瀬川冬樹
ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より
レベルコントロールが例によってついていないから設置のしかたが全体のバランスや鳴り方を支配する。662は、背面を壁にぴったり寄せて低音の量感を補う置き方が基本だと思うが、そうすると、こんもりと暖かく、くるみ込まれるような穏やかな音がする。また逆に背面を大きくあけると、ローエンドは不足するが、音の鮮度が増して音離れのよい印象になる。いずれをとるにしても中途ハンパに背面をあけるのはよくないように思う。KEF105IIと比較すると、105ほどの広がりや定位のこまやかさや正確さは持っていないが、暖かく、鋭さのない、聴き手を十分に楽しませくつろがせるやわらかい魅力的な音色を持っている。音のこまかなアラを目立たせない。適度の肉づきと適度の厚みがある。ほどの良さということをイギリス人は最もよく知っているというが、このスピーカーなどまさにそのひとつの典型かもしれない。質が高くしかも穏やかだから、カートリッジやアンプの質の良さをよく鳴らし分ける。
総合採点:9
●9項目採点表
音域の広さ:8
バランス:9
質感:9
スケール感:8
ステレオエフェクト:8
耐入力・ダイナミックレンジ:8
音の魅力度:9
組合せ:やや選ぶ
設置・調整:やや工夫要
0 Comments.