Daily Archives: 1999年12月11日

BOSE LS12II

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

5・1chなどのサラウンド方式は、ドルビー・ディジタル、dtsなど多くの方式があり、難解なことが最大のネック。あれこれ難しい調整をしなくても、モノーラル/ステレオを問わず、容易に5・1ch再生を可能としたBOSE DIGITALの成果は素晴らしい。包み込まれるような雰囲気は、聴けばわかる別世界。

パイオニア Exclusive Model 2404

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

比較的に古典的設計を守るホーン型システム。抜本的に入力系の直結化を計り、音圧が非常に高い振動板エッジ部の対策を施した設計が、ストレートに音に聴かれる成果は、異例中の異例。鋳鉄フレームの禁を犯したウーファー設計は、確信犯的な技術成果で、少し硬質だがビシッと決まる低音はスリリングでもある。

テクニクス SB-M1000

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

2組のパッシヴラジエーター付きケルトン型低域を背向させ、振動板振動反作用を打ち消す設計は、瞬発力を備えた同社最新セパレートアンプとの組合せによって、遅れ感のない柔らかく豊かで深々とした低域再生を実現させた。スーパーグラファイト超高域ユニットは、次世代メディアの特徴を見事に再生する。

パイオニア C-AX10

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

2chステレオ再生でのディジタル技術の可能性を展開しながら次世代メディアへの対応性を併せ持たせた、パイオニア次世代オーディオシステムの中核モデル。ディジタル・クロスオーバー、ディジタルトーンとNR、6chA/D、8chD/A内蔵で、非常に多機能ではあるが、鮮度感があり、反応の速い音の魅力は素晴らしい。

テクニクス SB-M800

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

SB−M10000/M1000系の最新製品。高域は100kHzのレスポンスを誇る上級機譲りの特徴がある。密閉型とバスレフ型の利点を併せもつ独自のDDD方式ウーファーは、最新プリメインアンプの低域駆動能力の向上で、従来と一線を画した、柔らかく豊かでドライブ感のある低域再生を聴かせる。予想を超す魅力の新モデル。

アクースティックラボ Stella Harmony

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

ステラ・シリーズの末っ子モデル。5種類の表面仕上げが選択可能であり、別売スタンドの用意もあり、視覚的にも聴感上でも楽しめる多彩な魅力は、高級機に匹敵する高次元の趣味性があり、オーディオの楽しさを実感できるのは嬉しい。小型モデル独自の点音源的な発音源の小ささは、定位明瞭で空間再現も実に見事。

タンノイ Turnberry/HE

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

音の密度の高さ、同社独自のセンシティヴな反応を示す音の魅力を求めると、設置場所の制約の少ないトールボーイ型の本機は、ディストリビューテッドポート採用の独自の調整箇所を含めて、使い易さという点でも格別の魅力がある。同社最新スーパートゥイーターST200を加えて使いたい実力派。

BOSE 505WB

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

サテライト部は、5・7cmウーファー×と2cmトゥイーターの2ウェイ型、アクースティマス方式低域は、16cm×2と同社初の3チャンバー方式により、振動板面積の音を集約し、量と速度を制御する効果は大きく、楕円ポートは流出空気ノイズ低減に寄与する。爽やかで鳴りっぷりがよく、ダイナミックな音は小気味よい。

BOSE AM-15

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

ドルビー・ディジタルやdtsなどのディジタルサラウンド方式用5.1チャンネル・スピーカーシステム。60mmドライバー×2の全域新型ユニットを5本と、LFEレベル調整付120Wアンプを採用した13cm×2アクースティマス型サブウーファーの組合せは取付け自由度が高く、気軽に使えて効果の大きい注目作。

ユニゾンリサーチ Simply Phono

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

ユニゾンリサーチのシンプリー・シリーズと組み合わせる目的で開発された電源部レスのフォノEQ。基本的にはMMカートリッジ対応型ではあるが、利得は52dBと高めの設定で、負荷抵抗も47kΩから22Ωまで4段切替可能なため、高出力MC型も使用できる。管球フォノEQとカートリッジの相性は魅力的で、気軽に使える利点は大きい。

パイオニア PT-R6

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

DVD−A、SACDの超高域再生能力に対応するために新開発された最新リボン型ユニット。振動板材料はアルミ系合金で、ソフトドーム系のユニットと組み合わせても質感のマッチングでの問題はない。本来のシステムの情報量が見事に増え、ナチュラルな自然体の音になる効果は、現行CD再生時でも顕著で楽しい。

リン Linto

井上卓也

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アナログプレーヤーLP12で注目を集めたリンのフォノEQだけに、各種カートリッジの音を趣味性の高いレコードの音として聴かせる能力の高さは素晴らしく、遥かに高価格かつ高性能を誇る高級フォノEQでも、本機の音の佇まいに匹敵する製品は少ない。TV放送のない深夜に落ち着いて聴きたい、味わい深い音なのである。

パイオニア PT-R9

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

実績あるパイオニアのリボントゥイーターの伝統を受継ぐ1996年発売の高級モデル。振動板のリボンは、ベリリュウム製で、リボン型独自の薄膜が振動しているような附帯音の少なさが最大の魅力。感度は97・5dBと驚異的に高く、100dB級のホーン型ユニットとの組合せが可能。全帯域への影響度は想像以上に凄い。

イケダ Ikeda 9C V

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

基本的な発電機構は同社トップモデルIkeda9 Supremoと変らない、ダイレクトカップリング方式の魅力を味わうための注目モデルである。組み合わせるトーンアームはダイナミックバランス型がマストな条件ではあるが、初期の調整をオーソドックスに行なえば、予想以上に安定度は高く、この音の魅力は大きい。

ユニゾンリサーチ S8

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
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装いを変えて、いちだんと独自の輝きのある世界を提示した感がある、ユニゾンリサーチの大型筐体プリメインアンプ。前作よりも小型高密度化された筐体構造は、木部のマッシヴな造形と新採用のステンレス切削加工のポッテリしたツマミ形状が特徴的。845のフィラメントを輝かせると、音を聴く以前に暖かい優しさに心を奪われる。

NHT SubOne

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

前面バッフルをフォーカスド・イメージ・ジオメトリー理論で角度を付け、自然なリスニング空間を聴かせる特徴がある。NHTの独立型コントローラー付アクティヴ型。25cmユニットは26mmのストロークを誇る。エンクロージュアはバスレフ型。ローパスとハイパス機能を備えたコントローラーは多機能が特徴。

イケダ Ikeda 9 Supremo

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

世界的に類例のない、針先が発電コイルをダイレクトに駆動する独自の発電構造を誇る同社のトップモデルだ。パーメンダー採用の磁気回路は効率が高く、磁気制動のバックアップで音溝の情報を確度高くピックアップしているような独自の音は、コンプライアンスのあるカンチレバー型と別次元の唯我独尊の世界である。

BOSE AM-033

井上卓也

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外観からはボーズ独自のAWCS方式のキャノンサブウーファーと思われそうだが、実際はアクースティマス方式のパッシヴ型サブウーファー。ダブルボイスコイル採用ユニットはL/R信号をそのまま入力可能。専用ブラケットで各種の設置方法で楽しめる魅力もある。重低音再生というより低音域の増大に効果のあるモデル。

マランツ PM-14SA

井上卓也

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超重量級プリメインアンプPM15を頂点とする同社プリメインアンプの中核モデルであり、前作、PM14の内容をリフレッシュしたプリメインアンプ。見事にコントロールされた、SN比が高くかつパワフルなSP駆動能力は素晴らしい。駆動の難しいB&W Nautilus801をストレスフリーに鳴らす実力の高さは見事。

オルトフォン SPU Classic GE

井上卓也

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第1世代のオリジナルSPUを現代に蘇らせた復刻版と考えられるモデル。現代的な非磁性体巻枠を採用する、軽量振動系の同社純MC型も大変に魅力的ではあるが、ステレオ初期からのアナログファンに、ステレオLPを初めて聴いた当時の感激を蘇らすキッカケとして所有したいと思わせる、本機の原点復帰的意義は大きい。

JMラボ Sub Utopia

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
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第3世代のユートピア・シリーズのMezzoやMiniと同時に発売されたシステムらしく、例えば、Miniの特徴を損なうことなく、絶妙に低域の量感を加える見事な調和ぶりには本当に驚かされる。平均的にサブウーファーの調整は難しいが、本機は比較的に容易に操作可能で、かつ効果の見事さは、まさに脱帽。

クレル 600c

井上卓也

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クレルのパワーアンプ群中では、ステレオ板のトップモデルである。前作では少し大味な傾向があり、安定かつ強力な100V電源が不可欠な条件であったが、CAST化により高SN比、高分解能化が達成され、いちだんと使いやすく見事な音のアンプに発展進化を遂げた。本機が一般の家庭用電源で辛うじて使える限度の製品。

デンオン DP-900M2

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

塗装仕上げが美しいランバーコア材のプレーヤーベース部と、ソリッドな感じのターンテーブルが醸し出す、アナログ時代の旧き良きプレーヤーらしい印象は、旧いファンにとっては、ノスタルジックな感銘さえ受ける雰囲気がある。トーンアームは少し華奢ではあるが、トレース能力は高く、ハウリングマージンも十分。内容の濃さが魅力。

ジェフ・ロゥランドDG Model 8Ti HC

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

Model8をオリジナルとする、同社を代表する典型的なステレオパワーアンプ。高剛性ブリッジ構造の筐体はメカニズムの音質への寄与を如実に示した成果であり、型番末尾のTは入力トランス内蔵を示し、HCはハイカレント動作を意味する。見事な力感に支えられた正統派で高SN比の音は、基本性能の高さを示す証しだ。

テクニクス SL-1200MK4

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

実質的に世界最高の生産量を誇る超ロングセラーモデル。キャビネットとモーターを一体化したアナログプレーヤーとしては、華奢な印象を受けるが、適度な柔軟構造による制振効果もあるようで高周波妨害にも強く、かなり条件の悪い場所で予想以上のアナログディスクの音が楽しめるのは立派。