CSE A-3000

菅野沖彦

ステレオサウンド 131号(1999年6月発行)
「SPUND SCOPE」より

 オーディオの周辺機器には様々なものがあって、にわかには、どれを信じていいやらと惑わされることが多い。「君子危うきに近寄らず」ではないが、日頃はできるだけ、そうした自分に明確に判断できないものは避けている。とはいえ、何かのチャンスで使ってみて、わずかでも効果があると無視できないのが、この道に狂ったものの人情であろう。音というものは、瞬間、直感、実感しかない抽象の世界だからである。
 じつは最近、珍しいものに出会った。スピーカーの周囲の空気をマイナスイオン化することで音がよくなるという、信じていいのやら悪いのやら……、つまり僕の知識では、その動作原理は理解困難なものなのだが、しかし、文字通り、論より証拠、機会が与えられたので聴いてみることにした次第。
 それが、ここにご紹介するCSEのA3000というトゥイーターシステムである。わが家でも本誌試聴室でも、これをつなぐとたしかに音が澄んで、魅力的になるのを体験してしまった! これを実際に体感した以上、否定するわけにはいかない。
 無論、なにかをすれば音は変る。問題はよく変るか、悪く変るかの判断である。
 トゥイーターは最近輸入されたスイス製の「エルゴ/AMT」というヘッドフォンが採用しているものと同じハイルドライバーを搭載。トゥイーターとしては、メインスピーカーにあえばいいユニットだと思う。僕の家ではJBL/075にパラレルにつないで実験したのだが、再生帯域15kHz〜30kHzをもつこのユニットは、うまくつながった。しかし、それは別にどうということはない。ただたんに、「いいトゥイーターがあらたに一つ見つかった」というだけのことで、マジックはないのである。
 問題は、これが音声信号に同期してその発生量を変化させるマイナスイオン発生器をもっていることだ。かつてない代物である。つまり、ポイントはマイナスイオン化によって音がよくなるという現象の真偽である。そこでトゥイーターの接続をはずして、イオン発生器だけを動作させて音を聴いてみたのだが、これがいいのである! 音が明らかに、独特の柔らかさ、滑らかさ、清々しさに変って聴こえるのだ。
「スピーカー周辺の空気をマイナスイオン化することの効果である!」と、開発者である、クリーン電源システムでおなじみのCSEの真壁社長はいわれるのだが、そんなものであろうか? さらに、「振動板の微小振動を妨げている原因は、振動板周辺の空気の粘性にある。その空気をマイナスイオン化すれば、粘性が低減して微小振動が生かされる」のだそうだが、理論的な証明はまだできないともいわれるのだ。
 したがって、商品としてはトゥイーターシステムとして発売されるのであろうが、しかし、マイナスイオン化による効果を経験すると、音声信号同期式の「マイナスイオン発生器」単体で少しでも安く発売されるほうが有り難いと、私は思うのだが……。

Leave a Comment


NOTE - You can use these HTML tags and attributes:
<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>