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シュアー M75 Type2, V15 TypeII, ウーヘル ROYAL DE LUXE

シュアーのカートリッジM75 Type2、V15 TypeII、ウーヘルのオープンリールデッキROYAL DE LUXEの広告(輸入元:バルコム)
(スイングジャーナル 1971年2月号掲載)

Shure

シュアー V15 TypeII, M75E TypeII

シュアーのカートリッジV15 TypeII、M75E TypeIIの広告(輸入元:バルコム)
(ステレオ 1970年12月号掲載)

SHURE

シュアー M44-7, M75E/2, V15 TypeII

シュアーのカートリッジM44-7、M75E/2、V15 TypeIIの広告(輸入元:バルコム)
(スイングジャーナル 1970年8月号掲載)

Shure

シュアー V15 TypeIII

菅野沖彦

スイングジャーナル 6月号(1970年5月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より

 シュアーが久しぶりにV15を改良した。タイプIIIという名称からして、これが同社の最高級カートリッジのV15の三度日の改良製品であることがわかるだろう。V15のタイプIIは途中で、NEW TYPEIIというのが出たが、これは、そうした改良型というよりも、振動系から、モールディングの型に至るまですべてをV15IIをベースにしながらも、まったく新しく設計した製品である。V15IIがトラッカビリティというシュア一社の標語と共に登場し、その思想が示すように、レコード溝の完全なトレース能力を追求することが、カートリッジのすぺての特性を追求することにつながるということが認識されてからずい分の年月がたった。事実、V15IIは、あらゆるカートリッジの中で、もっとも安定したトレースを示し、広く標準カートリッジとして使われた実績は今さらいうまでもないことだ。あのカートリッジが出た時、私も、私の仲間たちも、もうカートリッジも終局に近いところへ釆たという観をもったもので、それまでビリついたレコードもV15IIでなんなくトレースし、安心してレコードが聞けるという恩恵に感謝したものだった。勿論、その後、高域の音色に癖があるとか、肉づきと陰影がものたりないとかいった感覚的な不満がいろいろいわれだしたことも事実で、V15IIのあまりにもポピュラーになった名声に対するねたみと共に、V15II批判がにぎやかになったことも事実である。しかしながら、私個人の考えでは、そうした声は、半分はマニア特有の特権意識から出た、俺は皆がさわぐV15などには満足しないというキザな発言とカートリッジがもつ個性の感覚評価からくる、俺はオルトフォンの音が好きだ、あるいは、EMTの音こそ音楽的だ……という嗜好的意見であると思う。カートリッジの技術水準と、実際に多くの製品を理解していれば、V15IIを、あの時点で批判する勇気も自信も、私にはなかった。この数年間、私があらゆるチャンスに最も多く使ったカートリッジはV15IIであったし、そのほとんどの場合にV15IIは満足のいく音を聞かせてくれたものだ。勿論、たまには、V15とちがう音のカートリッジにも魅力を感じたし、このレコード(音楽)には、このカートリッジのほうがいい……という実感を他のカートリッジで味わったことも再三あったけれど、安定したプレイ・バックという基本条件をV15IIほど満してくれる製品には出会わなかったのである。そのV15IIが、今度IIIとして新登場したのだから、これは私にとって近来にない期待に満ちた試用であった。初めてV15IIIをシェルにつけ、針圧も調整して、私の録音したレコード上に針を下す瞬間の胸のときめきは、ちょっと言葉では表現できないものだった。結果は、期待が裏切られることはなかったが、期待以上の感激もなかったというのが正直な感想である。それはどういうことかというと、従来のV15IIにはすでに書いたようにトレーシングに関する不満をもっていなかったので、今度の新型が、この点で抜群によくなったという実感はなかったのである。私が制作しているレコードの中には、高レベル・カッティングのものが何枚かあり、リミッターをかけないで、しかも平均レベルも高くとったものが何枚かあるが、それらについても、今までにV15IIは充分なトレースを示してくれていたからである。シュア一社のデータによると、タイプlIlはタイプIIに比しぞ2kHz以上でのトレーシング能力が大幅に向上しているらしく、4k−10kにわたってカッティング・ベロシティにして従来より3cm/sec.以上の振幅への追従の余裕をもっている。高域の特性の向上も著しく、CD4の再生もカバーできるものとなった。
TypeIIIとなって確かに高域ののびと分解能が向上していることが聴感上はっきりとわかるが、可聴周波内での帯域バランスという点だけからいえば、TypeIIもすて難い味を持ち合せているとも思われる。これが期待が裏切られなかったと同時に、驚ろくほどの意外な喜びもなかったということである。しかし、間違いなくこのV15IIIは現在の最高級カートリッジであるし、特性と聴感的なバランスのとれた優れた製品である。特性データとはうらはらに音楽が貧弱に聞えるカートリッジが少くないが、この製品を使って活き活きした音楽が楽しめた。

シュアー M44-5, M75E/2, V15 TypeII, デッカ C4E, SC4E

シュアーのカートリッジM44-5、M75E/2、V15 TypeII、デッカのカートリッジC4E、SC4Eの広告(輸入元:バルコム)
(ステレオ 1970年5月号掲載)

Shure

シュアー V15 TypeII

シュアーのカートリッジV15 TypeIIの広告(輸入元:バルコム)
(スイングジャーナル 1970年3月号掲載)

Shure

シュアー M75E/2, V15 TypeII

シュアーのカートリッジM75E/2、V15 TypeIIの広告(輸入元:バルコム)
(スイングジャーナル 1970年2月号掲載)

Shure

シュアー V15 TypeII

シュアーのカートリッジV15 TypeIIの広告(輸入元;バルコム)
(モダン・ジャズ読本 ’70掲載)

SHURE

シュアー V15 TypeII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 ごく平均的な特性をもった優等生手とカートリッジのようで、おとなしいがおもしろみはあまりない。オーケストラでは、奥行きや距離感が割合よく出て、音の分離もいいが、冒頭のオルガンの重低音がやや不足する。ピアノはタッチが柔らかいが、切れ込みに欠けて奥行きが浅く感じられる。弦合奏でもやはりおとなしく柔らかく、ソフトムードで躍動感に欠け、ロスアンヘレスの声はバランスは美しいが、つややかさがないのであくまでも無難という印象。大合唱もバランスよく、これといった欠点はないがもう少し奥行きが出て欲しい。ジャズも躍動感が無くおとなしく、楽器の距離感がもっと出ても良さそう。ソツがなさすぎておもしろくないのだが、こういう欠点の無さが貴重なのかもしれない。

オーケストラ:☆☆☆☆★
ピアノ:☆☆☆☆
弦楽器:☆☆☆☆
声楽:☆☆☆☆
コーラス:☆☆☆☆
ジャズ:☆☆☆☆
ムード:☆☆☆☆
打楽器:☆☆☆☆
総合評価:80
コストパフォーマンス:75

シュアー V15 TypeII, M75E Type2, M44-5

シュアーのV15 TypeII、M75E Type2、M44-5の広告(輸入元:バルコム)
(スイングジャーナル 1969年6月号掲載)

Shure

シュアー M75E Type2, V15 TypeII

シュアーのカートリッジM75E Type2、V15 TypeIIの広告(輸入元:バルコム)
(スイングジャーナル 1969年4月号掲載)

Shure

シュアー V15 TypeII, M75E Type2

シュアーのカートリッジV15 TypeII、M75E Type2の広告(輸入元:バルコム)
(スイングジャーナル 1969年2月号掲載)

V15II

シュアー V15 TypeII

菅野沖彦

スイングジャーナル 10月号(1968年9月発行)
「ベスト・セラー診断」より

 この製品については今さら説明することのほうが無駄と思えるほど、オーディオ・マニア間では有名な製品で、最高級カートリッジとして名実共に第一級の製品なのである。シュア一社はアメリカの音響機器メーカーで、もともとマイクロフォンの専門メーカーだった。カートリッジはステレオ時代になってから急に名声が上り、現在ではアメリカを代表する有力メーカーとして世界的に、その高性能と豊富な種類、大きな販売実績を誇っている。V15IIの特長について一言にしていえば、最も安定した動作をもった素直な音のカートリッジということになるだろう。私がこのカートリッジを初めて手にした時その宣伝文句が、トラッカビリティという新語をもって、レコード溝への追従能力の抜群さをうたっていたために、手持ちのほとんどのカートリッジがビリつきを生じるレコードをかけたのにもかかわらず、V15IIはまったく悠然と歪みなく再生してしまったことだ。〝トラッカビリティ〟という言葉はシュア一社のつくった新造語だが、カートリッジの針先がレコードの溝を完全になぞる能力といった意味である。カートリッジの本来の役目が、レコードの溝を針でなぞって、それによって起る振動を電気のエネルギーに変えるというものだから、その性能はまず、完全に溝の動きに追従しきれるかどうかということが条件であることは理解していただけるだろう。
 したがって、よくいわれるように、MM型とMC型とかいったことよりも、本当は針先の形状、大きさ、針のついた金属棒(カンチレバー)や、これを支えるダンパーと支点などの材質や組立て具合のほうが根本的な条件として大切なわけだ。シュアーV15IIはMM型つまり、ムービング・マグネット・タイプといって、小さな磁石を針と一緒に振動させて磁場の中に巻かれたコイルから電気を誘発するという方式のカートリッジだ。そして、溝を忠実になぞるというカートリッジの必要最小条件を満足させることによって、周波特性や音色の素直さといったむずかしい条件を含む諸問題を一挙に解決したのである。ちょっと表現がむずかしいが、それまでのカートリッジが周波数特性とか、弱音から強音までの幅や直線性、または左右の分離能力による臨場感の再現、音楽を生き生きと再現する豊かな音色といったような問題について多角的に、あちらこちらから検討され、手さぐりで改良されていたのに対し、V15IIは、そういったいくつもの条件を針の追従能力を徹底的に追求することによってのみ解決してしまったというような気がするのである。このためには情報分析をコンピューターによっておこなうなど、データの豊富な蓄積と積極的な実験精神、技術者が軽視しがちな経験の裏付けによる直感力といった人間の能力の結集によるところが大きい。
 V15IIは28、000円という高価格だから決して一般的とはいえない。一般的には同社のM44シリーズがベストセラーであろう。しかし、このカートリッジはマニア間ではたしかにベストセラーといってもよいほどの売行きを示している。経済的に余裕があれば、投資に見合った結果は必ず得られる製品だと思う。好みの強い個性的な音を求めると見当ちがいで、レコードに入っている音をかなり忠実に再生する信頼感あふれるカートリッジだと思う。かなり…と書いたように、これが決して終着点とは思えない。しかし、V15IIはカートリッジとしておさえなければならない大切なポイントを、他製品に先がけておさえた、つまり最もビリツキの少ない安定した製品だ。

シュアー V15 TypeII, M75E, M44-5

シュアーのカートリッジV15 TypeII、M75E、M44-5の広告(輸入元:バルコム)
(モダン・ジャズ読本 ’68 1967年10月増刊号掲載)

Shure

シュアー V15 TypeII, M75, M44

シュアーのカートリッジV15 TypeII、M75、M44の広告(輸入元:バルコム)
(ステレオ 1967年9月号掲載)

シュアー

オルトフォン S15, シュアーV15 TypeII, ADC ADC10E

岩崎千明

スイングジャーナル 3月号(1967年2月発行)
「話題の輸入カートリッジ/SJオーディオ・コーナー オーバーシーズ・セクション」より

 最近の高級ハイファイ・マニアの話題の中心は、2つの輸入カートリッジに集まっている。
 すでにお知らせしたオルトフォンS15M、もうひとつは、シュアV15マークIIの2製品がこれだ。

■オルトフォンS15
 カートリッジは、その名の如く挿換えが可能である。オーディオ技術にくわしくない音楽マニアも高級ピックアップを使っているのなら、簡単に交換することができる唯一のハイ・ファイ・パーツである。
 そして、これによって装置のグレードの向上も期待できる。しかも、レコードをかけるごとに、眼につくカートリッジであれば、買気をそそられることも十分ある。というわけで、マニアならカートリッジへの関心は特に浅からぬものといえる。
 ところで、話題の2つのカートリッジに眼をそそごう。まずオルトフォンだ。
 代理商店が、ソニーから日本楽器に移ったのは昨年後半だが、とたんに、マニアにぐっと身近かになったのがこのオルトフォン。
 高教マグネット型カートリッジを大きく分けると3つに分類できる。
 ①ムービング・コイル型
 ②ムービング・マグネット型
 ③ムービング・アイアン型
 ①の代表的製品が、オルトフォンのカートリッジである。ムービング・コイル型は針先に続いた部分にコイルがあり、この針先の動きに応じてコイルがレコード音溝の振動通りに動いてくれる。このためコイルはごく軽く小さく作られている。
 コイルが小さいため出力は微弱で、そのままアンプに接続して使えるものは、サテン音響製品以外は皆無。オルトフォンの場合も、トランスを用いて、出力電圧をアンプに合わせるようになっている。
 カートリッジそのものの出力はオルトフォンでは0.2mV前後、これをトランスによって10mV近くまで上げている。
 オルトフォンのカートリッジの最大の特長は、このマッチング用トランスがカートリッジの中に内蔵されているT型というのがある点だ。必要ない場合はついてない型を選べばよい。この価格の差は2千円程度である。
 新型オルトフォンはS15MとトランスつきのS15MTの2種がある。
 トランスつきのS15MTが一般向といえる。
 このS15の評判になっているもうひとつの理由は、日本楽器から2万円で発売されているという点であろう。米国内で89ドルという高価なS15が日本では2万円、つまり60ドル(換算)程度で求められるのは、高級ファンにとって、大きな魅力といえよう。
 オルトフォンのカートリッジは、従来から日本のファンの間でシュア・V15と並び、あるいはこれをしのぐほど最高のランクを与えられている。
 ちょっと厚ぼったい音だが、すなおな再生は比類ないほどで、ちょっと聞くとなにかすっきりしないにも関らず、音の分離のよさやまとまりのよさはさすが世界一という称号を与えたくなるのも当然といえるほど。
 S15になって、このオルトフォンの音は高音がさらにのびて、スッキリした音になったことが明瞭だ。

■シュアV15II
 最近のアメリカのオーディオやハイファイ・ステレオ雑誌は毎号のように、カートリッジの追随性に関する記事を見かけることができる。
 新着のハイ・フィデリティ誌にはシュア社のチーフ・エンジニアの記した4ページものが出ていた。
 これはレコードの音溝を、完全にトレースするにはどのようなカートリッジがよいかということを、根本的に研究して得た新らしい結論を展開したものだが、当然、この技術にのっとって、シュア社の最高級カートリッジV15が改良され、マークIIとなったことが判る。マークIIは、別名スーパー・トラックともいわれ音溝の追随性のすぐれていることを示している。
 外観も、今までのシャープな角型から、やや流れるような線を取り入れて、スマートな外観を示している。
 ムービング・マグネット型という、それまでなかった新らしい型を、50年代に開発したシュア社は、ダイネティックという名でこのカートリッジを普及させた。ステレオ期に入るや、この型がきわめてすぐれたものであることがはっきりしてきた。
 ステレオ用として、左右の音の分離や、軽針圧用として優れた性能を示して、それまでの他のあらゆる型式をはるかに越える優秀な製品が、つぎつぎに発表された。M3、M7などがこれで、シュア社はステレオ用カートリッジでは全米きってのトップメーカーとなってしまったのである。さらにM44/5、V15が出るや、ヨーロッパの多くのセットに採用され世界的なカートリッジとなった。
 超高域に、ちょっときらびやかな響を持ち、豊かな低音と張りのある中低音が特長といえよう。
 このV15の新型では、高音域のきらびやかさがぐっと減ってスッキリし、超高音まで十分音がのびたのが一聴して判る。
 V15はやっと市販されるが、価格は従来のV15が26000円だったのに対して、28000円となっている。
 S15M、V15IIに共通して高音域ののびが認められるが、この点こそ、新らしいハイファイ期の条件ともいえそうである。しかしこの点すでに先駆者的カートリッジがあるのを見落してはならない、

■ADCの新型
 ADCオーディオ・ダイナミック・カンパニーがこのメーカーだ。50年代の終りにADCが、モデル1を発表して以来62年まではハイ・コンプライアンスというだけで注目をひくほどの製品ではなかった。
 しかし、シュア社とムービング・マグネットMM型の特許問題を争ってADCは、MM型でないカートリッジを発表した。
 これがムービング・アイアン型。ADCではインデュースド・マグネットIM型といっている。
 マグネットを本体にうめこんでしまって鉄分だけを音溝の振動に従って動かそうというのがこれだ。
 振動部は、長いマグネットがついていないので、ごく小さく、ADCでも宣伝するように、いままでのどのカートリッジの振動部分より1/3以下というほど。
 従って、高音ののびは抜群で、音のすなおさも驚くほど。くせがない音ということばがぴったりだ。レコードのよい悪いがはっきり出てしまうので、かえって使い方がむつかしいといわれるのもこのためだ。
 最初の製品は針先半径が普通のカートリッジの0.5ミルより細く0.4ミルなのでポイント4と呼ばれた。
 その改良普及型が660だ。これが標準品種。
 そのあと高級品として一昨年の暮、ダエン針つきの10Eが発表された。0.5gr〜1grという超軽針圧と神経質なほどせんさいな音で、音の分能能力やステレオの分離はちょっと比類がない。
 最近は、チェンジャー用のCGタイプが770として改良されている。針圧は2〜5gr。(国内未発売)660は本国ではダ円針つきのみとなって39・5ドル。日本では、0.7ミルの針つきで8900円。
 10Eは本国で59・5ドルだが日本では23000円。
 米国ではさらに昨年秋から220が新型として出ており、これは日本では発売されそうもないが、9ドル50セントという超安価が眼を引く。ハイファイ入門者用として宣伝されている。
 ポイント4は、米国ではすでに姿を消したが、日本では、高級マニアの間で好評といわれ、12000円で発売されている。