であって、ある製品を魅力的だという発言を二人の人がしたとしても、結果として魅力という言葉に帰結したという事実はあるが、そのポイントするところは大体の場合に異なるのが通常である。自分自身というカテゴリーのなかでも、製品に対して、かなり多角的に眺め、ケースバイケース、大変に独善的な見方として魅力的だといっているのは偽りのない事実である。編集部から出されたオーディオ製品の魅力とは、というテーマに対して私がいえることは、個人的な勝手な発言でしか書きえないものだと思う。
 魅力というものには、何ら定形はない。何か物指しのような尺度があって計り得るものなら、ことは簡単であるが、それがないだけに常に伸縮自在の自己の物指しで計るしかない。いや、計るのではなくて、直観的であるか、ある期間の間にプロセスとして経験的に体験するの違いはあったとしても感覚的に感じるものでしかありえないものだ。現実にオーディオ製品で私は魅力を感じたものは、可能な限り手もとに置くことを、ひとつの信条としているが、それらについて何故魅力を感じたかを考えてみること自体が大変におかしなことなのだけれども、一般的な表現方法でいえば、音そのものであり、また、デザイン、機能、操作性、物理的性能などで説明することが可能である。しかし、もっとも大切なことは、それ以外のサムシングともいえる、何かかがなければ感覚的に魅力には結びつかないのである。それが何であるかが、この際に問題である。
 とかく、魅力のポイントを探し出し、自ら納得しながら、つまり、かなり短絡的な思考のプロセスを経過していかないと、もっともらしい理由づけはできないようだ。このような苦痛を伴う心理的作業自体が、かなり趣味に反するものであり、このことがバイアスとなって、自己暗示にかかりながら説明をしようとすればするほど、残念ながら、逆に魅力の実体から、かけはなれていく、一種独特な空々しさは如何ともしがたいものなのである。具体的にデザイン、機能などという分類では表現しえないものであるなら、本来の感覚にもどってみるより他はないのではなかろうか。
 オーディオ製品の魅力は、私は個性であると思う。ここで個性というのは、製品自体のもつもの、ということよりも、製品の姿を通して、われわれに語りかける製作者の個性なのだ。このポイント以外に私は魅力の根源はありえないと思う。具体的な例をあげれば、スピーカーシステムでは、私はボザークもJBLも好きであるし、アンプでいえば、マッキントッシュにも、マランツにも名状しがたい魅力がある。そのいずれも同一の次元で比較できるものではなく、オーディオ製品として魅力があるとしかいえない。つまりボザークの個性とJBLの個性は当然のことながら異なる。ボザークはR・T・ボザーク氏の一徹ともいえる会社創業以来不変のクラフトマンシップと彼自身の音楽性であるし、JBLは精密機械工場からつくり出されるクールな感覚、知的でありながら明るく、ハートウォームなサウンドとしかいいえない。あくまで、ボザークはボザークであり、JBLはJBLでなければならない。
 洋の東西を問わず現在のオーディオ製品は、大型フロアースピーカーシステムや管球式セパレート型アンプがオーディオのトップランク製品であった時代とは個性が大幅に変化している。その性格の変化とは、かつては製品が量産されたといっても現在の量産とは絶対量が異なり、いわば手づくり的な規模であり、クラフトマンシップにあふれた製品が世に送り出されていたわけだ。例えば、マランツ♯七プリアンプにしても、そのシリアルナンバーを信用するかぎり17000~18000あたりから国内に輸入され、推定ではあるが25000程度で生産が打切られたはずである。この数量は定評のある高級プリメインアンプならば一年たらずで到達する生産量であろう。つまり、現在のオーディオ製品は、マスプロダクトを前提とした工業製品という正確が基本でありけっして工芸品ではありえないことだ。
 スピーカーシステムの場合、この傾向がもっとも顕著である。極めて例外的でないかぎりコンシュマーユースの大型フロアーシステムの新開発はありえないだろうし、現存するシステムすら、何時まで続けられるかは予測しがたく、比較的近い将来に中止されることだろう。大型スピーカーシステムに手をかけて少数生産するよりも、ブックシェルフ型を量産するほうが、よりビジネスライクであるわけだ。このことは、ほかの趣味である時計や車でも同様である。クラフトマンシップはすでに感じられず、ただ、マスプロに徹しているのが近年とみに感じられる。これは、時代そのものの変遷であり、如何ともしがたいが、趣味として魅力の製品が期待できないのは大変に残念というほかはない。これでは、趣味としてのオーディオの命脈が尽きたという声が出るのも仕方あるまい。たしかに、工芸品的要素を求め、クラフトマンシップの個性を求めても何物もないとしても、現代の製品には、工業製品としてのオーディオ機器の個性、つまり魅力が存在するのは事実である。
 現代の製品がマスプロダクト、マスセールが前提であれば、プロデュースする立場では、より普遍的なバーサタイルな性格の製品がベストにならざるをえない。現実に、比較的性格の温和な製品が多いのは事実で、折角、永年育てあげてきたメーカーとしてのカラーを個性にまで磨きあげる努力を怠り、クセという次元の低い状態のまま葬っている例が国内製品に多いのは残念なことだ。私は個人的には、メーカーとしてのカラーを捨てて、普遍性のある製品ができたとしても魅力を感じることはないし、他社のカラーを導入しても、より完成度が高い製品ができたとしても認めることはできない。つまり、会社は会社のカテゴリーのなかに存在しなければ、存在そのものに意義がないと考えるのである。もしも、数多くのメーカーから、デザイン、機能、物理的性能、トーンキャラクターなどが類似した製品がだされたとしたら、それほど数多くのメーカーがなければならぬ必然性はなく、一社の存在で充分なはずだ。
 現在のようにオーディオの市場が異状に拡大した、いわば乱世の世代に生きぬくためには、魅力を感じる製品が必須条件であり、そのためには、独自のポリシーを貫き、固有のカラーを個性にまで育てなければならない。こと国内製品に限定して考えると、トランスデューサー関係では、動向としてはユニークな製品が、現われかかってはいるものの、あくまで素材面であり、物理的特性面での例が多い。今後は、いかに、音楽を聴くためのオーディオ製品とするかであり、鍵はプロデュースをする立場の人が、いかに音楽を愛し、音楽と親しんでいるかという個人の問題にあろう。とくにプレーヤーシステム関係のコンポーネントにシステムプランの面での飛躍を望みたい。
 アンプ関係は現在国内製品が、もっとも強い分野である。とくにプリメインアンプでは、よほどのことがないかぎり、海外製品の入り込む余地はないようである。しかし、セパレートタイプのアンプとなると大パワーの面では、細菌かなりのパワーアンプが作られてはいるが、米国系ハイパワーアンプとは、まだまだ比較するわけにはいかぬ。ただ、パワーアンプで期待される材料に、パワーFETの開発がある。現在までに実際に試聴した例は少ないが、この新しい素子に管球にもトランジスターにもない未来的な可能性があるのは事実である。これに比較するとプリアンプは世界的に不作であるようだ。
 現在市販されているオーディオ機器のなかで魅力ある製品に、私は24機種を選んだが、そのすべてが、製品を通じて作る人間の個性が私に感じられる現代の魅力あるオーディオ製品である。これらの製品は、すべて熟知しているつもりのものであり、その70%程度は実際に使用しているか、近日中に現用機として使用するものである。本質的な製品のもつ魅力は、自分の手にし、自分の部屋で使用してみないことには実感とはなりえない。

タンノイ Autograph

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 英タンノイのスピーカーシステムは、すべて、デュアルコンセントリックと名付けられた同軸型ユニットを1個使用していることに特徴がある。このオートグラフはモニター15ゴールドをフロントショートホーン、リアをバックローディングホーンとした大型のコーナーエンクロージュアに入れたシステムでけっして近代的な音をもってはいない。けれどもアコースティックの蓄音器を想い出すような音質は、かけがえのない魅力だ。

デンオン DH-710S

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 業務用テープデッキでは定評の高いデンオンの38cm2トラックは永らく発表が待たれた製品である。DH710Sはメカニズム部分とアンプ部分を分割したトランクに入れたポータブルタイプにできているのが魅力である。重量が30kg程度と重いので簡単に持運ぶことはできないが、内部を見れば重量がある理由はうなずけるはずである。実際に常用してみると安定感があり、信頼がおけるのはデンオンならではである。

ルボックス HS77MKIII

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 2トラック38cmが使えるデッキのなかでは、デザインがシンプルで、信頼性が高く、小型軽量であることでは、このHS77を除いて他にはない。ACサーボ型のキャプスタンモーターを含む3モーター、バックテンションの連動機構などポイントを抑えた設計は見事である。アクセサリー過剰気味の国産デッキに比較すれば比較的にシンプルである。ポータブルタイプのメリットをいかしてバーサタイルに使いたい。

ウーヘル 4200 Report

井上卓也

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 ポータブルタイプのテープデッキはカセットタイプというのが常識化しているが、便利さは必ず不便が伴うようである。単なる記録であって編集が必要なければ同じウーヘルのカセットデッキ、ステレオ124が魅力的な存在である。しかし、信頼性と編集ができるメリットをとって、あえてオープンリール型の420リポートをとりたい。外観上は、さほど魅力はないが、内部に巧みに配置されたメカニズムの魅力は捨てがたい。

ブックシェルフ型スピーカーのタイプと原理

井上卓也

ステレオサウンド 10号(1969年3月発行)
特集・「スピーカーシステムブラインド試聴」より

50機種を分類する
 ブックシェルフ型と呼ばれるように本棚に載るくらいの小型ながら、大型スピーカーシステムと十分比較できるくらいの低音を再生する製品が実用化されはじめたのは、やはり45/45方式の2チャンネル・ステレオディスクの開発によって2台のスピーカーシステムが必要になった、時代の要求からであろう。
 もちろん、それまでにもスピーカーシステムの小型化の試みはされていたが、なかなか実用化はできず、音響技術者にとっては、彼岸にも似たものだった。それが米AR社のアコースティック・サスペンション方式の開発から端を発して、今日のブックシェルフ時代に至っている。
 このARの開発以来、今日まで、すでに15年余りの年月が経過しているが、ブックシェルフ型が実用期に入るまでには、スピーカーユニット自体の進歩もさることながら、トランジスターアンプがちょうど足並を揃えて開発され、今日のように比較的容易にハイパワーアンプが入手できるようになったことも、ブックシェルフ型の普及に大きな役割を果したことも見逃せない。
コーラルがわが国初めてのブックシェルフ型を完成
 ARでAR1発表後、しばらくして日本でもブックシェルフ型が製作された。主として輸出用として開発されたものらしいが、25cmウーファーをベースとした2ウェイシステムだった。
 比較的小口径のウーファーで、低域まで再生するには、当然コーンの大振幅が要求される。この要求を満たすための一部として、ボイスコイルの巻幅を、ヨークの厚みより長くしたロングボイスコイルが使われるため、能率が急激に低下する。この能率低下を防ぐために、強力な磁気回路をもたせるわけであるが、それでもなお能率の悪化はさけられないのが普通である。
 スピーカーの能率の悪いものは、アンプの方でカバーすることが必要となってくるが、コーラルのブックシェルフ型が発売された頃は、真空管アンプ全盛であり、パワーの小さいアンプはほとんどであったため、国内で目の目を見なかったことを思い出されるファンも少なくないだろう。
主流となったブックシェルフ型
 この頃のブックシェルフ型スピーカーシステムの能率の悪さが語りつがれて、いまだにブックシェルフ型は能率が悪いとか、インスタントコーヒーのように、間に合わせ的に思われているのはあたらないとおもう。
 現在のブックシェルフ型スピーカーシステムは、今回の50機種テストに立ち合った感想からも、能率の改善とトランジスターアンプのハイパワー化の相乗作用??で、住宅事情の悪いわが国で主流を占めるまでに成長しているのが感じられた。

テスト機種をタイプ別に分類する
 今回のブラインドテストのために集められた50機種を中心にして、ブックシェルフ型の分類をしてみたい。
 もっとも大きく分類すると、
1 密閉型エンクロージュア
2 バスレフ型エンクロージュア
3 後面開放型エンクロージュア
 の三種類になる。
 さらに50機種を細かく分類すると
1 密閉型
 A密閉型(8機種)
 B完全密閉型(19機種)
2 バスレフレックス(通称バスレフ型)
 Aダクトをもたないバスレフ型(2機種)
 B角型ダクトをもつバスレフ型(3機種)
 Cパイプダクトをもつバスレフ型(6機種)
 D複数個のパイプダクトをもつバスレフ型(1機種)
 E複数個のダンプしたパイプダクトをもつバスレフ型(3機種)
 Fダンプしたパイプダクトをもつバスレフ型(2機種)
 Gダンプド・バスレフ型(1機種)
 Hドロンコーンをもつバスレフ型(4機種)
3 後面開放型(1機種) 計50機種

分類したシステムの解説
■密閉型
 ここで密閉型を完全密閉型と密閉型に分類したが、単なる密閉型とは、一機種を除いて取り外しのできる裏板とエンクロージュア本体との接合面に、空気もれを防ぐためのパッキング材が使われていないものにした。完全密閉型とは、ほぼ完全に空気もれを防いでいるエアタイトなシステムをいう。
 ブックシェルフ型に多くみられるロングボイスコイル型と呼ばれる大振幅に耐えられるユニットは、能率の低下を補うために強力な磁気回路をもっている。これらのユニットは小型の密閉型エンクロージュアに入れても十分な低音が再生できるが、ただ、専用ウーファーの大振幅動作時に生ずる強大な音圧に耐えるため、極めて丈夫に作らなければならない。この辺の問題については前項の岡氏の記事に詳しいので参照されるとよい。
密閉型エンクロージュア
 完全なエアタイト型でなく、エンクロージュアの裏板が取り外せるようになっており、一枚の吸音材がエンクロージュアの側面四面と裏板に張られている普通の密閉型エンクロージュア。
完全密閉型エンクロージュア
 エンクロージュアの各面を糊などで固着した後に、バッフル板前面からスピーカーユニットが取りつけられて、ほぼエアタイトな状態にあり、内部が計算などで決められた適量の吸音材で満たされたもの。
■バスレフ型
 バスレフ型エンクロージュアは、密閉型エンクロージュアにスピーカーを取りつける開口以外の低音共振用の筒を取りつけたものである。現在の進歩したスピーカーユニットでは、バスレフ型本来の特徴である低域再生周波数を伸ばすことや低域の歪みの減少などに生かされ、今日のエンクロージュアの標準的なものとなっている。
 この型はスピーカー後面から放射される逆相の音は、中音以上がエンクロージュア内部で衰えて、低音だけが内部の空気のバネと、内部と外気をつなぐダクト内部と付近の空気の質量で位相を反転し、スピーカー前面から直接出る低音を補う動作をする。
 密閉型が低域に向かってゆるやかに下がるレスポンスをもち、かなり低い周波数まで再生できるのに比較して、このバスレフ型では再生可能な最低周波数では劣るが、ある周波数までは、ほぼフラットに再生できる。
Aダクトをもたないバスレフ型
 スピーカーの開口面積に比べて小さい開口の丸孔をもったもので、動作上ではバスレフ型の特徴は少なく、スピーカーコーン紙にかかるエンクロージュア内部の背圧を逃がすための効果の方が大きいとおもわれるが、外観上の点からバスレフ型の分類に加えた。
B角型パイプダクトをもつバスレフ型
 木製の角型パイプダクトをもったエンクロージュアで、最近までは、一般にバスレフ型といえば、ほとんどが、このタイプのエンクロージュアであった。バスレフ型エンクロージュアのスタンダードともいえるタイプ。
Cパイプダクトをもつバスレフ型
 ブックシェルフ型スピーカーではじめて使われたように思われるが、大型スピーカーシステムでは、早くからYLの製品に見られた。合成樹脂製の丸いパイプをダクトに使ったエンクロージュアでバスレフ型としての動作は角型パイプダクトをもつものと同じである。
D複数個のパイプダクトをもつバスレフ型
 二本以上の合成樹脂製のパイプダクトをもつもので、今回のテストで見られたものは同じ寸法のパイプを二本使った製品があった。
 動作は二倍の面積をもったパイプ一本と、ほぼ同じものと思われる。
E複数個のダンプしたパイプダクトをもつバスレフ型
 複数個のパイプダクトをもつタイプと同じことであるが、パイプ内部にダンプ用の吸音材がシリンダーにたいするピストンのようにつめられている密閉型とバスレフ型の中間的動作と思われる。
Fダンプしたパイプダクトをもつバスレフ型
 パイプダクト内壁に吸音材が巻かれてあったがHよりはバスレフ型本来の動作に近いものに思われる。
G ダンプドバスレフ型
 EFがパイプダクト内部に吸音材を使ってダンプしてあるのに比べて、エンクロージュア内部に余分な量の吸音材がつめられているのが異なり、動作は、やはり密閉型とバスレフ型の中間的動作である。
Hドロンコーンをもつバスレフ型
 ダクトでなくボイスコイルと磁気回路を外したスピーカーが代りに取りつけられている一種のバスレフ型である。ダクトをもつものに比べて低域共振周波数付近だけでなくピストン運動の範囲内での改善ができるタイプ。
■後面開放型
 スピーカーのバッフルは、無限大バッフルが理想的だが、よほど条件に恵まれない限り実際に使うことは不可能である。スピーカーの初期には小型の平面バッフルを家庭用などにも使っていたが、次いで平面バッフルの周囲を折り曲げたような形を下後面開放型エンクロージュアが使われ始めた。その形状からくる、強度な共鳴音が固有の低音を作り出す効果がある。
 HIFI用スピーカーシステムとしては、ほとんど使われることがないが、特に超大口径のウーファーとか広い面積の振動板をもつ平面型スピーカーと併用されることがある。
 一般に薄型の製品が多いが、これは奥行きを深くすると後面開放型に独特の特定周波数の低域共振がおこり、低音の品位を悪くするためである。
 今回のテスト機種の中では、特異な振動板をもつヤマハNS15が一機種あったが、本来のブックシェルフ型とは少し異なるものである。

 今回のテストに集められた50機種の分類は上記のように3つのタイプになるが、まだこの他にブックシェルフ型として使うことのできるエンクロージュアがある。これらは以前から小型エンクロージュアで、いかにして十分な低音を再生するかという目的で開発されたものである。
(イ)RJ型エンクロージュア(ワーフデールで製品化したもので、レモン型の開口をもった前面バッフルとその後部にスピーカーユニットをとりつけるバッフルの二重式になったもの)
(ロ)音響迷路型(ラビリンス型)エンクロージュア
(ハ)バックローディング・ホーン型エンクロージュア
(ニ)ディストリビューテッド・ポート型エンクロージュア
(ホ)アコースティック・レジスタンス型(ARU型)エンクロージュア
(ヘ)複合駆動型エンクロージュア(エンクロージュアの実効的容積を増すために、密閉型エンクロージュアの中に、メインスピーカーともう一つのサブスピーカーを取りつけ補助的に駆動する方式)
(ト)複数個の同じ小口径スピーカーを使った密閉型またはバスレフ型エンクロージュア
 ほぼ以上の如くであるが、ここで密閉型エンクロージュアで加えておかなければならないことがある。ARで開発されたアコースティック・サスペンション方式と類似の方式がLPの初期にすでにわが国でも考案されていたことである。
 これはオーディオ歴のあるファンなら誰でも知っていることだろうが、オルソンの「音響工学」の訳者として知られる東京工大の西巻氏が提唱した、「フラフラ型6半」のスピーカーシステムである。
 息を吹きかけるとコーン紙が動くくらいf0を下げた16cm型スピーカーを小型の密閉型エンクロージュアに入れて使う方式で、当時の大口径ウーファーに比較して、軽く伸びのある低音が再生できるため、HiFiファンに当時大いにもてはやされたものである。
 もちろんボイスコイルを巻きなおしてロングボイスにするのが正しい使い方なのだが、一般には従来のままのボイスコイルが使われていた。これを製品化したのが有名なミューズSF6Pという鹿皮エッジの16cmスピーカーである。
 この西巻氏の発想が、実際のエンクロージュアまでを含めた製品に発展することがなく、埋もれてしまったのは、ブックシェルフ全盛のいま、かえすがえすも残念に思われる。

ブラインドテストに立会って
 今回50機種のブックシェルフ型システムのブラインドテストに立会って感じたことだが、この一年余りの期間に国産ブックシェルフのグレードが、かなり向上し、輸入高額品との格差が少なくなってきたことである。
 テストの標準機種にしたAR3aの数分の一の国産製品がおや!! と思わせるくらいの高品位の再生音を聴かせてくれたものもあり、このことは非常に嬉しいことである。中でも、価格的制約の中で、スピーカーメーカーから供給されるユニットを使いながら、かなりグレードの高い製品を送り出しているメーカーの健斗をたたえたい。
 しかし、各氏のブラインドテストの結果では、輸入品が比較的良い点数を得た。選ばれたポイントがどこにあったかということがこの際大きい意味をもつとおもうが、それは、海外製品の安価なシステムでさえ、音楽再生をする上に必要な点をうまくおさえているのを認めないわけにはゆかない。これは、周波数特性だとか、歪特性だとかの物理的なものからさらに上の問題もあろうが、設計製作する彼等の音楽との触れ合いに歴史があること、製品開発のデーターの蓄積の多いことは当然考えられよう。
 加えて海外製品の多くに見られるのは、必要なところにはおしげもなく物量を投じる姿勢である。ユニット一つをみてもそれは立証される。
 海外製品は価格が高いから当然といえばそれまでだが、今後国内メーカーに望みたいことは、高級な海外製品に匹敵するブックシェルフ型を開発してもらいたいことである。そのためには、最初から十分な物量を投じたブックシェルフ専用のユニットから開発し、システムにまとめ上げてもらいたい。例えば日立HS500、あるいはパイオニアCS10に代表される製品の開発である。
 それらの製品が国内に出揃った時にこそ、初めて輸入品にない、本来あるべき日本の音が創り出されるとおもうし、またそれが、音響専門メーカーとしては当然のあり方ではなかろうか。
 従来、とかくブックシェルフ型というと、高級マニアから軽視され勝ちであったが、比較的小さな部屋で使うことの多いわが国の事情では、今後とも、ブックシェルフ型がスピーカーシステムの主流となることは疑う余地はない。

ブラインドテスト実践方法

井上卓也

ステレオサウンド 10号(1969年3月発行)
特集・「スピーカーシステムブラインド試聴」より

 今回のブックシェルフ型スピーカーシステムのテスト方法は、私と編集部の間で慎重に検討した結果である。50機種というのは、わが国で発売されているブックシェルフ型のほぼ全部といえるくらいであるが、これだけ多くの機種をテストするということ自体、かなり無理があることは否定できない。しかし、音響製品全般についていえることだが、完全なテストというのは、実際にはありえないことである。
 例えば、スピーカーテストの場合、組み合わせるアンプやカートリッジの相性の問題、スピーカーを設置する部屋の問題、テストソースの問題、さらにはテストする人間のコンディションによる判定能力に差がでるという問題、等々……。数えあげればキリがない。
 それでは、機種を減らして厳密なテストを行なうか、という意見もあったが、テスター諸氏の確信のもてる範囲内で、やはり機種はなるべく多い方をとるべきであると考えたわけである。非常に数少ない機種を何回かにわけてテストするということは、その何回かにわたる回数が多ければ多いほど横のつながりが不明瞭になる。微妙な音質の差を頭脳に正しく長期間記録させることは、事実上不可能である。やはり、その場で短時間でもよいから相互比較をやる方がまず妥当といえよう。
 今回のテストでは、テスター一人当り約40時間をかけた。40時間といえば充分といえないまでも、一機種、約50分間を聴いたことになるわけだが、本誌のテストに常に参加される岡、菅野、瀬川、山中の四氏であるから責任のもてるテストができると判断した次第である。
     *
 今回のテストはステレオサウンド始まって以来の完全ブラインドホールドにして行なった。音質とか使いやすさだけでなく、デザイン等にも、大きくポイントを置く本誌にしては珍しいブラインドですとだが、純粋に音だけを評価するという意味ではもっとも妥当な方法だといえよう。オーディオ製品のテスト方の一つということで採用したわけである。
 以下にテスト方法について紹介しよう。

■試聴室
 今回のブラインドテストも、いつもの本誌試聴室で行なった。洋間の12畳で、床には二重にじゅうたんを敷き、側面はカーテンを張りつめた部屋である。部屋の残響は標準的な状態で、この試聴室のテスト結果が、例えば和室の場合と、もっとライブな洋間に大幅にかわるということはないと思われる。

■ブラインドの方法
 ブラインドの方法は前項写真の通り音質を損なうことのない音の透過のよい薄手のカーテンを張りつめ証明は50組のスピーカーシステムを切りかえるスイッチボックスと氏プ、プレーヤーの周辺のみ当てるようにした。従って、テスター諸氏には鳴っているスピーカーが何物かはいっさい不明の状態であった。

■テストスピーカーの切替え方法
 50機種のスヒーカーシステムの切替えは50コのスナップスイッチ(二機種双投型)を使った切替えボックスをつくり、標準アンプのJBL SA600プリメインアンプにつないだ。このスイッチボックスは、とかくハイパワーのアンプを要求しがちなブックシェルフ型だけに、できる限りスイッチの接触抵抗による出力低下とか、DF(ダンピングファクター)の変化をなくすため良質のスナップスイッチを使った。テストの状態では50組のシステムはいつでも、どの機種でも任意に選択肢鳴らせるようにした。
 各スナップスイッチには、①から㊿番までの番号が打ってあり、テスターはその番号によって採点することにした。

■標準スピーカーシステムにAR3aを使用
 これだけ多くのブラインドテストとなると、何か一つの基準がある方がテストがかなり楽になることはいうまでもない。そこで本誌がブックシェルフ型スピーカーシステムの標準機としてAR3aを選んで、あらかじめテスターに明示しておいた。

■テストは計160時間
 今回のブラインドテストでは、テスター同志の話合いをさけるためと、厳格な比較テストを実施してもらうため、岡、菅野、瀬川、山中の四氏に一人づつ四日間計十六日間にわたりテストを依頼した。短い人でも一日8時間、長い人では14時間くらいにおよび、一日平均して10時間としても、一人40時間、四人合計して160時間というもうれつなテストだった。もちろん、これで完全だとはいえないと思うが、四氏ともほぼ確信のもてる状態で音質評価をしてもらった。

■スピーカーの置き場所
 ブックシェルフ型スピーカーでは、システムを置く位置によって、その評価にかなり差のあることはよく知られている。そこで、各氏それぞれ四通りのスピーカー配置で試聴してもらった。たとえば、下段に置いたシステムはその次の日には、中段に、その次には上段にというように積み変えた。さらに正面、右側、左側もそれぞれアレンジしてできる限り場所を入れかえてテストした。

■スピーカーの能率による音質の差
 今号でテストした50機種は、口径も違えば、構成も違い、当然スピーカーの能率の良し悪しによって、再生レベルが変わってくる。特に比較試聴の場合、音量の大きい方が得をする場合が多いが、今回はテスターに手許にアンプを置き、スピーカーを切替えた都度ボリュームを調整してもらって、聴感上なるべく音量を揃えるようにした。

■レベルコントロールのセットポイント
 テスト機種のスピーカー構成は、シングルコーンのユニットを1本使用したものから、4ウェイのマルチウェイシステムまであり、50機種のうち9機種を除いた41機種は何らかのレベルコントロール装置がついている。これらのレベルセットは、ノーマルあるいはナチュラルなどの表示のあるものはその点に合わせ、表示の内連続可変型のものはメーカーの指定した位置に合わせた。

■テストに使用した機種
 今回のテストに使用した機種は次の通り。
JBL SA600 プリメインアンプ
 このアンプは本誌第3号および第8号の氏プテストでトランジスターのプリメイン型のアンプである。
シュアー V15/タイプII
オルトフォン SL15/ME
 この両カートリッジは、いうまでもなく本誌のテストに必ず使用する世界第一級のカートリッジである。
FR FRT3 ステップアップトランス
 オルトフォンのカートリッジを昇圧するためにFRのトランスを使用した。このトランスも本誌7号のカートリッジ/プレーヤーシステム特集号で好評を得たものである。
グレース G560L
 トーンアームにはグレースのG560Lを使用した。国産の第一級トーンアームであることはユーザーの多いことをみればうなずけるところである。
ティアック TN202
 これもフォノモーターとして定評のある製品。

試聴記と採点の基準について
 今回のテストリポーター四氏のうち、岡、菅野両氏には試聴記を担当してもらい、瀬川、山中両氏には、総合評価で推選、特選になった機種のみ、試聴記を担当してもらった。
 各氏にそろって記入してもらったのが、各機種ごとにある「ブラインドテスト評価表」で、
 ◉ 特選に値いするもの
 ◎ 推選に値いするもの
 ○ 準推選に値いするもの
 □ 次点
の四段階にわけて次のジャンル別7項目についてそれぞれ評点をつけてもらった。
 項目
 1 オーケストラ
 2 室内楽
 3 ピアノ
 4 声楽
 5 ポピュラー・ムード
 6 ポピュラー・ヴォーカル
 7 ジャズ
 たとえばオーケストラで特選のスピーカーはその項目のところに◉印がついている。従って、もしオーケストラ曲がたいへん好きな方であれば、なるべくオーケストラの項目に◉印の多い機種を、また、ジャズの好きな方はジャズの欄に◉印の多いスピーカーを購入の指針にされるとよい。
 8 コストパフォーマンス
 前記の7項目の採点が終了した時点で、各テスターにテスト番号によって価格を明示し、コストパフォーマンスを10点満点でつけてもらった。
 音質と価格をにらみ合わせて、最もお買得と思われる機種に10点、最もお買損と思われる機種に1点、従って5点近辺が価格相応といったところになるだろう。
 なお各機種の型名の後とブラインドテスト評価表、ならびに岡氏と菅野氏の試聴記の頭についている番号はテスト番号、つまり、スピーカー切替用スナップスイッチの番号と同じである。