Daily Archives: 1974年12月20日

JBL LE175DLH

岩崎千明

ステレオ別冊「ステレオのすべて ’75」(1974年冬発行)
「オーディオ製品紹介 1975」より

 JBLのオリジナル、もっとも初期からシステムとして構成されたその名も001。2ウェイの高音用として指定されたのが175DLH。ウーファーは130A、4cm径の金属ダイアフラムのユニットと約20cmのホーンはその前面に設けられたパンチングメタルを5枚、すき間をあけて重ねて作られた音響拡散器とによって、開口部における音響反射がおさえられるとともに90度の広角に高音エネルギーを拡散して、家庭用としてこの上なく理想的な高音輻射を実現している。パンチングメタルの間につめられたフェルト状吸音材によりJBLの他の高音用よりやや繊細なサウンドでこれが好みを左右する。

JBL 075

岩崎千明

ステレオ別冊「ステレオのすべて ’75」(1974年冬発行)
「オーディオ製品紹介 1975」より

 JBLの初期から高名とどろくホーン型高音用が075。リングラジェーターと称しホーンのスロートでごく狭くした上でドーナツ状にして拡散を図ったが、設計の意図と違ってリング状のホーンの開口は、全体として約10cmのホーン開口と同じことになってしまって、せっかく鮮鋭な高エネルギーながら拡散特性はあまり良いとはいえず、高音用としての大きな利点を損なったともいえる。しかし73年になって、プロ用にこの075の拡散特性を大改良した角型開口の2405が発売され、さらにコンシューマー用としても、まったく同じ構造の077なる名器の075改良型がでることになるJBLブランドにふさわしい製品だ。

アルテック 604E

岩崎千明

ステレオ別冊「ステレオのすべて ’75」(1974年冬発行)
「オーディオ製品紹介 1975」より

 アルテックのスピーカーを代表するモニター用15インチ(38cm)2ウェイ型。当時アルテックにいたミスターJ・B・ランシングが1946年に発売したホーン型高音用を大型ウーファーと同軸上に組み合わせた2ウェイ・スピーカーを、具体化して製品としたのがアルテックの600シリーズで、601の12インチ型と603簡易型及び604の15インチがある。38cmウーファーは強力型515と同じ。そのウーファーを貫通して高音用ユニットのマグネットを貫通して高音用ホーンが設けられており、外観から想像できぬほどのホーン有効長を得た本格的な2ウェイ。力に満ちた迫力と、比類ないステレオ定位、音像の確かさは秀逸。

アルテック 605B

岩崎千明

ステレオ別冊「ステレオのすべて ’75」(1974年冬発行)
「オーディオ製品紹介 1975」より

 業務用としてスタジオでの監視用モニターにもっとも広く活躍する604Eを基とし、家庭用ハイファイ用にリファインされたのが605B。ウーファーが604Eの515同等に対し416A同等となっている展が最大の相違点で外観上は604Eのやや高域に偏し引締った音に対し、格段に優れてフラットな特性と聴きやすいサウンドを得ており、類まれな高品質の2ウェイとなった。製品としては604と同時期から存在するが604のかげに日本ではその良さを充分に認識されることがなかったのは痛恨事であったが、最近「クレッセンド」が認められつつある。

JBL D130

岩崎千明

ステレオ別冊「ステレオのすべて ’75」(1974年冬発行)
「オーディオ製品紹介 1975」より

 JBLスピーカーの優秀性を端的に代表するユニットが38cmフルレンジD130。比類ない高エネルギーと能率の高さが、今日ではおろそかにされがちな音響変換器の本来持たねばならぬ素質の良さを、強烈な形で使う者に知らせてくれる。8000Hz上の高域はかなり低減するが帯域内でのバランスの良さ、特に200ないし80Hzのいわゆる中音域の充実感はこれを知ると手放せなくなろう。このユニットが日本のファンに好評な理由は、まずフルレンジとして高音をやや強めた状態で愛用され、あとから高音用ユニットを追加することにより、JBLオリジナルに近い2ウェイ・システムに高められるという利点にある。

アルテック 419-8B

岩崎千明

ステレオ別冊「ステレオのすべて ’75」(1974年冬発行)
「オーディオ製品紹介 1975」より

 JBLの大型フルレンジの38cmがD130なら、アルテックの38cmは420A、30cmが419得非である。JBLのシングルコーンに対してアルテックは2つのコーンをつないだ形の変形ダブルコーンで、倍フレックスと呼ばれる。バイBiは2つの意味。センターのアルミドームが高域ラジエーターとして有効なのはJBLと似ている。再生音域が充分広いとはいえぬがややソフトな耳当りの良い朗々たるサウンド。はっきりして定位の優れたステレオ感。いかなる用い方にも応じ得る素質のよさに裏付けされたハイファイ全般への広範な酔うとに広く推められるべき極上のコストパフォーマンスの優秀ユニットだ。