オンキョー Integra A-815

瀬川冬樹

ステレオサウンド 57号(1980年12月発行)
特集・「いまいちばんいいアンプを選ぶ 最新34機種のプリメインアンプ・テスト」より

●総合的な音質 ここ数年来のオンキョーのアンプに共通の、独特の音の透明感を感じさせる、いくぶん女性的ななよやかな音。一時期の製品が中~高域の透明感を重視するあまり、低域の支えにいくぶんの物足りなさを感じさせたのに対して、本機の場合は十分とはいえないまでも、以前の製品よりもしっかりし、クラシックのオーケストラの低音弦などはむしろ、いくぶんふくらみを感じさせる程度に豊かさがある。低音をそれほど引締めていないタイプらしく、ポップスのバスドラムの強打音などでは、少し音を締めたいと感じさせる場合もある。総体に、以前の製品の弱点であった一聴したカン高さのようなものが感じられなくなり、音にいっそう磨きがかけられ透明感が増して、美しい音を聴かせるアンプといってよい。
●カートリッジへの適応性 たとえばオルトフォンのVMS30/IIのもっている性格が、このアンプの一面の弱点をうまく補うせいか、このカートリッジとの組合せがいちばんバランスの良い楽しめる音がしたと思う。エラック794Eのように高域のしゃくれ上ったカートリッジで傷んだレコードをトレースした場合にも、歪をあまり目立たせず高域のよくコントロールされた音を聴かせる点から類推すれば、古い録音、傷んだレコードをも美しく聴かせ楽しませてくれるタイプだと思う。
 MCポジションは、オルトフォンのような低出力低インピーダンス型では、いくぶんノイズが耳につく。ただしこのノイズは性質が良いために、ボリュウムを絞り加減で聴く限りはあまり耳ざわりではない。しかしトランスを使うと音質がいっそう充実し、ノイズもほとんど耳につかなくなるため、オルトフォンを使うためには外附のトランスが必要と思う。一方デンオンDL303の場合は、カートリッジ自体の持っている音質に、このアンプの音と一脈通じるところがあるためか、いっそうオンキョー的な音に仕上る。デンオン系に対しては外附のトランスにしてそれほどのメリットは感じられなかった。
●スピーカーへの適応性 アルテック系のスピーカーに対しては、クォリティが及ばずといった感じで、このアンプを生かすにはスピーカーを慎重に選ぶ必要があると思った。
●ファンクションおよび操作性 ボリュウムを上げたままで各種スイッチをON-OFFしても、耳ざわりなノイズは良く抑えられている。たいへん手なれた作り方。ローコストアンプでは珍しくモードセレクターが5ポジションあるはたいへん親切。トーンコントロールがオンキョーのプリメインに共通の独特なタイプで、ボリュウムの位置によって利き方が変わり、ボリュウムを中央よりも上げたところではほとんど利かなくなるので、やや注意が必要だ。フォノ聴取時のチューナーからの音洩れはほとんどない。
●総合的に オンキョー独特のサウンドにいくぶん好き嫌いが分かれると思うが、この価格帯のアンプとして、音質、構造、操作性ともよくこなれて、安心して使える。

チェックリスト
1. MMポジションでのノイズ:小
2. MCポジションでのノイズ:中
3. MCポジションでのノイズでの音質(DL-303の場合):2
4. MCポジションでのノイズでの音質(MC30の場合):1
5. TUNERの音洩れ:なし
6. ヘッドフォン端子での音質:1
7. スピーカーの特性を生かすか:1
8. ファンクションスイッチのフィーリング:2
9. ACプラグの極性による音の差:中

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