パイオニアのスピーカーシステムCS3000の広告
(スイングジャーナル 1971年12月号掲載)
Category Archives: スピーカーシステム - Page 81
パイオニア CS-3000
オンキョー U-4500, E-53A
テクニクス SB-30, SB-50, SB-100, SB-300, SB-310, SB-400, SB-500, SB-600, SB-700, SU-3100, SU-3400, SU-3600, SU-50A, ST-3100, ST-3400, ST-3600, SL-30, SL-40, EPC-205C, EPC-260C, EPC-280C
ラックス LX77, BOSE 901
トリオ KR-5170, KL-2060, KP-2022
アルテック DIG
菅野沖彦
スイングジャーナル 12月号(1971年11月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
アルテック・ランシングはアメリカ、カリフォルニア州のサンタアナに本社のある世界的なオーディオ・メーカーである。サンタアナは有名なディズニーランドに隣接していてアルテックを訪れる人は、必らずディズニーランドへ行く。そして、そこで聴える音のよさに関心を持つ。実際、この種の遊園地で鳴っている音というのは、まず、歪だらけの騒音であるのが普通。特別なハイ・ファイ・サウンドではなくても、ごくノーマルなサウンドが流れていることだけでも、われわれには驚きだ。それも、不思議なことに、いつ行っても良い音で鳴っている。つまり、よほど耐久力があるのか、保守がよいのかのどちらかだ。この音響システムは近隣のよしみでもあるまいがアルテックである。そう、アルテックはそもそも、こうした苛酷な使用に耐えるプロ機器専門のメーカーであって、劇場、教会、学校、スタジアムなどの大きな建物で使う大パワーのエクイプメントでは右に出るものがないといってもよかろう。しかも、その特長は単なる拡声装置としてではなく、よい音で音楽を再生し得るシステムだ。つまり駅のアナウンスなどに使われる手合いではない。ウェスターン・エレクトリックの流れをくみ、JBLの創設者であるスピーカー造りの天才、JBランシングが技師長を務めたアルテックの社歴からもわかるように、同社の製品のオリジナリティーに溢れた優秀性、高い信頼性は多くの同種メーカーの範となっているし、音に関心の高いファンの間で大きな人気と支持を得ているものである。製品のバリエーションはきわめて広く、現在では一般家庭用向きの(アメリカでは、これをハイ・ファイ・エクイプメントと呼ぶ。そして、われわれがいうプロ機をコマーシャル・プロダクツという)製品にも力を入れているが、A7−8〝ヴォイス・オブ・ザ・シアター〟システムに代表される明るく豊かな、透明な音の魅力が、全ての製品に共通して感じられる。アルテック・サウンドとして、われわれがもっている音のイメージは、実に屈託のない明るさ、デンシティーの高いち密なクォリティーだ。そしてちょっと聴くと無機的に感じられるほど精度、確度の高い音像再現なのだが、使い込んでいくと豊かで、デリカシーのあるニュアンスを感じるようになり、他のスピーカーでは得られない魅力のとりこになる。もちろん、メーカーはそんなことは考えていない。あくまで技術的な立場に立って理論にかなった設計、豊富な素材の投入によって、より理想的な変換器としてのユニットを開発、それを限られた形でシステムとしてまとめる時に、ソフト・ウェアー性の強い音響箱に収めるが、その際にもオーソドックスな理論を大きく曲げない範囲での妥協点を求めるという精神だ。しかし、この妥協点の求め方、ここにボイントがあるようた思える。ギリギリの所までは純粋に技術的見地から追い込み、実験的な立場から甲乙を決定する。あるいは、この結果をノウハウとして製造に生かすところにアルテックの長い経験と社の体質が息づく。
ここにご紹介する〝ディグ〟は、同社の普及型、同軸2ウェイ・システム〝409B〟ユニットを使ったもので、もともと、現在はアルテックに完全吸収されたユニバーシティーにオーダーして作らせていたアイテムである。20cmウーハーの高域はメカニカルに減衰させコンデンサーで低域をカットしたコーン・ツィーターがシンプルなデュフィーザーと組み合わされ、フレームにカプルされている。これを、かなり大きな容積をもった位相反転箱に収めたシステムだが、実にユニークな製品としての魅力をもっている。
音は生き生きした感触が魅力だが、〝ディグ〟というネイミングにふさわしいこくのある音質をもっている。適度なパワーを入れて、部屋によっては若干低音をブースト気味にして使うとよい。現在の広帯域ハイファイ・スピーカーの持つそらぞらしさに時として白けた気持になることがあるが、これは、そうした物理特性だけを追ったものとは対象的な存在で、心暖まる音を聴かせてくれる。よく整理され、ほどよく強調された美しい再生音、つまリレコード音楽の魅力を存分に味えるという、いわば大人っぼいスピーカー・システムといっておこう。26、800円という価格も気張らなくてよい。これを鋭くやかましく鳴らすようでは再生技術が不十分。
ソニー ULM2, ULM3, ULM4, ULM6
オンキョー U-4500, E-53A
パイオニア CS-3000
ラックス LX77
テクニクス SB-300, SB-500, SU-3100, SU-3400, SU-3600, ST-3100, ST-3400, ST-3600, SL-40, SL-100W, EPC-205C, EPC-260C
アコースティックリサーチ AR-3a, AR-2ax
ダイヤトーン DS-22B MKII, DS-31C MKII, DS-34B MKII, DS-251, DS-301
サンスイ SP-LE8T, JBL L44, L77, L88 Nova, L100 Century, Lancer 101, Aquarius4, S99 Athena, Olympus S8R
BOSE 901
フォスター GZ-75, SU-163
サンスイ SP-2005
岩崎千明
電波科学 11月号(1971年10月発行)
「電波科学テストルーム」より
今や市場に優秀なスピーカシステムを提供するメーカーとしてすっかり名の通った「サンスイ」が、4チャネル時代を迎える今日、新らしく発表したスピーカシステム、それがSP2005とSP1005である。
この新シリーズが今までのスピーカシステムと大いに異なる点はつぎの2つにある。
そのひとつは、「音場再生を狙って設計した」という点であり、もうこひとつは、ブックシェルフといわれる寸法でありながら、それはフロアー形である点である。
この2つの点において、山水の新シリーズは、従来のこの種のスピーカシステムとは、その存在を明確に違えているのだが、その端緒となったのは、すでに半年ほど前に発表された、ひとまわり大形のシステムSP3005だ。3005が発表会でわれわれの眼にふれたとき、少なくとも私はこのスピーカの意図したサウンドが、他のメーカーより一歩早く4チャネル時代を先取りしたものであることを意識させられたのだ。ただし、その再生品位という点で、この豪華、かつ、すばらしい技術的着目に追いつききれず、少なからず不満を感じた。音の捉え方が大まかで、5万というこの価格にふさわしい節度を保っているとはいい難いのである。
ただこのような欠点がありながら、このSP3005の創る音場は、実に魅力的で、今までの国産スピーカにないスケールとフィーリングが満ちていたことをすぐれたデサインと共に痛感したのであった。
このSP3005発表の時点で、4チャネルサウンドはサンスイのシンセサイザQS1による2-2-4方式での再生のみで普及していた。
しかし、4チャネルステレオが、ますますクローズアップしてくると、SP3005の狙っていた特長こそ、新らしい4チャネル再生用として正しい狙いをつけた、もっとも優れた企画であり、技術的所産であるということを、ますます知らされたのである。
それが音場再生のための中音域以上のずばぬけて優れた指向特性であり、フロアータイプというそのデザインである。
このサンスイの新シリーズを聴いておそらく誰しもが感じるのは、歌とか、楽器のソロ、オーケストラならメロディーのハーモニーの厚さ、コンチェルトならその協奏楽器の響、ポピュラー系ならボーカルやギターソロなど、いわゆる音楽のもっとも主要部である中音域のひびきが実に充実して、いわゆる音が前に出るという感じをまっさきに味わうに違いない。この中声部の豊かさこそ、サンスイが扱っている米国JBL社の世界一といわれるずばぬけた中音の豊かさをがっちりと導入して自社製品に引継いた最大の特長なのである。ここに聞かれる中声部というのは、いわゆる技術的な「中音」とは、まったく違っていて、数字の上で表すとすれば、それはなんと、200Hzから2000Hzまでの従来の2ウェイまたは3ウェイスピーカでは、低音用ユニットにおいて分担する音域範囲にも収まる周波数帯域だ。 一
つまりこの中声域の充実のためには低音ユニットが、中音ユニットと共に重要な要素となる。
従来ブックシェルフ形ではウーハがどちらかといえば超低音の再生、低音の迫力を狙って作られていたのだが、このかたくなな技術屋の迷信をぶちやぶったのが、サンスイのスピーカシステムの特長であった。
その特長は、SP3005を初めとする今日のSP2005、さらにSP1005において一段とおし推められてきた。
従来から、サンスイのオーディオコンポーネントはすべて中音の充実感という点で他社に一歩先んじていたように思うが、それが今回のスピーカにおていても明確に感じられるのである。
ではその中声域の充実した輝きのもととなっているのは何であろうか。
ウーハの中域における向上とともに、新シリーズの最大の特長となっている中音ユニットにある。これは、やや内側に向けて傾けて並べられた2個のコーン形ユニットで、その指向性の改善ぶりは著しく、2個のユニットによる豊かなエネルギーと、正面に十分に分散される優れた指向特性を創っているのである。
もしこの辺の中声部を単にウーハだけで受けもたせれば、従来からのスピーカシステムにおけるように、音が正面に集中してしまうし、そうかといって、中音ユニットの小さい振動板からでは絶対的なエネルギー不足となってしまうわけで、これをあえて強行すれば、ダイアフラム形ではビリつきの原因となるし、コーン形では中音用ユニットの高域部に影響を与えてしまうことになる。
つまり、中声部の充実、指向特性の向上というのは、マルチウェイスピーカの最大の泣きどころでもあるわけなのだ。
サンスイのSP2005を始めこの新シリーズでは2個の中音ユニットを用いることによりこの難点を克服し、その従来からの特長をさらに一段と明らかに打ち出したという巧妙さは、まさに舌を捲くほどだ。高音とともに中音域用にも2つのユニットを用いることによるコストアップは、この新シリーズが従来よりやや高価になった大きな原因であろうが、この大きな進歩を考えれば、そのマストアップに十分みあった性能向上は補うにあまりあるといいたい。
さて、現実にこの製品にふれて、今までのサンスイのスピーカシステムともっとも大きく違って感じられるのは中音ではなく、低音域に相違ない。というのは中音の充実というのは、耳にはっきりと捉えても、脳で感覚として捉える点で、かなり多くをカバーしてしまうからだ。中音エネルギーの大きく抜けているスピーカ、例えばAR3などを品のよいすぐれた音と感じるマニアが多いことがそれを裏づけるのだが、低音感は聞こえる通り感じるものだ。
スピーカを聞きくらべたとき、高音と低音の違いが、音楽マニアでなくとも感じられるのはそのためだ。
サンスイのSP2005は、SP2001とくらべ、またSP1005はSP1001とくらべその低音感に誰しもはっきりとした差を認めるだろう。今回の新シリーズのそれは、力強く低音に張りと冴えが加わったことがその意識を分折した結果だ。
つまり従来のサンスイのシステムにおいてよくいわれた豊かなゆったりした低音だが、力強さがもう少し欲しいというマニアの声がここに見事に反映している。
さて、この低音の一段と向上した力強さは、むろんユニット自体のそれも磁気回路を含めた改良によることは当然だが、加えてこの小形ながらバスレフレックスタイプの箱は、チューンドダクトに加え半密閉の要素を持たせて、実にクリアーな低音を得ることができ得たという。その構造は4隅の4本のプラスネジを外しネットを外してみるとはっきりと見ることができる。
2つに別けられたチューンドダクトは、これが開口部を使用者の好みによって調節できるように、可変の蓋がついていて、それを傾けて調整するように作られている。
このダクトの調節次第で閉じた状態では密閉箱に近い低音の立上り、完全開放に開けた状態ではバスレフ形のゆたかな低音の響きを得られるという奇抜でユニークなアイディアが具体化されているのである。
文字のスペースが少なくなってしまった所で、どうしてもはっきりした形で述べておきたいことがある。
それはこのスピーカが一見従来と同じブックシェルフタイプでありながら実は歴然としたフロアータイプ、つまり床に縦において用いるということ.を主張したデザインである点だ。
このことは、4チャネルになってくれば部屋の4隅に配置せねばならず、そのためにはどうしても縦におく方が、そのスペースファクターという点で有利なことを予め企画段階で考えていたことを意味する。
それは、前面の組格子がゆるやかにカーブし、広い指向性を具象化し、ワイドスクリーンを象徴しているデザインにもみられるのである。
つまり、SP2005とSP1005はともに明らかに4チャネルステレオ再生を目的とした現代版スピーカなのである。
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