JBL 4343

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「第7項・例えばJBL4343について少し研究してみよう」より

 JBLの四桁ナンバーで、43××というように上二桁が43……ではじまる製品は、すべてこの系列だと思っていい。JBLではこれを「プロフェッショナル・モニター・シリーズ」と呼んでいる。
 モニタースピーカーと呼ばれる製品は26項でくわしく説明するように、アンプから加えられた入力信号を、できるかぎり正確に音波に復元することが要求される。すなわち前項までの分類の第一の、アキュレイトサウンドそのものといえる音を再生する。
 中でもこのJBLの4343は、その性能の優秀なこと、どんな条件下でもみごとな音を聴かせることで、音を創る側の人たちばかりでなく、再生の側の、それも専門家筋にとどまらず、音楽家、音楽評論家や熱心な観賞家、はてはごく普通の愛好家まで、広い分野の人びとが一様にほめる、稀有なスピーカーだといえる。クロウト筋の評価が高いのに一般受けしない、とか、市場では広く売れているのに専門家はほめない、などという製品はけっこう少なくないが、どんな立場の人からも広く支持されるスピーカーは、どちらかといえば珍しい部類に入る。
 実際、このJBL4343というスピーカーは、プロフェッショナルの立場の人が、音をどこまでも細かく分析したいと思うとき、その要求にどこまでも応じてくれる。このスピーカーなら、まあ、聴き洩らす音はないだろうという安心感を与えてくれるというのは、たいへんなことだ。
 それでありながらこれをふつうの家庭に収めて、音楽を鑑賞する立場になって聴いてみても、4343は、それが音楽の研究や分析という専門的な聴き方に対しても、また逆に、面倒を言わずにただ良い音、美しい音を楽しみたいという聴き方に対しても、それぞれにみごとに応じてくれる。眼前で楽器を演奏するような大きな音量でも音が少しもくずれない。逆に、夜遅くなって、思い切ってボリュウムを絞って観賞するようなときでも、音はぼけたりしない。クラシックのオーケストラも、ジャズも、ヴォーカルも、ロックやニューミュージックも、どこにも片寄ることなく、あらゆる音に対して忠実に、しかもみごとに反応する。
 このスピーカーに、何の先入観も持たない一般のひとが聴いても、素晴らしい音だと感心する。逆に、4343にいろいろな先入観を抱いている専門家や、半可通のアマチュアのほうが、このスピーカーをいろいろとけなしたりする。もちろん完全無欠の製品どころか、4343といえど、いろいろと弱点も残っている。部分的には4343以上の音を鳴らすスピーカーはいくつかある。けれど、いろいろな音楽を、いろいろな音量で、あらゆる条件を変えて聴いたときのトータルなバランスの良さ、それに見た目の美しさも加えると(これは大切な要素だ)、やはり4343は、こんにちのベストスピーカーのひとつにあげてよいと思う。
 なお、型番の末尾にWXとつくのは、外装がウォルナット木目のオイル仕上げで、前面グリルが濃いブルー。何もつかないほうは、スタジオグレイと呼ばれるライトグレイの粗いテクスチュアの塗装に、グリルは黒。WXは、前面木部のふちを斜めにカットしてあるので見た目にいっそうやわらかいエレガントな印象を与える。
 さて、当り前の話だがスピーカーはそれ自体では鳴らない。アンプやプレーヤーやチューナー、必要ならテープデッキ……というように、さまざまのコンポーネントパーツを上手に組合わせて、そこではじめて、スピーカー本来の能力を発揮できる。いくら優秀なスピーカーでも、それを鳴らしてやる条件が十分にととのわなくては、せっかくの性能も生かされない。
 そこで、JBL4343の、すでに書いたような優れた能力を、十全に発揮するための使いこなしを、いくつかの実例をあげながら研究してみることにする。

Leave a Comment


NOTE - You can use these HTML tags and attributes:
<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください