トーレンス TD126MKIIIC

瀬川冬樹

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「ハイクォリティ・プレーヤーシステムの実力診断」より

●音質/オリジナルアームつきと、アームなしと、両方の製品がある。まず、アーム自体の性能のよくわかっているAC3000MCとの組合せから試聴した(リン・ソンデックよりひとまわり大きいので、国産アームが無理なくとりつけられる点は便利)。総体に穏やかでウェルバランスといいたい安定感がある。ことにクラシックのオーケストラや弦合奏、そして今回の試聴盤の中でもなかなか本来の味わいの出にくいフォーレのVnソナタなどが、とても優雅に、音楽の流れの中にスッと溶け込んでゆけるような自然さで鳴る。反面、ポップス系では、同席していた編集の若いS君、M君らは、何となく物足りないと言う。その言い方もわからないではない。たとえばL07Dの誰にでもわかる音の鮮明な粒立ち、あるいはLP12の、ことさらに粒立ちを意識させないまでも明るく音離れのよい爽快感。そうした音と比較すると、いくぶん暗く沈みがちに聴こえる点に、好き嫌いが出そうだ。本来の音が穏やかなのに加えて、音量感がほんのわずか減ったような印象を与えるところがあるので、それが聴きようによってはマイナス要因になるかもしれない。ところでオリジナルアームのほうだが、同じカートリッジをつけかえたとき、総体に音のスケールや音量感までも小さくなったように聴きとれる。中域が張ってきて、相対的に音域がやや狭く、Dレンジもまた狭まったかに感じられる。専用のカートリッジはEMT製だが、オリジナルのXSD15をACと組み合わせた音にくらべてかなり貧相だ。
●デザイン・操作性/以前の製品にくらべてツマミ類が何となく安手な感触になっているのが残念だが、比較的小型にうまくまとめられて、大げさでない点がいい。横揺れしやすいので、床がしっかりしていないと、外部からの振動で針が飛びやすい。設置にはこの点多少の工夫が必要。

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