井上卓也
ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
セパレート型アンプに限らず、プリメインアンプを含めてアンプの分野では技術革新の店舗が非常に急速であることに特長がある。トリオのセパレート型アンプは、トップエンドにサプリームシリーズを置いているが、最新の技術が投入され話題を提供しているのはLシリーズの製品である。
今回のL07CII/MIIは、アンプの高速応答性を改善することにより高域における動的歪を減少させたハイスピードパワーアンプL05Mの設計思想を受継ぎ、数多くのアンプ作りのノウハウを投入して開発された第2弾のハイスピードアンプだ。パワーアンプL07MIIはもちろんのことコントロールアンプL07CIIにもハイスピードアンプの思想が盛込まれている。
ちなみに、トリオでいうハイスピードアンプの条件とは、スルーレートが100V/μs以上、ライズタイムが1μs未満、信号の正負のレスポンスが出力の大小にかかわらず同値であり、かつリンギングなどの波形の乱れがないことである。
L07CIIコントロールアンプは、パネルデザインが大幅に変更され、より現代的な印象となっている。回路構成上の特長は、フォノ入力のイコライザー段がMC専用とMM専用が独立した2系統になっていること、内部構造が左右独立した配置であること、出力インピーダンスが10Ω以下と超低インピーダンスであることがあげられる。
L07MIIモノーラルパワーアンプは、パワー段に高域特性が優れたEBTを採用し、特殊単一金属の高精度被膜抵抗、積層スチロールコンデンサー、低歪率特殊高性能電解コンデンサーなどを厳選し、高域特性が優れた前段設計とともにスルーレート170V/μs、ライズタイム0・55μsを得ている。定格出力は、10Hz〜100kHz/0・008%の歪率で、150ダブ区(8Ω)。
L07CII/MII×2の組合せは、2台のパワーアンプをスピーカーシステムに近接した位置に置き、コードの影響を減らし、コントロールアンプからパワーアンプ間を専用シールド線で結合するという、業務用機器的使用法が標準である。この組合せは、ナチュラルに伸びたfレンジをもち伸びやかでスッキリとしたクォリティの高い音を聴かせる。音色は、ほぼニュートラルで、さしてスピーカーを選ばず、それぞれの個性を引出すのが魅力だ。
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