Tag Archives: L300

JBL L300A

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 JBLのスピーカーシステムとして、代表的な存在といってよいであろう。プロユースの4333シリーズに相当する内容のコンシュマー用であり、外観フィニッシュもずっとファニチュア的雰囲気が濃く、好感のもてるものだ。38cmウーファー、音響レンズ付ホーン型スコーカー、ホーン型トゥイーターの3ウェイ・3ユニット構成で、エンクロージュアはパイプダクトのバスレフ方式をとる。明解精緻なJBLサウンドだ。

JBL L300A

菅野沖彦

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 プロシリーズの4333Bのコンシュマーモデル。仕上げのよいオイルフィニッシュのウォールナット仕上げエンクロージュアは、ロープロファイルのフロアー型。ワイドレンジな再生音は緻密で豊麗。そのスケールの大きな再生音からすると、最もコンパクトにまとめられたシステムである。フェライトマグネット・ウーファーになってより改善された。

JBL L300

菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より

 同社の3ウェイモニタースピーカー4333Aに相当するユニット構成をもつシステムだけに、本格的なJBLシステムの良さを十分にもった、ワイドレンジな、優秀なスピーカーの代表といってよい。

JBL L300

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

JBLの本格的ユニット構成による民生用代表機種。

JBL L300

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

現在のJBLを代表する実力を十分にもつコンシュマー用の高級機。

JBL L300

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

現代の家庭用高級スピーカーのひとつの方向を示唆するシャープな音。

JBL L300

瀬川冬樹

ステレオサウンド 44号(1977年9月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(上)」より

 さすがにこのクラスになると、スピーカーシステムとしての格が違うという印象が強くなる。たとえば、ここまでおもに使ってきた国産4機種のアンプではもういかにも力不足がはっきりしてきて、レビンソンLNP2LとSAEシャープ2500の組合せぐらいでないと、ほんとうの良さがひき出しにくい。ただ、それではあまりに高価になりすぎる。もう少し中間のグレイドのアンプも考えられると思うが。それにしても、L65Aと同じトゥイーターがついているのに、L300になると、鳴らしこんでいないことが殆ど耳ざわりにならず、音をやわらかくくるみ込んで目立たせない鳴り方は、とてもL65Aの約2倍の価格とは思えず、この差はもっと大きいと思わせる。ブラームスP協の冒頭のトゥッティのティムパニの爆発から、もうすさまじい迫力と充実感で、それはヨーロッパのスピーカーの鳴らす自然な響きの美しさとは違ってどこか人工的な香りがつくが、こうしたクォリティの高い音にはやはり一種人を惹きつける説得力が生じる。ポップス系の良さは言うに及ばないだろうが、例えばフルトヴェングラーのモノ→ステレオ録音のようなレコードでも、十分に美しく聴かせることから、スピーカーのクォリティの大切さがわかる。ごく低いインシュレーターを介して置いた方が、音の空間的なひろがりがよく感じられるようになる。それにしてもこれはぜいたくな音だ。

JBL L300

黒田恭一

ステレオサウンド 44号(1977年9月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(上)」より
スピーカー泣かせのレコード10枚のチェックポイントの試聴メモ

カラヤン/ヴェルディ 序曲・前奏曲集
カラヤン/ベルリン・フィル
❶ピッチカートは、生気があって、くっきりとひびく。
❷低音弦のスタッカートは力があって、ひろがりも感じさせる。
❸各々のひびきの特徴をくっきりと示し、とけあい方もいい。
❹ここでのピッチカートは、たっぷりひびいて、しかも鮮明だ。
❺内容を示しつつ、迫力充分にきかせる。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番
ブレンデル/マリナー/アカデミー室内管弦楽団
❶ピアノの音像は大きく、ひびきに力がある。
❷個々のひびきの特徴は示すが、キメ細かさが足りない。
❸室内オーケストラのひびきとしては、大柄にすぎるだろう。
❹すっきりときこえるが、ひびきにしんがありすぎる。
❺ひびきの特徴を示し、ばらばらにならない。

J・シュトラウス:こうもり
クライバー/バイエルン国立歌劇場管弦楽団
❶残響をかなりひろっているが、声になまなましさがある。
❷接近感は拡大ぎみに示す。表情はゆたかだ。
❸クラリネットのひびきはきわだつが、声とのバランスはいい。
❹はった声がかたくならず、充分にのびている。
❺オーケストラと声とのバランスは理想的だ。

「珠玉のマドリガル集」
キングス・シンガーズ
❶音像はふくらみがちなため、定位は必ずしもよくない。
❷声量をおとしても鮮明さがなくなることはない。
❸残響をかなりひろっているが、言葉は充分にたつ。
❹ひびきに軽やかさはないが、各声部のからみあいは明瞭だ。
❺とってつけたようにではなく、自然にのびている。

浪漫(ロマン)
タンジェリン・ドリーム
❶ふたつのひびきの、音色的、音場的対比は充分だ。
❷後方にひいたひびきの質がよくききとれる。
❸さらに軽やかであってもいいが、浮遊感は示す。
❹力のあるひびきによりながら、ひろがりがある。
❺ふくらみ方は自然で、ピークでの迫力は圧倒的だ。

アフター・ザ・レイン
テリエ・リビダル
❶後方でのひびきには力があるが、透明感をそこねていない。
❷ギターはくっきり示されて、せりだし方をよく示す。
❸ふくらみすぎず、あいまいにならず、きわめて好ましい。
❹ひびきの輝きをよく伝えて、アクセントをつけている。
❺すっきりとこのひびきの本来の姿を伝える。

ホテル・カリフォルニア
イーグルス
❶12弦ギターのひびきがあいまいにならずくっきりと定位する。
❷ひびきの重なり具合が充分にききとれる。
❸ハットシンバルの音は、乾いて、すっきりとぬけでてくる。
❹ドラムスの音像は大きくならず、シャープに切りこんでくる。
❺声の重なり方が手にとるようによくわかる。

ダブル・ベース
ニールス・ペデルセン&サム・ジョーンズ
❶音像が巨大になっていないのがいい。充分な力がある。
❷指の動きが、ことさらめかさず示され、なまなましい。
❸音の消え方にも、誇張感がなくていい。
❹こまかい音の動きに対しての反応も好ましい。
❺音像的、音量的、音色的対比は十全だ。

タワーリング・トッカータ
ラロ・シフリン
❶アタックのシャープさはなかなかのものだ。
❷ブラスの切りこみも、はなやかなひびきで、有効だ。
❸この部分で求められる効果を充分にいかしている。
❹ひびきの目がつみすぎていないので、トランペットの参加が生きる。
❺左でのリズムの刻みはまことに鋭い。

座鬼太鼓座
❶尺八は左奥からすっきりきこえてくる。
❷くっきり示されるものの、ひびきに脂のついていないのがいい。
❸かすかな音できこえて、誇張感はない。
❹充分な力を示し、音の消え方もよく伝える。
❺好ましいきこえ方をして、はなはだ効果的だ。

JBL L300

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 前面を軽く傾斜させ、四隅に丸みをもたせた独特のデザインは、日本の一般家庭でも違和感なく収まる見事なできばえだが、むろん内容的にも、現代の先端をゆくワイドレンジ型で、鋭敏で繊細で、しかもパワフルなサウンドを満喫することができる。どちらかといえば細身の音なので、アンプやカートリッジは逆にいくらかグラマー気味の音質でまとめる方がうまくゆくようだ。このクラスから、新しいJBLらしさが本当に出てくる。

JBL L300

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 JBLの民生用スピーカーの高級モデルで、中、高域にホーンドライバーを使った、本来のJBLのよさを発揮した優れたシステムである。プロ用モニターでいえば4333に匹敵する製品であるが、使用ユニットは違う。きわめてワイドレンジ、ハイ・エフィシェンシー、大きな許容入力と、物理特性も第一級のシステムで、エンクロージュアもつくりも、プロ用を上廻る優美さと緻密さが魅力だ。

JBL 4333A, L300

瀬川冬樹

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
特集・「世界の一流品」より

 JBLのスタジオモニター・シリーズの中で最初に評価されたのが#4320であることはよく知られているが、さかのぼればその原形は、プロフェッショナル部分を設立するよりはるか以前のC50SM型モニタースピーカーにはじまっている。C50SMにはS7(LE15A+LE85の2ウェイ)とS8(LE15A、375、075の3ウェイ)の二つの型があった。エンクロージュアのデザイン(外観および外形寸法)は#4320も全く同じだがC50SMの構造は密閉箱だったため、低音の伸びが悪く寸詰まりの感じで、良いスピーカーだという印象があまり残っていない。そのC50SM−S7を位相反転型に改良し、クロスオーバー周波数を800Hzに変更(S7は500Hz)したものが#4320だと思えばいい。こまかいことをいえばユニットその他相異はあるが大づかみにはそういう次第で、したがって#4320はプロ部門設立と同時にある日突然生まれたモニターではなく、C50SM−S7以来の十数年のつみ重ねがあったわけだ。
 #4320は、低域およびウーファーとトゥイーターのクロスオーバー附近での音質の問題点が指摘された結果、#4330および31に改良された。さらに高域のレインジを拡げるためにスーパー・トゥイーター#2405を加えた3ウェイモデルの#4332、#4333が作られた。しかしこのシリーズは、聴感上、低域で箱鳴りが耳につくことや、トゥイーターのホーン長が増してカットオフ附近でのやかましさがおさえられた反面、音が奥に引っこむ感じがあって、必ずしも成功した製品とは思えなかった。
 #4333を基本にして、エンクロージュアの板厚を、それまでの3/4インチ(約19mm)から、1インチ(25mm強)に増し、補強を加えて作ったコンシュマーモデルのL300は、家庭用スピーカーとしては大きさも手頃だし、見た目にもしゃれていて、音質はいかにも現代のスピーカーらしく、繊細な解像力と徴密でパワフルな底力を聴かせる。音のぜい肉を極力おさえた作り方で、ダブついたような鳴り方を全くせず、やや線の細い鋭敏でシャープな音がする。
 こうしてL300が完成してみると、#4333の問題点、ことにエンクロージュアの弱体がかえっていっそう目立ちはじめた。そのことにJBLもとうぜん気付いたのだろう。#4333のエンクロージュアの板厚と強度を増すと同時に、位相反転のチューニングを変更し、タテ位置にもヨコ位置にも自由に使えるよう、ユニットの取付け方にくふうを凝らすなど、こまかな改良を加えた#4333Aを発売した、という次第である。#4333よりはL300が格段に良かったのに、そのL300とくらべても#4333Aはむしろ優れている。従来、内蔵ネットワーク型とマルチアンプドライブ専用型とに分かれていた#4332と33とが、#4333Aでは兼用型となったのも便利だ。

JBL L300(組合せ)

岩崎千明

コンポーネントステレオの世界(ステレオサウンド別冊・1976年1月発行)
「スピーカーシステム中心の特選コンポーネント集〈131選〉」より

 JBLの久しぶりの家庭用フロア型の大型システムが出た。前面を僅かに傾け角を落した奥行きの十分ある箱は、今までにない重量だ。そのずっしりした重量感から重低音の力強さは予測できるが、期待をさらに上まわり量感あふれる低音エネルギーがこのL300の最大の価値であろうか。ほぼ同じユニット構成ながらモニターの4333との違いも、フラットながらこの低音エネルギーに片寄っている所は、家庭用再生システムに対するJBLの志向を物語って興味深いが、音楽を楽しめる点で好感と親しみとを強く感じさせる。
 こうした音楽と直結した「音」を、もっとも活かそうと心したとき、新技術の結晶とでもいい得る最新のアンプジラは最適だ。音を知り抜いたハイセンスのサウンドは今日での頂点ということができ、ぜひL300に試みたい組合せであるといえるであろう。
 L300の登場した現代のオーディオ・シーンの状況下で、高品質のトランジスター・ハイパワーアンプこそもっとも適切な組合せであることは当然だ。鮮度の高い中域の充実感を考えるとき、最新技術を背景にしてより魅力あるサウンドを得られるに違いない。

スピーカーシステム:JBL L300 ¥520,000×2
コントロールアンプ:GAS Thaedra ¥610,000
パワーアンプ:GAS Ampzilla ¥499,000
プレーヤーシステム:トーレンス TD160C ¥98,000
カートリッジ:ピカリング XUV/4500Q ¥53,000
計¥2,280,000