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スペクトロ・アコースティック Model 202

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 輸入品の100Wクラスのアンプとしては、価格もそれほど高くない。外観の造りをみれば贅を尽くした高級品ではなく、実質本位に徹した製品らしいことは容易に想像できるが、出てくる音を聴くかぎりは、ローコスト化のために手を抜いたというような感じはなくて、ローレベルでも滑らかによく磨かれて質感も悪くないし、切れこみのよい新鮮な印象で、音の密度にも不満はなく、ハイレベルでやかましくなったりもせず、要するにかなり良くできたパワーアンプであることがわかる。たとえば「オテロ」冒頭のオルガンの低い持続音も振動的な感じがよく出ている。価格の割に内容のしっかりした製品といってよさそうだ。

スペクトロ・アコースティック Model 202

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 コントロールアンプ♯217とほどよく似たキャラクターとクォリティをもったパワーアンプである。
 リファレンスコントロールアンプLNP2Lとの組合せでは、♯217の場合よりもクォリティが高く、緻密さが加わるが、さほど大きな変化ではない。バランス的には、低域は重量感、力感は抑え気味だが安定したベーシックトーンであり、中域は量的に充分あり、緻密さはいま一歩ではあるが、高域にかけて適度に粒立った印象があって、反応が早そうに聴こえる特長がある。ステレオフォニックな音場感は、左右のスピーカー間のすこし奥に広がり、音源が遠く感じられるが、鮮明さを失わないメリットは大きい。

スペクトロ・アコースティック Model 217 + Model 202

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 コントロールアンプ、パワーアンプ双方とも、見た目がずいぶんユニークだ。デザインや仕上げやコントロール機能の整理のしかたなども含めて、どこかアマチュアの手づくりのセットというイメージが残っている。こういう作り方は、ほかにもDBシステムズやハフラーなど、アメリカで最近誕生しはじめた新顔のメーカーによく見受けられ、たとえていえば少し改まった会合へもジーンズで出かけるというような、良くいえば虚飾を排した気取りのなさ、いわば実質本位の作り方で、共通しているのは見た目や価格から想像するよりもはるかにしっかりしたグレイドの高い音が鳴ってくること。ただ、コントロールアンプ単体のところで書いたように、ボリュウムを絞ったポイントでは精彩を欠いた音になってしまうので注意が要るように、必ずしも上質のパーツが使われているとは思えない。スイッチ類の感触なども含めて、アメリカでもかなりローコストの製品であることを頭に置いて評価したい。