マッキントッシュ C504

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 同社として初の薄型のプロポーションをもったプリアンプだ。伝統あるガラスパネル・イルミネーションを踏襲しているので一目瞭然、同社の製品であることがわかる。エモーショナル・レスポンス・フォー・ミュージックを大切にする同社の考え方は、このグラス・イルミネーションに現われている。比較的手頃な価格でマッキントッシュ・フィーリングを所有出来るアンプで、パワーアンプMC502とのバランスが大変よい。

音質の絶対評価:8.5

パイオニア C-Z1

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 Zシリーズとして登場した、ノンNFBアンプのプリアンプ。パワーアンプM−Z1と共通のプロポーションにまとめたシステム・デザインだが、必ずしも、これが使いやすさにつながるともいえないようだ。ガラス越しにブロックダイアグラムが見え、これにダイオードが点灯するというマニア好みの味つけは楽しいし、好ましい。ヘアライン・ブラックフィニッシュが、少々緻密感とデリカシーを損なっているのが惜しい。

音質の絶対評価:8.5

マークレビンソン ML-2L

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 Aクラス動作で25Wのモノーラルアンプがこの大きさ! いかにもMLらしい大胆な製品である。やりたいこと、やるべきことをやるとこうなるのだ、といわんばかりの主張の強さがいい。そして2Ω負荷100Wを保証していることからしても、アンプとしての自信の程が推察できるというものだ。パネルはML3に準じるが、ヒートシンクが非常に大きく、上からの星形のパターンが目をひく。2台BTL接続端子がついている。

音質の絶対評価:9

マークレビンソン ML-3L

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 マーク・レビンソンのパワーアンプらしい風格をもった製品。200W+200W(8Ω)のステレオアンプで、見るからに堂々たる体躯のシンメトリック・コンストラクション。前面パネルにはパワースイッチだけがセンターに、その真上に、あのモダーンなロゴがプリントされている。両サイドのハンドルを含め、シンプルながらきわめてバランスのよい美しさである。これぞ、パワーアンプという雰囲気だ。

音質の絶対評価:8.5

マークレビンソン ML-6AL

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 左右独立、それも電源からボリュウムコントロールまでという徹底ぶりだ。その勇気と潔癖症には脱帽するし、こういう製品が一つぐらいはあってもよいと思う。しかし、これはもう一般商品とはいえないし、プロ機器としては、さらに悪い。本当は業務用こそ、誰が使っても間違いなく、容易に使えて、こわれないものであるべきなのだ。この製品の登場は業務用機器のメーカーではないことを立証したようだ。

音質の絶対評価:7.5

マークレビンソン LNP-2L

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 いかにもマニアックなクォリティに満ちた製品で、見てもさわっても、音を聴いても、他製品とは全くちがう肌ざわりを感じる。これは明らかに業務用機器のもつ質感である。その意味では、きわめて高い可能性をもった機器なのだ。しかし、ハイファイ製品(良い意味で)は、それが、さらにリファインされていなければならない。プロ機器が常に一般機器の上とは限らないのである。もう一つ大人になってほしい製品だ。

音質の絶対評価:9

マークレビンソン ML-7L

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 LNP2Lより、さらに生硬な印象をうけるが、音は別稿の通り立派なものだ。ただし、マーク・レビンソンの一連の製品についていえることだが、明らかに一般ハイファイ・マニアを相手にしながら、プロ機器仕様とデザインを決めこんでいるのはどうかと思う。車でいえば、トラックやブルトーザーのようなデザインばかりではないか。中ではLNP2Lが一番まともだが、決して使いやすくもない。

音質の絶対評価:9

マランツ Sm-1000

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 マランツのパワーアンプ・シリーズの旗艦として、かつての500シリーズに代って登場した製品である。400W+400W(8Ω)、650W+650W(4Ω)のパワーを誇る。ラックマウント金具をサイドに持つが、これは木製のキャビネットにも入るはずだ。センスのよいメーターの色調、仕上げの高いパネルなど、高級アンプにふさわしい風格を備える。豊富なスピーカー切替ファンクションをもっている。

音質の絶対評価:8.5

マランツ Sm-9

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 Sm6の上級機種で、これはマホガニー・キャビネットに収められている。150W+150W(8Ω)のパワーをもち、Sm10とはわずかな価格差だが、コンセプトの異なるアンプ。マランツのシリーズは豊富で、それぞれの要求にキメ細かく対応しようというメーカーの意欲が感じられる。これも一段と高級感をもったマランツ伝統のイメージを踏襲し、現代的にリファインした美しいデザインと仕上げをもっている。

音質の絶対評価:8

マランツ Sm-10

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 120W+120WのパワーはAB級で8Ω負荷時、別に切替でA級30W+30W(8Ω)、350Wモノーラルアンプとしても使えるDCアンプ。モノーラルアンプを2台カップルして、ステレオユニット化した構造が外観からもわかるし、これがデザインの基調ともなっている。作りも仕上げも美しく、往年のマランツのイメージをよく生かした製品だ。Smシリーズの中でもユニークな存在で、個人的にも好きな製品である。

音質の絶対評価:8.5 

マランツ Sm-6

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 AB級120W+120W(8Ω)、A級動作で30W+30Wのパワーハンドリングは、上級機種Sm10と同規格であるが、こちらはデザインもコンストラクションも違う。パワーメーターつきパネルフェイスはSm7や9と共通イメージのマランツの現代の顔である。といっても、もう伝統的といってもよいイメージだ。木製キャビネットは別売り。美しい仕上げだし、メーターの色彩も華麗で使う楽しみをもっていてよい。

音質の絶対評価:7

UREI Model 6500

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 一見して、プロフェッショナルな製品であることがわかる。これからみるとマークレビンソンの製品などは、きめの細かいコンシュマー用であることが明白だ。作りといい、デザインといい、タフネス一点張りのもので、そのコンストラクションの剛性の高さは特筆に値する。275W+275W(8Ω)のパワーをもち、安全対策はよく出来ている。まさに、ヘヴィデューティ機であることが、その全体から感じられる。ファンによる強制空冷システム。

音質の絶対評価:7.5

オンキョー Integra M-509

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 オンキョー始まって以来の高級アンプとして登場しただけあって、実力豊かな力作である。200W(8Ω)のパワーは4Ωで280Wを保証される。歴代の同社のパワーアンプのデザインイメージを踏襲したブラック・フィニッシュ、大型パワーメーターのパネルフェイスだが、これは一廻りスケールが大きく立派な作りである。高級アンプにふさわしい風格が感じられて好ましい。本格派と呼べるパワーアンプである。

音質の絶対評価:9.5

オンキョー Integra M-506

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 120W+120Wの出力をもったパワーアンプで、4Ω負荷160Wも保証される。大型のパワーメーターを基調にデザインされたブラック・フィニッシュのパネルは仕上げがよいので、価格以上の高級感を感じさせる。スイッチ・オンで、メーター照明がオレンジ系から動作状態を色の変化で伝えるなどの洒落っけも持っている。売物Wスーパーサーボと称するサーボオペレーションを採用した効果が認められる。

音質の絶対評価:8.5

スレッショルド STASIS 1

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 スレッショルド社のプレスティジ製品であり、ステイシス・シリーズのトップモデルである。現実は、ほぼ受注生産に近いもと思われるが、これだけのアンプを開発する同社の実力は凄い。200Wのモノーラルアンプで、テクノロジーと物量のすべてはクォリティに奉仕する。パワーではステイシス2と同じだが、モノアンプでありながら、重量は逆に重い。つまり、2倍以上ということになる。独特なレスポンスをもつメーター付。

音質の絶対評価:10

スレッショルド STASIS 2

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ステイシス・シリーズ中の代表機種といっていい存在である。200W+200Wのパワーをもち、スピーカーのインピーダンス変動にはきわめて安定した動作をもつ。シンメトリック・コンストラクションによる剛性の高い本体とパネルの作りは、さすがに最高級品の名に恥じないものがある。ピークパワーインジケーターを中心にまとめられたデザインは、大変現代的で美しく、しかも軽々しさがまったくない落着いた雰囲気をもつ。

音質の絶対評価:9 

オンキョー Integra P-309

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 P306の上級機として登場したこのプリアンプは、内容的に明らかにリファインされているし、オンキョーとしては力の入った高級機らしい高級機だ。ブラック・フィニッシュはマチエールの美しい、高い仕上げで、細かいコントロール類はサブパネル内に収めた、すっきりしたデザイン。ウォームアップの状態を視覚的に確認できるインジケーターをつけるなど、なかなかマニアックだが、ちょっとやり過ぎの感じもある。

音質の絶対評価:8

マランツ Sc-9

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 Sc6の項で述べたことがそのままここでも当てはまる。相当ごちゃついたパネルレイアウトで、この点ではSc6のほうが好ましい。しかし、それだけに、この多機能性はマニアを楽しませるし、使いこなせば効果は大きい。
 伝統のマランツのパネルイメージは貴重な宝といってよい。これを0からデザインしたら、これだけの風格や魅力を生むことは、まず不可能だろう。亜流の多くが、そのことを示している。

音質の絶対評価:7

オンキョー Integra P-306

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 単体のプリアンプとしてはコストパフォーマンスのよさで高く評価されている。たしかに、この音で10万円という価格は安いといえるし、作りや仕上げも決して悪くない。ハイゲインEQ式のMC入力回路も、なかなか使えるクォリティをもっているし、ダイレクト・トーンコントロール、スーパーサーボなど、オンキョーのお家芸をもり込んだ充実した製品だ。ごく標準的なパネルレイアウトも好ましい。

音質の絶対評価:7

スレッショルド STASIS 3

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 スレッショルド社は、新しいアメリカのメーカーの中で最も製品の信頼性が高く、あらゆる点で高い次元にある会社だ。ステイシス・アンプという独創的な回路技術を開発し、製品のシリーズを一新した。この製品は、その中の最も下位に位置するものだが、もちろん単体パワーアンプとしての最高級品であることに変りはない。100W+100Wのステレオアンプで、美しいデザインイメージと高い仕上げはシリーズ共通のものだ。

音質の絶対評価:8.5 

マランツ Sc-6

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 マランツのイメージを引継ぎながら、現代的にリファインしていくという難しい仕事に、真正面から取り組み健闘している現代マランツ製品で、そのスタッフの努力は多とするに足ると思う。このSc6も、誰が見てもマランツだと一目でわかるアイデンティティが好ましい。フルファンクションと、まずまずのクォリティをもっていて、この値段というのは、総合的に、かなり高く評価したいところである。

音質の絶対評価:7.5

スレッショルド SL10

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 内容は別稿の通りで私はあまり好まないアンプだが、回路技術、デザインについては高く評価したい力作である。コンストラクション、仕上げの緻密さ、センスのよさ、オリジナリティの点などでも立派な製品であると思う。パネル、ツマミの仕上げ、形状のユニークさ、そして、その美しさは特筆すべきものだと思う。ただ、この音の質感・感触は、どうしても私の感覚にぴったりこないのが残念である。

音質の絶対評価:7

タンベルグ 3003

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ノルウェイのタンベルグ社の製品で、150W+150Wのパワーをもちながら、フラットな、さりげない大きさにまとめられている。デザインは現代感覚に溢れたもので、そのヒートシンクをパターンとして利用した、トップパネルの美しさは特筆に値する。全体のメタリックな仕上げの質感も高く、すっきりしたイメージは他に類例がないほどだ。コンセプトとしては、それほど大上段にふりかざしたところのないアンプである。

音質の絶対評価:8.5

タンベルグ 3002

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ノルウェイのタンベルグは、テープデッキ・メーカーとして実績をもつメーカーで、製品の品位は高い。しかし、かといって、決して超マニアックな高級品というのではなく、ヨーロッパ・メーカーらしいセンスで、すっきり美しくまとめられたプリアンプである。現代的なやや冷たい感触をもった製品で、重厚感には欠ける。仕上げは大変美しくきちんとしている。ペアのパワーアンプ3003ほど魅力はないが……。

音質の絶対評価:7

スチューダー A68

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 スイスのスチューダーの製品は、デッキのイメージの高さで期待が集まるだろう。スチューダーはプロ機器のメーカーで、コンシュマー機器はルボックス・ブランドで別に存在する。A740というルボックスのアンプが、これに相当する。100W+100Wのパワーは、モノーラル接続では350Wを取り出すことができる。ラックにマウントすることによって、いかにも格調の出るパネルを持ち、作りも剛性が高い。

音質の絶対評価:7