テクニクスのスピーカーシステムSB400、SB500、プリメインアンプSU50A、SU3600の広告
(スイングジャーナル 1971年2月号掲載)
Category Archives: スピーカーシステム - Page 86
アルテック 211, アムクロン DC-300
アコースティックリサーチ AR-2ax
サンスイ SP-10, BA-60, QS-1
パイオニア CS-E900
菅野沖彦
スイングジャーナル 2月号(1971年1月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
今月の選定新製品として選んだ、CS−E900は、同社がクリアー・サウンドというキャッチ・フレーズで売り出し中の一連の音のキャンペーンに連る。
スピーカーというものは難しいものだ。これほど、再生装置を構成するパーツの中で、全体の音を左右するものはない。つまり、すべてのスピーカーは、ある技術的な理想に向ってつくられているはずなのに、その音は千差万別、それぞれ極めて個性的なのである。カートリッジについても、アンプについてすらも言えることだが、スピーカーほど独自の性格をもつものはないのである。スピーカーは電気音響の粋といってよくその動作の電気的特性から類推するという管理ではとても追いつかない。着実なデータの集積と長い経験鋭い感覚から生れるスピーカーづくりのノーハウは、それぞれのメーカー独特の手法として存在し、そのメーカーの体質となり血となってほしいものだ。
褐色に着色したコーン(FBコーンと同社は称している)を使用したウーハー、スコーカー、そしてマルチ・セルラー・ホーンのトゥイーターを使い、バッフルは仕上げの高い木肌の魅力をもった完成度の高いシステムである。これほどCS700、500など一連のシリーズの経験を生かしたシステムとして高く評価できるものだ。マルチ・セルラー・ホーン・トゥイーターのデュフィーザーは廻転式で、システムを縦位置においても横位置においても、これを90°回転をさせて水平方向への指向性を改善できる。もっとも、これはデュフィーザーの設計で、そのままで水平垂直方向へ拡散させるものをつくればよりよいわけだ。中音は12cmコーン、ウーハーは30cmコーンである。最近のほとんどの製品がそうであるように、インプット端子はネットワークを介したフル・レンジ用と、3つのユニットにダイレクトに接続されるもの、そして、トゥイーター、スコーカーはネットワークを用いる2ウェイ式の切換スイッチ及びターミナルをもつ。アッテネーターは前面バッフルに±3dbの範囲で調整できるものが装備され高域、中域のレベルを独立してコントロール出来る。エンクロージュアは完全密閉型で、かつての優秀製品CS10やCS8の流れをくむものだ。クロスオーバーは400Hzと4kHzの2点。
試聴感は、全体にさわやかな透明感が感じられ、音の傾向としては華麗である。重厚味やマッシヴな力感という面はあまり感じられない。したがって、どちらかというと黒っぽいジャズの再現には少々線が細く、よりソフィステイケイトされた音楽のほうがしっくりいく。高域の輝やかしい音色は魅力的だが、中域にやや腰くだけのようなあいまいさが残るのが玉に傷だ。もっとも傷のないスピーカー・システムなど、今だにお目にかかったことはなく、その他に良い面が強くあって、アバタもエクボとなるようならよしとしなければならないのが実状である。このシステムのまとまったバランスド・サウンドは、緻密な仕上げのエンクロージュアや外装デザインと共に整然とした完成度の高いものだ。あまりにも端整なのが、よきにつけ、あしきにつけ、このシステムの特長であろう。前面サランネットをつけた本機のたたずまいは、きわめて洗練されたもので、最近のパイオニア製品共通のセンスを感じる。それは、テープレコーダーにもステレオレシーバーにも散見できるセンスのひらめきであり、オーディオ機器が嗜好品としての性格を持つという本質をよく理解した製品づくりの誠意が感じられて好ましい。
スピーカーの音は、一朝一夕に出来るものでもないし、作ろうとして作ったものは根底から人の心を動かすことは出来ない。エネルギー変換器としてのスピーカーの物理特性とまともに取り組むことから滲みでてくるのが本当の個性である。人が技術を通して滲み出る。これが本物だ。したがって、スピーカー技術者が、そしてメーカーが、まず人として魅力あるパーソナリティをもち、普楽の心を抱いていなければならない。技術は技術、人は人で音作りをしたような製品ではこれからのオーディオ界には通用しないのだと思う。
パイオニア CS-300, CS-500, CS-700, CS-900, CS-E350, CS-E700, CS-E900
テクニクス SB-500
オルトフォン MF15, SL15, B&W DM3
JBL Aquarius 2A, Aquarius 3
ダイヤトーン DS-34B MKII, DA-33U, DA-30R, DP-82B, DT-1500
YL音響 YL-11, YL-15, YL-17
アルテック Santana
アコースティックリサーチ AR-2ax
サンスイ SL-5, SL-7, SP-10, SP-30, SP-50, SP-70, SP-150, SP-1001, SP-2002, SP-3005 etc…
オンキョー U-5000, U-6000
サンスイ SP-3005, CA-606, BA-150, CD-5A, TU-888, SR-4050
フォスター G-11, G-33, G-44
テクニクス SB-400, SB-600
JBL Olympus S8R
岩崎千明
スイングジャーナル 1月号(1970年12月発行)
「supreme equipment 世界の名器を探る」より
ギリシャの神殿「オリンポス」をその名にとったスピーカー・システム、それが米国JBLサウンドの家庭用最高級システム「オリンパス」だ。
その名の由来を彷彿させる厳しゅくなたたずまいと、優雅な響きは、まさに世界スピーカー・システムの中に厳然たるJBLサウンドを代表するにふさわしいシステムであろう。
JBL社の代表的システムとして、あるいはオールホーンのレンジャ・パラゴンをたたえる識者や、さらに古くモノーラル時代の絶品ハーツフィールドを推すマニアもいるに違いない。
そのいずれもが低音ホーンロードのエンクロージュアで、折返しホーンの前者、クリプッシュ・ホーンの後者のいずれもが価格的にオリンパスの倍にも近い豪華システムである。
しかし、今日のステレオ時代、さらに4チャンネル・ステレオ時代を迎えんとする40年代における代表格としてあえてこの「オリンパス」こそ、それにふさわしいものと断じるのはいささかもためらいを要しないと思う。
大型エンクロージュアでしか得ることのできなかった重低音は、その数分の1の容積のシステムでも楽々と再生され、ここにこそ常にトップを行くJBLサウンドの技術をまざまざと見ることができるからである。
「オリンパス」のデビューしたときにはそれはバスフレックス・エンクロージュアであった。しかし、現在の低音はJBLのオリジナル製品ともいいうるパッシブ・ラジエーターによって再生される。
この方式がRCAのオルソン博士によって発表されたのは遠く戦前1936年のことだが、その直後に出たRCAの電蓄を除いては、今まで製品として市場に出たことはなかった。この方式の唯一の成功例がオリンパスであり、さらにそれに続いたランサー・シリーズのいくつかで、すべてのJBLのシステムなのは興味深い事実だ。
このオリンパスの成功こそJBL社が、以後まっしぐらに家庭用システムでの多大の成果を得るきっかけとなったことからも、また今日のJBLの偉大な存在の布石となった点からも、JBLの代表ともいい得よう。
オリンパスには2通りある。LE15A+パッシブ・ラジエーターの低音に、LE85+HL91を加えたS7と呼ぶ2ウェイ。
LE15A+パッシブ・ラジエーターの低音に575ドライヴァー+HL93の中音、075の高音という3ウェイのS8R。
むろん代表格は3ウェイのS8Rシステムだろう。
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