ソニー TA-E88 + TA-N7B

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 ソニーにかぎらずどのメーカーの製品でも、概してパワーアンプよりもコントロールアンプの方に、そのメーカーの音が色濃く反映される傾向がある。この組合せでも、それぞれの単体のところでも書いたことだが、いくぶんアクの強さ、あるいは押しの強さを感じさせる音の傾向はE88の方に多く感じられ、N7Bの方は基本的にそれと似ているがE88よりはナイーヴな面を持っている。この両者を組み合わせた音は、やはりE88の個性が支配的になり、たとえば菅野録音の「サイド・バイ・サイド3」のピアノトリオを例にあげると、ピアノの打鍵音をかっきりと際立たせ、ベースのピツィカート、そして前半をコードで支えるギターの音などを、ひとつひとつ、目鼻立ちをはっきりさせながら楽器の存在を強調する感じで聴こえる。これに限らず、録音されている音の姿をひとつひとつあらわにしてゆく傾向があって、そのことが、曲によって少々分析的にすぎるようなイメージを抱かせる場合もあった。

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