ミニサイズ・スピーカーのベストバイ

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「読者の質問に沿って目的別のベストバイを選ぶ」より

 どこまでが「ミニ」あるいは「超小型」で、どこからが「小型」なのかという明確な定義はできないが、購入する側からいえば、おおよそ次の三つの目的に分類できるのではないか。
 第一は、設置スペースに制約があったり、またはインテリアを重視した部屋作りのために、できるだけスピーカーの存在を目立たせたくない、等の目的から小さなサイズを要求する場合。この場合には、サイズが第一で、音質面は二義的になることもありうる。
 第二は、大型の装置を別に持っていて、サブ的に楽しみたいスピーカーを探している場合。したがって、場合によっては必ずしも小型である必要がないかもしれないが、しかし音質の点で良いものがあれば、できれば小さいに超したことはない、というようなとき。
 第三は、たとえばヴィソニック社の「DAVID50」のような、本当のみにサイズでしかも音質も素晴らしいという製品の場合、これと知らずに音を聴くと誰しもがびっくりする。そうした意外性を強調するには小さければ小さいほどよいし、しかし音質はその小ささからは想像もできないほど優れていて欲しい。そういうおもしろさを含めて購入する、いわばオーディオマニア的な発想から……。
     *
 こんな分類をしてみると、いまの第三の場合ですでに書いたヴィソニックのDAVID50は、まさにこの種の元祖として音質も耐入力も、こういうサイズとは信じ難い立派さで、ベストバイの最初に挙げられる。類機にADSとブラウンがあるが、価格と音質のバランスでダヴィッドが随一だ。
 第二のいわゆるサブまたはセカンドスピーカーとしての製品は最も数が多く、ヤマハNS10M、オンキョーM55、ロジャースLS3/5A、もう少し大きくてよければセレッションUL6、B&W・DM4えII、ジム・ロジャースJR149、JBL♯4301WX、ロジャース「コンパクトモニター」等が出てくる。
 第一のインテリア重視の面からは、たとえばタンバーグの「ファセット」やジョーダン・ワッツの「フラゴン」のようなユニークな意匠の製品に加えて、前項以前に示した各種から適宜取捨選択できる。
 最後にやや蛇足の感があるが、ミニブームに便乗してひどく性能のよくないスピーカーがいくつも市販されはじめたのには、いささかやりきれない。購入の際は要注意。

マッキントッシュ C27

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

現代アンプの純度とは異なった、井戸水の自然さを感じさせる音だ。

オーディオ・オブ・オレゴン BT2

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

他では求められない、暖かく豊かで、力強さを秘めた独特な魅力。

GAS Thalia

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

現代アンプとしては、力強く彫りの深い音をもつ爽やかな製品。

ソニー TA-E86

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

独特の構造を採用した、伸びやかな音をもつソニーの魅力的な製品。

SME 3009/SIII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

現代アームのあり方に再び問題提起した点、さすがに元祖の貫禄。

マランツ Model P3600

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

際立った特徴をもたないが、比較試聴に強いのはやはり伝統である。

トランスクリプター Skeleton

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

オリジナルアームつきの方ではなくSMEと組合せるタイプが楽しい。

ビクター P-3030

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

超薄型パネルにフル機能を装備し、活気ある音を聴かせる野心作。

ソニー TA-E88

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

新しいソニーの音を感じさせるフレッシュさと構造が魅力的である。

リン LP12

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

33回転オンリーは難点だがDD時代にアンチテーゼを示す音質の良さ。

ビクター TT-101

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

音質の良いDDモーターの一つ。ゴムシートに埃のつきやすいのが難。

ビクター EQ-7070

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

独特のシャープで解像力の優れた魅力をもつ現代アンプの代表作。

ラックス PD121

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

製造中止の噂が伝えられるが、ぜひとも残して欲しいユニークな製品。

テクニクス SP-10MK2

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

何のかのいってもやはり当分のあいだはDDモーターのスタンダード。

グラド Signature II

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

高価だが素晴らしく滑らかで品位の高い艶のある音が聴き手を捉える。

オルトフォン SPU-GT/E

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

この渋い独特の厚みある音質はMC型の里程機として歴史に残る名作。

オルトフォン VMS20E/II

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

明らかにSPUの傾向を受け継ぐウォームな音質。使いやすい出力。

ヤマハ B-4

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

鮮度の高いよく磨かれた彫りの深い音はいままでのヤマハとは思えない。

マランツ Model P510M

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

比較試聴の際に現代のひとつのスタンダードとして信頼できる優秀機。

パイオニア Exclusive M4

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

素晴らしくナイーヴで繊細で、上品でウェットな音質はいまだに無類。

ピカリング XUV/4500Q

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

シャープでヴァイタリティに富んだみずみずしい解像力の良さが魅力。

スタントン 881S

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

4500Qの瑞々しさと400D/IIIのウェルバランスを兼ね備える。

デンオン DL-103D

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

単なる優等生の枠から脱して音質に十分の魅力も兼ね備えた注目作。

テクニクス EPC-100C

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

おそろしく精密で手の込んだ使い方でMMの水準を大幅に引上げた。