ナカミチ Nakamichi 410

井上卓也

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 カセットの高級メーカーとして定評があるナカミチからは、すでに、カセットデッキを含めて、テープデッキの機能を活かすプランでまとめられた、ユニークな600シリーズのセパレート型アンプが発売されているが、今回は、この600シリーズにつづいて、400シリーズのコントロールアンプ Nakamichi 410とパワーアンプ Nakamichi 420が発売されることになった。新シリーズはアンプの物理的特性を極限まで追求するポリシーでつくられた600シリーズの設計思想を受継いだ、いわば、ジュニアシリーズとも考えられる製品である。
 600シリーズのコントロールアンプ610が、一般のコントロールアンプというよりは、ライン専用カセットデッキという思い切ったプランでつくられた、600のミキサーアンプにフォノイコライザーを加えたような、テープ志向が強く出た、ユニークなモデルであることにくらべれば、この410は、610からミキサー機能を取除いたと考えられる、いわゆるコントロールアンプらしいモデルである。
 薄型のプロポーションをもつフロントパネルには、ほぼ中央にプッシュボタン型の4系統の入力をセレクトする入力切替、1系統のテープ入出力切替、トーンディフィート、ステレオ・モノ切替、それに、サブソニックフィルターがあり、左側には、高音と低音のトーンコントロール、右側には同軸型の音量とバランス調整、連続可変のコンター、つまり、ラウドネスコントロールがあるが、機能的に、よく整理されているため、操作性がよく、視覚的にもスッキリとまとめられている。
 内容面は、イコライザー段に差動アンプを使用しない、トリプルトランジスターサーキットと呼ばれる特殊回路を採用し、入力換算雑音を−140dBまで下げてあるのが特長である。イコライザー段、トーンコントロール段、フラットアンプなどは、それぞれ独立したエポキシ系のプリント基板に分割してユニットアンプ的手法が採用されており、電源トランスは、磁束のリーケージを抑えるためトロイダル型オリエントコアを使っている。

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