ダイヤトーン DS-503

井上卓也

ステレオサウンド 60号(1981年9月発行)
「Best Products 話題の新製品を徹底解剖する」より

 コーン型ウーファーの振動板材料に早くからハニカム構造振動板を採用したダイヤトーンの技術は、これを発展させアラミドハニカム振動板とダイアフラムとボイスコイルボビンを一体成型をする新技術によるボロンのドーム型ユニットを組み合わせた大型4ウェイブックシェルフ型システムDS505を昨年登場させ、デジタルオーディオ時代に対応するスピーカーシステムのありかたを提示し、反響を呼んだ。今回は、この設計方針に基づく第2弾製品として、3ウェイ構成のブックシェルフ型システムDS503が発売された。
 システムとしての特長は、従来からブックシェルフ型の高級機種には完全密閉型エンクロージュアを採用する伝統があり、これがダイヤトーンの特長であったわけだが、本機では初めてバスレフ型が採用されている点が目立つ。エンクロージュアは、包留柄接ぎ方式を採用し、ポート部分にはアルミパイプダクトを採用しているのが特長。
 ユニット構成は、新スキン材採用の32cmウーファーをベースに、ダイヤトーン・ユニファイド・ダイアフラムと名付けられた一体成型型直接駆動振動板採用で、新設計の65mmボロンドーム型スコーカーと同構造の23mmボロンドーム型トゥイーターの組合せである。ダイヤトーンDUDユニットの他の特長としては、ハードドーム型で一般的な手法である振動板の内側に制動材などによるダンピング処理がなく、そのうえ振動板前面のイコライザーもない設計があげられる。この利点は、アンプ関係の裸特性を向上してNFB量を少なくする設計と共通点がある。前面に障害物がなく、フリーダンプの振動板によるダイナミックで活き活きとした再生能力は、DUDユニットの隠された特長であり、魅力である。
 ネットワークはスピーカーシステムの成否を握る重要なポイントだが、本機では圧着方式配線と2分割型新固定方法の採用で、単純な従来の固定方法とは一線を画した成果を得ている。
 DS503は、床から30cm程度の台に乗せて最良のバランスとなる。低域は豊かで紙独特のノイズがなくクリアーである。中域のエネルギー感はたっぶりとあり、インパクトの強烈な再生能力は凄い。音の表情は505よりフレキシブルで親しみやすいが、併用装置による変化はかなり大きい。

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