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サンスイ SR-838, SR-636

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 サンスイからは、さきに自社開発の水晶制御フォノモーターを使ったプレーヤーシステムSR929が発売されているが、今回、これに続くシリーズ製品として、水晶制御型フォノモーター採用のシステムSR838とPLLサーボ型フォノモーター採用のSR636が発売された。
 この二機種の製品は、基本的にはフォノモーターの制御方式、ターンテーブルが異なるのみで、発表された特性上の差は少ない。モーターはDC型20極ブラシレス方式で、制御用にシャフトに取り付けたストロボスコープ上に480本のスリットを持つ円板と、発光ダイオードとフォトトランジスターを組み合わせ、回転数に比例したパルスを発生する光電型ジェネレーターが組み込まれている。SR838はこれあ水晶発振によるPLL制御方式とし、SR636はCR発振によるPLL制御方式として使っている。なお、ワウ・フラッター特性を向上するため、シャフトはセンターレス精密仕上げ、焼入れを施した特殊ステンレス鋼を、スラント軸受部は二硫化モリブデン配合の66ナイロン材を使用している。
 トーンアームはスタティックバランス型だが、軸受部分がSR929の一点支持方式ではなく、横方向のスパンを広くとった方式に変わっている。このタイプはピボット部分の遊びに対しねじれ方向の影響が少ない利点があり、アームの支点部分に重量を集中し音質を向上するために、上下方向の回転軸には85gの重量をもつ真鍮製のシリンダーが採用されている。アームベースは亜鉛ダイキャスト製でプレーヤーベースと確実に固定するために、裏側に厚さ4mm、重量250gの大型ワッシャーが、SR838では2枚、SR636では1枚使用されているのが目立つ。パイプアームは内部の空洞にテフロン系のダンプ材が採用され、ヘッドシェル取付部分のコネクターはSR929同様にテーパ材で取付けたときの機械的強度が高い。また、付属カートリッジは角型マグネットを持つMM型で、音像定位を明確にするために薄いダンパーを採用してあるとのことだ。
 プレーヤーベースは40mm厚のソリッド材使用のピアノ仕上げで、ステンレスのスプリングと緩衝ゴムを組み合わせた新開発のインシュレーターが付属し、ダストカバーは厚さ4mm、重量1・4kgのサイド・フィルムゲート式のアクリル製である。ターンテーブルは、デザインは異なるが、ともに外径318mmのダイキャスト製で、レコードとの接触面積を大きくするために内側に向かって350分の1の勾配が付いている。
 ともにプレーヤーシステム基本から忠実に製作されているため低域から中域にかけて粒立ちがクリアで緻密さがあり、とかくこのクラスのシステムでは使い難いエンパイアやピカリングの高級モデルの本来の音を素直に引き出すだけの十分のクォリティの高さがある。音の良いプレーヤーを目指した成果が聴きとれる製品である。

ダイヤトーン DP-EC2

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 新しい時代のオートプレーヤーを象徴するような電子制御方式のプレーヤーを発売し、プレーヤー部門で一躍熱い視線を集めたダイヤトーンから、基本性能を同じくし、一部の機能を簡略化して、第2弾製品としてDP−EC2が発売された。
 EC1と比較すると、このタイプの特長である光線を使うレコード外形寸法の自動選択が、30cm盤と17cm盤の2種類となり、これに連動していた回転数自動選択がなくなり、マニュアル切替になっている。この他、リピートの動作状態が一部変更になっているが実質的な変化ではない。
 このEC2は、オート動作時にはスタートボタンを押して動作させるが、このボタンを押しつづければレコード外周以内はアームの移動速度が遅くなり、ボタンを放した位置で盤面に降下する。また、演奏中にストップダンを押せばアームはリターンするが、オートランプが消えるまで押しつづければアームはアップした位置で止まったままとなり、スタートボタンをワンタッチで押せば再び盤面に降下する。なお、ターンテーブル上にレコードがない場合にスタートボタンを押してもアームは最内周まで移動し降下することなくレストに復帰する動作などは、すべてEC1と同様であり、反応が速く機敏に動作をおこなう。
 他の基本的部分は、ターンテーブルゴムシートだけが新しいタイプとなっているが、それ以外の変更はない。

パイオニア XLC-1850

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 クォーツロック方式のDD型ターンテーブルが高級機で実用化されて以来、パイオニアではいち早くこのタイプのDD型モーターを採用したプレーヤーシステムを中級機の価格帯で発表し、より多くのユーザーが新しい方式の魅力を味わえるようになったが、その後もフルオートプレーヤーシステムのクォーツロック方式化をおこない、今回アームレスタイプのプレーヤーシステムにクォーツロック方式を導入した、新型XLC1850を発表した。
ターンテーブルは直径320mm、重量1・8kgのアルミダイキャスト製であり、回転数制御は水晶発振器の出力波形とモーター回転子に組み込んだ周波数発電機からの出力波形を位相比較するクォーツPLL方式で、モーターに逆方向電流を流し、停止寸前に供給電源を切る純電子式ブレーキが付属している。
 クォーツロック時には表示ランプが点灯し、ロックをOFFにすると大型の速度表示メーターの目盛が照明され、ロック表示ランプが消える。一般のストロボによる表示でない点がこのモデルの特長であり、目盛は331/3回転、45回転ともに±6%間であり、変化量は多いタイプである。
 アーム取付板にはほとんどの14インチ型アームが取付可能であり、SME3009用の加工済専用ボードとアルミプレートが付属している。プレーヤーベースは、外周部が二重構造の4・7kgの重量がある。

ヤマハ CA-X11

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ヤマハのプリメインアンプは、完全に新モデルに変わり、価格帯の幅が従来より一段と広くなったが、新モデルのトップをきって発表されたCA−X1が、内容を新しくし、グレイドアップして、CA−X11に発展し発売されることになった。
 改良されたポイントは、特性的にはSN比で10dB、チャンネルセパレーションで5dB、パワーが12%といすれも向上し、機能的にはイコライザーアンプの出力を直接パワーアンプに送り込むメインダイレクトスイッチ、サブソニックフィルターをイコライザーに組み込んだためのハイフィルターの新設、ターンオーバー2段切替の高音、低音トーンコントロール、レンジ切替可能となったパワーメーターの大型化などがある。まて、上級機種と同様にボリュウムとバランスコントロールが同軸型となった点も見逃せない。結果からみれば同社でもいているようにこのCA−X11は、CA−R1化されたCA−X1なのである。
 回路面では座部ソニックフィルター内蔵の3石構成のイコライザーアンプ、初段が差動増幅の3石構成のCR−NF方式のヤマハ型トーンコントロールアンプ、初段にデュアルトランジスター差動増幅を使った純コンプリメンタリーOCL方式のパワーアンプが、そのラインアップである。
 本機の音は、X1にくらべ大幅にクォリティが上がった緻密さと滑らかさが感じられ、より伸びやかなレスポンスをもつ。

トリオ KA-7300D

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 トリオでは同社で確立したというダイナミック・クロストーク理論に基づいて、ステレオアンプの左右チャンネルの電源部を独立し、さらにDCアンプ化するなど現在のオーディオアンプの動向をリードしてきたが、今回はさらに音質を改善するために、スピーカーとパワーアンプ間の問題に焦点を絞ったダイナミック・ダンピングファクター理論に基づいて設計された、新しいプリメインアンプKA7300Dを発売することになった。
 ダイナミック・ダンピングファクター理論とは、スピーカーからの逆起電力がパワーアンプに及ぼす影響をテーマとしたもので、簡単に考えれば、超低域でのスピーカーに対する制動力で従来のACアンプにくらべDCアンプが優れていることの証明であるといったらよいであろう。
 回路面は、初段にカレントミラー負荷をもつFET差動アンプ、出力段にSEPPピュアコンプリメンタリー回路を使い入力コンデンサーを使わないイコライザー段、ICL化したフラットアンプと独立した低音、高音トーンコントロールアンプ、DC構成の75W+75Wの出力をもつ同じくICL化した差動増幅3段のピュアコンプリメンタリーSEPP・OCL方式のパワーアンプが組み合わされ、電源部は左右チャンネルが完全に独立した電源トランスと各チャンネル10000μF×2のコンデンサー、定電圧化したプリアンプ電源をもつ。

テレフンケン M28C

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 2トラック・38cm型のデッキは、有名ブランドの海外製品が次々とその価格が上昇し、少なくともプロ用にも使える製品で、アマチュアに仕えそうなデッキは皆無にひとしくなった。M28Cは、業務用デッキとしては、小型、軽量であり、価格的にも、無理をすれば入手可能な範囲にあることが魅力的である。

ソニー TC-5550-2

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 国内製品としては、現在唯一のオープンリール・ポータブルデッキである。サーボコントロールされる走行系はさすがに抜群の安定度を誇り、ワウ・フラッターも大変に少ない。歪み感がなく、スッキリとした粒立ちの良い音は、やはり、2トラック・19cmならではのもので、生録音などでの音場感はナチュラルに拡がり、とくに前後方向の奥行きをクリアーに聴かせる。やや重いのが気になるが、38cmが使えればと望みたくなる。

ソニー EL-7

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 エルカセットデッキは、現在まだ定着した存在ではないが、カセットデッキのマスターレコーダーとして充分に使える性能がある。このモデルは、何よりも小型であり、ドルビーを積極的に使える感度調整をもつ点が好ましい。走行系はカセットとは比較にならぬ安定度があり、音ゆれが少ないのはさすがである。

サンスイ SC-3

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 海外市場では、以前よりサンスイはカセットデッキを販売しているが、このSC−3は、同社初めての国内販売に踏みきったカセットデッキである。5万円台のデッキは、比較的に実力をもつ製品が多いが、適度に帯域コントロールしたこのデッキの音は、使いやすく、それでいてかなりの活気もある。

オルトフォン RMG212

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 最近の性能が向上したトーンアームでも、SPU/Gが、やや特殊なカートリッジだけに、充分の性能が引出せるとは限らない。このモデルは、完全に専用アームとしての存在に魅力のポイントがあり、優雅に弧を描くS字アームの曲線、音質など、SPU/Gファンには欠かせない魅力をもつトーンアームである。

オーディオテクニカ AT-1501II

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 現在市販されている、この種のトーンアームとしては、異例に長期間の製品寿命を誇る製品である。基本型は、放送業務用のターンテーブルがステレオ化された時代に業務用のステレオトーンアームとして開発されたために、アーム基部からアンプをつなぐ、専用コードはなかったが、後になって改良され現在のようになっている。付属機構は、目的からいって何もなく、安定した音と長期間にわたる性能維持が狙いの製品である。

グレース G-545F

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 カートリッジ、トーンアームでは、もっとも長い伝統をもつグレースの代表製品となると、やはり最新モデルではなく、G−545Fをあげなくてはならない。たしかに、高価格化しているトーンアームのなかでは、目立たぬ存在であるが、信頼性、安定度、仕上げなど、他を寄せつけぬ完成度の高さが感じられる。

SME 3009/S2 Improved

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 最近では、オーディオ製品の性能が止まるところを知らぬように向上し、次々に最新技術を導入したモデルが登場しているが、趣味的な面から考えると、実用性が前面に押し出されてきたために、直ぐに使える性能が高いものが多く、当面は使う予定はないが、手もとに置いて眺めるだけで楽しいという製品は皆無に等しい。この点では、SMEのトーンアームは、例外的な存在であり、デザイン、性能、機能、精度を含めて抜群である。

デンオン DP-7000

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 業務用ターンテーブルでは定評があるデンオンのコンシューマー用フォノモーターのトップモデルである。水晶制御による増速・減速のサーボシステムによりコントロールされるターンテーブルは、実際に使用して快適であり、とくに、スムーズに停止する止りっぷりは見事であり、音質的にも十分の信頼性がある。

ビクター TT-81

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 TT−101のジュニアモデルとして開発された、いわゆるクォーツロックのダイレクトドライブ・フォノモーターである。TT−101には、モーターにコアレスタイプが採用してあるが、このモデルでは鉄芯入りの一般型となり、回転数の表示は、ストロボスコープに変わっている。基本性能は、TT−101に匹敵する高さがあり、音が良いプレーヤーシステムを製作する場合のベースとして使えば、十分に要求に答えられる製品だ。

ソニー TA-N7B

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 TA−E7BとペアとなるDC構成の100W+100Wの出力をもつパワーアンプである。このモデルは、パワーアンプの機能を具現化した独得なスタイリングが特長であり、従来のソニー製品にないフレッシュな魅力がある。とくに、フロントパネル下側の空気取入れ口は、電力を扱うパワーアンプに応わしいデザインと思われる。
 回路面での特長は初段がデュアルFETを使ったカスコード接続の差動アンプで、カレントミラー回路によって出力を取り出し、2段目は定電流負荷のカスコードアンプによる2段構成である。このカスコード接続は、出力側からの帰還容量により生じるミラー効果がなく高域での伝送能力の向上と直線精を改善している。パワー段は、パルス応答性が優れたV−FETと高周波用トランジスターをカスコード接続し3組使うトリプル・プッシュプルのピュアコンプリメンタリーSEPP・OCL回路である。
 パワーアンプにとってはもっともベーシックな部分であり、性能に影響を与える電源部は、左右チャンネル感の干渉を避けるために左右チャンネル独立型であり、同じチャンネル内でも電圧増幅段用と電力増幅段用を独立させた4電源トランス方式で、電圧増幅段用にはFETを使った定電流バイアス供給式の定電圧回路により安定化が図られている。電力増幅段用電源トランスは新開発のトロイダル型、電源のコンデンサーは22、000μF×4である。

AKG P8ES

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 AKGのカートリッジは、最近になってから開発された現在のシリーズが第二世代の製品である。このモデルは、AKGの最高級製品であり、現代的な高い性能をもつが、とくにヴォーカルでの、ナチュラルで、エレクトロニクスの介在を感じさせないような、濡れた、みずみずしさはかけがえのない魅力である。

オルトフォン SPU-G/E

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 本来は業務用システムのプレイバック用に開発されたモデル。シェルと一体型で、AとGにわけられているのはこの背景を物語っている。本機がベースの改良モデルが常に存在しても未だ現役として充分の実力をもっているのは珍しい例で、今後いつまで残るかが、SPUファンとしては心配のたねである。

ソニー TA-E7B

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 最近のソニーのプリメインアンプ、FMチューナー、カセットデッキなど一連のコンポーネントは新しいデザインに装いを変えているが、今回発売されたセパレート型アンプも、当然のことながらシリーズ製品らしい新しいデザインとなっている。
 機能目では、現在のコントロールアンプと呼ぶに応わしい標準的な装備だが、伝統的なレバーとロータリースイッチを組み合わせたクイックアクセス方式のファンクションセレクターをはじめ、32ステップのアッテネーター型ボリュウムコントロール、2dBステップでターンオーバー周波数が各2段に切替可能な高音・低音コントロールの他に、VU、ピーク、サンプリングホールドの3通りに切替可能なメーターがあり、これは感度調整もできる。また、フロントパネルの優先割り込み式のテープ2用ジャックはテープファンには好まれるだろう。
 回路面では、単体のヘッドアンプHA55と同様な構成をもつLEC低雑音トランジスター使用のMC型カートリッジ用ヘッドアンプ、DC帰還回路付NF型イコライザー、初段にFETを使ったDC構成のユニットアンプなどが採用され、フォノ入力は切替はリレーを使ったリモートコントロールである。また、電源部は、ヘッドアンプ部、主信号系およびヘッドフォンアンプ部、メーカー回路用の4系統を分離し、主信号系とヘッドアンプ用にはFET定電流電源を使用した定電圧回路を採用している。

ピカリング XSV/3000

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 モノーラル時代以来の古きカートリッジメーカーであるピカリングの製品は、CD−4方式対応型のXUV/4500Qで非常に高い評価を得たが、このXSV/3000は、レギュラーなステレオ用に開発されたトップモデルである。洗練され現代的になったとはいえ、腰が強くクッキリと粒立つピカリング伝統の音は、このモデルも充分に受け継いでおり、直線的に表現する独特の魅力は、他では求められない素晴らしさがある。

シュアー V15 TypeIII

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ステレオ初期以来、シュアーのカートリッジは、つねにその時代のオーディオファンの支持を得てきたが、とくに、このV15TYPEIIIほど数多くの愛用者をもつカートリッジは他にあるまい。パフォーマンスから考えても、発売時点でこそ、ラミネート型のポールピースの採用は注目を集めたが、現時点では、さらに優れた製品が存在しているはずである。それでも標準カートリッジ的に使われるのは信頼性の高さ、音の魅力であろう。

オーディオテクニカ AT-14E

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 オーディオテクニカのカートリッジは、一連の数多くのモデルがあることに特長があるが、ローコストからトップモデルにいたる音的・性能的な分類とコントロールは、海外製品に勝るとも劣らぬ見事さが感じられるようになった。このAT−14Eは、同社の中心モデルともいえる存在であり、素直に色づけのない音を力強く聴かせてくれるのが大変に好ましい。トーンアームの組合せもクリティカルでなく、バーサタイルに使える製品だ。

テクニクス SL-1600

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 DD型フォノモーターを最初に開発しただけに、テクニクスは、DD型とオートプレーヤーの組合せでも当初から積極的であった。国内製品のオートメカニズムとしては最も完成度が高いテクニクスの方式と、DD型フォノモーターを結合したこの製品は、さすがにバランスが優れ、実用面の利点は非常に高い。

ビクター JL-B37R

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 とかくローコストなプレーヤーシステムは、デザインや方式が表面に出て、基本性能が劣化しやすいが、その点、このモデルは、性能を重視して簡潔にデザインされている点が好ましい。プレーヤーシステムの音の差は驚くほど大きいが、ローコストで音の良いプレーヤーシステムの代表作が、このモデルである。

ダイヤトーン DP-EC1

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 B&Oのエレクトロニクスコントロールのフルオートプレーヤーシステムが登場して以来、このタイプのオート化が望まれていたが、通常型のトーンアームとのコンビで製品化した最初の製品が、このDP−EC1である。演奏中にストップとリピートのボタンを押せば、アームはレストに戻らず最外周から再び演奏をはじめるあたりは、従来のメカ方式では得られない本機の利点であり、まさしく新時代のプレーヤーらしさが魅力的だ。