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(オーディオアクセサリー 21号掲載)
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AKG P6E
井上卓也
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
力強く明快で、適度に重厚な魅力をもったAKGらしい魅力である。
AKG P6R, P6E, P7E, P8E
井上卓也
ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より
従来のPU3E/4Eにくらべると、今回の一.連のシリーズ製品は、自社で充分に時間をかけて開発したオリジナルタイプであり、他社にない独得の渋い音をもっているのはAKG独得の個性と思われる。
P8Eは、音の粒子が細かく芯がカッチリとしている。音色は、やや重いタイプで落着いた安定感があり、中高域に控え目な輝かしさがあるが、表面的にならないのがよい。音場感はこのクラスとしては平均的だが、音像はクッキリ型で前に立つタイプである。トータルのクォリティは高く、適度に硬質で冷たい輝きがある音が特長である。
P7Eは、低域のダンプ、粒立ちともに標準型で安定感があり、トータルなバランスではP8Eを上廻るものがある。低域は重いタイプだが腰が強く、姿・形がよく、中低域も量・質ともに充分なものがある。中高域は、やや硬質だが浮き上がらず、適度な魅力となっている。性質は、ちょっと聴きにはマイルドに感じるが、かなりの自己主張を内側に持っているようだ。全体に、重さ・暗さがある音だが、暖かさ・力強さがあり、独得な個性的魅力をもっている。
P6Eは、音の粒子がP7Eよりは粗くなり、ときおりSN比が気になることもある。低域は引締まり、全体の音はP8E/7Eよりも力感があり、腰が強くクールで押出しがよい。いわゆる明快でカッチリとした音であるが、安定感があり、表面的にならず、性質がおだやかであるために、渋い重厚さにつながった音と感じられる。
ヴォーカルはP7Eよりも力強く、実体感があり中域が充実して、堂々と歌う感じがある。ピアノはスケール感が充分にあってクリアーに力強く響く。
全体に、P8E、P7E、P6Eと音の粒子が段階的に粗くなってくるが、全体のまとまりと力強さは逆に増してくるようである。数少ないヨーロッパ系のカートリッジとしては、音の芯が強く、力感がある点では、最右翼に位置する製品だ。
P6RはP6Eと似た面が多いが、全体にやや性質がおだやかであり、高域の伸びが少し押えられた感じがある、全体に少し線は太く、マクロ的に音をまとめる傾向があり、安定感があるのが、このカートリッジの特長である。
AKG P6R, P6E, P7E, P8E
岩崎千明
ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より
すでに市場にあったシリーズを一新して、今までのゴツイ外観を改め、従来より格段に聴きやすい音となった。ヨーロッパの音響製品に共通の、きわめてち密なサウンドと、低域、高域の力強く張りのある充実感がAKGのカートリッジにもみられる。
P6Rは、もっとも普及価格のもので、名前から円錐針のついたものと判断される。この品種のみが、やや重い針圧を要求されていて、サウンドの上でも他とは少々違ったイメージを受ける。つまり力強さの外側に厚い衣をかぶらせたような、従って耳当りの良い暖かさ、まろやかさを感じさせ、加えて低音域でのどっしりした重量感が音全体のイメージを大きく変えてしまっている。あまり細かい表現は不適だが、全体を大づかみに捉えて聴きやすく再生する、といった風で、歌なども聴きやすい。バランスの良さがこうしたサウンドの魅力の根底を作っているのだろう。
P7Eは、P6Eとよく似ているがP6Eのような力強さが、いく分おとなしくなっている。P6Eではくっきりしたクリアーな力と感じられるイメージがあったが、それに対してP7Eでは、もっとさわやかな新鮮さとなって、力強さもないわけではないが品があり、ヨーロッパ製ならではのソフトな耳ざわりを醸し出している。高域でのスッキリした冴えた響きも意識的でなく、品位が高い。ステレオ音像も、十分な拡がりの中に安定な確かさで定位する。ステージ感も要求されれば、最高の水準で再現してくれるし、歌などでは、きわめてリアルで自然な形で音像が浮かび出す。
P8Eは、最高ランクだけにまるで拡大鏡でのぞくようなミクロ的な分解能力が何より見事だ。くっきりと、こまやかな音の表現をやってのける。ただその反面、少々鮮かすぎて、ソフトフォーカスのニュアンスにかけ、雰囲気のある再生には不向き。力強くスッキリした低音、キラキラした鮮明な高音域、加えて新シリーズ中もっとも充実感のある中声域。ステレオの拡がりも極めて大きく、定位の良さも抜群で、音楽の中に踏み込みたいという聴き手の要求をあらわに反映してくれる。
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